こぼれていく、記憶の欠片

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表題作真っ白な嘘

相羽祐貴,31歳,藤永の部下で若頭
藤永清巳,36歳,ヤクザで清竜会会長

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

――愛しているから、俺はお前に嘘をつく。
清竜会会長・藤永は、五歳年下の部下・相羽のひたむきな想いにほだされ、付き合い始める。
快楽主義者だった藤永にとって初めての、身体だけではなく心も満たしてくれる関係。
まっすぐに向けられる愛情は、気恥ずかしく、素直に甘えられないこともあったが、二人でいる時間は何物にも代えがたい大切なもので。
この幸せは永遠に続くと思っていた――あんな事件さえ起こらなければ……。

(出版社より)

作品情報

作品名
真っ白な嘘
著者
chi-co 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773086294
3.7

(10)

(1)

萌々

(6)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
36
評価数
10
平均
3.7 / 5
神率
10%

レビュー投稿数5

恋人の記憶が消えていく

ヤクザの会長とその右腕的な若頭との恋模様を記憶障害という背景に描いた
切なくて、それでも一途な思いが溢れている作品でした。

受け様はかなりサクセスストーリーな生き方をしていて、高校生の時に知合ったヤクザに
一歩も引けを取らないどころか、もって生まれた度胸と美貌で、若干23歳にして
ヤクザの組を立ち上げ、その会長職に付いている。
自分の才覚と、身体を使ってのし上がる受け様は、かなり享楽的な人生なのですが、
自分の部下である、若頭の何年にもわたる一途な思いに心動かされ、
身体だけでなく心まで強く結びつくような恋人同士になったのですが、それを知るのは
本人たちと、受け様の後見人でもあった同じ系列ヤクザの幹部の鵜飼ただ一人。

恋人同士になり、二人の愛を形にしたような真珠のピアスをポロポーズのように
受け様に渡し、一つのピアスを二人で持っているなんて甘い関係だったのです。
しかし、本部でもかなりの地位にいる受け様は、ある日命を狙われ、受け様を守る為に
攻め様が銃弾を受けて、その一つが頭に当たり、危険な場所の為に弾を直ぐに取り出す
事も出来ない状況になり、更に二人を襲った悲劇は、攻め様が3年分の記憶を無くし、
そして、今後も記憶を留める事が出来ないと言う後遺症になったと言う事。

二人が恋人同士だと言う事を攻め様は忘れ、その日の記憶も翌日には忘れてしまう為に
受け様から誘われるように抱き合い、長年の片思いが叶ったと思った翌日には
抱き合った事さえ綺麗に忘れてしまうと言う事を毎週繰り返す日々。
攻め様は全てを忘れているから、受け様が翌日誰かと抱き合ったような淫らなだるさを
感じさせる姿や、キスマークを見せられ、嫉妬で苦しむ。
受け様は、相手が攻め様なのに、それを告げる事も出来ず、更に前の夜の愛し合った
記憶を忘れる攻め様に、毎回切なく苦しい思いを抱いているが、決して弱い姿を
攻め様に見せる事がないのです。
記憶を無くす前と変わらぬ逢瀬を続けていても、相手が全て忘れてしまうと言うのは
辛すぎるなんて一言で終わらないだろうなと感じてしまう。

記憶が無くなる相手だから当然のようにすれ違いが起きてしまうし、受け様の気持ちを
忘れているから、いつも攻め様は嫉妬に苛まれる。
攻め様は受け様が探し出してきた医師に弾丸摘出の手術を再び受ける事になりますが、
その医師が受け様に惚れてしまうなんてオマケな展開もあります。
それでも、無くした記憶は戻らないけれど、相手を想う気持ちが本物なら愛は終わらない
何度でも、思いを告げるみたいでシリアスな割に甘いストーリーに仕上がってます。
記憶を無くす前も無くした後も受け様に対する思いが同じ、それ以上になって
過去と同じ言葉を偶然口にする攻め様に涙する受け様が感極まる感じで素敵です。

11

愛です!

あらすじと後ろ書きを見て、「もしかして、超シリアス?」と思ったのですが・・・
特に重さも感じず、「ヤクザ」という特殊な職業をちらつかせつつ・・・
読後は「良かったな~」とホッとした気持ちになりました。

受けさんの心のジレンマや、攻めさんの焦燥感もしっかり読めて、「超感動( TДT)」とまではいきませんでしたが、読ませられたなぁ~と感じた1冊でした。

コメディ路線の作家さんかな?と思っていましたが、そんなことは欠片も見せず・・・読後「愛っていいな~と羨ましくなりました。

1

いい人だったんですね!

chi-co先生のサイト内でかかれているヤ○ザさんシリーズにて
本編メンバーを振り回されていた方が受け様として登場!
サイト内でのシリーズですが、単品でこちらの作品楽しめます♪

サイト内を読んでからのこちらの作品を読ませていただいたのですが
受け様あれだけつかみどころがなかったのに
今回は攻め様に対して凄い溺愛といいますか
泣きたくなるぐらい好きな気持ちいっぱいな方で安心しました♪

ヤ○ザさんということですが、それは置いといてですね・・・
攻め様と受け様の関係が凄く切なくてしかたなかったです

自分との関係を忘れてしまわれても、受け様はそれを受け入れて・・・
健気で つД`)



1

失った記憶は戻らなくても愛してるは変わらない

コメディのイメージのあるchi-coさんの、とってもシリアスで重い、ヤクザを主人公に据えた作品。
しかもなんと!記憶障害があり、切なさ前面押しに進める各受け・攻め・双方サイドからの3方向視点描写でこれでもか、とゴリゴリと押してきます。
そして切ないのに、めちゃくちゃ甘いです!
悪くはないです。
障害が元ですれ違ってしまう互いの苦しい気持ちを描写したいという、その点は十分伝わってきます。
しかしながら、自分には・・・くどかったorz。。。
主人公である藤永は、いわるるビッチな設定でもあるのですが、何故かイメージが柴田よしきの「聖なる黒夜」の練をイメージさせますよ。
あそこまで自虐でサディストではないですが。

容姿も綺麗で、世渡りもうまく、なんとなく虚無を抱えて生きてきた藤永はヤクザの鵜飼と出会ったことで、その世界に入り、組を持ち会長となっている。
彼はその鵜飼と、逢瀬を重ねる愛人の関係でもある。
その藤永の組の若頭の相羽は、藤永と同じような似たモノであるが、夜の街で藤永に惚れ込み、大学卒業後組に入ってきて、頭角を現し5年で若頭に、そして3年前に藤永の恋人となった男でもある。

相羽の記憶障害を負ったがための自分が藤永と恋人だったことをわすれてしまった3年の記憶と、更に記憶が1日で忘れ去られてしまうという障害のために、藤永は自分を覚えていてくれない事に仕方ないと思いながら苦しみ、
また相羽も、記憶がないがために、藤永の見えない男に嫉妬して苦しむ。
藤永が、相羽と関係を持つ日は藤永にノートを取らせないように、忘れてしまうようにしてしまうからだ。

うまく書けないのですみません。
恋人だった事実のある重要な3年間への藤永のこだわりが、彼の意地っ張りをよんでいる。
そして、相羽はこの3年が戻らなくても、最初に出会ったときから藤永に惚れている時事は忘れおらず、その気持ちは変わらない。
ただ恋人であったかどうかということだけなのだから、その3年がなくても相羽にとっては藤永の存在は変わらないものなのです。
藤永のこだわりすぎなのかもしれない。

ヤクザ設定だけど、設定なだけで色は薄いです。
あまりヤクザというシガラミは・・・
あと、イラストですが、ムクさんの絵は好きですが今回に関してはちょっと人選ミスだったかも。
ヤクザ色が薄いと感じたとおりそのためにこのレーターさんだったのかもしれませんが、それにしても36歳と31歳?そして鵜飼がただのおじさんだったりとかw
サイトで載せていた短編を完結させたモノということなので、すごく雰囲気とかシチュエーション重視の作品になっていると思われます。
中立よりの萌えです

3

名ばかりヤクザ。

アニメイト限定小冊子目的で購入しました。
chi-coさん初読み作家さんです。
切ない話が好きなので複数ある中から選んだのですが。

このお話は受け攻め共にヤクザ。
受けの藤永は自分の組を持っている。攻めの相羽はその組の若頭。
組の構成員は100人近くもいる。
ということは、すごいわけですよ!当時23歳の若者が八人の構成員とともにこれだけの大所帯に成長するんです。
上に立つものの才覚と、男を篭絡する手管で!

どんなカリスマかと読み進めると、至って普通の人がそこにはいるのです。
自分の部下で恋人の相羽を一途に思い、相羽をが記憶喪失になって一日で記憶が無くなろうとも攻めを静かに影から見守り、けして自分が記憶喪失になる前に付き合っていたことを主張するでもなく、攻めの相羽の記憶喪失の原因となっている脳に埋まったままの銃弾を取り除く手術をしてくれる医者を探し続ける健気な受けが。
しかし、ヤクザという為になかなか引き受けてもらえず、やっと引き受けてくれた医者はひと月の間、藤永に自分の玩具になることを条件に出すのです。
相羽のためならと、いとも簡単にそんな条件をのむ藤永…。

まるで古き良き大和撫子の様なお話ではないですか…。(涙)

これ、ヤクザという設定いるのですかね。
登場人物に全くヤクザの残酷さ、厳しさ、怖さ、痛さがまったくないのです。
途中で自分は何を読んでいるのかと脳内路頭に迷うことがあります。

ええ~、こんな簡単にうまくいく訳ないでしょう!と、この作品に対してよく思ったのです。
ご都合主義が通ってでも面白い作品・心に残る作品というのがありますが(作家さんのストーリーを作りこむ腕と、作品に対する思い入れの深さでねじ伏せられてしまう感じ)、この作品に対しては思わなかったのです。

4

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