表題作鍍金的ノスタルヂヤ+夢地心中・再録

男・一木
少年・秋成

あらすじ

※18禁
01年2月発行「鍍金的ノスタルヂア」と04年8月発行鍍金的ノスタルヂア番外編「夢地心中」と一冊にまとめた再録。

妻が突然いなくなってしまった男の元へやって来た犬二頭を引き連れた学生服の青年が、元の場所へ帰してあげましょうという。
ある日突然東京市の半分が一斉に神隠しにあっていなくなってしまったという出来事には一体何が?

作品情報

作品名
鍍金的ノスタルヂヤ+夢地心中・再録
著者
草間さかえ 
媒体
漫画(コミック)
サークル
soft_machine〈サークル〉
ジャンル
オリジナル
発売日
4.6

(5)

(3)

萌々

(2)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
23
評価数
5
平均
4.6 / 5
神率
60%

レビュー投稿数3

不思議な魂の世界

嬉しいですね~♪
01年と04年の古い同人作品が再録集になって出ている。
この原作2冊は、草間さかえさん独特の世界観と展開によって繰り広げられるので、この2冊がそろわないとどうにも内容がよくわからないんですよ。
だから1冊にまとまるとあ、なるほど!と話が繋がる。
実際、この1冊でさえも一度読んだだけの時の段階で頭がハテナ??
ちょっと寝かせて読みかえすと、あ、そうなのか!!
本当にお米のような昆布のような、反芻すると味のある作品ですね。
それにショタ風味ですっ!!

話は突然妻が神隠しにあっていなくなってしまった男一木の元に犬を二頭つれた少年が「あなたを迎えにきました」といって現れる。
年代設定は大正17年、関東大震災から5年経った世界・・・のはずなのに、近所に住む子供はいつまでたっても5歳のまま・・・
その大正12年のある日に突然東京市の約半数の人間がいなくなってしまったというその理由は?
そして、少年が迎えにきたその理由は?

こうした不思議な世界が、初期の頃の草間作品の雰囲気の原点のような色合いで展開されます。
少年が犬を連れている理由というのは、彼は犬神の神社の跡継ぎで間違ってあの世にいってしまった人の魂を現世に戻すのが仕事だという。連れているのはその犬神達。
ここで少年と犬との獣姦が登場します。
彼は少年の雰囲気を満載にたたえているので、禁忌感が~♪
メガネに学生服という設定もまた、眼鏡のおじさんとは違った萌えアイテムなのですが、何と言っても!ソックスをガーターベルトで釣っている裸体が、ものすごくエロティックです!!
この青年が犬に身体を与える意味というが、番外編の「夢地心中」を通して読むとわかるのですよ!!

この少年・秋成は亡くなった兄の代わりにこの仕事をするようになったのですが、この仕事には代償が発生する。
父は片足を、兄は片目を、そして秋成は・・・
その亡くなった兄の話が「夢地心中」なのですが、これによって、秋成がこの仕事をする理由と関係など色々なモノがみえてくるという展開。
やっぱり、1冊にまとまって正解です!
同人作品にしても01年と04年と3年も間が空いてますからねww

初期草間作品のショタが見られる不思議ワールド
今見てもなんのそん色もなく、独特の光を放っています。

2

らくがんの事かな

無理は承知です。ですが読んだ後に、これは朗読CDとかで聴きたい!と思いました。
伝奇小説のような世界観を楽しめる贅沢な、本当に眼福な一冊。

生きているのに死者の世界に迷い込んでしまった多くの人々を元居た場所(彼方)に戻すのが代々の仕事の高野秋成と、大地震が起きた事で其の世界に迷い込み最後の一人となっていた一木という男。

『彼方に戻る為には死に直結する行為が必要でその時に恐れたり迷ったりしてはいけない
帰る事を心から望まなければならない』

この少年・秋成の素直でエロいこと!
死者の世界に居られる代わりに身体を食う犬神達(二体)に向かって「早く済ませられる?」と聞く一連のシーンが最高にヤラシイです。

一木は、犬神との性交を目撃したり其れで抜いた事で秋成に欲情。
其の最中に殺してくれと頼み、イかずに秋成に未練を残す事で彼方に戻る事を選びました。
イってしまったら戻る理由が無くなる…ズルい大人ですね^^
此処で屍姦を匂わすのもまた。

兄・秀親はこの仕事に不条理を感じていてぶっきらぼうで、秋成を遠ざける様な事を云うのは本当は弟を思っての事。
彼は為に左目を取られました。
彼方の裏山にて眠ってしまい、意識は死者の世界へ身体は沢へ落ちて死んでしまった為に戻る事が出来ないのです。
片目だけで十分に冷たい目。好きだな秀親。
秋成の秀親へのほのかな想いもあり、この二人に何かあれば無敵だと思うのだけれど匂わせてさらりとかわされるのもまた一興。

未だ昔、もう戻って来てるけど目をつぶったままで布団に横たわる秀親が、側に居る秋成に対して
「あ また煩いのが居てる」

高野家は紀伊の神社ですので。
草間さんに方言のある作品を描いて欲しいなという淡い願望がまたムクムクと芽生えました。
"はくせんこ"って可愛い響きの言葉ですね。

積極的にショタものを読みたいとは思わないけれど草間さかえさんが描いたものなら読みたいと思うので、万人向けではないかもしれませんが、自分があまりBL的枷を持ってない事を有り難いと思うくらいの満足感でした。

2

生と死の境

「鍍金的ノスタルヂア」とその番外編「夢地心中」が収録されています。既読のものを手直しを入れられたようですが、描き下ろしは表紙のみだそうです。

「巫山戯る」「兎に角」というような少し古風な言葉と衣装で、舞台は東京。時期は関東大震災の五年後の頃を思わせます。

死んだ人が自分が死んでいると気がつかずに暮らす世界。
そこに迷い込んだ一木。
そこから元の生きている世界へ帰すことを役目としている秋成という少年。

「鍍金的ノスタルヂア」は、その日常とは少し違う世界観の説明と、一木と秋成の出会いと一木の帰還の話です。ラストは「コレデドントハレ。」めでたしめでたし、と閉められています。普段の漫画と少し変わった描きようで、朗読調のドラマCDで聞きたいと思う内容でした。

「夢地心中」
は前作よりは普通の漫画に近い描き風です。
役目のために方目を失い「不条理だ」と秋成の兄、秀頼が泣く場面でスタートします。
役目であちらの世界に行っている秀頼を、枕元で待つ幼い秋成。そんな少し前の兄弟の場面が、前作の後日談に挟み込まれています。
眠っただけであちらの世界に行ってしまった一木。秀頼と出会い、話をします。秀頼から、自分が帰すからもうこちらの世界には来なくていい、という伝言とお土産を秋成に持って帰ってきた一木。
ラストの秀頼の言葉に、愛情を感じてじんと来ました。
めでたし、で閉められた前作ですが、秋成が一木に似ていると語った兄はどんなんだろうと気になった点が解消される内容でした。

草間先生の持つ独特の雰囲気が見事に表された作品でした。いつか商業作品として販売されるのを期待したいですが、今のご時勢なのでそのままというわけにはいかないのでは、という気もして…惜しいです。

獣姦、実の兄弟でキス(弟は子供なので可愛いですけど)、口から千切れた指の描写がありますので、苦手な方はご注意ください。

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