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表題作指先にジェラシー

外資系製薬会社営業部OTC販売促進課の三年目社員 碓氷祐・25歳
経営管理部経営企画課のエリート課長 桐谷章介・30歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

趣味は恋愛、特技は女にモテること。優れた容姿を武器に、適当な人生を送っていた碓氷は、仕事のミスが原因で、他部署のエリート・桐谷にこき下ろされる。屈辱を噛みしめる帰り道、ゲイバーから出てくる彼を目撃し!? 性癖をネタに脅かそうと声をかけたものの、妙に冷静な桐谷。さらに「君はろくな恋愛をしてこなかったんだろう」と侮蔑の目を向けられてしまう。――唯一の取り柄『恋愛力』だけは批判されたくない。意地になった碓氷は「あんたを俺に惚れさせてやる」と宣言するが…。

(出版社より)

作品情報

作品名
指先にジェラシー
著者
一ノ瀬智 
イラスト
香坂あきほ 
媒体
小説
出版社
大誠社
レーベル
LiLik文庫
発売日
ISBN
9784904835456
3.8

(21)

(3)

萌々

(13)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
10
得点
79
評価数
21
平均
3.8 / 5
神率
14.3%

レビュー投稿数10

攻の成長が楽しい

新人作家さんの作品なのであまり期待していなかったのですが評価が高いのも納得できる面白い作品でした。

物語は攻視点で進みます。主人公の碓氷は、序盤こそモテ男を自認してイイ女と遊びまくる自分に酔っているタイプの傲慢な攻なのですが、その一方で学歴や仕事ぶりが決して褒められたものではないことも自覚している、妙に素直なところが魅力的なキャラクターです。

イイ男を気取っている彼が、美貌のエリート・桐谷と交流していくうちに大人としての自分を省みて、徐々に本当のイイ男に成長していく様子がとても良かったです。

細かい部分になりますが、20歳の自分を思い出し、25歳の今と比べて、5年後の自分に想いを馳せる――という描写(そして、彼の姉の言葉)がとても胸に響きました。30歳以上の人なら誰しもが共感するんじゃないかなぁ。たかが5歳、されど5歳。大人になるってなんだろう。

終盤、これからのことを懸念する桐谷に対して、二人の関係を車に喩えて語る碓氷の言葉も大好きでした。全編にわたって言葉のチョイスも多彩で、シンプルに、この作者さんの書く文章が好きだな―と思いました。現時点ではこの一冊しか登録されていないようで残念…次回作に期待したいです。

私は香坂あきほさんのイラストが苦手なので、その点はちょっと惜しいと感じました。

0

いろいろあるけど、何よりキャラクターが好みじゃない。

もともと『リーマンもの』も『年下攻』も好みじゃないんですよ。

その上、碓氷(攻)のようないい加減でしかも意地の悪い攻キャラクターは大キライなんです。たとえ根がどんなにいいヤツ(と作家さんが言いたがってる)でも。
私は『年下攻』の中では、ワンコは例外的に大丈夫なことが多いんですが、コイツは・・・まあワンコなんだろうけどどうしても好きになれない。

しかし、何よりもツンツンし過ぎの受がものすごく苦手なので、桐谷(受)がもう無理。
これはツンデレというよりクーデレらしいですが(このあたりの属性がいまだにハッキリわからないんだけど)。

というわけで、私にとっては何ひとついいところがなかったんです。読んでて少しも気が乗らなくて楽しめず、ただ苦痛でしかなかったですね。

たぶん(イヤ確実に)、ポイントのひとつなんだろう手袋も、種明かしでも正直『あ~、そうなんですか・・・』としか感じませんでした。
引っ張り過ぎじゃないのかというより、まあ結局は私がまったくストーリーに入り込めなかったからなんでしょう。

設定・あらすじもキャラクターもイラストまでもが全部好みから外れてるのに、いったいなんでコレ読もうと思ったんだ?と自分に確認したいくらいです。ホントなんでだろう?そしてやっぱりダメだった。

ただ、キャラクターが好きになれたらきっと面白いんだと思います。

0

こういう人って嫌いじゃないなぁ。

あらすじだけを見てるとそんなに突飛な感じでもないし、たぶん自分じゃ手に取らないまま終わっていたお話。
友人がここの評価を見て面白そうだからというので手に入れ読ませてくれました。

……………面白いじゃねぇか!

前半はデキるエリートの桐谷の理路整然とした物言いとチャラい系社員の碓氷のノリの噛み合わなさみたいなのがあって、一応、落としてみせる!的な恋愛面に向かってはいるものの、それほど揺れてる感じはなくてどうなることかと思ったのですが。
誕生日の夜あたりからぐっと面白くなってきました。
大体において、チャラい男が本気になるとスゴイんですが、この碓氷という男もなかなか。
ちゃんと一人前の男として見てもらえるように仕事面でもマジメに取り組むようになるし。
ノンケでただのゲームのような感覚でちょっかいを出してたはずだったのにどんどんハマっていくのがよくわかる。
一方で、桐谷はどんなことに対しても生真面目。
真面目も真面目でクソ真面目。
個人的にツボったのはデートの待ち合わせに早く着いた時の言葉。
「開始まで10分ある。君も好きにするといい」みたいな。
時間厳守なんですよ、デートなのに。
2人とも時間より早く来たのに始めようとはしないの。
それでも、律儀に逢瀬を繰り返して。
言葉というか言い回しには明確にしていない部分もあるけど、2人の距離が縮まっているのは感じられるというか。
が、手袋の件で正直すぎる桐谷の言葉に碓氷は撃沈させられることになったり。
それでも、桐谷は桐谷なりに「恋がしたい」と言い、碓氷との関係に一生懸命にも見えてかわいくも見えたり。
こういう人って嫌いじゃないなぁ。

1

売り言葉は買っちゃいけない

今回は容姿に自信満々で恋愛を楽しむ販促課の営業と
手袋が手放せない経営企画課のエリート課長のお話です。

仕事も恋愛も遊び感覚だった攻様が
受様との出会いで仕事にも恋愛にも真面目になるまで。

受様は自身の容姿に絶大なる自信を誇り
良い女と見ると手を出して遊びまくっていました。

外資系製薬会社に入社して三年たちますが
仕事に対しても楽してなんぼというノリで
生活していくだけの手段でしかなかったのです。

そんなある日、
売上減少に伴う大粛清をする為に
経営管理部に専任者が着任したという噂を聞きます。

同僚は派遣キリの後は社員のリストラも有りかと
自分の身のフリを心配している様ですが
生活の基盤を支える為だけに働いている攻様は
自身の引いた最低ラインの仕事以上の労力を
つぎ込む気など皆無だったのです(苦笑)

しかし、
経理課に回した経費の領収書不足を指摘し
差し戻しを言い渡した人物こそ
件の噂の専任者だったのです!!

彼は端正な顔立ちでお洒落なスーツなのに
牛乳瓶底並の厚さの黒縁ダサ眼鏡をかけ
なぜか白手袋をはめていました。
この人こそ今回の受様になりますね♪

受様は攻様の今までのやり方を手抜きと称し
出張時の怠慢な時間設定から
交際費の用途に至るまで糾弾した上に
攻様の上司まで無能呼ばわりするのです。

イチイチごもっともな指摘なのですが
否定できないからこそ悔しさも募るというモノ(笑)

せめて一矢を報いようと彼の弱点と思われる
白手袋をはめた手をぎゅっと握ってみるのですが
振り払われた揚句に放たれたのは
ぞっとするほど冷やかな一言、

馬鹿が伝染る

…攻様、撃沈です(爆笑)

その日、攻様は
憂さ晴らしのため飲んで帰るのですが
受様がゲイバーから出てきたところを
偶然見てしまうのです。

勢いこんだ攻様は受様に
ゲイだとばらされたくなければ
自分と一晩付合えと迫るのです!!

しかし、
話の流れで攻様もゲイ扱いされて
形勢逆転した挙句、

本当は面食いなんだが、寝てやってもいい

なんて譲歩されてしまうのですよ♪

仕事の無能さは糾弾されても
恋愛力まで否定されるのは許せない攻様は
受様のお相手をする事になってしまうのですよ。

はてさてこんな状態で
攻様は実力発揮できるのでしょうか?!

一ノ瀬さんの文庫デビュー作は
年下ワンコ部下とクーデレ眼鏡上司のオフィスラブです♪

クールビューティな受様が
大好物な私のツボを大変刺激してくれて
とっても面白かったです。

人は何をするにも見た目が絶対と思っている攻様は
自身にも付合う相手にも見た目重視で
仕事をするのも付合いを円滑にする為に必要だから
という適当ライフを満喫していました。

そんな攻様の目の前に突然現れたのが
会社の建て直しを任されるほど有能な
エリート様である受様だったのです。

受様の指摘は一々ご尤もなのですが
そこで潔く反省するほど攻様のプライドは低くなく
受様への反撃を誓うのですが最後の詰めが甘すぎて
ミイラ取りがミイラになっちゃうんですよね(笑)

受様も結構思い込みが激しい方なので
攻様の一生懸命さに徐々に落ちていっちゃうし。

二人の会話もポンポンとテンポ良くて
一気に読まされたって感じです。
次回作も要チェックですね♪

本作には特定書店購入でペーパーが付きます。
敏感な受様の身体を翻弄する攻様ネタですが
受様視点でとってもきわどい事に(笑)

今回は本作同様、印象の悪い人同士の恋物語で
水碕夢見さん『第一印象=最悪!』はいかが?

0

なかなか

あらすじだけを読んだらありきたりというか、あまり自分から読もうと思わない話なんですが、ここでの評価が高かったので読んでみました。結果、おもしろかったです。
最初は主人公の碓氷がどうにも好きになれませんでした。あの浅はかなとことか馬鹿なのに意地が悪いとことか、まるで漫画の脇役が似合いそうな小物感。だけど、少し憎めない素直さがあるんですよね。あと、自分に自信満々なのに、妙に卑屈なのでそのギャップも嫌いになりきれない感じ。自分がだめって心のどこかで気づいてるから卑屈になってるんだろうなぁ。
でも話が進むにしたがって、碓氷も桐谷もいいところがどんどんでてくるので徐々に好きになってきました。どっちも根はいいやつなんだよね。全体を通して碓氷の成長を見ることができたのでよかったです。
ただ桐谷の手袋の秘密はなんじゃそりゃ、って思いました。

0

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