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最近、受が一方的に愛され侍なお話が結構流行ってるのかなと思うんですが、自分はすれ違い、恋愛の主導権がいったりきたりして受・攻両方が片思いみたいな切なくなる展開が好きなのでこのお話はまさにドストライクでした。
木下先生の作品では「キスブルー」が良く出来てるかなっていうのがあるんですが、個人的な萌えツボはこの作品かな。いつもながら攻が格好良く色気があります。お話としてはしっとりとした間や透明感のある雰囲気があって木下作品では珍しく結構シビアな表現があったり、濃いめな描写もあって自分はすごく面白かったです。
宙(受)がてっちゃん(攻)に自分が守られたり心配かけたりする存在でなく一人でやっていける自立した大人になりたい、てっちゃんに相応しい人間になりたいと思ってることで常々自分を犠牲にしても宙を大切に守ってあげたいと思ってるてっちゃんと価値観が衝突。てっちゃんは宙が独り立ちできたならもう自分は必要ないと手を放してしまうところで宙がてっちゃんとずっと一緒にいる恋愛するということを自分の中でようやく形作って考えていく。
宙は人としてはもともと結構成熟してる方だと思うんですが恋愛の部分で幼ないのでそうゆうところがでかすぎるてっちゃんとすれ違っちゃうんですよね。それでいててっちゃんは意外と大人なようで宙のことを本当の意味で理解してあげられなかったりするので(子供の頃のトラウマがそうさせるんですが。宙ブルブルしくしくしてたしね)。お互い人生のペースが違ったり価値観の衝突があってすれ違ったりするんだけど恋愛してくみたいなのがリアルで大人な感じでした。
経済的、精神的な部分では自立したいと考えてる宙(相手の負担になってはやっぱり関係も長く続かないだろうし)が体の部分ではてっちゃんにされる、受手になることに違和感がなく満たされてるっていうのも何か今の時代の男女の恋愛価値観に通ずる感じになってるような気がします。また宙の親友のリョーちんがカッコ良くていい。当馬の由衣ちゃんも可愛くていい女で女性読者として○。
BLでは受に男らしさを求める方がよくいますが、宙は外見は可愛くて性格もほわほわした天然系なんだけどこうゆう意味で男らしいと言えるのではないかなと思います。最近のBL作品の中ではかなり気に入って最終巻を楽しみにしていた作品だったので期待通りの内容で大満足でした。買って良かったシリーズ。
じわーっときました。少し時間がたってからほろりときました。
木下先生の描かれる作品は綿菓子みたいで、読後のほんわかした空気感が大好きなのですが、この作品はかなり毛色が違いました。最後まで胸が痛かったです。
紆余曲折あって結ばれる関係はもともと大好きなのですが、木下作品でこの感覚を味わうことになるとは…。
てっちゃんの大人のずるさだとか弱さだとかが透けて見えていたからこそ、この作品の現実味が増してたんだろうなあと思います。
すれ違ってすれ違って、お互いがお互いを好きで、どうしようもなく必要としているのに上手くいかない。好きという感情だけで一緒にいられるほど現実は甘くない。
高校生だった宙があのままてっちゃんに甘えてしまっていたら、この二人は上手くいかなかったような気がします。
一度ダメになったからこそ、めでたく幸せになれたんだろうなと。
自分が手を放さなければいい。
男前な宙が心の狭い(5ミリ四方くらい)てっちゃんを幸せにしてくれるでしょう。
幾千の夜を越えて、新しい朝に辿り着いた最終巻。
まさかとは思いながらも、二人には幸せになってほしい!と祈るような気持ちで読み進めました。
出だしでネタバレして嫌がられた事がありますが、ここはあえて「安心してください、ハッピーエンドですよ」と告げたい!(2015年末らしく…笑)そこに至るまでの過程が素晴らしいので、是非三巻続けて一気に読んでいただきたい。
ああ、よかった。
色々遠回りして、やっと結ばれてよかった。
最後ののろけ話も、当て馬(?)二人には大迷惑ですがめっさ可愛かったです。
本当に末長くお幸せに。
てっちゃんがヘタレ気味ですが、これが女相手だったら許せないほどのヘタレですけれど、相手が幼馴染の同性だったら色々悩んで迷っても仕方ないですよね。無理やり彼女作ったのも仕方ないと思います。本気で好きだからって選べる相手ではないのですから。
彼女もいい子だし、可哀想でしたけれど。
関係ないですがてっちゃんと苗字が同じなので、彼女に呼ばれるたびに「お、おう」と思ってしまいました(笑)
運命の出会いが早かった2人のゆっくりとゆっくりと幾千の夜を超えていくお話です。
すごく切なくて一緒にいたいだけじゃだめなんだ、幸せってなんだ?とすごく考えさせられました。
宙を守りたいはずなのに宙を独占したい囲いたい、自分だけの宙にしたいとてっちゃんは優しい顔してかなり怖い(笑)
宙はてっちゃんへの負担になりたくない、父親との確執からてっちゃんと対等に頼れるようなりたい、自分のせいで犠牲になってほしくない、思っていた2人の関係が崩れそこから逃げることしかできなかった宙。
あれから数年たちお互いの道を歩みながら縛られる日々。
偶然から再開する2人だけど、今度は宙からてっちゃんが逃げようとする。
自分だけを頼る宙が可愛くて可愛くてしょうがないってわかるー∑(゚Д゚)
好きだから支えたい好きだから甘えるだけじゃいたくない。
宙はえらくていいコだよ〜。
なんでもっと早くこの本に出会わなかったんだー_| ̄|○
最終巻を読んで、やはり木下先生の繊細な心情描写が好きだなぁと感じました。シリアスな雰囲気ではあるけれど、どこかにずっと仄かな甘さが漂っていて、終始湿っぽい雰囲気ではないんですよね。穏やかに、リアルな展開が続いていく。2度目の別れを経て偶然の再会を果たした2人は、お互いに今度はどういう風に相手に接するべきか悩みます。ずるずると曖昧な関係を続けていくくらいなら、拒絶し綺麗さっぱり忘れて新しい一歩を踏み出そうと考えるてっちゃん。真っ直ぐ想いを伝えてくれていたてっちゃんに、今度は自分から積極的に行動して簡単には諦めないようにしようとする宙。
最初はお互いの方向性がずれていてすれ違ってしまいますが、やはりこの2人は出会えば相手に惹き付けられる運命のようですね。彼女がいても、相手のことはけっして忘れられない。離れていた期間で、宙はすっかり自立し、てっちゃんは宙の自立心を受け入れる心の余裕が少しはできていて。自分の駄目だった所、相手と一緒にいるのに必要なことを、きっとお互い何度も考えただろうと思います。2人にとっては必要な時間だったのでしょう。恋人として、穏やかな愛も性的な愛もようやく噛み合って、どの面でもどちらかがどちらかに寄りかかっているのではない関係性になれたことが嬉しかったです。てっちゃんにしてもらうのが好き、と言った宙が本当に可愛かった。これからは安定した甘い生活が築けそうですね。