こういう目で見つめれば、大抵の相手はぐっとくる

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表題作シナリオにない恋情

五十嵐大悟,元人気俳優の映画監督
中山陸斗,22歳,主役に抜擢された新人俳優

その他の収録作品

  • 誘惑はカットのあとで
  • あとがき

あらすじ

俺を誘惑してみろ――五十嵐大吾の演技に打たれて俳優の道を志した中山陸斗は、彼が監督を務める映画の主役に抜擢される。五十嵐から個人指導を受けることになった陸斗は、官能的な演技に当てられながらも必死で役作りに励み、次第に彼をもっと知りたいと思うように。しかし撮影が始まると、現場は事故続きで二人の距離も開くばかり。思い余った陸斗は、五十嵐が監督に転身するきっかけとなったと言われる、ある女優の死について問い詰めてしまう。すると五十嵐は「俺の女になりたいか?」と聞いてきて……。

(出版社より)

作品情報

作品名
シナリオにない恋情
著者
 
イラスト
香坂あきほ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576120812
3.5

(6)

(0)

萌々

(3)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
21
評価数
6
平均
3.5 / 5
神率
0%

レビュー投稿数4

シナリオの延長線上にあるものは…

作者様のお話は読みやすく、物語がすんなりと伝わってくるので個人的に好きです。
男前なのに可愛く感じてしまうキャラが多いのも魅力的だと思います。

最初はファンから始まったのに、いつしか映画の中の五十嵐に惹かれだして俳優の道を志すことになった陸斗なのでした。
しかし、五十嵐はとある事件をきっかけにして俳優を辞めて映画監督に転身してしまいます。
映画監督に転身しても高い評価を受けて監督としても成功を収めた五十嵐。
とある劇団の劇団員となった陸斗は、五十嵐が監督を務める新作映画で主演俳優を一般公募すると聞いてオーディションを受けることに。
そして、見事主役に抜擢され、憧れだった五十嵐の作品に出演できると喜んでいた陸斗なのでしたが五十嵐からダメ出しを喰らってしまいます。
そんな陸斗に五十嵐は個人指導として「俺を誘惑してみろ」と持ちかけます。

出来なかったら降板させられてしまうと焦る陸斗なのですが、男性への誘惑の仕方などわからない陸斗は戸惑い、困憊してしまいます。
それでもぎこちない感じで頑張る陸斗なのですが、これがまた可愛いんですよ(●´艸`)
自分が誘惑するつもりなのに、逆に五十嵐に誘惑されてしまいリベンジを果たすと心に決めます。
五十嵐の誘惑シーンがヤバいです!!読んでるこっちが誘惑されてるが如くキュンキュンしてしまいます。そりゃ、陸斗も我慢できなくなるわw
そんな素敵な誘惑を受けて、生理現象が起こるのは仕方ないと思います。そして、五十嵐に処理をお手伝いしてもらいながらも「次こそは!」と思う陸斗なのでした。
ちょっとしたことでは心が折れない芯の強い受け様って好感が持てますよね。頑張れ!!
そんな手ほどきを受け続ける陸斗は、自分の中で違った感情が芽生えだしたのに気付き困惑してしまいます。
どこまでが演技なのか、自分の気持ちなのか、いつしかわからなくなっていたんですね。
映画の撮影が始まっても、五十嵐の事が気になってどうしようもなくて、主演女優を見ながら演技しているというのに五十嵐を重ねて見てしまうのでした。
愛しいと思う相手を思い浮かべた陸斗の演技に、五十嵐も満足したようで何かと気をかけてくれるようになるのです。
二人の距離が縮まるはずだったのですが…。

撮影も順調に進み後半のロケへと。しかし、そのロケ地では不可解な事件が次々と起こり出すのです。
追い打ちをかけるように、五十嵐に避けだされる陸斗。縮まりかけていた二人の距離も再び遠のいてしまいます。

不可解な事件の真相、五十嵐が心に誰も寄せ付けない理由、俳優を辞めた理由などが次々と明らかになってきます。

クールで冷徹だった五十嵐が陸斗に触れて、変化していくところが堪らないんですよね。
頑張り屋さんで愛した相手の為ならという陸斗にも好感が持てとっても可愛らしく感じてしまいました。
ドラマティカルな二人の関係を見ながら、映画のストーリーも楽しめるといった感じで楽しかったです(人*´∪`)♪映画のストーリーは陳腐ではありましたが、この二人には少なからず何処かしらテーマにそっていたと思います。

タイトルの通り、シナリオにない恋情でございました。


0

セクシーでちょっと意地悪な憧れの元俳優と新人俳優の恋

芸能界ものは好きなジャンルで中でも役者のとくれば読まずにいられないです。
特に下っ端から成り上がる『ガラスの〜』みたいなのとかシンデレラストーリー系は好きです。

スクリーン上の演技に惹かれた映画俳優の五十嵐に憧れ役者の道を志した陸斗。
五十嵐が俳優から映画監督に転向し、次に彼が撮る映画のオーディションに参加することになるのですが、初対面からぼーっと見惚れてしまうような天然というか一直線なところがある子です。

めでたく選ばれますが演技が下手すぎるからと個人指導されることになります。ファン心理も混ざってウキウキ状態ではありますが課題は「俺を誘惑してみろ」だったのです。
精一杯で誘ってはみてもそこは人生も恋愛も役者としても経験不足。いきなり始まった五十嵐の誘い文句に参ってしまいます。でもどこからどこまでが演技?まるで本当に自分が求められているみたいに感じますます五十嵐の魅力にはまっていくのです。
役者の演技力というよりフェロモン過多の男の魅力満載で堕ちない人はいないんじゃないかというくらいすごい。
そんな演技指導の最中うっかり欲情してしまう陸斗。2度目の時には処理に手を貸してもらうはめに…。

撮影が始まりいったんは近づいた二人の距離でしたが急に一線を引かれたように離れ淋しさを感じながらも思う気持ちが演技に表れてきます。そして撮影中に発覚した五十嵐の俳優を辞めた理由。演技に入り込むあまり現実と区別できなくなった女優が撮影後に五十嵐に見捨てられたと自殺した事件で、自分が演じるよりも制作側で悲劇の再発を食い止めたいとの思いがあったというのですが、いくらのめり込んでいくことや後から問題を起こしそうだと予感 していたといってもそこまで責任を感じ俳優を辞めるまではどうかと思うし、それを逆恨みした女優の弟が五十嵐が大事にしているからという理由で陸斗を殺そうとするというのは短絡的すぎるようには思いました。

剛しいらさんの『顔のない男』を思い出しました。あちらは俳優×俳優でしたが全三巻で俳優としての成長とラブがうまく絡み合っていて好きです。
できればこちらも俳優としてさらなる飛躍を期待たいので続編を希望します。

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芸能業界的、お仕事ガッツリものだったのかも♪

結構正攻法で、複雑でなく簡潔。非常にストレートでわかりやすいお話でした。
最近はあらすじもみないでぶっつけで読むことが増えたため、最初読み始めたときに

ずっとファンで憧れていて、彼がいたから入った役者の世界という、主人公がその彼の監督作品の映画主役に抜擢され、今まで本気の恋をしたことがなかったために、「俺を誘惑してみろ」という演技指導も兼ねた課題をこなすうちに憧れが本気の恋モードになって、関係を持って、それで製作中に葛藤が云々っていう話なのかな~?
だとしたら面白くないなーなどと思いながら読みすすめていたのです。

たしかに導入はそうだったのですが、ここで意外だったのが主人公の性格です。
アホ子でなく、結構ストレートに気が強い面を見せる。
監督には、最初から惚れる要素は十分持っているのだから、翻弄されて当たり前なんですが、いろいろ考えて聞きたい事は聞くし、言わないことは言わない。
何が必要かちゃんと自分で理解して行動する、案外に男前だったのです。
彼が恋にのめり込んで、女々しく迷って、うじうじする恋愛脳だったら、全く自分的にはしにも棒にもひっかからない話になっていたでしょうwww

また、監督の大悟も過去のトラウマがあり心に傷を負い、そのせいで他人を演じる事のできる役者になったということや、共演女優が役と自分を切り離す事ができなくて大悟にのめり込んで役柄そのままに自殺してしまった事もあり、それにも多少なりとも罪の意識を感じている。
だけど、物語を読む上でそれはさほど影響しているようには見えませんでした。
結構人間できてて、感情のコントロールがうまい人っていう印象です。
むしろ、割と簡単に早期に陸斗に惚れてるっていうのが割と見えてしまっていて、あとでトラウマを出されてきて、オイオイオイ!!!とは思いましたがwww

結構ポジティブなお話でした。
主人公たちが目標を持ってなにがしたいのかを明確に持って俳優とか監督とかそういう仕事をしているからこそだと思えます。
ある意味、業界を通したお仕事ガッツリものだったのかもしれませんね。
だから甘ったるくなくて、後味がいいのかもしれません。

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演技とプライベートの境界線

元俳優だった攻め様の演技する姿に憧れ、演劇の世界に進んだ受け様は
映画監督になった攻め様の新しい映画のオーデションで選ばれ主演をする事になる。
初めての台本での読み合わせが終わった後に、あまりに演技が下手だと言う事で
監督自ら演技指導をしてくれることになるが、その内容は監督相手に演技で
迫り落とす事だったのですが、受け様は逆に監督に官能的な演技で翻弄されてしまう。
映画の主人公の気持ちを体感する為の指導なのに、受け様は演技なのか本気なのか
自分でも解らなくなってしまう。

元々受け様は虚像の世界の攻め様に憧れていたのですが、次第に攻め様に対して
監督でも俳優でもない攻め様自体に恋してることに気が付くのです。
相手も元演技派俳優なので攻め様の実像が掴めないもどかしさを感じながらも
相手役の女優に攻め様を重ねるように演技に没頭する受け様。

業界物で、攻め様はトラウマ持ちで過去に捕らわれていたりするのですが
受け様に攻め様自体もいつの間にか捕らわれているような業界ラブでした。
俳優同士なので、演技とプライベートの境界線がかなりギリギリの線で曖昧設定
演技に対する情熱が感じられる作品でした。

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