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表題作地獄の果てまで追いかける

深見呉葉(牡丹),27歳,女装ゲイバーのオーナー
有村祐一,女性恐怖症の宅配水業担当の営業マン

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

長い髪の女に追いかけられ殺される――幼い頃から毎日のように見る悪夢が原因で、有村祐一は極度の女性恐怖症になってしまった。そんな祐一を気遣った会社の先輩に連れられ女装ホステスばかりの高級クラブへ行った祐一は、そこで恐ろしいほどの美形の男、深見呉葉と出会う。牡丹の源氏名を持つ深見はなぜか祐一を気に入り、優しく酒を勧めてくる。したたかに酔った祐一はその夜、深見に激しく抱かれてしまい…。

作品情報

作品名
地獄の果てまで追いかける
著者
宮緒葵 
イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778114398
3.6

(155)

(49)

萌々

(50)

(28)

中立

(8)

趣味じゃない

(20)

レビュー数
27
得点
537
評価数
155
平均
3.6 / 5
神率
31.6%

レビュー投稿数27

執着が行き着く果て…

宮緒葵先生の作品は複数、拝読させて頂き、今作も作家買いさせて頂きました。

個人的、各項目5段階で
執着 4
エロ 3
女 3
女装 2
な感じだと思います。

女装ホストクラブオーナーの呉葉さん×女性恐怖症の祐一さんのカプです。
執着女装攻めによる作品ですが、呉葉さんは所謂オネエというのではありません。女装姿の牡丹の時は女性的な口調で丁寧に喋りますが、素の的は普通に男性口調です。因みに女装姿での絡みとメイクや女性服を着てない姿での絡みもあります。

長い髪の女に殺される悪夢を毎日見るようになり、極度の女性恐怖症になってしまった祐一さん。しかし女装ホストクラブで出会った牡丹こと呉葉さんと一緒に寝るようになると悪夢を見なくなった。しかし悪夢を見なくなった理由、そしてまた悪夢を見始めてしまった原因。それが徐々に分かり出して、呉葉さんと祐一さん、それぞれの苦悩や葛藤が書かれています。

女装をする呉葉さんとは別で、祐一さんに猛烈にアプローチしてくる脇役の女性が、女性恐怖症の祐一さんじゃなくても気持ち悪いと思う様な執拗さがありました。

宮緒先生作品の攻めということで、呉葉さんの執着は言わずもがなですが、祐一さんも呉葉さんに若干執着するが、時折何かがおかしい…と疑惑や不安が過る、じわじわと侵食していくようなホラーっぽさが味わえますので、是非とも読んでほしいです。

0

狂気のヤンデレ攻め

宮緒先生安定の、ヤンデレ執着、そして今回は女装攻め。

先生があとがきで「…(中略)受けをどこまでもどこまでも追いかけてくれたら最高です。」と書かれているとおり、本当にどこまでもどこまでも追いかけてきます(笑)タイトル通り。

総務の女性と曲がり角でぶつかったぐらいで、「他の女の匂いがする…」と嗅ぎ付けちゃうんですよ(犬か!!)……恐怖でしかないです。

スカートを履いた牡丹に、祐一が序盤からガンガン攻められていてゾクゾクしました。
女装には正直萌えは感じないのですが、二人の絡みは何か背徳的・官能的でゴクリ、と息を呑みました。

0

ちょっとホラー

冒頭の夢から、まずは前世?で女性から恨みを買ってて、それで女性恐怖症になったんだろうなって想像はついたんですが、まさかの受け攻め逆転(正確には、女性が攻めに、男性が受けに転嫁されてるんですが)。

女装攻めって初めて読みましたが、絶世の美女は絶世のイケメンになるんですね。
深見はめっちゃ男前でした。イラストってこういう時に最強ですよね、文字だけよりも深見の女装姿も普段の男性の姿もイメージ湧きやすい。

ストーリーとしては、執着が根本にあって、前世の怨念?を晴らそうと深みに乗り移ってしまうんですが、それを祐一の想いでもって深見から引き剥がし、二人は現世を生きるというある意味王道。しかし、そもそも深見自身が嫉妬深く独占欲強し。執着愛な人なので、結果祐一の行動は変わらず、、、、執着されまくるっていうのが良かったです。
祐一もそれで幸せなんだもんな。

ただ、、、男を手玉に取ってる牡丹に祐一が嫉妬することはもうないのかな。
お店に出ずにビジネスオーナーとしてだけ働くとかにしたら、夜は一緒にいられるんじゃ…とか現実的に思っちゃいました。

0

読み物としては面白い

個人的にはわんこ攻のイメージが強い作家さんなのですが
今回はわんこというよりも狂気的な部分が強かった。
作品としては面白いのだが、やはり根本的に女性思考的な部分が
精神面で大きいのもあり、BLとして好きかといわれると。。むーん

お話。
夢でうなされる受。いつもきまって女性に首を絞められ死んでしまう。
そのため、女性に対しての恐怖心が現実にも付きまとっている。
仕事でも、距離をとることがおおくお付き合いなんてとんでもない。
そんな受が上司に連れていかれた先で出会ったのは
とても美しい女性、の恰好をした攻だった。
女性にたいしておこった恐怖心も震えもおこらない。
むしろトキメキを覚えてしまうほどに・・・

一服もられてあれよあれよ展開なのですが
表現が秀逸。妖艶な女を演じつつ
男としての支配欲、欲求を抑えられない攻。
酔っ払い、媚薬に酔って朦朧とする受をうまく流し
身体を手に入れてしまう。

お付き合いが始まり、攻の心理面に迫っていくというお話。
タイトルが応えになるのですが
もはや狂気というか恐怖というか・・・
可愛いおんなの嫉妬というレベルではない展開を面白いと思うか
どうかが決め手かなと思います。
執着故の暴走ものは嫌いじゃないのですが、それが女視点だと萌にはつながらない。
着眼点は面白いとおもう

1

女装執着攻&ホラー

執着攻という事で拝読しました!

女性が苦手な受に、美しい女装攻です。女装攻とはいえオネェではありません。

女装していない時にはちゃんと男らしいです。

攻・受2人とも夢に囚われている話と一緒にすすんでいきます。

攻めは、夢の事が原因で執着しているのかな?と思いましたが、ラストまで読むとちゃんと攻の意思でちゃんと受に執着しているので良かったです!

途中ホラー要素もハラハラと読みました。
攻のヤンデレ部分(受の1日の行動全て知りたがる・お弁当つくり・野菜ひたすらみじん切り…など)もありました、受もちゃんとヤンデレ部分をふくめて攻の事が好きなので良かったです。

受が、攻をおし倒したりおっぱいに執着して吸い付いたりわりとノリノリな展開もありでした。

0

タールのような粘ついた情愛で受けを絡め取る攻め

斜め上の作品を描く宮緒氏の作品の中でもなかなかのホラー要素を含んだお話となっております。
暑い夏にぴったりの作品です。あっでも逆に部屋の湿度は上がるかもしれませんね。
攻め様は大輪の華の如く君臨する女装高級クラブのホステス兼オーナーを務める呉葉。受け様は容姿端麗で女性にモテるがあるトラウマにより女性恐怖症を抱え生活する会社員の祐一。
作品の序盤は呉葉に依存していく祐一が多く描かれていますが、展開が進むにつれ呉葉の祐一に対する依存度がどんどん高まっていきます。それはまさに狂気じみた愛。女装で自らを仕立てながらも呉葉はれっきとした男、女装しながら男の匂いをプンプンさせて祐一に迫る姿にはくらりとする色気があります。しかし情念に駆られた女を前世に持つ呉葉は女性性の部分も持ち合わせています。祐一に近づく女性に対する牽制の仕方などがまさにそれ。そして呉葉はこの情念に苦悩しながらも祐一への愛をどんどん強めていきます。愛が強まるほどに自身の箍が外れぬよう自制しようとしつつもどうしようもなく祐一という存在に心乱されていく呉葉。…いい攻めキャラだなぁ。
祐一もまたいいキャラです。そんな重く粘ついた愛をきちんと受け止めて呉葉の存在をまるまる包み込んであげているのだから。

4

繋ぎ止められるのは自分だけ

犬じゃない宮緒先生作品が読みたいなっと思って選んだ本作。
「でも女装攻めか〜どうだろう……」と思っていましたが、なよなよしてない、妖艶な迫力美人だったこともあって割と平気でした。
というよりもむしろ「上半身は迫力美人なのに、下半身は凶悪なほど男」という攻めにガンガン突かれて啼かされる王子様系受け、という構図に萌えた。
舌なめずりしながら受けを食らう攻めが大変よかったです。

ホラー調なところも、恐ろしすぎず、萌えに比重が置かれててよかった。
前世(?)は女だったけど今は男という攻めが、怒張する雄を誇らしいと感じ、受けを文字通りその身に繋いでいると喚起する場面には思わず、なるほどと納得してしまった。
“男である受けを貫いて繋げられるのは、同じ男である攻めの特権”……なるほど。確かに女にできるのは「繋がる」ことで、「繋げる」力はない。

いつもの宮緒先生の「受け入れて」と懇願する攻めとはまた一味違った萌えでした。

3

残念ながら

ついていけませんでした。
設定、展開、気持ちの推移。全てにおいて「ええ~、いくらなんでもあり得なくない?どうなの?」という思いが消えず(ホラー部分以外で)。レビューを読んだ限りでは途中から面白くなっていくイメージだったので、何とかもう少し、もう少し、と読み進めました。それが3/5ぐらいまで続いたでしょうかね。
皆さんおっしゃっている「怖い」展開に入ってから、やっと普通に読めるようになりました。
確かに美香が一番怖いですねw

「渇仰」や「愛犬志願」が割と良かったのでこちらも読んだのですが、逆に合いませんでした。
女装ものがさほど興味ないのも原因かな。あと美形のインフレに食傷気味。

3

寄り添いあう二人

毎夜の悪夢によりトラウマを抱えた祐一は、呉葉の傍に安らぎを覚えて共に暮らし始めます。
一方の呉葉は、祐一の傍に居ればいるほど自分ではない誰かを己の中に感じ、祐一に対して制御できないほどの執着を覚えます。そしてそんな自分に苦しみながらも止めることができず、次第に過度な嫉妬を露わにしていきます。

ホラー、シリアステイストのお話で、
主人公たちの追い詰められた心理がにじみ出たような、どこか糸が張りつめたような雰囲気が上手く出ていました。
人物像、心理、行動、ストーリー、全てがよく絡み合っており、特殊プレイも雰囲気を醸し出す良い要素になっています。

翻弄されながらも、互いに寄り添う二人がとても素敵でした。
過去の因果に出会った彼らですが、恋したのは間違いなく現世のお互いなんですよね。
葛西リカコ先生の挿絵も相まって、
ラストの林での愛の告白は、心地よく幸せなものでした。

5

懲りずに地雷を踏む

※辛口注意※
前回、大失敗したと思った宮緒さん作品ですが、実はデビュー作を読んでから、何冊か纏めて購入していたため懲りずにチャレンジです。
そして地雷再び(ドカン)
それも立ち入り禁止看板掲げてる地雷原に埋まってる地雷を、分かってて踏んだ感。だってもったいないから最後まで読(ゲフンゴフン)

何か毎回同じこと言ってますが、執着攻は大好物です。
ですので、前回読んだ分もあわせると私は宮緒さんと相性悪いのかもしれません……。
この作品を一言で言い表すなら、

もう、ただただ怖い

これに尽きます。
気味が悪いってレベル超えて完全にホラーな感じがしました。
一般小説でもホラーは避けて通るジャンルなので、まさかBLでそれが展開されるだなんて思っても見なかったので衝撃値が凄い。
冒頭の一目惚れからしてついてけなかったんですが、展開がもう色々とあり得なさすぎて疲労感が凄かったです。
前世だ悪夢だで、もう十分に怖いんですが、女装攻の怨霊ばりの執念執着が全身に纏わり付くようなねっとり感。
恥ずかしながら、怖すぎて正直寝る前のトイレですらガクブル状態。
家の施錠を何度も確認するほどに、読後は疲弊しきってしまいました。

レーターさんが好きなので何とか読みきりましたが、二度目はないです。
積んでるものはあと数冊なので、今後は作家買いはやめる方向で。
ねっちょり不気味なこってこての執着攻が好きという方は、宮緒さんの作品は本当におすすめです。
熱帯夜でも鳥肌立って体感温度下がること請け合い。

4

女って怖い…

最近、宮緒葵さんにはまっています。今回は題名からして執着愛っぽいし、あまり読んだことのない女装攻めということでワクワクしながら読みました。

葛西リカコさんのイラストが素敵でした!女装の呉羽が本当に綺麗でため息ものでした。この呉羽が祐一に対して、執着が強くなってだんだん狂気じみてくるのが、ゾクゾクするほど良かったです。前世から執着して追いかけてくる月子も怖いけど、生きている美香が一番怖かったです。

月子と呉羽の魂は最初は一緒だったけど、殺して独り占めしたいという考え方と生きて愛を全うしたいという思いで、いつしかぶつかるようになります。最後に祐一のために自分を殺してほしいと懇願する呉羽がかっこ良かったです。

女装してても男言葉なのが萌えました。毎回祐一が帰宅するたびにチェックしてしまう、執着愛に萌えました!

4

本書以外の宮緒葵作品がイマイチだった方、とりあえずこれを読んでみて。

既読の宮緒葵さん作品では、最もバランスが良く読みやすく、かつ面白かったと思います。
とは言っても宮緒葵の既読作は、「渇仰」と続編2作、「堕つればー」、「愛犬志願」のみなので、その程度で語るな!という方はスルーで。

バランスが良い、ということについてですが、宮緒葵の傾向は、色々いっちゃってる攻め、最初は攻めに抵抗しようとしたりしてるけどいつの間にか流されちゃう受け、多少のファンタジー要素、ヤンデレドロドロ執着、けどなんかコミカル…だと勝手に思っています。
個人的には、上記の作品は、「面白いけど、ちょっとぶっ飛びすぎ、(ちるちる風には)萌×2だけど神ほどではない」と思っていましたが、本作はそれらが丁度よく配合されており、ぶっ飛びすぎてない作品でした。

具体的には…
スーパー美人の執着系攻め:呉葉さんの適度なヤンデレと理性の狭間の揺れ具合。
流されちゃった受け:祐一さんも、いつの間にか攻めのことが大好きになってますが、スーパー女装美人だからあまり説明なくてもいいか、となってしまう。
前世がアレとか夢の中がアレとか幽霊がアレとか:BLに混ぜられても、ストーリーを面白くする要素としてちょうど良い程度。などなど…

と、以上、色々と理屈を捏ねて説明しましたが、この作品、神評価の何よりの理由として、読みものとして面白かったです。えーこれどうなっちゃうの?!という展開が多くハラハラして次をめくってしまいあっという間に読破しました。
絵も非常に良い。誰もが陶酔する美人、なのに男らしい、なのに色っぽいというとんでもない設定の攻めを、ツッコミを入れるどころか説得力のあるイラストを描きあげた葛西リカコさんにも、イラスト単品で神評価差し上げたい。

11

ラブコメとしてコミカライズ希望w

タイトルの割に甘かったかな~?なので、すんなりと読めました。
最初の方で、「これはコメディとして読むといいのかもしれない」と思って読んだからでしょうか。

一応怨念ではあるのですが、なんか甘いのは牡丹の容姿のおかげなのかな?祐一が夢だと思い込んで素直に牡丹に甘えるシーンはかわいくて萌えました。挿絵もよかったです~!牡丹の描写から「男らしいけど美しい女装???」と思ってたのが、挿絵を見て納得♪美しい~!女装攻めの良さに目覚めましたw

お話はシリアスなんですが、わがままストーカー女・美香とか、超ネガティブ粘着・月子とか、お人好しにもほどがある上司とか、それぞれキャラがいいので、これコメディにしてコミカライズしたら絶対面白いと思ってしまいました。
嫉妬でキーッとなる多重人格っぽい牡丹とか、コスチュームプレイできそうだし(笑)ドタバタしてて楽しそう~♪その時には、ぜひリバでお願いしたいです。

2

女装が華麗!

こちらのサイトで「女装攻め」ということでおススメしていただき、読みました。
挿絵の牡丹が美人過ぎる。これで男とか…。ナヨナヨした感じの女装ではなく、男としての魅力を持ちつつの女装なので、ツボでした。
やっそんシーンも女装したままだったので、大変おいしゅうございました。
ただ、途中から月子とリンクしていく呉羽がどんどん怖くなっていきました。差し入れのお土産を砕くシーンとか、狂気です。
あと、美香が今まで読んだ本の中でいなかったタイプなので、これはこれで女の怖さがありました。
最後はハピエンなので、良し!

5

やっぱり合わなかったです

宮緒さんの作品を読むのはこちらで三冊目だったと思うのですが、うーん、やっぱりわたしには合わないようです(汗


受けの祐一は、ひじょうに美しい男なので女性からモテモテですが、女性恐怖症。
原因は、長い髪の女性に追われる夢のせい。

攻めは女装姿も美しい、呉葉。
複数の店を経営する出来る男のはずなのに、祐一への対応はまったく理解不能。


まさかまさかの前世話でした。
いや、こういう話だとは思っていませんでしたから、ひたすらビックリ。
サスペンスかと思いきや、オカルトだった??

容姿は女性を引き寄せてしまうのですが、とにかく体の具合まで悪くなるほど女性が怖い祐一。
そんな祐一を心配した先輩が、気をきかせて連れて行ってくれた女装クラブ。
そこで出会ったのが呉葉でした。

したたかに酔った祐一が呉葉に食われちゃうのですが、媚薬を使われていたとはいえ乱れっぱなし。
あんなに酔っていて、きちんと呉葉を男性と認識(呉葉は女装の格好のままでしたし言葉遣いも女性使用)できていたことに若干、頭を捻ります。

呉葉の祐一への執着も恐ろしいですが、美香も恐ろしかった…
基本的に女性キャラに変質的な部分があったり、嫌なやつに書かれる作品は好きではありません。
そして、攻めが女装というのもまったく萌えず…
まさか女装のまま抱くとは!
うーん…意外に自分は間口の狭い人間なようです。
お話にはまったく萌えられませんでしたが、葛西リカコさんのイラストは素敵でした。
ちなみに、個人的に宮緒さんの作品はえっち多めと認識していたのですが、けっこうその辺りはさっぱりしてたような…

4

お、怨念…!!

高評価だと、気になるというのが当然と言うものでしてw
葛西リカコさんの表紙も美しいし、
ホラー要素もありそうなBL、どきどきして読みました!

前半部分は、祐一が長年悩ませられている夢によって
女性が苦手でこれまで誰とも深い関係になった事もなく
軽い接触ですら不可能という特殊な設定というのも
なかなか頷けました。

牡丹の絶対的な美しさ、特別な人物という描写に
艶のある挿絵と共に飲まれていって
祐一のように吸い寄せられるような気持ちになりました。

媚薬入りの潤滑剤を使っての初めての交わりは
快感に溺れる祐一が可愛くて牡丹(呉葉)の心境が良くわかってしまうくらい!
急に変わった言葉づかいも特に違和感がなくて
ぐいぐい惹きこまれて行ったのですが……。

祐一を狙う美香の存在が
物語の肝となってくるとはいえ、しんどかったです…;;
手段も選ばない、自分の望みどおりにしようとする痛い女。

そして呉葉の千年も前からの呪いのような想い、
それほどまでに愛している…とは私は思えなかったです(泣)
確かに人を愛するというのは綺麗事だけでは済まないし
自分ただ一人の祐一にしたい、閉じ込めてしまいたい気持ち、
わからなくはないし執着攻めは好きなのですが
あまりにも追い詰めすぎて怖いよ!!
殺してしまいたくなるのは愛なの??

「今日何してた?」とか、好きな人の事なら知りたいけれど
お弁当をどうしたとか何もかも事細かく把握して(月子の見せたものだとしても)
こっわ!!!!!
すみません、甘ちゃんなので引きました……。

月子の気持ちに引きずられそうになる葛藤、
呉葉の苦しみはよく伝わったのですが
ただ単に私の好みの“愛”ではなかったのです。すみません。

あとがきで、編集さんにメール添付する際、
ウイルスだと思われないかとか面白かったですw
ちなみに、こういうホラーチックなタイトルの方が
書店さんには尋ねやすいですよね?w
やたらめったらエロエロなタイトルよりは!!

…行き過ぎた執着ものがお得意な宮緒さんは
何故かまた新たに作品が出たら読みたいなと思ってしまうのです…。
引きずられるような気になるのって
構成等お上手だからなんだろうな、という個人的な感想でした。

5

分からない。

とても評判がよかったので、ぜひ注文してみましたが・・・・

なんと私のなかで苦手な作家さん一位の宮緒葵様の作品だったとは知らず。

やはりこの方の文章の書き方が好きになれない。
好きになるまでの過程が短いので、深い愛は感じられなかった。
お互いにただ共通点があるだけでそれ以外は外面にしか惹かれていない様子。
外面も飛びぬけてイケメンすぎるとやりすぎた感があった。
まるで夢の国の王子様のような容姿は、私にはバカらしく感じてしまった。

喘ぎ声などもまるで女性かのようにも感じてしまい。
ひゃ、とか、やぁん、とか
気持ちが悪くて萌えない。
必要ないんじゃないかと思う場面も多いようにも思いましたし、
色々現実離れしすぎていて物語に入り込めず、終始ただ文字を目で追うだけでした。

それと、女性を貶す言葉?を使うようなシーンが多々出てくるのが
非常に不愉快でした。
生々しいといいますか「雌豚」「処女」「所詮女」・・・・・・・
分かっています、これはあくまで”ファンタジー”であると!
ただの夢物語でしかないと。
分かっていても、気持ちが悪くて。
BLという夢の世界に逃げ込んでいる間だけは、
女の性を現すような表現は見たくない。
女である自分を忘れたいがために、異性同士のセックスの存在なんて忘れたいがために、こうして「男たちのセックス」を堪能しているのに。
「胎内」という表現も、好きになれない、どうしても女の体を思わせる。

ごめんなさい、
勝手な被害妄想なのだけれど、
女であることにコンプレックスを持っている私からすると、
不愉快でしかない。

すばらしい作家様だとは思います!
皆さんが褒めているように、
このかたの作る世界観はいつも新鮮でおもしろみがある。

ただ文章の作りが私にはどーうしても合わなかったというだけで
面白くないのとはまた違うので、
私の意見など鵜呑みにせずぜひ読んでみてください!


17

千年の執着愛

物心ついて以来見続けている悪夢の影響で、女性恐怖症の祐一。
しかし、超イケメンな祐一は、どれだけ女性を避けてもモテてしまいます。
それが原因で同僚にも疎まれストレスを溜める祐一。
それを気遣った上司に連れて行かれたゲイバーで、美貌の牡丹こと呉葉に出会います。
息をするのも忘れ、ただ圧倒されるしかない程の美貌の牡丹。
その美しさと存在感で全て跪かせる百花の王が、何故か祐一に一目惚れ。
牡丹は祐一を巧みに酔いつぶし、お持ち帰りしゃいます(笑)

呉葉の、祐一に対する執着心は最初から凄いです。
一夜を共にし「付き合って欲しい」と迫る呉葉ですが、
初心な祐一は美しく魅力的すぎる男を前にパニック寸前(笑)
まずは「お友達」から始める事になりますが・・・

話のキーワードは、二人が共通して見る夢。
「地獄の果てまで追いかける」と言いながら祐一を追いかける長い黒髪の女。
雅浩と月子という、仲睦まじい夫婦。
これらが絡まって、少しずつ明らかになって行く真実にドキドキ。
読みだしたら止まりません。

そしてまた、呉羽の女装時の「牡丹」の描写が素晴らしい!
葛西リカコ先生の挿絵効果も抜群で、それだけで読む価値ありです!
この「牡丹」時の祐一とのエッチが、もう何とも言えずエロい~
そして「呉葉」時のワイルドさも本当にステキで・・・
この魅力的な攻め様が徐々に月子に浸食され、
どんどん病的に祐一に対する執着を深め常軌を逸して行く様子が、本当に恐くて凄いです。

最後にとうとう月子の怨霊と対峙することになりますが、
この時の二人の行動は感動です。これぞ愛の奇跡(笑)
自分が、身体と心を月子にすべて明渡す前に殺せと祐一に言う呉葉。
そしてその時の祐一の、心からの叫びと、驚きの行動。
二人の愛の絆が月子の千年の執着に打ち勝ちます。

すべてが解決した後の二人には笑いました。
呉葉の祐一に対する執着心や嫉妬深さは、月子の影響とは関係なかったんですね(笑)


ところで、月子は結局どうなったのでしょう?
本当は心から愛されて幸せな妻の筈だったのに。
月子にも雅浩の愛を信じて欲しかったです。

2

一途な気持ちが・・・

話の展開が気になって一気に読んでしまいました。すごく面白かったです!!
怖がりなので、ホラーっぽい話は苦手なんですけど、話自体はハラハラはしましたが、その存在は何だか怖いとは思えなかったです。むしろ切なかったです。

そして、攻めが絶世の美人で仕事中は、女装をしてバーを営んでいる。そんな綺麗なドレスを来てガンガン攻めるベッドシーン。とも聞いて・・・飛び込む準備をしていたのですが(笑)杞憂でした。これが違和感を感じることもなく話に引き込まれます!

攻めの呉葉は、牡丹の姿の時はとても美しく、人を惑わす様なある意味恐ろしい妖しのようですが(良い意味で!)、女装の姿を解き、普段の力強い口調の男性の姿は、輝くように格好良く、掃除も料理も何でもこなせる人で、一人で何とも美味しい存在!(笑)

序盤は、女性恐怖症にまで追いやる恐ろしい悪夢を見る祐一(受け)を、悪夢から救うナイトの様でしたが、祐一に恐いくらい執着し、祐一が仕事などで少しでも離れてしまうと、「不安、祐一へ近づく人間への嫉妬、歪み」に壊れそうになり、それを否定し、もがきながら彼の前世(月子)に侵食されてく描写は、とても迫るものがありました。包丁で無意識に野菜を切り刻んだり、お菓子を粉々にしたり・・・ドキドキします。

一方、かなりの格好良さで可愛いと社内でモテモテの祐一(受け)ですが、女性恐怖症で、失神する経験もあり、最初は少し甘いというか、頼りなさを感じますが、初めて大切な人だと思える呉葉(攻め)の為に何かをしてあげたいと強く、向かい合おうと男前になっていく姿が素敵でした。
これは攻め(前世は女性)×受け(前世は男性)という部分が、上手く絡められている感じがしてとても良かったです。

呉葉の愛情も祐一の気持ちも前世は関わりはあれど、祐一だからこそ呉葉は。呉葉だからこそ祐一は好きで、想い合っているという部分が、はっきりしているのも読んでいて安心がありました。

(以下--かなりのネタバレになります。↓--)
ただ・・・長い長い間、ひとりで愛しいひとを追い続けた月子の存在。
確かに大切な人信じられず、閉じ込めようとし、また多くの人を苦しめたかもしれないですけど(ミカ・丹羽も含めて:笑)、雅浩の本心を聞くことは許されないのかな・・・と寂しく思えました。
苦しまずに、光に溶けることは出来なかったのかな・・・とか、他の方のレビューと同じように番外編でも良いので、穏やかに眠る姿を拝みたいです。

祐一のあの台詞は鳥肌ものでした。雅浩としてあの台詞を月子にもあげて欲しいとすら。。。
話の視点が、攻め・受けと交互にあるので、そういう部分も助かりました。攻めという、いわば男役の呉葉が、どうして前世が女性なのか・・・という部分は、呉葉視点の月子の思いを知ってとても納得がいくもので、彼(彼女も含めて)感情移入がしやすかったです。

中盤辺りでラストは暗い世界へ2人きりで閉じこもるような感じかな?と思ったら、とても明るい感じでほっとしました。呉葉の祐一への消毒行為は、思わず笑ってしまいましたが・・・!

3

鳥肌が立ちそうになりました。

題名を見た時からゾクゾクしていた。

読んでいる間 中ずっとゾクゾクしていた。

読み終えた後もゾクゾクしている。

地獄の果てまで追いかける……っ!





新刊チェック時にタイトルを見た時から読んでみたいと思っていました。
特典ペーパーが無いようなので、初めは古本で買うつもりでしたが、
「ショコラ文庫創刊2周年記念 ショコラ文庫フェア」の小冊子の応募のため、
新刊で購入しました。


受けの祐一さんは、女の人が近くにいるだけで様々な症状が出たり、
倒れたりすることがあるので、ひ弱な印象を初めに受けました。
しかし、攻めの呉葉さんに出会ってから、特に呉葉さんの言動や行動に
異変が表われ始めてから物語の最後まで、か弱い雰囲気を残しながらも、
実は呉葉さんよりも懐が深く、芯が強い人だと思いました。
最後に体を張って呉葉さんを守った姿に打たれました。
呉葉さんが苦しんでいる時や暴走しかけた時など、祐一さんのほうが
年下なのに年上の大人なのだと錯覚してしまう場面が何度かありました。

攻めの呉葉さんは、高嶺の花で行動がスマートで優しくてカッコ良い人という
印象を初めに受けました。
しかし、月子さんの影響が強く出始めてからは、次第に病んでいく感じが、
祐一さんが感じていた怖さと同じように、私も怖くなりました。
怖いはずなのに、病んでいる感じに萌えました。
呉葉さんの一人で闘っている姿に、心の中で応援しながら読んでいました。


結局、雅浩さんの想いが月子さんに伝わらなかった(伝えられなかった)こと、
結局、月子さんが安堵できなかったこと、
結局、輪廻転生を繰り返しても月子さんが雅浩さんの元に行けなかったこと、
など、これらが成し遂げられなかったことが非常に心残りです。

祐一さんの夢と呉葉さんの夢が関係していたことは、
呉葉さんは最初の頃に気づいていたはずだと思うので、
それをもっと早く祐一さんに話していれば、
二人の力を合わせてもっと早く良い方向に被害が少なく
解決することが出来たんじゃないかなと思いました。

そのため、祐一さんがそのことに気が付くのが遅くなりましたが、
それでも気が付いた時に、祐一さんから雅浩さんの気持ちを
月子さんに伝えていれば…、それか、あれほど祐一さんの夢に
出てきたのだから、雅浩さんも祐一さんの体を借りて月子さんを
説得していたら、もう少し穏便に収束できたのではないか、
と思ったりもしました。

月子さんも、本当は良い人だったから、主人公たちと同じように、
次こそは雅浩さんと元の状態に戻れることを、二人 揃って
成仏できることを願うばかりです。
可能であれば、それを数ページ程度の番外編などで
見届けることが出来れば良いなと思いました。


今回の評価は「神」と「萌×2」で非常に迷いました。
「神」評価をつけるには一作家につき一作品が望ましいと考えていて、
既に宮緒先生の作品で「神」評価の作品があり、
他にも発表数が少ないのに「神」に近い高評価がたくさんあるので、
一人の作家さんにたくさん「神」評価をつけるのは、
かえって「神」の価値が下がるので、出来れば避けたかったのですが、
随分と悩んだ結果、避けることは出来ず、「神」評価にしました。

この作品では、受けと攻めの両方の視点を交互に書いていて、
それぞれ長すぎず短すぎず適度な長さに区切られていて、
とても読みやすかったです。
また、受けと攻めの心境や行動が変化していく過程の表現に
臨場感があり、とても素晴らしいと思いました。
文章構成や描写の評価は「神」に近い「萌×2」です。

今回の挿絵は葛西リカコ先生で、先生やファンの方には申し訳ないですが、
私にとっては苦手な挿絵です。
しかし、今回は作品の世界観と先生の挿絵がとても調和していると思いました。
挿絵から主人公二人の雰囲気が伝わってきて、とても良かったです。
今回の挿絵は葛西先生で良かったと思いました。
今回の挿絵は「萌×2」評価です。


今回のレビューは、いつもとは違って趣向を変えてみました。
初めは最初の四行をいつものように購入理由の後に書いていたのですが、
それでは読書前、読書中、読書後のゾクゾク感や緊張感などが弱いものに
なってしまったように感じたため、今回は いつもと違う形式で書きました。

読み終えた後も、「地獄の果てまで追いかける」というセリフが
まるで呪いのような感じの口調で頭の中をグルグルと回り続けています……。

5

ザ・ジャパニーズホラーな精神的恐怖

ジワジワ心理的に追い詰められていく恐怖。
狂気や怨念も元をたどれば相手への一途な愛情で、霊側も単なる悪者でない点が良いです。

女性要素が強いため、読む人を選ぶかも。
受けは夢で女にうなされ、攻めは高級クラブの女装ホステス、受けに迫るあて馬も女、主人公二人が惹かれ合う背景にも女性が関わり…など

しかし女性との因縁を乗り越え(ある意味受け入れ)ようとするからこそ
男同士の関係が引き立つというか、性別関係なく愛情を貫く二人の絆が伝わってきたと思います。
また、女装攻めとのHシーンは性倒錯な萌えがあって惹きつけられました。
決してオネエ攻めではなく、仕事以外では口調も服装も男性的。
奉仕する妖艶な美女↔雄々しいイケメンのスイッチの切り替わりにゾクゾクします。

前世で殺し殺された人々が現世で親子や夫婦になり、再び惨劇が…
というのはよくある怪談らしいですが、この作品は前世で夫婦だった二人の話。
夫を殺した妻が男性(攻め)に生まれ変わり、元夫(受け)と恋人になる。現世での二人の行く末に目が離せない展開です。

祐一(受け)に出会うまでの深見(攻め)は、とても男らしい豪胆な性格。
それが祐一に恋してからは次第に月子(前世の自分)に支配されるようになり、異常なまでの甲斐甲斐しさや嫉妬心を見せ、いけないと思いつつも祐一を殺して自分のものにしたい衝動に駆られる。
興味深かったのは、話が進むにつれ深見がどんどん繊細に(月子のせいもあり)
祐一がしっかり者になっていったこと。
奥手で頼りない印象だった祐一が、深見のヤンデレ化に戸惑いながらも受け止めようと包容力を見せていくのが、前世で夫婦だった頃の名残を表しているようでした。
美しい容姿の割に大人しい性格だったのが、恋を知って会社で少しずつ表情豊かになっていき、ますますモテだすのが面白い。
その分、深見(月子)の嫉妬はエスカレートするわけですがw

ラスト、月子(が憑いた深見)との対峙シーンでの祐一は本当に男前。
女装深見の乳首に吸いついていた物語前半とは別人w
祐一のため身をもって月子を葬ろうとする深見の優しさも印象的でした。
千年も執着していた割に簡単に消えた月子には拍子抜けでしたが、二人の愛情の勝利ということで納得。
二人の関係性や深見の多面的なパーソナリティを思うとやはり前世の影響は大きいと思うけど、それでも現世での自分や相手を信じて因縁を断ち切るという美しい結末でした。

不満を挙げるなら、やっと本当の意味で二人きりのHシーンが見られると思ったらアッサリ終わってしまったこと。それでも絶世の美女(に化けた)深見による消毒&姫だっこには萌えました。少しくらい愛情が重くても、これだけ美女でイケメンな恋人に尽くされたら男としては感無量だろう。
もう一つ。左頬につけた筈のキズが、挿絵では逆…まあミラーと思えばいいか。

3

BLではないような~

素直にBLというわけではないように思うのですが、
楽しく1冊読めました。
また、大概のBLって、展開や結末は分かってしまうものですが、
この作品は、最後どう終わるのか?全く予測不能というか、
「どうなるんだろ!」とワクワクしながら読むことができました。

祐一は、子どものころから髪の長い女に追いかけられ、
首を絞められるという夢を見る。そのせいで、
女性のことが恐く感じ、女性に近づくことさえできないのでした。
そして、女装バー・オーナーの呉葉と出会います。
出会った途端惹かれあい、関係を持つようになるのですが、
呉葉は、子どものころから、男性を追いかけ首をしめる夢を見ていたのでした。

イラストもよくストーリーに合っていました。

3

ホラーのようなゾクゾク感

個人的に新しいタイプのヤンデレ攻でした。
受けのちょっとした行動を異常なくらい敏感に察知し嫉妬する、というのはよくあるんですが、受けが攻めの作った弁当を上司に分けただとか、女の誰かとぶつかったとかを察知する能力が女の幽霊だというのは新しい。
女にもらった菓子を投げつけている攻めの嫉妬は、ヤンデレ好きの自分でさえニヤニヤを
通り超えてゾッとしてしまいます。
でもそんな攻めに対して、受けはかなり真面目というか真摯に受け止めています。
攻めの嫉妬を一生懸命なだめて、安心させてあげるためになるべく女との接触を絶とうとしたしていて、いいカップルだなと思ってしまいました。
こういう度の過ぎた嫉妬心を持つ攻めに対して、受けは割と常識人で最初は拒絶するという構図が自分の中にあったのでこれは意外でした。
というか、どっちもかなりの両思いだとツッコミたくなる(笑)

ただ女の幽霊が取り付いているということで、時々攻めが女の子のような気がしてしまうのは苦手でした。
女装攻めだったということもあるかもしれません。
それでも読んでいてホラーのようなゾクゾク感があって面白かったので萌×2にさせていただきます。

2

エロとは、喘ぎ声ではない!

 限りなく『神』に近い『萌2』です。
オープニングからぐいぐい引き込まれました。

 しばらく『BL読めない症』でしたが、「こんな時は劇薬クラスの作品がいいかも?」と、手にとった宮緒作品、読書の楽しさを思い出しました。
         *劇薬クラス:宮緒作品は私的に地雷という意味でです。


 子供の頃から髪の長い女に殺される夢を見続けて女性恐怖症になった主人公、祐一。
彼が心奪われた美貌の女装家・牡丹(呉葉)は、逆に自分が女になって男を絞め殺す夢をみていた。運命のように強く惹かれあう二人。

 ハッピーエンドがBLの掟、なんてこと欠片も思い出せずに読ませていただきました。
「いったいこのお話、無事に着地できるの?いずれか一人は無事には済みそうもないな」とハラハラしどうしでした。

「あなたを誰にもわたさない!」呉葉の祐一への執着は増すばかり、愛しさと狂気のような激情に心が引き裂かれそうに・・・!
それでも読んでいる私が呉葉を不気味だと思わなかったのは、もうひとり祐一に執着する女・美香の存在があったからだと思う。
エゴの塊のような彼女の心のありようの不気味さ、おそろしさ!

 夢に怯え、美香に怯えていた祐一ですが、前世の呪縛から呉葉を解放し二人で生きるため踏ん張ります。男前です!

 ベッドシーンのエロさは喘ぎ声なんかじゃないなと感動いたしました。(^^♪
妖艶な美女が男に入れ替わる場面、翻弄されていた祐一が呉葉を押し倒し襲いかかる場面
等、胸がトキメキます。

2

題名に偽りは無かった

ものすごく面白かったです!
攻めに女性的な要素が入っているのが嫌な方には決してお勧め出来ませんが、
その要素が許せてヤンデレ攻め好きな方にはお勧めです!!
あと宮緒さんの話にしては、女性の存在感が大きいです。
数少ない自分の作家買いの宮緒さんの話の中でも、一番自分に合っていたように思います。

題名と作者さんの傾向からして攻め→→→→→受けに見えますが、この話はそれほど一方的な関係ではないです。
なんだかんだ言って初めから受け・祐一も攻め・呉葉に心惹かれていますし。
受け攻め両視点で、呉葉が月子の影響でだんだん病んでいくのにぞくぞく来ました。
(月子の影響だけでなく、元々呉葉もヤンデレ要素はあるような感じですが)
クライマックスでは一体どうなってしまうの?と思いましたが。かなり手に汗握りました。
月子は散々祐一を苦しめたのに、自分にはなんか憎めませんでした。
元々は優しい人の上に、雅浩への一途な思いは本物だから、でしょうか。

・超美人女装攻め(オネェではない)
・受けは超美形で女性恐怖症だが女に超モテモテで、受けを狙う当て馬も女。攻めは職業柄男にモテる(というよりも高嶺の花、という感じですが)
・前世は夫婦で受けが夫で攻めが妻だった。
とBLの常識を思うと逆を行っているのですが、自分はむしろそこがツボでした。
駄目な人は駄目なのでしょうが…
あと現世では出会ってからあまり時が経っていませんが、前世も含めるととんでもない執着攻め、というのにも萌えました。
超美形同士のカプ、というのもツボでした。BLには夢を見たい方なので(笑)
攻めのキャラも受けのキャラも宮緒さん作品の中で一番好きかもしれません。

今回の攻めは犬じゃない…と思いきや『俺は番犬か何かだと思え』とか「他の女の匂いがする…」とか犬要素もしっかりありました(笑)

自分にとっては、文句無く神評価です!!

8

愛が狂気に変わる

執着ヤンデレと言えばこの作家さんなんて思ってしまう程今回もガッチリ狂気です。
まるで恋人に会いたい一心で町に火を放った八百屋お七や源氏物語の六条御息所を
彷彿とさせるし、「地獄の果てまで追いかける」なんてセリフは道成寺の安珍・清姫伝説出てくる清姫をも凌ぐ勢いが、今回の情念コテコテの作品には感じられる。

内容は物心ついた時から髪の長い女に追いかけられいつも首を絞められ殺されると言う夢を
見続けていた受け様が主役で、イケメンだけどその夢のせいで極度の女性恐怖症で
女性に近寄られただけで、悪寒が止まらず逃げ出したくなる程に重症。
職場以外でも女性客に迫られ恐怖する受け様は憐れです。
何か女性に以上に好かれてしまう呪いでもかかっているかと思える展開。

そんな受け様は会社の先輩に日頃のストレス解消にと連れて行かれた場所は女装ゲイバー、
綺麗に着飾った女性が沢山いるのに、いつも女性相手での悪寒もなく、全員男だと言われ
納得してしまうが、そこで見かけた一人の美しい女性に目が奪われてしまう。
それは店のオーナーの攻め様で、互いに一目ぼれ状態のように惹かれあう。

会ったその日に二人は関係を持つが、それは攻め様が酔った受け様に更にお酒を進め
媚薬入りの潤滑剤まで使い、いつもの自分とは違うような興奮状態で受け様をモノにする。
攻め様と受け様のHは、攻め様が絶世の美女で女装をしているのに、受け様を犯す感じは
何やら倒錯的、イケないことしてる感じが倍増してます。
それでも一夜を共にしたからと言って直ぐに恋人にはなれない攻め様は既に受け様に対して
自分でも制御できない程のめり込む感じだが、受け様が何処かでブレーキをかけてる。

それは受け様が毎夜見る夢と本人無自覚で関係があるのですが、その夢はなんと攻め様も
幼い時から見ていた夢と酷似していて、何か因縁めいた繋がりを感じさせる。
千年にも及ぶ情念が、次代を越え転生輪廻し二人の関係を狂わせていく。
ファンタジーと言っても怨念系の作品なので明るさはないけれど、人は何処まで愛を
貫く事が出来るのか、愛に狂った魂はどうなるのか?そんな風合いのストーリーでした。
命と隣り合わせのような情念が怖くもアリ、切なくもアリ、個人的にはアリな作品で
かなりドキドキしながら楽しませて頂きましたね。

4

まさに地獄の果てまで追いかける

今回も超ヤンデレが登場しました!!
女性に追いかけられる悪夢から女性恐怖症になってしまった、容貌の整ったイケメン会社員・裕一と、
女性になって一人の男を追いかける悪夢を見るゲイバーのマスターでこれまたイケメンの男・呉葉(店では牡丹)
この二人の出会いから何気に色々と予想は出来てしまうのですが、それを魅せる執着の心情やシーンが実にハラハラものでとてものめり込むように読めてしまいます。
またまた便利な言葉「運命」を持ってきてしまうと元も子もないなのですが、それでも充分に"執着”という情念を宮緒流に見せてくれたのではないでしょうか?

烏帽子をかぶった男が髪の長い女に追いかけられ殺されそうになる。
そんな悪夢をずっと見ていた為に極度の女性恐怖症になった裕一だが、かろうじて離れていれば会話くらいはできるまでになり会社の営業として働いている。
そんな彼に執着を示し、言い寄ってくるのが社長の娘の美香。
恵まれた外見もあいまって、理不尽な言いがかりを受けることも多く、そんな時さりげなくフォローしてくれる先輩社員がおり、彼に連れられて訪れたのが女装ゲイバー。
そこで絶世の美女となっているオーナーの牡丹と出会う。
牡丹は裕一を一目見た時から彼に執着を覚え、クスリを盛りお持ち帰りし、一晩を一緒に過ごすのです。
その晩、乱れた裕一だが不思議と悪夢にうなされることもなく、二人はそのまま恋人となることになるのだが・・・

もう筋には触れますまい。
悪夢に悩まされているのは裕一だけではなく、牡丹(呉葉)もだったということ。
それが前世の記憶に繋がるというファンタジー要素もあり、何だか源氏物語も思い起こさせるような~

呉葉の執着が激しくなっていくのが見ものです!
こんなではいけないと思いつつ、夢の女と同じになっていく。
クライマックスは呉葉だけでなく、女性である美香も含め、その執着はまるで鬼か!!と思うくらいに凄まじく、背筋がゾゾーっとします。
これ、これです、宮緒作品の好きたるゆえん。その激しさの部分の暴発。

そして結末。
決して同情や憐憫ではないと思うのです。
解き放った、切り捨てることができた、怨念を調伏できた、というのでしょうか。
それが一途な愛情というところが、この物語を素直なハッピーエンドのラブの物語にしている部分だと思われました。
そんな、ヤワな。と思うよりも自ら望んで堕ちるというよりは、納得の上二人で一歩踏み出すという結末だったのだと思うのです。
その分、甘さが増したような~

かなりファンタジーではあるのですが、今までの宮緒作品の色々な部分が入ったバラエティな物語ではなかったか?と。
面白さ、という面で評価したいかな?

7

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