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君によせるブルー(表題作 アザーブルー)

kimi ni yoseru blue

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表題作君によせるブルー(表題作 アザーブルー)

高木航平
都会から来た転校生
星野悠太
小さな島の高校生、クラスメイト

同時収録作品Night & Go

学生時代の先輩
和洋
リーマン、友達に長年片思い

同時収録作品不帰の森

同時収録作品雨のゆめふる

安田礼司
人間の人生の脚本家
瀬川信之
攻が受け持つ対象者、高校生

その他の収録作品

  • アザーブルー 風待ち
  • 君によせるブルー(描き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

小さな島の港町に都会から転校生がやってきた。
人懐っこい性格の悠太は、孤立していた転校生の航平と親しくなる。
大人びた雰囲気の航平に憧れのような気持ちをもつようになった悠太は、ある日、航平が告白されている場面に遭遇する。
そこで航平に好きな人がいることを知り……。

作品情報

作品名
君によせるブルー(表題作 アザーブルー)
著者
青井秋 
媒体
漫画(コミック)
出版社
KADOKAWA(エンターブレイン)
レーベル
B's‐LOVEY COMICS
発売日
ISBN
9784047294349
4.1

(65)

(28)

萌々

(19)

(16)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
12
得点
265
評価数
65
平均
4.1 / 5
神率
43.1%

レビュー投稿数12

不思議な1冊

大好きな作家さんで
作家買いです(^^)

表題作は、高校生のお話。
東京から田舎に引っ越してきた
航平が悠太に一目惚れ。
悠太も戸惑いながら結ばれるお話。
ハデさはなく、ゆったりした
空間で青井さんの味が出てました(^^)
かやいいお話でしたね!

同時収録は、ファンタジーが2本
現代のお話(?)が1本入ってます。

一番良かったのが
同時収録作の「Night&Go」
長年片思いしていた友人が結婚。
その結婚式で
同じく辛い片思いをしていて
同じ境遇から高校時代
お互いを慰め合っていた
先輩と再会するお話。
短いお話だったのですが
とっても良かった(^^)
特に大きな見せ場は無いけど
雰囲気とか良かったです!

残りのファンタジーは、
難しかったかなー^^;笑
狐とお坊さんの話も難しかったし
その後の脚本家の話も難しかった‼︎
けど、脚本家の話も好きでした‼︎

バリエーションの多い短編集で
読んだ後、現実か幻想か
不思議な感じの1冊でした。

5

余韻 一択で

透明感溢れる、非常にリリカルな短篇集。
清明な余韻を楽しむのが第一で、決着が明らかにならなくても頓着しない。
純文学的なといったらいいのかな、
見たまんまエロとは対極の作品たち。
清らかな気分になりたい時はうってつけ。

間違っても、
とにかくエロ!
汁!
ドロドロで、グッチャングッチャンで、ねばねばしたヤツで滾りたいんだよ!
って作品をお探しの方にはお薦めしない。
いや、むしろ、そんなやさぐれた気分が浄化されて、それはそれで効果的かも。

イメージする言葉は「アメリカの夜」
昼なのに夜、夜なのに昼。

1

あとを引く短篇集

どのお話も淡く切なく爽やかな恋物語りですね~。
表題作は哲くん視点ってのがまた面白い。
ファンタジー色の強い坊主と狐のお話は、透明感のある青井さんの作風とマッチしていて良かったけど、ラストの「雨のゆめふる」がとても好き。
ヴィム・ベンダースの『ベルリン・天使の詩』へのオマージュを込めた作品かなと思うけど、時代背景はもっと20年ぐらい前っぽいかな。
キャラが魅力的だからもっと先が読みたくなるんだけど、最後を読者に委ねるような余韻の残しかたは、うますぎて憎い。
脚本家・・・なるほど~と唸りました。

1

NoTitle

相変わらず精妙な線画で人を選ぶ作風、
ストーリー自体はオーソドックスなアオハルなので余計に青井さんの特異な作家性が浮き彫りになってます。

作中でも言われてる通りに船から降りるだけの動作でさえ映画のワンシーンの様だし、
どの登場人物の目にも琥珀や翡翠が埋まっているよう。

好きな作家さんが編集さんに言われたのか売上を気にしてか、
急に小綺麗になって個性を捨ててしまった例を見てきたのでそうならないよう祈ってます。

0

仄かに切ない短編集

自然や生き物の美しさを織り交ぜた話を描く青井秋さんですが、今回は人の心の機微を繊細に描いた短編集です。

表題作『アザーブルー』

東京から小さな島の学校へと転校してきた航平と一番の友達になった悠太。
二人は無人の浜辺で共に過ごすようになり、航平は悠太に惹かれていきます。
くらげが好きという航平。くらげを入れた瓶を通して笑う悠太を見つめる航平の表情がまた良いです。
ある時、航平には好きな子がいると知った悠太は航平とずっと一緒にいられなくなることに一人寂しさを覚えます。初恋も知らない悠太。けれども今は友達と居る方がいいと思っています。

「今は航平と居るんが一番たのしい」

照れくさそうな悠太のこの無垢な気持ちも、航平の恋心も、どちらも本当に初々しくてじんわりと染み入ります。
何事もないような出会いから、二人の気持ちが重なるまでの純粋な恋のお話。


『アザーブルー 風待ち』

好き合う同士となった航平と悠太。けれど二人の距離は相変わらず。航平のことが好きだけれど、どう接していいのかわからずに戸惑うばかりの悠太。大晦日の夜。二人きりで夜道を歩いていると、航平が悠太の手をそっと握ります。
実は航平も同じように悠太のことを意識し過ぎてしまい、自分の感情にひそかに戸惑っていたという。怖気づいていたのは自分だけじゃない。それがわかった時、二人の距離は一歩前進します。

青春ラブストーリーというよりは好きという気持ちの初心を繊細に描いたお話です。
純真で柔らかな彼らの恋心が青井秋さんの美しい絵と相まって実に素敵なお話となりました。彼らの初々しい表情を見ているとこちらも心が洗われるような気持ちになりました。


『Night&Go』

高校時代から友人である久に密かに想いを寄せていた和洋。大人になっても想いを告げることのないまま久は結婚し、その結婚式会場で高校時代の先輩、東と再会します。かつて和洋と同じように実らない片想いをしていた東。そんな辛い境遇から偽物の恋人同士だった過去を持つ二人。五年ぶりの再会した東は、和洋に自らの想いを告白します。

「真似事でも良かったんだよ。お前と居られるのなら」

今と過去を行き来しつつ描かれるお話ですが、東の告白の後から描かれる過去はとても意味を持ったものに変わります。偽物と言いながらも本物だった東の気持ちに触れ、和洋自身も気づかないうちに東への想いが芽生えていたのかもしれません。短いながらも心に残る良いお話でした。


『不帰の森』

不帰の森に住む"狐"は山寺の僧坊、佐彦のことを気にかけていた。
時折会っては酒を飲み交わす仲だったが、佐彦は内臓を患い余命幾許もない様子。
佐彦が病に苦しむある夜「こちら側に来る気はないか」と狐に問われ、応えた瞬間、佐彦の魂は瞬く間に狐に食われてしまう。
初めて食らった人の魂の重さに苦しむ狐。
狐と同化した佐彦も初めて見る世界に言いようのない苦しみを覚える。

今回最もファンタジー色の濃いお話です。
森に住む狐は魂の守人のような仕事をしています。
彼らは人の魂を食うことで、その人間を自分達と同じ存在にする力も持っているようです。その時魂を食われた人間は、自分を食らった妖と同じ世界を見ることになるという。人の身では決して見ることのできない世界が見えてしまうのですね。

脆いだけと思われた人の生が抱える重さ、人とは全く違う世界を生きる妖たちの見てきた世界。狐と佐彦、別々の存在だった彼らが同じものとなり、それぞれが得た言い様のない切なさと苦しさを分かち合い閉じられるお話。
一番短いお話ですが作者さんらしい世界観が現れていて素敵でした。


『雨のゆめふる』

彼ら「脚本家」は受け持つ対象者のもつ可能性からおおまかな人生の路を原稿に書き記すことで、人は脚本の筋書き通りに生きていく。彼らの人生を導いていくのが脚本家の仕事。
脚本家である安田が受け持っているのは瀬川信之という少年の人生。
ある日安田は瀬川の落としたノートを偶然拾ったことで彼と知り合うことになってしまう。
脚本家が対象者と直に接するのはタブー。
しかし安田は瀬川を対象者としてではなく、一人の人間として知りたいという思いのまま、今まで知ることのなかった彼の心の本質へと触れていく。
様々な理由から一人孤独に苦しんでいた瀬川。それは脚本家として安田が書いたまごうことなき瀬川の人生。安田にとってそれは仕事で、そこに感情が介在する余地はない。けれども安田は胸に痛いほどの苦しみを覚えてしまう。
多くの人間の人生を書きながらも、瞬きのような人の生に惹かれた脚本家と孤独な少年のお話。

とある映画から着想を得たというこちらの作品。実は私もこの映画観ていまして、成る程と思う部分もありました。

脚本家の安田が瀬川と出会ったことで今まで目を向けることのなかった人の心に触れ、その複雑で力強い不可思議な存在に興味を持ち始めます。
今まで脚本家であったが故に安田は表情を表に出すということがほとんどありません。
まだ自分の感情というものを上手く表せないのかもしれません。台詞よりも独白が多く、本を読んでいる気分になりました。


『アザーブルー』・『Night&Go』は割とBL漫画的なお話。青井秋さんの絵やお話は好だけれどファンタジー要素は苦手ですという方でも読めると思います。

『不帰の森』・『雨のゆめふる』は幻想的なお話ですが、今までと少し視点の変わったお話です。

どのお話も心にささやかな波紋を残すような、仄かな切なさを帯びたお話ばかりです。
登場人物一人一人の持つ震えを丁寧に描いています。

青井秋さんの作品は、萌えるという要素よりも、物語を楽しみ感じ取るという要素が溢れているように思います。うっとりと静かに感じ入ってしまうのような。そんな魅力を堪能できる作品でした。

今まで出された作品の中で、この本が一番好きです。

4

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