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地方都市にあるご近所町工場の息子同士のお話。
…という文字面だけ見ると、主人公たちは幼馴染とか腐れ縁とかとりあえずは面識はあるのだろうなという気がしてしまうけれど。
理一と真尋はこれまで関わったことがなくて
まるでゼロのところから何もかも始まっていくのが面白かったです。
特に理一の心境の変化はとても大きくて、真尋との出会いが彼の人生をどれほど変えたのかが伝わります。
東京でのゴタゴタからしばしの逃避行のつもりでやってきたのに、ひとつ季節が過ぎたら父の工場を継ごうと決意しているなんて。
こんな分岐点があるとは思っていなかったでしょうが、彼にとってはこれ以上無いくらいの良い道が拓けたのではないかなと感じました。
色んなことがテンポ良く進んでいき、恋の始まりもやや唐突かな?という感じではありますが。
工場の経営も含め常に時間に追われているようなところがあったので、いろんなことをサクサク選択していくのも納得できました。
とても明るいわけでもシリアスなわけでもないお話ですが、穏やかさの中にもしっかりドラマがある展開に引き込まれせてくれた作品でした。
何もかもが好きでした、この作品。
地方都市の町工場の跡取り息子同士。
大きな事件が起きるわけでもなく、華やかな場面があるわけでもなく。
そんなBLなんて地味だと思うじゃないですか。
地味なんですよ、実際。
でもね、そこが良いんです。
町工場経営の現状だったり、田舎特有の人間関係だったり。
シビアな部分があるのですが、敢えてサラッと書くことで、読者に色々な意味での余白を残しているようでした。
一番は奮闘する二人を応援したくなる余白ですかね。
東京でスーパーエリートサラリーマンだった理一は、やっぱりどこでどんな状況でもカッコいいんですよ、…メガネだし。
でも、最初はただのほわほわした男の子だとしか思わなかった真尋が、しっかりと芯のある男なのが、意外でしたが良かったです。
この二人の距離感が、淡々と話が進んでいく中で徐々に近づいていくんですよ。
途中途中で胸がグッと詰まる切なさを伴って。
あーたまんない。
あ、あと大事な登場人物として、真尋のお姉さん。千鶴さんが好きでした。
強引で大胆な反面、神経細やかで愛情深いというなんとも魅力的な女性でした。
読み終わって一番印象的だったのは、文章の中に手触りや温度があったなー、ということでした。
舞台がしっくりと馴染む、というか。
だからキャラが生き生きしているのかな。
改めて一穂先生の凄さを感じる1冊になりました。
イラストの雨隠ギドさん、好きです。
好き作家さん&好き作家さんのタッグマッチでやっほーいwwwだったのですが、攻めがなんか小説とイメージが違いました。
受けは文句なしに可愛い!さすがギドさんwww
でも攻めは小説だともっと大人でしっかりとしたカッコイイ社会人なのだけど、イラストはヒョロ長陰気インテリ大学生っぽい感じ。
この体格じゃ受けをお姫様抱っこで運ぶなんて芸当はできそうもないです。
でもストーリーは良かった~wwこんな社会人ドリーム大好き!
毛糸工場はイマイチわからないけど、シャツ会社は絶対に伸びます!!だってドリームですから!伸びまくって業界でも話題になって海外からも取引依頼が来てウィンウィンです!だって攻めはスーパーサラリーマンだった人だし!理数系経営者だし!そこへ受けの感性が入るのだし!きっとビッグなシャツ会社に成長していきます!
やっぱり未来が輝いてるっぽいストーリーは大好き!
あ、それと今回も登場した女性。受けのお姉さん。素晴らしかったです!
生き生きとしてた。
攻めと焼き肉を食べに行くのに、厳選した結果お姉さんがワンピースを選んだ理由が素敵でした!
私にとって一穂ミチさんの作品は「中立」か「神」に二極化することに最近気づきました。当たりハズレが大きい。で、今作は残念ながらハズレでした。
理一が真尋を恋愛対象として好きになった理由が全ッ然、本当に、1mmも分かりませんでした。そんな切欠になるようなことあったかな?と思ってところどころ読み返すも、やっぱり分からず。
自分の身に置き換えて考えて。二十数年ぶりに会う父親とやたら仲の良い近所の青年…幼馴染になっていたかもしれない年下の彼。自分も相手もノンケで、どちらかが(同性を惑わすほど)美形というわけでもなく、特に艶っぽいやり取りがあったわけでもなく。
BL作品を読んでいると「受は女の子で(or 女の子の方が)よくない?」と思ってしまって萌えないことはたまにあるのですが、この作品は「受が女の子でもこの展開で恋愛にはならんだろう」と思ってしまって、とにかく腑に落ちませんでした。
溶けそうに灼熱だった暑さも過ぎましたようで、雑誌の中は早くも秋服ですね。秋に向けていいbl小説はないかなと探している方、一穂ミチ先生は有名だから読んでみたいけど、小説あんまり読んだことなくて〜と迷っている方に私がオススメしたいのが、「甘い手、長い腕」です。
攻めは一流企業を辞めて、約四半世紀ぶりに再会した父親のシャツ工場を手伝う、理一。受けは毛糸工場の息子で編み物男子の真尋です。
真尋は素直で人懐っこく、理一にとっては他人同然な父親(入院中)とも息子のように親しくつきあっています。
シャツとセーターのようにタイプの違う二人の微笑ましいラブストーリーで、視点が理一の「甘い手」と、真尋視点の「長い腕」に別れています。
全体的に会話が多いので読みやすいと思います、かといってスカスカのへぼさは微塵もありませんし。
個人的に真尋がとても魅力的に感じました、彼は毛糸をこよなく愛して、オリジナル毛糸を作り出すために奮闘します。編み物教室もやっているんですよ。
イラストは雨隠ギド先生、可愛い表紙がストーリーとマッチしてます。
¥605のお値段より遥かに楽しめる一冊ですよ!