コミック

  • カメレオンはてのひらに恋をする。 1

カメレオンはてのひらに恋をする。 1

chameleon ha te no hira ni koi wo suru

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作カメレオンはてのひらに恋をする。 1

前島蛍都(ケイト)、大学1回生、先天性重度感音難聴者、19歳
蒼井藤永、大学3回生、俳優、21歳

その他の収録作品

  • [SIDEケイト]もう友達に戻れない(描き下ろし)
  • カバー下(キャラクター紹介)

あらすじ

「こんなに”目”で聴こえたの初めて。」難聴の大学生×売れない俳優--これは”伝えたい者同士”が手話で心を通わせていく、優しくて温かい恋の物語。
「何年も聴きたかった言葉を、出会ったばかりのお前から聴くなんて」俳優の藤永(大学3年)は演技が大好きだが、オーディションに落ち続けて自信を失っていた。そんなときに先天性難聴のケイト(大学1年)に出会い、手話でお礼を言われる。藤永は手話に初めて触れるものの、これまで「伝えたい」という気持ちを人一倍持って演技し続けてきたため、手の動きを一目見ただけで読み取ることができた。そして、手話を身振り手振りでやってみることになるが、ケイトは藤永の感情表現を見て、その才能に驚かされる---伝えたいもどかしさを持つ二人が出会い、心を通わせるハートフルラブストーリー第1巻!

作品情報

作品名
カメレオンはてのひらに恋をする。 1
著者
厘てく 
媒体
漫画(コミック)
出版社
スクウェア・エニックス
レーベル
ガンガン BLiss
発売日
電子発売日
ISBN
9784757587519
4.6

(576)

(456)

萌々

(79)

(25)

中立

(9)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
69
得点
2680
評価数
576
平均
4.6 / 5
神率
79.2%

レビュー投稿数69

砂糖

評判が大変良いのは知っていながら、ここまできたら2巻が出るまで待とうと思っていたら、存外早く2巻が出てありがたいです。

珍しいカットの表紙だと思いつつ本編を読んでいると、なるほどここですかと嬉しくなる。こういう遊びは大好きです。作家さんと編集さんどちらの案なのかな。

正直言って厘てく先生の既刊は今一歩はまらなかったけど、世間的な評判を見ても遂にきたんですね…という気持ち。嬉しい。

砂糖のコマのケイトくんが可愛くて大好き。ちっちゃくなるコマとリアルなコマのバランスが良いです。絵が上手い。手話描くの大変そうだもんなぁ。作画の面でもそうでない面でも。

0

優しい世界

耳が聞こえず手話と読唇術で会話をする蛍都と劇団で俳優をしている藤永のお話です。

過去回想で聴覚障害に無理解な人が出てくる以外は聴覚障害に理解がある人しか出てこない優しい世界なので安心して読めました。
人に伝えることを諦めない蛍都と藤永が惹かれ合っていくところが素敵で、恋人になった二人のこれからが気になります。

しかし、周りに人がいる中で藤永が桃太郎や大雨を全身で表現したり歩道橋の手すりでバク転?したりするシーンは共感性羞恥が凄かったです。
良いシーンではありましたが、あの場にいた人達からは何をしているんだろう?と不思議に思われる行動だと思うので居た堪れなさを感じました。

キスまでなので修正はありません。

2

さまざまな要素がくすぶる1巻

ろう者と聴者との恋物語は他作家さんの作品でいくつかありますが、こちらは聴者が役者さんであり、身体表現の能力が極めて高い、という特徴があります。
ただし、その類い希な才能が現時点ではまったく他に認められて居らず、オーディションを受けても落ちまくり罵倒され、所属している劇団の公演でも同じような端役ばかりが割り当てられて自信を失っているという状況です。
そんな中、ろう者のケイトは彼の才能に感銘を受けます。手話=言葉ではなく、視覚で情景や感情が伝わること。それがどれほど魅力的かということ。
世の中の誰も認めてくれない中で、ケイトだけが彼に光を当てるようにそう告げる。
第1話、第2話、というお話の序盤で既に、これは唯一無二だなと思いました。
ケイトが藤永に惹かれるのは必然ですし、自分にとって最大の魅力を目の当たりにすれば、もう離したくないでしょうし。
藤永の方も手話を覚えて、万全ではないけれどコミュニケーションが取りやすくなり、ケイトとの距離が縮まっていきます。
本書でリアルだなと思うのが、「あみない? あ、カミナリか」というモノローグや、ひらがなが斜めになったりひっくり返ったりしていることで音が通常と異なっているだろうことなどから、手話を使っても使わなくても、スムーズにコミュニケーションを取れていないことが分かること。
勿論今後、この差は小さくなっていくでしょうし、二人の努力も重要なポイントとなると思います。
その一方で、一筋縄ではいかない困難さも孕んでいることが想像できます。藤永の表現力も、誰かの目にとまれば、今とは全然違う世界に羽ばたけるはず。
まだ1巻で、恋愛面もこれからです。それでも二人をとりまく状況や不安、眠っているだけで何かが起こりそうなこと等がものすごく丁寧に描かれているので、今後の展開に大きく期待が持てます。続きが楽しみです。

0

「前島蛍都です」に感動

2巻が出たので久しぶりに再読。
聴覚障がいのある主人公を取り扱ったBL作品は有名どころだと「ひだまりが聴こえる」や「世界でいちばん遠い恋」等ありますが、いずれも作者様が障がいというテーマに真摯に向き合って描かれているのが感じられる良作で、こちらの「カメ恋」もまさにその仲間入りに相応しい作品だと思いました。
仲間入りといっても、相手役が「伝えたい」思いの強い舞台俳優という他2作とはまた違った切り口で、厘てく先生のオリジナリティも感じられて良いですね。
取り扱っている題材のせいもあるのか、所々モノローグが説明っぽいなーと感じる部分が少し気になりました。
一番好きなシーンはケイトが自分の名前をサインネームで伝えるところ。あそこは感極まりました!
可愛いのでどうしてもケイト寄りになってしまい「ケイト頑張れ〜」と応援してしまいます。

0

手のひらから溢れるは、魔法の言葉と素直な想い

ハンディキャップを題材にするストーリーは、健常者との恋のお話が多く、2人の置かれた環境や立場、思考といった違いを前面に出しながら、でもそんな違いや生きてきたバックボーンを理解し共有して、想いが通い合っていく。……っていう流れの作品が多いと思ってるんですけど、この作品は、健常者である藤永側の抱える問題にも同じように焦点を当てていて、難聴であるケイトに歩み寄るだけのストーリーに終始していないところが、それまでのハンディキャップモチーフの作品と違う部分ですごく興味を引かれました。

聴覚障害のあるケイトにどうしても注目が集まりますが、ケイトとの読心術や手話でのコミュニケーションを通して、それまで壁にぶつかっていた藤永の演技の方向性が見つかっていく…という意味で、藤永の生き様の方にも同じだけ目が離せません。
ケイトと"話す"には、耳だけが必要ではなく、何をどう伝えるかという身体全体から溢れる気持ちが一番大事。それは藤永の好きな演じる力・表現する力・伝える力が最も発揮される部分で、手話の知識が全くなくとも、藤永がそれを難なくやってのけたところは非常に見事でした。

藤永の演技はオーディションで酷評されまくってましたが、演出家たちですら彼の才能を見出せないとは非常に残念……。誰かに評価されてナンボの世界だと思いますが、評価されずとも彼の演技への想いは変わりがなく、自分自身で活路を見出していくたくましさは、本当に演技が好きなんだなと強く伝わってきました。
もちろんそこに辿り着いたのはケイトとの関わりが大きく働いていたの間違いなくて、あの"ナマステ"がここまでの運命の出会いになろうとは、あの冒頭シーンからは想像できませんでしたよね^ ^


彼らの、手のひらで通じ合っていくコミュニケーションがすごく美しくて、静止画の絵なんだけど躍動感があって、指先の一本一本に意思が宿っているように見える画力が素晴らしかったです。ハンディキャップのことをメインに話が偏りそうなのに、ちゃんと2人のBLの部分にも進展と見せ場をしっかり作ってるところにも好感度が持てました。

ケイトと藤永との出会いから想いが重なっていく過程が非常に自然体で、絵やストーリーの繊細さが眩しいお話でした。まだ1巻なのにこの読み応えはすごいです!
巻末に2巻の予告が少し掲載されていましたが、すぐにでも読みたくて仕方ありません。2人の恋愛の動きを筆頭に、彼らを取り巻く環境変化にも注目しながら見届けていきたいと思います^ ^

0

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP