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父を亡くしたばかりの航と父のクローンである海里。
話自体はキレイで切ない系で楽しめたのですが、
クローンと言う設定の使い方が微妙でした。
クローンなら血が繋がってるので近親相姦になる訳ですが、
二人ともそこをあまり気に病んでなくて、
不自然だしちょっと勿体ないような気がします。
あと、航にとって海里は海里なのか父の身代わりなのか、
ちょっとは悩んだようだけどそれほどでもない感じで、
それも不自然だし海里の存在意義は?というものも残ります。
感情がある筈の海里が自分はスペアだという事をあっさり納得って、
どうしても消化しきれないものあります。
クローンである海里は処分される事になって逃避行するのですが、
最後、切り札を思い出して助かります。
その切り札の現れ方もちょっと無理があるような。
海里の儚げな性格はツボなのでまた読み返しそうですが、
和泉先生にしてはちょっと、と思うので今回は中立。
先日罪シリーズの新刊を読んで、「やっぱり和泉先生好きだ〜!」と思い、
パスしていた最近の作品を手に取ってみた。
麻々原先生の挿絵も好みだし、ん?クローン?
当たるやら外れるやら?と読んでみたのだが……。
うーん。
正直、作者の新境地開拓とはならず、
何が書きたかったのかよく分からない話だったと思う。
別に話自体が分かりにくい訳ではない。
密に愛していた父親を亡くしたばかりの主人公のところに、
その父親の若いクローンが現れる。
折しもクローンを排除する法律が成立し、
彼はこのままでは「処分」されてしまう。
父親の勤めていた研究所からも追われ、二人は逃げ出す。
その逃避行の最中、身体の関係を持ち、
一緒に生きていく道を探す二人……
「近親相姦」自体は個人的に地雷じゃないのだが、
これはピンぼけというか、その切羽詰まった切なさもないし
クローンくんの存在は、父なのか別人なのかもピンとこない。
そもそもクローンというからには近未来なのかと思うのだが、
描かれる風景はあまりにも日常的で(東海道線、スマホや軽自動車やら)、
これまたピンとこない。
逃避行の経緯も妙にご都合主義で、
これもピンとこない。
かと言って、登場人物に惹き付けられもしない……。
父子の近親相姦、クローン、というネタをちょっと書いてみました、
という感じの安易さに思えてならないのだが……。
和泉先生の作品じゃなければ、そして麻々原先生の挿絵じゃなければ
こんなにガッカリしなかったのかも……。
ということで、ガッカリ分を加えた辛口評価です。