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事故の影響で記憶喪失になり20歳なのに8歳程度の知能しか持たない男娼×華藤えれな先生という事で、不憫受けだろうと覚悟して読み始めたけど、予想以上の不憫さ・薄幸さに、途中で息も絶え絶えになりました。
読んだ時期も悪かった。
今、まさに義父による虐待死の裁判内容が連日報道されていますよね。
鬼畜の所業の義父、傍観者の実母、許しを乞う手紙を遺したまま誰にも助けてもらえず殺された女の子。
あれを彷彿させる胸糞悪すぎる義父と実母がこのお話の中に登場するので、辛くて何度読むのをやめようと思ったことか。
でも、なんとか読み終える事が出来たのは、この子が幸せを掴むところまで見届けたいという一心と、ハンブルグの冬の空気が伝わってくる風景描写が素晴らしかったから。
20歳なのに8歳程度の知能しか持たない男娼・真汐(受け)が主人公。
頭が弱いゆえに何でもやる男娼としていいように扱われているのだけど、人々の嘲笑もわからず、喜んでくれているから自分も嬉しいとニコニコしてるような子。(涙)
それがマフィアのボス(攻め)を助け、命の恩人として屋敷に連れて行かれて教育を受けるようになることで、男娼が世間からどう見られているのか、そして自分がどれだけ穢れているのかというのを思い知っていく過程が、これまた切ない。
とにかくこの子が幸せになってほしいと思って読んでたのに、攻めが身内の策略に呆気なくはまって、受けをめちゃくちゃ罵倒するシーンがあるの。
そこがこれまた可哀想で可哀想で……
攻め、こんにゃろーーー!!
お前は、この子の何を見てきたんだ!!
と蹴り飛ばしたくなりました。
事実を知って、ただの使用人でありながら、マフィアのボスである攻めの頰を張り飛ばすのロッテさんが良かった。
辛い描写が多いのだけど、気のいいおばさんであるロッテさんとのやり取りは、唯一ホッとできる箇所だったので彼女の存在に感謝。
鬼畜な男たちによって汚され続けてきたけど、魂は不可侵レベルの純真無垢さを持つ天使のような受けを愛でる作品だとは思うんだけど、小さい子への性的虐待描写はスパイスどころか毒そのもので、本当にキッツイです。
最後は攻めから愛されてとても幸せそうだけど、攻めがマフィアの大ボスで抗争が絶えず(そのせいで元婚約者は殺されてるし、攻めも殺されかけたし)、常に命を狙われているような立場で、受けもマフィアの情人なので、二人とも寿命全うできるのかしら……という一抹の不安が……。
最後が駆け足ぎみなのがちょっと残念でした。
目を背けたくなるほどの不快な場面は正直ありました。
個人的には地雷に近く精神的に抉られシンドイです。
それを以ってしても神評価をつけたい。
良かった。とても良かった。
心臓のドキドキが収まりません。
【マフィア×男娼】
彼らが身を置く場所は純粋なものから遠い場所でありながら
彼らの恋愛はとても純粋で汚れのないピカピカした気持ちが印象的です。
攻めは受けを「天使」と表現し、
受けは攻めを「王子様」と言う。
過酷な生活の中に差し込んだ一筋の光のような出会いが非常に良かったです(;///;)
嗚咽が漏れるほど泣いた…なんかもぅ色々しんどかった…。
受けはなんと言えば良いのか…。
男娼でありながら心根は純粋無垢そのもの。
その理由は"何も知らないから"なのです。
12~3歳のときに記憶喪失になり知能は赤ん坊レベルに低下。
惨めなほど馬鹿にされているのに気付かずにニコニコと笑う。
また慣れないドイツ語を辿々しく話すせいか知的障害のようにも見える(泣)
受けは、暮らす歓楽街の片隅で血を流す男性を見つけ介抱します。
今まで関わった人間は客か、馬鹿にする人間か、のみだったけれど、
介抱した男性はぶっきらぼうでも優しく接してくれて受けを人として対等に会話をしてくれる。
初めての経験に高揚しながらもせっせと世話をし、その中で人の温もりを知ります。
受けが助けた男性(攻め)はマフィアでした。
受けの身の上話を痛ましく思い、命を助けてくれたお礼にと劣悪な歓楽街から連れ出します。
受けに衣食住を与え、教育を与え、安心出来る暮らしを与える。
攻めの優しさに応えようと受けは勉強を頑張り、色んな知識を身につけるのですが…。
今までの生活がいかに惨めだったかを思い知ることとなるのですね…。
知識は残酷です。でも知らないことはもっと残酷。
受けが傷つくのはわかってるけれど、その上で攻めは教育を与えるのです。
ただ真綿に包んで慈しむだけではない攻めの愛情が沁みます。
攻めは攻めで心に大きなトラウマを抱えていました。
孤独な者同士が寄り添い合って温め合う姿は刹那的で…。
穏やかな時間なのに何とも言えない切なさがこみ上げてくる(;///;)
そんな日々の中で受けの記憶が徐々に蘇るのですが、
親がクソすぎて…クソ…クソしか出てこない。苦しい。
受けが義父から性的虐待にあってる横で止めもせず泣いてるだけの母親。
堂々と虐待してるクソ男は借金の形に受けを売る。母親は喜ぶ。なんじゃそりゃ。
辛い記憶が戻って受けは不安定な状態なのに、
攻めは嵌められて受けを誤解し詰り出すし…読んでる方もHPゼロですよ…。
(このシーンの攻めはホンット解せないしムカツク)
(受けの性格は誰よりも理解してるハズなのに侮辱するなんてあり得ない)
(これさえなければ男前で素敵な攻め様でした…。)
それでも心根が曲がらない純真な受けに嗚咽が止まりませんでした(;ω;)
お屋敷の使用人さん達からも愛されてるようでホッとさせてくれます。
これからはこの優しい場所でいっぱい幸せになってほしいな(;///;)
互いにとって一筋の光りとなった出会い。
空っぽだった部分を埋めて満たして幸せになる純真な恋物語でした。
いさき李果さんの挿絵も作品の雰囲気に合っていてとても良かったです。
ドイツが舞台の、記憶喪失の男娼とマフィアのボスという組み合わせです。真汐の境遇がかなり不敏で痛々しいので、不敏受け、健気受けが好きな方は楽しめるかと思います。
しかし、辛いのはダメ…というかたにはちょっと厳しい展開もあるかも…
可哀相ではあるんですが、その境遇にあって他人に優しくできる真汐の人柄だとか、可愛くてつい笑ってしまうような口調だとか、読み終えても余韻の残る作品でした。
ジークはかなりクールで無愛想に見えるのですが、最後まで読むとなるほど、と思えます。
ジークには抱えている大きな問題があって、それが読み終えるまでは不安で堪らないのですが、最後まで読むと納得できる内容になっています。
しかし、逆に最後は綺麗に(駆け足に?)片付き過ぎてしまっている感じもしました。
ともかく、冒頭の真汐とジークの出会いのシーンがとても好きです。
(冒頭のシーンが好きすぎて、途中でジークのお屋敷に真汐が引き取られてからはスッキリしない展開にもやもやが続いてしまったのですが…)
ケガをしたジークを、その日ぐらしの記憶喪失の真汐が匿ってあげるのですが、些細な会話がとても暖かかったです。
ジークの心の中がとてもわかりにくいのでそれが仕様なのですが、少ししっくりこないものも残ったかも。
華藤さんはマフィアや海外もの、主人公の境遇が複雑で不遇な作品を多くかかれていますが、その分永遠にハッピーエンドとはいかないはかなさもあるのが良いと思います。
お伽話に例えたタイトルもストーリーにとてもよくあっていました。
ちょっと綺麗すぎるお話だ、という気もしますが、暖かいお話だと思います。
うぬぬ…あまりにあまりな設定です。
受けが体を売ることを生業にしているお話はBLでは時々ありますが、そこにこの作品は輪をかけております。
不幸の重ねづけといっても…こういうのはあまり好きではないかなあ。
あと、『おバカ』って表現の仕方は海外舞台なのになんだか最近の日本を連想させてあわないと思うのですが…
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受けの真汐はハンブルクの歓楽街で12歳から20歳まで男娼として生きてきました。
交通事故にあい記憶をなくし、周囲にはおつむが弱い(本文の表現ですが、嫌な表現…)と言われバカにされています。
攻めはかつては貴族であった血筋で、現在は東ドイツ系マフィアのドンであるジーク。
命を救われたことで真汐を屋敷へ引き取り、学業と礼儀作法を学ばせていましたが、いつしか体を合わせる仲となります。
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ネロです、フラ○ダースです。
や、真汐が絵が好きなのでね。
ハンブルクの雪深い中で寒さに震えているときて、お金に余裕があったら美術館へ行くとなれば思いっきり連想してしまいました。
なんというかあまり後味の良くない作品でした。
出会いは歓楽街で瀕死のジークを真汐が助けたことでしたが、その辺りでは『おバカ』とか『頭が弱い』とかいう言葉が羅列されて嫌な気持ちになりましたし、終盤では思いっきりジークが真汐を侮蔑してますし。
あそこまで嫌悪をあらわにしておきながら、誤解が解けるのも簡単で肩すかされましたし、あの態度の後に愛を囁かれても微妙に座りが悪いです。
ハッピーエンドではあるのですが、なんだろうすごくモヤモヤしました。
こういった作品大好きで、どうレビューしようか迷っているうちに時が過ぎてしまいました。
受けの真汐が本当に健気、健気で、でも芯はしっかり通っているいい子なんです!
知識が失われてしまい、無くなった知識を教えてくれる人もいない中で、辛く孤独な環境で寒いし常に空腹だしお金も無いし、それが当たり前なこととして現実にあるので疑問にも思わないのです。
ただ生きていくためにその状況を受け入れていく。
汚い仕事も酷い仕事も、それを自分がすることによって相手が助かるのだと思いこなしていく。
本当にそれが当たり前なのです。
しかしジークを助けて彼を看病して一緒に過ごしていくうちに、たくさんの【こと】に気づき、またジークからもたくさんの【こと】を教わり、今まで無知故にわからないで避けてこれたたくさんの【こと】に真汐は出会うことになります。
孤独ということは辛いということ。
身体を売り物にするということは恥ずかしいということ。
自分は他人からどう思われていたのかということ。
後半、真汐は罠にかかりジークの信頼を失ってしまいます。
そしてまたあの辛く孤独たったハンブルグに戻そうかということになります。
真汐にとって自分の居場所なんて最早どこにもないのです。
母親からは憎まれ売り飛ばされて日本にも居場所なんてないのです。
そして無気力になり湖に身を落すのです。
本当に涙!涙の展開です。
華藤さんならではの海外モノの世界観です。
ここに出てくる寒い雪の降るハンブルグ、その中で懸命に呼吸する真汐、ジークの大切にしていた隠していた切ない過去、すべてが綺麗な情景としてありありと目の前に伝わってくるようです。
本当に華藤さんはその土地の息遣いだとか情景を描くのが一際上手いと思います。
今回も脳内旅行させてもらいました。(笑)
ハンブルグ、寒すぎ!