この手が、守る。その手が、襲う。

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表題作守る手、襲う手

鳥谷真樹夫,30代,隣に住む叔父
浜名晴,24歳,製菓会社の営業

その他の収録作品

  • 見守る目
  • あとがき

あらすじ

大きな手が触れる、撫でる――浜名を苦しめている、幼い頃の記憶だ。その手の感触を思い出すと、どうしようもない不安と嫌悪感に襲われる。もし、あの手の主が、ずっとずっと好きだった叔父の鳥谷だとしたら・・・。触れられることに恐怖があるのに、隣室に住み、何かと世話を焼いてくれる鳥谷への想いは増すばかり。そんなある日、自分の気持ちを確かめようとして、告白してきた同僚の男と付き合い始めた浜名に、鳥谷は・・・!?
(出版社より)

作品情報

作品名
守る手、襲う手
著者
火崎勇 
イラスト
Ciel 
媒体
小説
出版社
学習研究社
レーベル
もえぎ文庫
発売日
ISBN
9784059041375
3.2

(9)

(0)

萌々

(2)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
29
評価数
9
平均
3.2 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

大好きなのに踏み出せないのは

今回は甥っ子を猫可愛がりするダイニングバーのオーナーと
母の弟が大好きな製菓会社営業部の二年目社員のお話です。

受様視点で攻様との関係を築き直すまでと、
攻様の友人視点みた2人の様子を収録。

受様は小さな頃から大好きな叔父さんがいます。

受様の叔父は母と一回り違う為
むしろ母より受様の方が年が近いくらいです。
受様の叔父こそ今回の攻様になりますね♪

攻様は甥の目から見てもイケメンで
ダイニングバーを経営しています。

受様が生まれたのは攻様が小学生の頃で
過保護なくらい受様を可愛がってくれていて
受様は異性として彼に恋をしていました。

受様は男同士なのら
血縁関係だって無問題と思っていたので
攻様を好きな気持ちを止められません。

いつかは
攻様の恋人になりたいと思っているのですが
受様は攻様と訪れた小五の夏祭りに
大人にイタズラされた過去があり

性的な欲望をもって触れられる事はもちろん
自慰すら出来ない程の恐怖心を抱いていたのです。

幼かった受様は
何をされたのかを覚えていませんでしたが
長じて自分に何をされたかは理解します。

しかし大きな手の持ち主の事は
ぼんやりとした影としてしか思い出せません。

大好きな攻様に告白出来ないのは
彼があの時の大人なのかどうかという
疑念が捨てられないからなのですが

そんな時に
会社の同期でも仲も良い同僚に告白され
下心のある彼の手と接する事で
性的な接触への恐怖心を克服しようとします。

受様は過去を乗り越えられるのか?!

受様が長く捕らわれていた過去の真実を知り
攻様が長く秘めていた片恋に向き合う事で
めでたく結ばれるまでのお話になります。

受様の過去は攻様によって語られるまで
真相は判りませんでしたが
2人がお互いに好き合っているのは
周りからは丸わかりです♪

受様を脅かす手の持ち主の影と
受様に告白する同僚、
攻様の共同経営者でもある友人を
上手く絡め合わせて進むので

2人のハッピーエンドまで
ドキドキ&ワクワクで楽しく読めました♪

但、今回受様は
過去のトラウマや仕事で色々と悩みますが
恋がうまく行ったらオールOKみたいで
仕事と恋愛事情の割合というか
バランスはあまりよくなかったのが
ちょっと残念でしたね。

自立って意味で社会人設定なら
新人で何が何だかの会社設定を絡めず
普通に学生さんでも良かったような???

続編は
攻様の共同経営者でゲイの友人視点で
攻様の過去から本編終了後までが
語られています。

友人的には
2人の恋を温かく見守っていたようですが
主役2人がお互いには見せない様な
一面が見れて面白かったです(笑)

コミコミさんで購入すると
書き下ろしの小冊子付きですので
2人のラブラブな後日談を楽しめますよ♪

今回は本作同様、
肉親としての悩みもからむ受様のお話で
渡海奈穂さんの『兄弟の事情』はいかが?

2

遠回りの恋

母の弟こと叔父が大好きの甥っ子が、過去の出来事にトラウマ的こだわりを持ちながらそれを確認出来ないでいる。
それを確認する方法を、同僚から告白された返事をあいまいに受けてしまった事で見つけようとしたために遠回りしてしまったという、甥と甥の恋。
そんなお話でした。

かといって、この主人公決してウジウジしているとかヘタレているとかそんなではない。
叔父である真樹夫大好きオーラ全開の、幾分子供っぽい雰囲気を残したキャラクターになっている。
就職するまでずっと親元で過ごしていたとかいう設定もあるのかもしれないが、叔父の真樹夫がかなり甘やかしているな?ということからかもしれない。
同僚の須川に告白された時に、その手に欲情を感じて嫌悪巻を抱くのに、自あやふやなOKを出してしまう所。
そこに、もしもの事があった時自分は男が本当にダメなのか、真樹夫だったら大丈夫なのか、無意識に試そうとする心理がはたらいているところ、いくらかズルイとは思う。
本当は、それだけ真樹夫しか見てないってことだよね。
だから何となく、一生懸命アプローチしようとしている須川がかわいそうにさえ感じてしまった(汗、)

真樹夫も女の影さえなく、朝は晴を起こし、朝食まで作って、夜は夕飯を食べさせてやり、面倒見がいいことこのうえないw
この二人、明らかに両思いじゃん!!(爆)
真樹夫の親友の上田の存在が実に味があってよかった。
彼の気持ちは本編の中でも何気に見え隠れするのだが、『見守る目』の中で明らかになる。
真樹夫って・・・ショタコン!?
だから上田が真樹夫を変態って呼んだんだwww

いつもの、謎解き風のサスペンスタッチで進む火崎パターンですが、二人の関係と想いがまるわかりだったので、甘さは当分高めカナ?
結構、晴が仕事で苦労しているシーンが出てくるんですが、何かかわいそうっていうか、この企業成長しない企業だな~なんて、、思わず危惧してしまった。
それに晴が、OLみたいだった(?)
非常に読みやすくサラサラサラ~と行けます。
Cielさんのイラストの真樹夫、格好イイゾ♪

1

「手」がポイント

表紙イラストで「怖い話?」と思ったのですが、そんなことなかったです。
叔父×甥なんですが、近親相姦の禁忌はテーマになっていません。
男同士というのもさほど気にしておらず、タイトルどおり「手」にこだわっている作品です。

表題作は、最初から手の内をさらしている状態。
晴(受)が、過去に襲われた記憶の中で覚えている「襲う手」が、真樹夫(攻)なのかどうか。
ラストまでひたすらそれに尽きます。

触れられても大丈夫だから真樹夫じゃないはず。でも…、が繰り返されるのですが、理由が立っていたので、私にはくどく感じなかったです。

リーマンの仕事モノが好きなので、晴に横恋慕する同僚の須川と働く姿も楽しく読めました。後輩の中山もイラスト欲しいくらいの良いキャラでしたし、晴を襲ってしまった須川ですが悪人じゃないと思えてよかったです。

「見守る手」で、真樹夫の友人である上田に、晴がこそっと相談するのも微笑ましかったです。

1

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