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上司と部下の王道展開な恋物語かと思いきや…
意外や意外ちょっぴりビターな展開が待ち受けていました。
でもそれが面白かったー。読んで良かった作品です。
まず受けの過去がやっぱり辛い。真面目で根っから頑張り屋さんなだけに、現在の状況になってしまったのか気の毒で。
職人肌で無骨な攻めの受けへの真っ直ぐな告白。
それに対する受けの返事。
そんな子じゃないと分かるだけに、辛かったです。
契約社員から正社員になれない焦りや不安、もうコップから溢れそうなほどギリギリを耐えていたことが伝わってきました。
でも攻めなりに感触を見て関係を進めた様子だけど、今だったら上司から断りにくい状況での愛の告白はハラスメント扱いされてしまうかもなぁ。。(実際受けは困っているし)
お仕事BLとしても面白く、強面であまり表情変わらない&言葉より行動タイプな攻めが端々に受けへの気持ちが漏れ出ていて良かったです。
「焼き肉店の夜」でも分かるけれど、攻めが受けを好きすぎて可愛い。
派手さはないけれど、切なさも含めてよいお話でした!
「元恋人に裏切られ」が浮気されてとかではなく、恋人だと信じていた男に知らぬうちに横領の片棒を担がされ失職というハードモード。
就職難の中、なんとか再就職できたのは3ヶ月更新の契約社員という不安定な立場。
正社員になりたいと必死に仕事を覚え頑張る姿に好感がもてるだけに、その後の初エッチに至る展開に少々がっかり……。
攻めはそんな受けを二年間ずっとじっと見守ってきたけど、なんせ無骨すぎるもんで、まったく好意が伝わっておらず……。
ずっと厳しい上司モードで接してきたため、受けにとってはずっと「とっつきにくい上司」でしかなく、ようやく「尊敬すべき先輩」に変化してきた頃に、突然の告白をしちゃう攻め。
受けにとっては、青天の霹靂でしかなく……。
下手するとパワハラでは……?とすら思ってしまう。
というのも、小さい会社だし上司の告白を断った後も一緒に働き続けることができるのか?
契約更新に影響がでるのでは?
とそりゃ悩みますよねぇ……。
せめて攻めは、好きを小出しにしていれば良かったのに……とか、攻めはなんで「正社員になる気はないのか?」とか言ってあげなかったんだろう?とか読んでて思わず悶々。
で、受けは悩んだ挙句に、「ぼくを正社員にしてくれるなら」と交換条件を出しちゃう……
正直、どっちもどっちだわ……と思ってしまいました。
と、厳しいことを書いてしまいましたが、萌評価どまりではなく、萌萌評価にしたのはお仕事描写がとっても興味深くて読んでいて楽しかったから。
それと銀座和光の時計台のシーンがとても印象的だったから。
地方から出てきた受けの過去と現在が交差して、自分が夢見ていたのはドラマのような大恋愛でも、誰もが羨む純愛はなく‥‥と思うあの一連のシーンの描写がとても映像的で、心理描写と相まって胸に迫ります。
そして年末年始が一番の繁忙期で大変だけどやめたいと思わなかったのは、「裏方に徹して街を華やかに飾るのが好きだったのだ。」というところがなんかハッとさせられました。
クリスマスシーズンって街がどんどん華やかになって歩いているだけでウキウキするのですが、このウキウキした気分は大勢の人の手によって作られているんだなぁと、今まで思いを馳せることがなかった人たちへの感謝が湧きました。
読み終わって、ほぅ…とため息が出てしまったほど、読み応えがありました。
お話は、仕事の話が絡められていて骨太な感じ。
軸になっている仕事についても、しっかりと描かれていて、感心させられました。
その分全体としては、地味だったかもしれないですが、私は好きです。
キャラも堂上、理ともに「華やかな容姿」というような形容が無いので、身近に感じられて、逆に新鮮でした。
仕事も恋も、過去の過ちを乗り越えて一所懸命努力する理に、どうしても同調してしまい、切なくて切なくて。
でも、ツラい時に、理は泣かないんですよ。
諦めきっていたり、自分ばかりを責めたりして。
その代わり(?)に私が何度も泣きそうになりました。
元上司であり元恋人は、本当に人として最低ですよ。
相応の報いを、と思わずにはいられない。
あと、↓で言っておられる方もいらっしゃいますが、私もこの無骨な攻め、堂上がたまらなく好きでした。
言葉よりも行動、というタイプのカッコ良さ。
でも、最後のあたりでほんのり覗かせる溺愛と執着に…うわーってなります。
理が羨ましい…。
表題作と後日談的SS「焼き肉店の夜」が収録されています。羽根の目線で進んでいきます。
羽根(受け)は、元彼氏に騙されて退職し、契約社員で勤めることになりました。不安定な身分なので、正社員になりたいと常々思っていたところだったので、堂上(攻め)に告白されたとき、承諾と共に「入社試験を受けさせて欲しい」とお願いします。そして、条件付きでセックスに応じますが…。
羽根自身、堂上の弱味をついたような行動に自己嫌悪を感じています。羽根のそうせざるを得なかった気持ちを、私も頭では理解していますが、でもちょっとなぁ…と感情では納得しきれておらず、手離しで好きなキャラにはなれていません。羽根の言動が許せるか否かが、この作品のポイントじゃないかと思っています。
前の会社を退職した理由を隠そうとするのも、理解できているようで、なんだかちょっとどうなんだろうとも感じます。
歯の間に何か小さいものが挟まったかのような、もどかしさを感じた作品でした。展開的には面白いですし、攻めはカッコイイですし、サブキャラの江崎も男前で好みだったのですけれど。
スピンオフとして「ロマンチック・レプリカ」が発売されています。こちらの主人公の方が共感はしやすいと思いますし、すっかり堂上と落ち着いた羽根が良い感じに登場しています。この作品はちょっとなぁと思われた方にも、気に入られた方にもお勧めです。