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全三冊のシリーズ、第一冊目です。レビューの題をどうしようと考えて最初、「bl版の白夜行」にしようかとも思いました。ストーリー構想が似ているということではなく、一つの罪を境に二度と日の光が差す場所では会えなくなった二人を描いていること、作中に漂う仄暗い遣る瀬無さが根底では通じていると感じたからです。
横浜を舞台に花屋(庭師的な花屋)をひっそりと営んでいる司と、新人刑事の慧介、元モデルでいてモデル事務所の社長、佐季節。それに先輩刑事の流。
一見して繋がりのない彼ら四人の運命が、杉本麻里というモデルの転落死から静かに、動き出していきます。
日差しが眩い庭で出会った慧介と司、夜中の暗い庭で佐季を待つ司、半アル中のような流は・・この巻ではまだアレですが、何やら強い思いを秘めている。
bl的な面では、慧介と司はまだほんのりとしたものです。
佐季と司は、セックスの場面もあり、特別な関係であることが分かります。
特別でいて、複雑な関係なのだと。
流(この人が、どんどんカッコ良くなります)が「蛇のしっぽをつかんだ」と言ったところでラスト、蛇のしっぽとは何のことでしょうね?
ところで、この巻を読んでいて夜の庭でコーヒーを飲むのもいいかもしれないと、思ってしまいました。
慧介や佐季のような男性が来てくれるなら、何杯だって出しちゃいますよ。ええ。
電子書籍版を購入。
3巻まで読んだまとめての感想です。
「神」評価です。
神の中の神です。
私の中の最上級です。
思いっきり切ないものが読みたくなって、この作品を手に取りました。
もう、予想以上の切なさ。
いや、切ないとは、違う。
……なんでしょう?
不条理感?
もうね、言葉がでない。
それくらい、心が震えました。
某所で「白夜行」と言われていましたが、まさしくその通り。
緊迫感、
出口の見えない閉塞感、
愛情の一言では収まりきれない二人の関係。
主要な登場人物は、四人。
それぞれの思いが絡み合います。
話の運びに無駄がありません。
3巻まで手元に準備してから読みはじめることをおすすめします。
そうじゃないと、先が気になって仕方がなくなるでしょうから。
はい。もちろん、私も徹夜で一気読みしてしまいました。
しばらく戻ってこれないくらい心が震えたい方には、是非、この作品をおすすめします。
自身が"答えて姐さん"でたてた「伏線の張り方、回収が上手い漫画・小説を教えて下さい」という質問で教えて頂きました。
以前にもこの小説は見かけていて、パッとあらすじを読んで「なんか難しそうだし、BLっぽくないなぁ」と敬遠していたのですが、今回勧めていただいて、よし!と気合を入れて読みました。
あらすじを読んで素通りしていた過去の自分を、助走つけて殴りたいほど強く心を動かされました…
というか、全3巻読み終えた後は、本当に助走つけて殴られたのではというほど衝撃を受けました。
内容を詳しく書くとネタバレになってしまうのが非常に口惜しいところ。
人によっては地雷要素があると思います。
いや、でもこの本に限っては、BLにおける誰が攻めで誰が間男でとかそういうの、全てぶっ飛ばして純粋に、作り込まれたストーリーを楽しんでほしいです。
登場人物のそれぞれの思いが複雑に絡まって、張り巡らされた伏線を綺麗に回収しながら、結末に向かって転がり落ちていくその文章の運びは鳥肌ものです。
自身は、BL小説だからこの本を読んだわけですが、こんなに心を揺さぶられたのに、BLというジャンルであるが故に滅多やたらに人に勧めることが出来ないということがジレンマです。
BLというジャンルに収まっていることが惜しくなる、そんな小説です。
重苦しい事件モノ…なのに個人的に萌えが滾りそうな程詰まっていました。
一巻ではまだ想像に過ぎないけど、過去何かしらの十字架を背負った少年2人の現在進行形な共犯関係は、まるで白夜行か松本清張か?ってくらい哀しい背景がありそう。
このパターンって犯罪ダメゼッタイ!精神が揺らぐんだよ…それしか生きる術が無かったんだ、と思うと犯罪を重ねる犯人に同情してしまうの。
内容を纏められなかったので(汗)箇条書きで印象に残った所を。
佐季の美貌(美貌の犯罪者はヒキが強い)
コーヒーの黒い水面に映った満月を飲み干すと会いたい人に会える
佐季が月なら慧介は太陽
月と太陽の間で揺れる司
切迫した状況なんだけど羨ましい
夜の庭を舞台に少しずつ近づいていく司と慧介…イイ
慧介の誰にも話した事のない出生の秘密(私はご両親の子だと思う泣)
ジゴロ崩れな風貌の流(ながれ)の謎の魅力
慧介とのバディ関係もグッド(慧介が番犬&尻ぬぐい役)
繁華街での大捕物のシーン 臨場感あってカッコよかった 機動隊訓練で鍛えた慧介の機敏さヤバイ
司にハッピーなエンドが待ってるとは思えないのが読んでいてツライ。
慧介は確かに太陽みたいな男性かもしれないけど、司に対してそこまで特別なにかをしているわけではないのに、ちょっとした優しさや反応に一喜一憂してる司はどれだけ日陰で暮らしてきたんだろう、と切なくなってしまう。
佐季に関してはそこまで感情移入しなかったのですが司は…なんか幸せになって欲しいキャラ、出来れば慧介とうまく行って欲しい!と思いながら続き読みます。
*あとがき読まないほうが良かったと後悔。この作品に関してはまっさらな状態で続き読みたかったなあ。
高遠琉加先生、すごい。
時間のある時にゆっくり読もうと思っていた過去の自分に、そんなことはいいから早く読めと言いたくなります。
第1巻を読み終えた今、早く続きが読みたくて仕方がありません。
「気が付いたらあっという間に読み終えていた」感覚に陥りたい方はぜひ。
高遠先生といえば、事件やミステリー要素、謎めいた特殊なテーマを描くのが本当にお上手な作家様だと思います。
全3巻で構成されたこちらの神様も知らないシリーズ。
まず序盤から気になるエピソードが少しずつポツポツと断片的に描かれ、これは何かと関係があるんだろうなと想像をしながら、疑問を浮かべたまま読み進めるわけなのですが…
どこか薄暗いベールに包まれたまま、ひんやりとした一定の温度を保ったまま淡々と進んでいきます。
派手か地味かで言うのなら、大変失礼ながら派手ではない。
けれど、非常に読ませる力があるお話でした。
ミステリーや事件ものって、伏線や点と点が繋がった瞬間が1番面白いと思うんですよ。
それで言うと、全3巻の1巻目にあたる今作はおそらく序章。
点になりそうな部分は描かれていても、はっきりと何かに繋がるようなカチッとはまるものは描かれていないんです。
まだ描かれてはいないのに、謎めいたストーリーと登場人物たち、散りばめられた点の数々にどっぷりはまってしまう。
本当に面白いです。ページを捲る手が止まらないとはこのこと。
BL的にどう…というのはきっとこれからなのかもしれませんし、1巻の時点ではストーリーが面白かったとしか言いようがないのです。
過去に何かがありそうな彼らと広がる伏線が一体どう繋がるのか?
引き続き最後まで追いかけたいです。