ボタンを押すと即立ち読みできます!
この命を懸け、愛の証をあなたに捧げる――
「愛のマタドール」「裸のマタドール」と読んで、
遡って他レーベルながらリンクしている本作。
天涯孤独なヒターノ(ジプシー)のサタナス。
闘牛牧場を持つ伯爵家の跡取りであるアベル。
10歳の時に出会った二人。
アベルを庇って片目を失ったサタナスは、長じて闘牛士となり
一方のアベルは父の死後抱えた借財の為に、牧場を手放し、
そして事件が起こりサタナスは刑務所に収監される。
その彼が出獄したところから、物語は再び動き出すのだが……
ただ純粋に、相手が生きる全てで、相手を幸せにすることだけを願っているのに、
どんどん取り返しのつかない闇に呑み込まれていく……
そんな二人の物語。
アベルの愚かしい程の純愛。
愛の為ならば全ての穢れも甘んじて引き受ける、仄暗い情熱。
だが決してその想いを口にすることはない。
闘牛という特別な世界を舞台に、愛の光と影を描くこのシリーズ。
この作品は、闘牛に相応しい情念の世界を描いていて
世界観は素晴らしいのだが、マフィアが絡んで大きな話なのに
ちょっと端折り過ぎな感じがあって、その壮大なドラマに乗り切れない感じがあった。
個人的な好みとしては、最新の「裸のマタドール」(萌×2をつけた)が一番好きだが、
隻眼は、萌えポイント。
そして何より、朝南先生の遺作となった華麗だが翳りのあるイラストが本当に素晴らしい。
それに敬意を表して、評価は「神」をつけたいと思います。
タイトルに「Andalucia」とある通り、スペイン南部の雰囲気ムンムンの作品ですが、内容は痛いです。そして攻と受の互いを想う気持ちが切なくて泣けます。最後までハラハラし通しの痛い作品でしたが、凄くお気に入りです。また、朝南さんのイラストがピッタリ嵌まっています。特に表紙イラストとカラー口絵は超絶美しいです。
以下ネタバレしています。
サタナス(攻)は身分の低い闘牛士で浅黒い肌の超美形。アベル(受)は家柄の良いお坊ちゃまで色白の超美形。2人は幼少の頃に街で出会って以来、互いに惹かれあっていますが身分差がありロミジュリ的な関係です。それからサタナスは少年の頃にアベルを暴れ牛から守ったことで生死の淵を彷徨い片眼も失っています。アベルはサタナスが瀕死の状態だった間中、寝食を忘れて「彼のために自分の命を捧げます」と祈り続けていました。このように2人は昔からずっと相手のためになら自分の命を投げ出すことさえ惜しくないと思っています。これを筋金入りのヤンデレと言うのでしょうか?
その後、成長したサタナスはアベルが望んだ通り闘牛士となり華々しく活躍します。そんなサタナスを金銭面でもスポンサー面でも支え続けるのがアベルです。この職業は旅費・指導者への報酬・試合や衣装の代金など、とにかく金がかかるらしいです。そのためアベルは自身の全財産を注ぎ込み、男たちに身体をも投げ出していました。ある日、行為の最中をサタナスに見られてしまい、その時のいざこざで人を殺してしまいます。彼の現状を知ったサタナスは、身分の低い自分が殺人罪で刑務所に入ったら二度と出て来られないことを承知の上でアベルの代わりに服役するのですが、アベルは今度はマフィアに身を売ってサタナスを出所させてしまいます。マフィアと関係をもったせいで最終的には危うい立場に追い込まれてしまうアベルですが、サタナスはマフィアを手に入れて救い出してくれます。以後、サタナスは闘牛の指導者とは手を切ってアベルと2人だけでスペイン各区地を巡り始めます。
この作品中で最も印象的だったのは、闘牛中にアベルがサタナスの命を奪おうとするシーンです。ここでは背筋がゾッとしました。獣医師でもあるアベルは闘牛の管理をしていてサタナスが闘うことになっている牛に細工して彼を殺そうとします。理由はサタナスを自分だけのものにするために。しかしサタナスは最高の闘牛士だから牛の状態くらい容易に分かります。上手く躱すものだと思っていたら・・・躱しませんでした。自分にとってはアベルがすべてだから、アベルが望むのなら命を捧げることさえ惜しくないからという理由で。サタナスの死が予測されるシーンにハラハラさせられましたが、我に返ったアベルがサタナスを庇うために飛び出して行き、サタナスは死ぬことをやめました。ここの2人の病み具合が凄いと思いました。
アベル「僕だけものにするために君を殺すよ」
サタナス「あなたのためになら俺の命など惜しくはない。捧げよう。」(いずれのセリフも私の創作です)といった感じの2人でした(苦笑)
華藤えれな先生の作品は、総じて、しめしめと湿度が多く私には合わないかな~って、全作売りに行った覚えがあります。…が、このマタドールシリーズ?と言っていいんでしょうか?スペインの気候風土のせいか、作者様の思い入れのせいか、乾いて熱いです!!(神に弄ばれた恋)(愛のマタドール)(裸のマタドール)…と、それぞれが珠玉のお話しだと思います。…あ、なかなか200文字に到達出来ません。(~。~;)?まだまだ、「熱く語る…」には、道は遥かに、険しいです。
ベタベタではございますが、運命に翻弄される悲劇の恋人達と言うのが大好きだったりします。
この二人の出会いって、不幸を通り越して悲劇なんですよ。
共に居たいと純粋に願っただけなのに、殺人犯にまでなってしまうサタナスに、由緒正しい貴族と言う身分から、マフィアの愛人にまで堕ちてしまうアベル。
愛すれば愛する程、互いを不幸にしてしまう・・・。
それでも魂で求め合うような二人の姿に、胸が熱くなるのです。
苛烈過ぎる愛の形に、心が震えるのです。
そんなワケで私と同じ悲劇の恋人達に滾る方、ぜひご一読下さい!!
超おススメですよーーー!!
で、こちら、既に素敵なレビューがたくさん書かれてるので、印象的な部分のみ語らせていただきます。
まずですね、二人のすれ違いがとにかく切ないんですよ!!
もの乞いと貴族のお坊っちゃまとして出会った、少年の頃の二人。
互いに強く惹かれ合いながらも、身分の違いから話す事すら出来ないんですよね。
もの乞いであるサタナスが、貴族であるアベルと唯一対等になれる方法ですが、この国で闘牛士となる事ー。
その為、二人は決意するのです。
サタナスは闘牛士になり、アベルは彼を闘牛士にする為に全力で支える。
これが悲劇の始まりとも知らず、純粋に夢を語り合う二人がひどく切ないんですよね。
ヒターノ出身のサタナスは、正闘牛士になっても差別からは逃れられず、いつまでも上には行けないまま。
また、父親が死に、没落してゆく中で、男娼のように自身の身体を切り売りして闘牛の為の金銭を工面するアベル。
そして、アベルが自身の為に、男達に抱かれている現場を見てしまい、怒りから剣を振り上げるサタナスー。
この時点で相当切ないのですが、これでまだまだ序盤なんですよね。
この後、サタナスを救う為、マフィアの愛人となるアベル。
出所し、闘牛士として華々しく活躍するようになるサタナス。
と言った流れなんですけど。
アベルはですね、サタナスを生かす為だけに、自身の気持ちを隠して彼に闘牛をさせるのです。
そしてサタナスは、アベルを腕の中に抱くために、命を懸けて闘牛をし続けるー。
この二人は、互いに誰よりも求めあってるのです。
それなのに、互いを求め合うほど、どんどん相手を不幸にしてしまうー。
憎みながら愛するようなサタナスも切ないのですが、サタナスの為に全てを投げ打ちながら、愛してる事を決して悟られてはいけないアベルもめちゃくちゃ切ない・・・(ToT)
もうさあ、互いに愛し合ってるのに、何故これほどまでに、運命は共に生きる事を許さないのかー、みたいな。
しつこいんですけど、二人とも互いの幸せしか望んでないのに、自分の存在が相手を不幸にしちゃうんですよ。
これは本当に切ない・・・!!
もう勘弁してあげてーーーー!!
あとですね、終盤でかなりのどんでん返しがあります。
私はこれにすっかり騙されてたクチなんですけど。
若干イラつく部分があったサタナスなんですけど、ここで「うおおー!!」と胸を熱くさせてくれるんですよね。
で、二人のすれ違いに、散々切なくさせられた後の大団円。
これなんですけど、何回読んでも泣けてしまう・・・(TдT)
やっと、二人の幼い頃の夢が叶ったんだなぁと。
アベルの願いは神様に届いたんだなぁと・・・。
ホント、心が震えるラストなんですよ。
このラストを見届ける為に、ぜひとも読んでいただきたい!!
と、個人的に神作品なのです。
これ、本当に隠れた名作だと思います。
スペインに旅行をされる方には是非!読んでいただきたい。
闘牛ってよく分からないけど、なんか怖いわと思っている方にも是非、読んでいただきたい。
スペインの伝統文化である闘牛を描いた作品といった方がいいかもしれない。
BL要素はこの作品を盛り上げる調味料のようなもの。
BL作品を作る為に闘牛が背景にあるのではなく、闘牛作品を作るためにBL要素が使われた、そんな印象だった。
スペインの貧困層がそこから抜け出すためには、サッカー選手になるかマタドールになるのか、そこまで身近にある闘牛士という職業。
闘牛士になるには、なった後は、一流という名声を手に入れるためには何をしなければいけないのか、どれだけ過酷な状況に置かれているのか、体感温度50度の中で繰り広げられる死闘、そこで熱狂する人々。
熱い!暑い!アツい!
何が一番アツいって、華藤さんの闘牛にかける思い・情熱・愛、それが一番あつい!
それはもう細かいことはもう棚に置いておこうと、これは闘牛本なんだと、闘牛のあれこれが分かって更にBLも読めるお得な小説。
ああ、そう思わないともっと書き込んで欲しかった要素がたくさんあって、いつの間にか過ぎ去ってしまっていたりするのですよ~。
裕福な家がが没落していきそれでも、闘牛士のパトロンでいたいが為に主人公が何故にマフィアの愛人になったのか、そこまでの葛藤、そこでの葛藤とか、マフィアで過ごした日々、マフィアのドンを薬漬けにできた経緯とか~。
ああ、もっと読みたかった。
しかし、もっと読みたかったと思わせてしまうほどに闘牛士に関することが細部まで練られ、描かれているのです。
おもしろかった。
そして、挿絵も最高でした。
朝南かつみさんしかありえない、本当にぴったりでした。