再会からはじまる、迷彩色の恋模様!!

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表題作カモフラージュ ~十年目の初恋~

遊佐春暁 自衛隊員 26歳
浅倉理央 春暁の高校の先輩で自衛隊医官 28歳

その他の収録作品

  • 十一年目のすれ違い
  • 二週間の遠恋
  • あとがき

あらすじ

海外派遣から戻った自衛隊員の春暁は、駐屯地で新しい医官を見て驚いた。
それは甘く苦い初恋の先輩・浅倉だったのだ。
高校時代とは別人のような毒舌にたじろぎつつ、浅倉を目で追う日々。
そして意地悪に見えて隊員思いなその優しさに気づいたころ、
浅倉から「十年前、逃げてくれてよかった」と言われる。
ショックを受ける春暁だったが、災害救助に浅倉とともに出動して……?

作品情報

作品名
カモフラージュ ~十年目の初恋~
著者
いつき朔夜 
イラスト
香坂あきほ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403523373
3.1

(6)

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萌々

(2)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
18
評価数
6
平均
3.1 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

ヘタレワンコは「港」になるv

隠した本音、そして自衛隊の迷彩服、題名のカモフラージュは上手い事掛けたなと読み終えて思いました。
そう、今婚活で大人気の自衛隊♪ガチが多いと噂の自衛隊、タンクが人気の自衛隊、火力演習が大人気の自衛隊、、、私の大好きな自衛隊♪
すみません、、、でもね、そんなにがっつりでもないのでご安心を。
九州のとある駐屯地が舞台、そこでの隊員の日常や行事も交え任務の中から、きちんと主人公達の「恋愛」のお話として成立しております。


自分の店(飲食店)を出すのが夢で、手っ取り早く堅実に金を貯められるということでその為に選んだ職場が自衛隊という春暁が主人公。
彼の所属する駐屯地に高校時代、ほのかな気持ちを抱き苦い思い出になってしまった部活の先輩・朝倉が医官として赴任してきたのでした。
10年ぶりに会った朝倉はきれいな顔に似合わず、キツい口調で春暁に対応し、春暁は除隊まであと少しだからと、彼に近づかなければいいのだとやり過ごそうとするのですが…

高校時代、朝倉にタオルを借りてそれを返そうとした時欲情してしまい、それを見られたと思い逃げ出してしまった過去。
別に初恋が再燃した、というわけではなく、最初はその気まずさが優先です。
だけど、気になる相手である事は間違いなく、ついつい彼の様子が気になってしまい、梅雨時期の朝倉の体調の悪さを心配してそっと食欲がわく特製ドレッシングを作ったりとか、なかなかに密かに健気なのです。
朝倉も、そっけない態度をしていますが、春暁が実弾演習で頭を撃たれたと勘違いして飛んでくるところなど、間違いなく自分を意識しているよね?と春暁の確信となっていくのです。
そして、もう一度きちんと最初から大人同士として関係を築き上げたいと思うのです。

店を開くために除隊することは決めていましたが、朝倉が隊にいることで気持ちがゆらぎますが、災害救助に出た時に救助対象の民間人より朝倉を守りたいと思ってしまった事から、はっきりと決断するのです。

春暁、実に過去から現在を通してヘタレワンコでした。
最初の登場では、そこそこ男前。目標があって人づきあいもよく、そつなくこなし上官からも昇進を勧められるほどですから、男前なのかな?とても良い人なのかな?と思ったら・・・ゾクゾクと、彼のヘタレが見えてくる(笑)
好きな人に対してはそうなっちゃうみたいですね~♪

一方朝倉はツンデレさん。
でもとてもしっかりしています。
こんなヘタレワンコの朝倉のどこがいいか?と思えば、やはり強気で来ている人ですから優しい人がいいわけですよね。
ヘタレワンコは癒しの対象になりますよ♪

自衛隊というと、転勤が多いですよね。
秘密任務も多く、同じ隊にいればそれでもですが、互いに転勤したら会うなんてそれこそ七夕みたいになっちゃう?
だから春暁の一処に腰を据えて、彼を待つ「港」となることは二人が恋人を続けていく上では最善かと思います。

【十一年目のすれ違い】
は、そんな朝倉が突然音信不通になってしまうそんな時を描いています。
自衛隊にいたから、その内情はわかるけど、待ってる身は心配ですよね。
でも待っている人がいるから帰って来てくれる、帰って来てくれる人がいるから待っていられる。
そんな甘い話しだったと思います。

【二週間の遠恋】
これは十一年目のすれ違いで、特別任務に朝倉が出ていた時の朝倉視点です。

自衛隊という特殊な環境が舞台ですが、非常に馴染みやすい話しとして出来あがっていたと思います。
春暁が、隊では標準語なのに、除隊したら方言なのが甘えん坊な雰囲気が出ていてよかったと思います。
誠実ないつき作品、という感じそのままでした。

4

10年前の初恋が今も変わらずそこにある

自衛隊を舞台にした10年再会ものラブ、高校時代2学年上の部活の先輩相手に
欲情を伴う恋をした攻めになる遊佐。
でもそれは自分でも信じられない程羞恥を覚える出来事でもあります。
純粋な憧れだと思っていた相手、怪我をした時に手渡されたタオル、
憧れの先輩のものが欲しいと、本当は好きだと告げたい思いが膨れ上がるが
ヘタレなところもあるので、手渡されたタオルが欲しいと伝えた時に先輩の姿を見て
若い下半身が反応してしまい、その反応を先輩に見られ羞恥で逃げ出してしまう。

思春期真っ盛りで劣情まで覚え更にそれを好きな人に気がつかれる。
お年頃なら逃げ出しても仕方ない出来事。
そんな相手と10年ぶりに再会、それも自衛隊で期間自衛官と階級が上の医官としての
出会いで、懐かしく先輩と呼びかけてしまうが、相手から上官として叱責を。

過去のクールだけれど優しかった先輩が毒舌で怖い上官として現れ、気安く近づくことも
話しかける事も出来ない、学生時代も遠かった人がまた一段と遠い相手に。
初めは気まずさから逃げる事だけ考えていた遊佐が、気がつけばいつも目で相手を追う。
再び10年前と同じ相手に惹かれてしまう。

ヘタレな遊佐と意地っ張りで強気な理央との再会ラブは遊佐が怪我をしそうになった時に
やっと思いが通じ合うかと思われるが、そこでまたヘタレ遊佐が逃げ腰になる。
でも今回はそんなヘタレな展開にはならない、遊佐が頑張りツンデレ理央を
手に入れるストーリーです。
描き下ろしでは遊佐は自衛官を辞めて昔からの夢だった店をオープンさせたりして
自衛官の理央との間に自衛官としての守秘義務や忙しさでなかなか会えない二人が
すれ違いそうになる話と、理央視点での短編、遊佐が理央と連絡が取れなくなった
2週間の出来事が描かれていて、実はめちゃめちゃ甘い二人だと思える作品です。

3

絵は大事

 いまさらなんですが、絵の力って大きいな、って思います。1冊の本を購入するかどうかで迷うとき、最後の決め手になるのははたいてい絵だし、作品の評価をするときも、ついつい絵の方に引きずられてしまうことが多々あります。もちろんそれはプラスとマイナス、両方向あるわけで。

 本作の場合、残念ながら後者でした。表紙からしてどう見てもこの抱き合う2人が自衛官(攻め)と医官(受け)には見えない。最初は自衛官の方を医官と取り違えていたほどなので。香坂さんの絵って、クールでスタイリッシュな感じなので、普通のリーマンもの、もしくは夜のお仕事の皆さんだとすんなりはまる。バーバラ片桐さんの「おっぱいミルクシリーズ」とか、栗城偲さんの「おっぱぶシリーズ」とかだとよくお似合いだったんだけどな。(おっぱいに特化しろといってるわけじゃありません、たまたまです・・)
 でも同じ業界ものでも、自衛隊ははっきりいって目指す方向性が真逆だと思う。汗や土埃や硝煙の臭いがこの絵からは全く立ちのぼってこない。いくら迷彩服を着せても、ホストか芸能人のコスプレに見えちゃう。(ついでにいえば、口絵の2人も高校生には見えない)以前鈴木あみさんの「恋と戦争」の時も、せっかくのコスチュームロマンなのにがっかりさせられたので、そもそも、非日常な世界をいかにそれらしく描くかということにあんまり興味のない絵師さんなのかもしれません。

 作品自体は、さすがにいつきさんのお仕事もので、相変わらずよく書き込まれています。普段あまりご縁のない世界をのぞき見させてもらっているようで楽しかったんですけれどね。ただこれは単に私のわがままですが、お気に入りのカプだと、本を閉じた後もその後の2人の関係の進み具合とかをあれこれ妄想するのが好きなので、そのとき脳内に浮かぶ画像はイメージ通りのビジュアルであってほしいんです。最近では彩さんによる「ブライト・プリズン」の美形集団とか、笠井あゆみさんの「蜜を喰らう獣たち」のお三人さんとかがもうイメージそのもの、いやそれ以上で激しく萌え狂わせていただきました。ホント、絵の力ってすごい。

1

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