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表題作終わることのない悲しみを

秋ヶ瀬遼平・高校時代の同級生の画家 28歳
立花透・心臓病の娘を持つバツイチ 28歳

その他の収録作品

  • 聖夜
  • あとがき

あらすじ

立花透は娘の心臓移植手術費用、三千万円を借りるため、十年ぶりに高校時代の親友であった画家の秋ヶ瀬遼平と会う。過去、別れた妻とともに秋ヶ瀬を裏切ったことに贖罪の気持ちを感じる透に、秋ヶ瀬は「俺の気がすむまでここにいろ」と要求してきて――。
(出版社より)

作品情報

作品名
終わることのない悲しみを
著者
夏乃穂足 
イラスト
三枝シマ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778111137
2.8

(17)

(4)

萌々

(2)

(2)

中立

(5)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
6
得点
39
評価数
17
平均
2.8 / 5
神率
23.5%

レビュー投稿数6

シリアスで重い

表題作とショート2作品とも、立花(受け)の視点で進みます。

あとがきによりますと、ブログの連載作品を文庫用に直された作品だそうです。連載時の作品は未読ですので比較はできませんが、シリアステイストな内容です。

立花は、友人からいじめられ、襲われて、逃げた直後に自殺されます。
秋ヶ瀬は実母に捨てられ、義母と関係をもたされ、父には疎まれます。
立花と秋ヶ瀬は親しくなりますが、立花は打算で園子と交際します。
秋ヶ瀬は園子の誘いにのって関係をもちます。
園子が妊娠し、立花は秋ヶ瀬の子供だと知りつつも結婚します。
その後、秋ヶ瀬は立花の娘の手術代のために、客に抱かれることにします。

登場人物の誰もが自分勝手な感情で相手をふりまわしているように思えて、切ないという感情が浮かびませんでした。読んでいて我慢しどころが違うのじゃないだろうかという疑問が頭を回りました。

離れている間に立花は園子と、秋ヶ瀬は真矢と肉体関係がありましたし、再会してからも立花は秋ヶ瀬が好きだけと告げる気はありません。

終盤でようやくした立花や園子の決断も、自分に酔っているようにしか思えず。すれ違いや辛い過去を乗り越えてのラストも「これから二人で幸せになって良かった」という祝福気分になりませんでした。

ただ、ラストで秋ヶ瀬が泣いたのは、胸にぐっときました。涙が一筋流れたイラストも素敵でした。

ショート「聖夜」は幸せな二人のクリスマスイブの話ですが、それをあわせても、私にとっては読後の印象がどうにも重くスッキリしない作品でした。辛さと甘さのバランスが取れていないというより、主人公達の言動に理解ができるかだと思います。私は難しかったですが、相手のためにと自己犠牲タイプがお好きな方は気に入られるかもしれません。

0

エピソード盛りだくさん

エピソード盛りだくさんのところが逆に萌えないのかもしれません。
主人公、透は離婚した妻の元に引き取られた娘の心臓手術のために店を売ってお金を用意するのですがまだ足りません。そこで、人づてに聞き及び10年前に決別した親友遼平がお金を助けてくれます。そして、遼平は透に執着しているので、無理やり襲います。本当は昔みたく楽しく絵を描いて過ごしたかったのです。透は自己犠牲の人です、元妻が妊娠したのは遼平の子供でそれを込みで遼平の将来を傷つけないために結婚しました。
それでも妻は私は愛されていなかったわと、離婚を言い渡すし。
最後は甘くハッピーエンドでした。が、なんだか肩すかしのように感じてしまいました。
イラストがもう少しほの暗い雰囲気だったらもう少し浸れたのかもしれません。残念でした。

0

悲しい

元の方が好きでした。
大筋は一緒なのですが、端々に「……ちがう」というところがあって。
しかも私が勝手ながら「いいな」と思っていたところばかり変わってしまっているのが悲しかったです。
出版されるにあたり改稿されたのだと思いますが、元の作品が好きだった私としては「どうしてそこを変えてしまったの」という気持ちになってしまいました。
デビュー作は、素晴らしいものにさらに磨きがかかったといった感じを受けていたため、なおさらです。

どうしても、今後の作品の購入を現在ためらってしまいます。

1

それぞれの事情

改行の多い短いセンテンス。
思わせぶりな冒頭部。
病気、いじめ、虐待、etc、それぞれが背負っているたくさん過ぎるトラウマ。
「いわゆるケータイショーセツって奴ね。」
って、ともすれば揶揄されるような要素が満載。
ですが、この満載のパーツを、この物語には必要な要素なのだと、説得力を持たせて上手く収めてあると思う。
人にはそれぞれ過去があって、それが今の生き方に影響するのは必然。
そんな諸々のトラウマや葛藤を受け入れて、それでもこの相手と生きていく事を自分で選び取る、シンプルで前向きな結末はいいと思う。
私としては、文体や内容に関してより、挿絵の方に違和感があったので評価は萌1。

0

う~ん、イマイチ

帯『凍えたきみの心に、届かない-』

表紙の感じもタイトルと合っていて手に取った時のイメージは悪くないですし、あらすじも好みそうなんで読んでみたんですが……が……なんかなんつーか何だかなー。

作者が書きたい事はまあ何となく伝わっては来るんですがそれが面白いかどうかというと……正直面白くない。
色んな要素は詰め込んであるんですがどうもその全てが空回りしている印象。

例えば遼平[攻]も透[受]もお互い、それぞれにトラウマ持ちなんですがその設定が生かされていない。
特に透は、彼方面での物語のキーでありながらそのシーンがさほど読み手に響いて来ないんですな。
設定自体は悪くないんだけど空回りしてる気がしました。

あと透の娘は素直に透の娘だった方がすっきりしたんじゃなかろうか。
個人的には透の別れた妻が、自分のエゴでひっかき回しておいて「私たち3人の子供よ」っていい女ぶってんじゃねーよ!!!と突っ込んじゃいましたよ。
まあ娘さんに罪は無く可愛かったですが。

作品のプロット自体は悪くないのに生かせなかったって感じです。
いっそトラウマ持ちはどちらか一人だけに絞った方が良かったのかも、なんかどちらも中途半端な気がした。

1

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