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タイトルから連想されるように、人外ものです。
本当の犬が、強い想いによって人になる、というもの。
賢いドーベルマンの、ワイズ。富豪の飼い犬です。
そこへやってきた、一写真家の春哉。最初はお屋敷の庭に紛れ込んだだけだが(セキュリティ大丈夫かな)、主人に気に入られ、世話をするように。
春哉に恋をしたワイズ。主人の発作がきっかけで人になり、薬を飲ませることができたが、春哉と人間の姿で恋できるようになり、アプローチしていく、というもの。
犬ながら賢く、遺産を狙う親族を退けたりするも、恋は不器用。美丈夫の設定だが、犬の一人称からの物語では、人になったり犬に戻ったりで戸惑いの方が大きい。
犬ならではの失敗など、コミカルなところも随所にあるが、今一不発。
恋愛の方も、現れては消えるワイズならぬ賢人に春哉が戸惑うくらいで、最初から一目惚れ同士なのでそれ程起伏はない。
もうちょっと思い切りコミカルにしてくれたらよかったかも。
あと、富豪の老人は、ワイズの唯一の理解者という役どころですが、彼の家族にまつわる悲しい過去がちらちら見えつつもしっかりは語られないので、ちょっと残念でした。有能秘書さんも、老人を好きという設定だったそうですが、あまり生かされず最後にちょっとほのめかされるくらい。
好きな作家さんですが、今作はあまりのれなかった。
火崎勇さんの作品を久しぶりに読みました。かつて連続して読んでいた頃はちょっと食傷気味だった主人公一人称の文章がまったく苦にならず、むしろ、犬であるがゆえに人間の常識からするとすっとぼけたことを大真面目に考えるワイズ(賢人)のモノローグが非常に面白かったです。内心は「俺は賢い犬だ(キリッ」って感じの、人間で言えば俺様キャラで間違いないのに(実際とても賢いのですが)、どう転んでも犬なので色々と単純で、そのギャップがユーモアになっていてほのぼのしました。
ドーベルマン・ワイズと彼が出会った健気な青年・春哉の物語ですが、ワイズの飼い主である祐天寺というおじいちゃんがとても素敵な人物で、三人目の主人公と言っても良いような気がします。弁護士さんや家政婦さんとの関係もちょっとドライなところが良かったです。もちろん、春哉もとても良い子で好きでした。
動物が人間に变化する作品はいくつか読みましたが、現代劇で、動物と人間を行き来する設定の小説は初めてでした。あとがきにあるとおり、この謎に関するオチはないのでファンタジーではあるのですが、あまりそこは気にならず最後まで楽しく読みました。
面白かった!
てっきりお涙頂戴ものかと たかをくくって読み始めたのに
すいません、先生のことナメテました。ごめんなさい。
電車の中で、肩を震わせて笑うところ 2か所。
涙ぐんじゃって恥ずかしかったところ 1か所 という感じでした。
この先生の文章、そんなに好きってわけではありませんでしたが、
この本だけは別!
犬好きでファンタジーOKな方は ぜひ読んでみてくださいーと言いたい!
1.お金持ちで間もなく死期を迎えるお爺ちゃんがでてくるのですが
この爺ちゃんがいいー。人のいいところ、悪いところを知ってて
でも全てをまるっとくるんで許してるような印象。
このお爺ちゃんの幸せな来世をすごく望みます(泣)
2.犬が人間化するために、色々躾けてもらうんだけど
もちろんドッグトレーナーなんか頼めないし、
お爺ちゃんが頑張るわけ。
そこで タイトルのような教訓が出てくる。
電車の中で 笑えないから つらかったー
イケメン という設定になってるんだけど
洋式トイレの前にたって 長い足を片足上げる図
を、ついつい思い浮かべてしまって(笑)
3.受けさんもほんとにいい子だった。
ツライことに遭ってきている子なので
攻めさんに「縋っていい」と言われて
恋心になったのかなーと思ってます。
独りぼっちはつらいもんね。縋れるワンコ&恋人ができて
ほんと何よりです。
じんわり幸せになれる いい本でした!先生本当にありがとう!
1冊丸ごと表題作です。ワンコタイプでなく、犬が人間になるというファンタジー作品です。ワイズ(攻め)の視点で進んで行きます。
ワイズは祐天寺家で暮らすドーベルマン。ある日、ワイズは庭に入り込んだ春哉と知り合います。祐天寺にも気に入られ、春哉が家を訪問するようになった頃、夜中に発作を起こした祐天寺を助けようとしたワイズは人間の姿になり…という話です。
このワイズ視点というのが非常に良かったです。なぜ人間になるようになったのか当人ですら分からないという点が、受け視点で突然攻めに告白される置いてけぼり感がなかったです。
春哉と話したい、触れたいという気持ちがあったにしろ、最初に人間になったのは主人である祐天寺の危機という恋愛重視だけでない展開も良いと思いました。
春哉がワイズが人間になった賢人に、初対面から好意を抱いていたのは分かりますが、男同士というのに疑問を抱かなかったのがちょっと不思議でした。
不満だったのはワイズが人間になったときに服を着ていたこと。薄い皮膚一枚が剥がれて黒い服になるのですが、そこは裸で良かっただろうと思いました。裸で登場してきゃーっとなる春哉が見たかったです。
そして息子の友人という小倉が、天王寺老人にラブだという裏設定が非常に萌えました!
犬好き、常識知らずで素直に攻めてくる攻め、孤独だけど頑張り屋のピュアな受け、金持ちだけど寂しい設定、実は秘められた年の差の恋(小倉)がお好きな方にお勧めだと思います。
息子夫婦と孫を事故で無くしてから金の無心に来る縁者だけが訪れる資産家の老人と暮らすドーベルマンと父親が経営していた会社の倒産後自殺し母親を病気で 亡くした青年の出会いと恋の始まり。
ドーベルマンがなんでどうやって突然人になってしまうのか、とかその辺は余り深く考えずにファンタジーを楽しめました。
老人と犬と青年。
みんな孤独でちょっと寂しい三人(二人と一匹)です。
正直で優しい青年に一目で惹かれたドーベルマンの心の内が素直に語られて、一身に求める気持ちに応援したくなりました。
でもやっぱり獣なんで暴走したり先走ったことをしてしまい、自己嫌悪に落ちいったり老人に甘えるところで頭を撫でであげたくなります。
春哉が来たことで明るく賑やかになった食卓が家族の団欒のようでひとときの平穏にホッとしいつまでも続いて欲しかったです。
振り回されてしまったような春哉もだんだん人になった賢人に癒されたり慰められたりで徐々に頼りになる人として認識されていきます。
老人が仕事の契約書類に紛れ込ませて春哉との養子縁組の書類にサインをさせたのは『春哉が自分の息子だったらという夢を見るためのお守り』だといいます。
本人に許可なしに手続きすることはしないけれど持っていることで幸せな気持ちになれたのでしょうね。
それを老人が危篤となったときこっそり賢人が提出したのはよくやったと褒めてあげたい。
春哉の居場所を守ってあげたいとの思いだったのですが、これで賢人と春哉が気兼ねなく平和に暮らせる場所が残されてよかったです。
忠実な顧問弁護士小倉さんの祐天寺老人への思いがきいてみたい気がします。
秘められて思いがありそうで…