高遠琉加が贈る大人気ミステリーシリーズ、待望の完結巻! !

小説

  • ラブレター 神様も知らない(3)

ラブレター 神様も知らない(3)

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表題作ラブレター 神様も知らない(3)

加納慧介,28歳,刑事部捜査第一課刑事
音澤司,26歳,花屋(ガーデナー)

同時収録作品ラブレター 神様も知らない(3)

時永佐季,26歳,モデル事務所社長
音澤司,26歳,花屋(ガーデナー)

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

美貌の青年社長・佐季(さき)の周囲で起きた数々の不審死──。13年前から幼い佐季が重ねた犯罪が、徐々に明るみになり始める。そんな佐季と強い絆で結ばれつつ、人目を忍び隠れた共犯者として生きてきた司(つかさ)。けれど刑事の慧介(けいすけ)と共に青空の下を歩きたいと願う今、もう協力はできない…。永い執着と新しい愛の狭間で司の取った選択とは!? 罪を犯した青年と愛ゆえに追い詰める刑事との恋の終着点!!

闇夜に生きる男か、陽の似合う男の手を取るか…シリーズ完結‼︎

作品情報

作品名
ラブレター 神様も知らない(3)
著者
高遠琉加 
イラスト
高階佑 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
神様も知らない
発売日
ISBN
9784199007316
4.3

(94)

(69)

萌々

(10)

(5)

中立

(3)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
23
得点
403
評価数
94
平均
4.3 / 5
神率
73.4%

レビュー投稿数23

大人ミステリー完結

シリーズ1作目から読みごたえがあった本格ミステリーのラブもの。
次はいつ出るのかと首を長くして待っていた甲斐がある程に面白かった。
サスペンスドラマ風でありながら軽さが一切無くて作中にどんどん惹きこまれる。

13歳の夜から始まった司と佐季の物語、骨太ミステリーで、
絶対ありきたりなハッピーエンドな展開にはならない、なりようがないと思いつつ
目が離せない作品のラストはそれでも事件解決後のラストとしては最高だと
感じるものになっていて、闇に飲みこまれた佐季と佐季の光でもありながら
共に孤独と闇に飲みこまれてしまった司。

司には慧介との出会いがあったことが、結果的に光へ戻る道標になっているが、
佐季は、どこまでも司を求めながらも闇から抜け出せない、
佐季のラストはもの悲しくて、それでも刑事の流の腕の中で人の温かさを
最後に感じる事が出来た事が少しだけ救いだった気がしました。
タイトルの意味がラストでとても心に残る意味を見いだすことになっていて、
神を信じない神を司から取り上げた佐季が最後に神に願う姿が切なくて悲しかった。
みんな幸せハッピーものではないけれど、出会えてよかったと思える作品でした。

14

それぞれの祈り

この結末しかないだろう……そうは思っていた。
でも切ない。

続刊を楽しみにしていた読み応えのあるサスペンスロマン、
「神様も知らない」「楽園の蛇」に続き、ついに完結編。
最後まで目が離せず一気に読み進めたが
近づく悲劇の足音に、ざわつく胸を押さえらずに読んだ。

 *前巻までの内容は記しますし、「ネタバレ」表示にはしますが
  この3巻の展開に関するネタは、やはり実際に読んで欲しいので
  明かさずに書きます。



横浜山手の高級住宅地、広い庭のあるお屋敷で一人花屋を営む司。
決して誰にも明かさないが、マスコミを騒がす美貌のモデル事務所社長佐季は
共に重大な秘密を抱える幼馴染みで、唯一無二の存在だった。
肉体関係もあるが、決して日の当たる場所では会う事ができない二人……

犬の散歩を通じて偶然司と知り合った、刑事の慧介。
お互いに惹かれていく司と慧介……

一方慧介の先輩に当たる一匹狼のような流刑事は、
13年前、少年佐季の運命を変えた事件を今も追っている。
その執念とも言える思いの意味が、胸を締め付ける。

前巻は、司の前に13年前の事件で死んだ女の息子が現れ、
4年前長野の別荘地で起こった事件の報道をみた流が
休暇を取って急に長野に向かうところで終わっていた。

小さなほころびが、いつか人目にもつくほころびとなり
それを繕う為に、またどこかに歪みや傷が出来て行き……
華やかなクリスマスを舞台に、事件は怒濤の終焉を迎え
佐季と司、司と慧介の関係も、変わっていく……。



前巻まで、BL的に一体誰と誰がカップルなのか確信を持てずに
読んでいたのだが、それは私の希望だったのかもしれない。

個人的に佐季に思い入れて読んでいたので、
予測のつく慧介と司という組み合わせに、
抵抗したい気持ちがあったのだと思う。

そういう意味で最後の結末は、予想通りでありながらそれに留まらず
悲しくも救いのあるものだったかもしれない。
ラブレター……
最後にそれを読んでやはり泣かずにはいられなかった。



横浜山手、夜の庭、教会、失楽園……
などのイメージに彩られ、高階先生の美しい挿絵が花を添えている。
バッドエンドではないが、安易なハッピーエンドでもなく、
萌え……とは言えないかもしれないが、深く心をうつ名作です。



13

小説を読んだ、という充足感

もともと、高遠琉加さんの文章は好きです。
この完結編を読むにあたって、1冊目から通して読みました。
小説を読んでいて、ぞくっと鳥肌が立ったのは久しぶりです。
評価は「神」以外にない、と思いました。

ただ、BLを読みたい人に薦めていいものだろうか、とは思う…。
これ、男女だったらベストセラーになるんでは。
わたしは東野○吾の『白夜行』を連想しました。
(パクリとかではむろんなくって、幼いころからの繋がりといったところ)。

秀逸な恋愛ものであり、サスペンスドラマである…
しかしこういう褒め方をされてBL作家として嬉しいものだろうか?
「すみません」って気にもなるのですが。
でも、これを「プロットが行き当たりばったり」(あとがきより)で
書いたっていうのだもの、恐ろしい子!(作家さん!)

無精髭の刑事、流は作者的に受けだそうで。わたしもだ(笑)。
この3冊目で思いがけず美味しいところを持っていったー!
でも、ご本人のBL趣味より作家としての力量が上回ってしまってる、といえばいいのか…

教会での美少年2人の逢引きなど、いっそ耽美的、古典的なエピソードが
作者の手にかかるとお話の必然となっていて…生きたっていうか。嬉しいのだけど、
そのエピもふくめ、お話が「かつて見たことがない」というような話ではないんですが。 でも、読ませる。
…どうにも、どうかいていいのやら~++;

 とにかく神作品だと思う と記しておこうと思いました。

 孤独な迷い子たちが悲しい、魂をゆさぶられるお話でした。

13

タイトルが全て

切なく物哀しいラストでした。(バッドエンドではないけど)こういう結末以外にありえない話だとも思います。でもその表現が高遠さんはやはりお上手なんですよね。腕があるというか。「ラブレター」には泣かされます。読まれる方はハンカチ、ティッシュの準備をお忘れなく。

流と佐季のラストシーンも泣かされますが、佐季の人生に救いがあって良かったなと思えました。それにしても「佐季どんだけ魔性だったんだ」の巻でもありました。一応準主役だけど当て馬の位置の方だと思うんですが、強烈キャラとしてこの巻では佐季の魅力が光ってました。

司の思いも切なかったです。頑なな人ですが、長い時間をかけて慧介に心の傷を癒してもらえればいいなと思います。

11

今回もやはり一巻に戻りたくなり。

涙して読みました。素晴らしいです!

一巻より二巻、二巻より三巻というふうに話はどんどん加速をつけて面白くなります。
この物語は主要人物が三人だと思っていたら4人だったんですが、その誰もが主人公になれるほど皆過去や感情を深く描いてあります。
そのため、台詞の一つ一つ、相手に掛ける言葉一つ一つが感情的で読み手にもずっしりと伝わります。
だから彼らに涙させられてしまいます。
慧介は出生の秘密のせいや司への思いから警察官である意味を自ら問い、母へも“産んで後悔しなかったか”などしたくない質問をしてしまう。
司は慧介との新しい生活に憧れながらもサキとの絆を決して切ろうとはせずサキを救うことに危険すらかえりみない。
流に“蛇は自分だ”と告げサキを絶対に責めない。この二人が絡んだのはこれくらいだったがそのシーンの存在感はとても大きいです。
流もサキを追いながら益々自分の無力さに苦しむ。サキをもっと早く救いたかった、早くやめさせたかったと。
サキの最期を流が見届けたけど、これがせめてもの責任のようで、やはり全ては遅かったという結果のようでもありました。
サキは慧介には酷い言われかただったけど司を利用している自覚がありながらも司を守りたいし繋げ止めたい、本当は独占欲だけだったんだと思います。彼のことを救ったのは子ども時代も最期も司だけだったし、サキにとってはそれで十分だったはず。ちゃんと自分の気持ちは司に届き、司のサキへの執着心も目にしたのだからサキにとってあれ以上の最期はなかったと思います。

本当に素晴らしい物語でした。
これから慧介に甘やかしてもらいながら早く司が心から元気になって欲しいです。夜が来ても辛くならないくらい元気な心になって欲しい。
慧介に“もう大丈夫”だって思ってもらえるくらい。
サキも望んでいるはずなので…

9

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