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“好きで、好きで、大好きで、ごめんなさい。”
こちらがデビューコミックスということで未洗練な部分はあるのだけど。
それでも泉と志野屋の悶々とする胸の内や相手を愛おしいと想う気持ちはしっかりと伝わってくるので感情を乗せて読むことが出来ました。
ひとり頭の中でぐるぐる考えて想いをぶつける前に自己完結してしまうタイプの泉には
志野屋のようにちょっと荒いくらいに感情表現してくれる人が合っているのでしょうね。
でもそんなキツめな志野屋がなんだかんだ泉のことをめちゃくちゃ好き、っていうのが萌えました。
デビュー作ということで、正直全体的にまだ荒削りな印象を受けました。話の流れやキャラ設定は悪くないのだけど、いまいち萌えきれなかったです。作品のキーとなっている泉のヘタレっぷりが、好きな人には刺さるだろうけれど、一度苦手に感じるととにかく鼻につきます。せめて何度も泣くのはやめて欲しかったかも。受けへの愛は筋金入りなのに毎回積極的になれずに、身を引こうとするばかりな態度にちょっと苛ついてしまいました。志野屋も淡々としているので、甘さを感じられるシーンがほとんどなかったです。
心理描写が細かく人に気を遣い過ぎるところとか細かいところで共感してしまう部分はありますが私にはクドく感じてしまいました。
読み進めるのが(購入してしまったから読もう)の気持ちでやっとで最後の方は流し見してしまい合わなかったです。
じゃのめ先生はカラー使いが独特で凄く好き。絵柄自体も、BL読んでるな〜と感じさせてくれる作家さまの一人です。デビューコミックスをなぜ選んだか。地味だが萌え設定なのだ。
高校卒業間近の泉と志野屋のお話。泉が死ぬほどヘタレ(攻め)で、受けの志野屋の男前さが際立ちます。元同級生同士のわちゃラブです。
6話構成で、玉砕覚悟で泉が志野屋に告白するところから始まり、それからの二人が描かれていきます。
泉は妄想力がハンパない、ネクラでジブリ好きのゲイ。卒業後は札幌の教育大学に進学が決まっている。志野屋はヤンチャ系の彼女持ちで、進学はせず、父親のもとで大工として働く予定。大大大っ好きな志野屋に思いを告げた後は、思い出づくりで終わると思っていた泉。なのに予想外な展開が。
受け入れてもらえるはずがない志野屋に好きだと言われ、卑屈属性の気がある泉は夢のようで信じられないんですけど、ヤルこたぁしっかりヤルっていう。泉が持ち前のネクラさでグルグル穴を掘っていると、積極的で前向きな志野屋が助け舟をだして、なんとか二人の関係が進展していくって感じで。
思考がゼロか百で、努力する方向がズレてて、人との距離感が若干おかしくて、奥床しい乙女な感受性を持ちながら、その逞しい妄想力故にいきなり無慈悲な残忍性を発揮するような泉という男。志野屋に言わせれば単なるメンドクセーヤツ、なんだけれども…
ちょっとフクザツな家庭の志野屋は、グルグル考えたあげく遠慮してしまう泉の素直なところとか、泉なりに気遣いをしていることをよくわかっているんですよね。クリスマスとか夏の花火のエピソードがいいんだよなぁ。志野屋が泉の気持ちを気付いていても、気付かないフリをしていたことがあったり、とか。
泉の妄想力が起こす地味な事件が、一話一話読ませます。遠距離の不安。メール攻め。無意識にエッチを誘いたい。などなど。わたしは笑っちゃったんですけどね。それとちょっとしたセリフがツボで、特に3話の終盤、「家族でもないのに」からはじまる志野屋のモノローグに、じーんときました。