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心の底から全力でお勧めしたい素晴らしい作品。
読んでいる途中、ほぼ7割は涙腺が弛んで涙がとまらず、読了後は愛しい気持ちが溢れ出て私の邪念が浄化された気持ちになりました。
以下、かなり内容に踏み込んでいます。
2つの恋物語が主軸。
一つは学園理事長の孫であるお金持ちの明治と、既に父は亡く母一人で暮らしを支えている貧乏な5人兄弟の長男・三崎の物語。
もう一つが、戦時中の若かりし日の理事長と三崎のお祖父さんの物語。
どちらの恋もとても不器用で純度が高く、恋をしているとき特有の胸を締め付けられる痛みや切なさ、想う相手に笑いかけられただけで幸せな気持ちでいっぱいになるあの感じが画面を通して真っ直ぐに伝わってきて、読んでいて共鳴しては涙が流れてしまいます。
祖父世代の物語は特に不器用な恋心。
成就しなかったプラトニックな恋は心に強く在り続け、理事長は今もなお鬼籍に入った三崎の祖父を想い続けています。
戦争が終わった後、二人で月を眺めていた際に「月が綺麗だ」と三崎の祖父は言います。
理事長はその台詞の意味を知っていましたが、まさか三崎の祖父がその意味を分かって言っているとは思えずにただ「・・・うん」と答えます。
三崎の祖父は続けて「何にもなくなっちまった 子供を作るぞ 俺は」と。
理事長のことを愛しているけれど、自分の家族を一から作り上げようという気持ちは強く、別の道を行く選択をした瞬間でもあったのだと思います。
時は流れ、お祖父さんが死ぬ前に「月が綺麗ですね」の意味が愛の告白であることを自分に教えてくれた、と三崎の口から理事長に伝えられます。
片想いだと信じていた理事長が“自分も想われていた”ことを60年後に知る切なさや如何に。
杖を強く握りしめて涙をハラハラと流す理事長のいたいけな姿を私も涙なしでは見られません。
時を越え、想いが重なっても愛する相手は既にこの世にいない悲しさを思うといたたまれず。
そして、現代の明治と三崎の物語。
明治は三崎のことが好き。
三崎は恋よりも日々どうやって食べていくかを考えて、妹弟の面倒をみる日々。とにかく“生活すること”が大切で、そのために必要なもの、必要じゃないものをはっきりと取捨選択している。
商魂たくましく校内で水を売ったり、野草を売ったり。
そんな三崎に口うるさく小言を言っては絡んでいく明治。
けれど、自分の言動を反省したり、三崎の態度に傷ついて素直に涙する姿が私には非常に愛らしく感じました。
個人的に大好きなエピソードが二つ。
小さな弟を学校に連れてきて女子生徒からお菓子もらっていた二人を咎め、車に乗せてお引き取り願う明治。
三崎の家に着き、あまりのぼろさに写メを撮っていると「100円!」と言って写メ代をねだる下の子たちに明治は1000円を渡します。
学校で商売するのも、お菓子を貰うのも恥ずかしくもなければなんとも思っていない三崎が、弟から1000円をバッとつかんで「くれんの?」と言うと、明治は「写メ代」と。
その答えに納得したのか受け取ったけれど、三崎のなかで施しは受けないが代金は貰う、というギリギリの心理的な攻防があったであろう表情に胸をつかれました。
また、ある誤解から三崎にひどいことを言ってしまったけれど、ちゃんと謝り行く明治。
「お前って なんか てーねーに育ってんなぁ」とまったく気にしない三崎。
愛しいエピソードがたくさんちりばめられているのだけど、特に上記二つが胸を打ちました。
その後、理事長・三崎・明治の微妙な三角関係になっていきますが、それは三崎のお母さんが倒れて学校辞めると決めた際、理事長が「私の愛人になりませんか?そしたら毎月おこづかいをあげましょう」 「わかりました」で契約締結したため。
もちろん愛人契約なんて方便で、愛した人の面影を持つ三崎を助けたいだけ。
ただ側にいたい。あのときできなかったことをしたい。なんとも切なくもいじらしい積年の恋心。例え、身代わりであっても。
ときめく理事長の心象風景は16歳の姿で描かれていて、心躍りドキドキしている様がよくわかります。
外見は老人でも中身は初恋の時のまま、三崎に想い人の面影を重ねてときめく姿が愛らしいほどに、身代わりでしかない人を想う哀しみも伝わってきます。
時は流れ、10年後。
三崎は約束の出世払いのお金を返済しに訪れ、10年前の告白の返事もします。
10年前の告白の返事を突然もらい、うずくまって嬉し泣きする明治。
もう、もう、本当に良かったー!
そしていい雰囲気のところ、まだまだご健在で(邪魔しに)現れる理事長も相変わらず「三崎くんラブ」でかわいらしい(笑)
60年後に叶った恋は一人は鬼籍に入った後の成就だったけど、孫世代の10年後に叶った恋はこれから隣で歩んで一緒に生きていける。
好きな人に勇気を出して気持ちを伝え、ずっと待っていた明治くんが泣き虫ながらも男前。
二人に末永く幸あれ!と願ってやまない作品です。
イラスト自体にはあまり心惹かれなかったし、タイトルもふ~~~んなんて
感じで読み始めたら、なんだろう?物凄くハマる感じなんです。
ちょっと朴念仁でニブ目の三崎と小学生みたいな好き表現で素直になれない
意地っ張りの春人との朴訥とした恋のお話なんです。
この恋は実はもっと昔から始まっているような隠れロマンスも秘めているのです。
それは戦時中の青年二人のストーリー、春人の祖父の代の
とても淡い初恋のお話なんです。
戦時中の二人は思いを告げる事も無く、でも春人の祖父は三崎の祖父を太陽のようだと
片思いしていたけど、戦後の荒野で生き延びた三崎祖父は子供を沢山作ろうと
それを聞いた春人祖父は、自分は月のように三崎祖父を生涯見守ろうと・・・
後に三崎祖父の孫に生前の月の話を聞かされ、思いが重なりあっていた事実で
感涙するシーンもあり地味に感動しちゃうのです。
現代での孫二人は、昔みたいに秘めた感じはちょっとないけど不器用な
思いの表し方をしてる春人、何かにつけて三崎にちょっかいをかけるのだか
そこで思わぬライバル登場三崎に横恋慕するのは、なんと!!祖父!
三崎を愛人にしちゃうのです。びっくり老人(笑)
過去の青春を思い出し、三崎を見ながら三崎の祖父へ思いを馳せる
春人と三崎の恋ももちろんスローペースで進んではいるのです。
出世払いと共に二人の幸せがやってくる。
ほんとに心がほんわかするような癒しも感じる素敵なお話です。
金持ち君と貧乏君のやり取りが面白かったです。
貧乏君の貧乏でもまっすぐで変なプライドの無い「漢」らしさは惚れますねぇ。
あっさりした雰囲気も好きだったなぁ。
金持ち君は色々イヤミを言ったりして貧乏君に関わっていきますが、
結局好きだから構いたくなるのパターンですよね。
またそれを自覚した時の金持ち君がいい!
ぶわってなるところ。
それから金持ち君のおじいちゃんが可愛らしゅーてもう!
金持ち君のおじいちゃんの昔の話も素敵でした。
こういうさわやかな、プラトニックなラブものってセンセーショナルじゃないけど、
ふとした時に読み返すと面白かったりするんですよね。
ほっこり致しました♪
好きよ 大好きよ
何回読み返してもこの言葉に涙が出る。伝えることができなかった気持ちは、悲しくて切なくてそれでもきれいなまま。もうめちゃくちゃに悲しいとかそんな訳ではないのに、どうしてこんなに切ないんだろう……いやもう年を取って死に別れているし、そもそも十代のうちにもう「寄り添わず離れず」と思って、それから六十年もずっとなのだから悲しいんだけど、悲しさというよりは美しい思い出のような。
とそんな切なさもありつつ、現代の孫二人とおじいちゃんは可愛くて癒やされたり。こういうところが秀良子先生のすごいところだなって思いました。三崎くんにコスプレさせてみたりデートしたりしてるおじいちゃん、そんな二人がかわいいけどなんとも切なく感じるんですよね。
貧乏な三崎くんとお金持ちな春人くん、春人くんのおじいちゃんと三崎くんのおじいちゃん。叶わなかった恋と叶った恋なんだけど、どちらも本当にキラキラしていて素敵でした。孫の二人はずっと二人で幸せであってほしいです。
最近ちょっと私生活が忙しくてレビューはお休みしていたのですが(買ったり読んだりはしてたけど)、この作品にはやられてしまった。
この地味な絵で、世代を超えた、切ない恋のファンタジー。
波平頭のおじいちゃん理事長に、見事に涙腺スイッチ踏み抜かれてしまった。
三崎祖父の太陽のような生命力に恋いこがれる16才の時の理事長。
現在の三崎の貧乏にも揺るがない強さに恋いこがれる春人。
恋しくて、恋しくて、、、
三崎の妹も健気ないい子だ。
秀良子さん、本が出るたびに,どんどん良くなっている。