お前に会わなければ知ることもなかったのに…

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表題作地上より10センチ

瀬田基樹・高校生
亮・高校生

同時収録作品青に溺れる

青山薫 中学生~社会人
博久 中学生~社会人

同時収録作品妄想の中の淫らな君

その他の収録作品

  • 17の距離
  • おまけ
  • あとがき

あらすじ

出会いは衝撃的だった——。一匹狼の亮は、自転車で同級生の基樹を轢いてしまう。それ以来なぜか「好きだ」と基樹に付きまとわれるが、ケガをさせた負い目から無下にできずにいた。最悪な家庭環境から悲観的だった亮だが、基樹と過ごすうちに世界が変わっていくように感じはじめて…。ほか、恋した同級生と再会する「青に溺れる」などを同時収録。透明感のあるセンシティブ・ラブ

作品情報

作品名
地上より10センチ
著者
日野ガラス 
媒体
漫画(コミック)
出版社
フロンティアワークス
レーベル
ダリアコミックス
発売日
ISBN
9784861347184
3.8

(37)

(7)

萌々

(20)

(7)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
139
評価数
37
平均
3.8 / 5
神率
18.9%

レビュー投稿数5

切なさはやがて…

『地上より10センチ』
『17の距離』(描き下ろし)
学生×学生
『青に溺れる』
元同級生同士。
『妄想の中の淫らな君』おまけページあり。
学生×学生。
3CP、3作品収録。

ドキドキ最高潮から余韻を静かに残しながらアウトしていく。
日野さん作品は、二人の関係が進展していくまでの心理描写が切なくも素敵で美しいんですよね。
その点も踏まえて日野さんの持ち味が生きた作品だと思います。
恋するきらめきや葛藤、様々な感情の瞬間を切り取って凝縮させたような印象を日野さん作品からは毎度感じますが、今作はそれがより強いものに思えました。
恋する美しさの中に、刃物の先っぽみたいな鋭さも兼ね備えているのですから読み手側も心を揺さぶられますね。
センシティブさはもちろんのこと、その繊細さの中にあるエロスだからこそ切なさや背徳感をより一層覚えずにはいられないんでしょうね。
綺麗だからこそ、いけないものを見てしまったような感覚にこちらもなってしまいます。
もっと読みたい!! もっと日野ワールドに浸かっていたいと思うけれど、二人の未来は微笑ましい希望に満ちていると感じられるラストだからこそ読後の余韻は心地良いものなんでしょうね。
個人的には、収録作品の中でも一番長い『青に溺れる』が特に好きです。

2

変えられない想い

表題作「地上より10センチ」

この題名の意味は最後に出てきます。
なるほど・・・と思いました。
言われてみると、そういうイメージわかるな・・・と。
家庭内のごたごたから、周りとの接触を拒んで人と触れ合うことを嫌い
いつも一人でいた亮。
学校でも孤立し居場所がない亮の前に突然現れた基樹に好きだと言われ
少しづつ亮の世界が変わっていく。

基樹が現れたことで、頑なだった亮の心が少しづつ溶かされていく様子が
短いながらも丁寧に描かれています。
高校生の多感な時期に、家庭不和という不幸な状況でありながら
なんとか自分を保とうと必死な亮を、心から愛して支えていく基樹の姿に
読んでいて、気持ちが暖かくなりました。
出会い方は事故のようなものでしたが、実は前から亮のことを見ていた基樹
そして、ずっと好きだった亮を自分の力で心開かせ振り向かせたのには
「愛の力なのか・・」と、どっかで聞いたようなセリフを呟いてしまいました。
イメージで判断されて孤立していた亮のことを
正面から真っ直ぐ見ていた基樹だから、亮も基樹のことを
真っ直ぐ見ることができるようになったのかな。
悲しさや寂しさから解放され、一人じゃないと実感し
こんな幸せな気持ちになった時に、「地上から10センチ」
ふんわり浮いている・・・そんな感覚。
「17の距離」これも良かったです。
短いですが二人の幸せが詰まってます。
驚いたのは、基樹が攻めだったこと・・・
私はてっきり亮のほうだとばかり。
それこそ、イメージですね。

「青に溺れる」
どちらかというと表題作より好きです。
こちらは中学生のお話ですが、10年後の再会までが描かれています。
同性を好きになってしまったことに、罪悪感を持ち自分を卑下して生きる博久。
好きな相手を想うことで、男として起きる欲望に
相手を汚してしまうと異常なまでに思い悩んでしまう。
好きで好きで・・・10年たってもその想いは変わらないのに
一緒に撮った写真を10年間消せないでいたのに
同性であるということで、自分を汚いものとし追い込んでいる博久は
汚いどころか、人一倍綺麗な心で薫君だけど思い続けて健気でせつない。
ずっと一人でこの気持ちを抱えてきた博久が、
携帯を水没させたことで踏ん切りをつけようとするけど
そこで運命のいたずらが・・・

同性を好きになるということが、こんなにも苦しいことなのか・・・
1人で悩み苦しみ、誰にも言えずその悩みを抱えて生きる辛さ。
好きすぎるがあまり、相手を汚さないように大切に想い続けると言う選択。
最終的には、その10年間自分が守ってきた想いが
薫によってガラガラと崩され、思ってもみなかった展開・・・
と感じたのは、博久本人だったと思います。
すべてをぶち壊されたことで、今まで自分の心だけにしまっていた薫への想い
「10年分の好き」を打ち明けられたことで
読み手がほっと安心できるようなラストを見ることができました。
ドSな薫をあそこまで夢中にさせるとは、10年の執念はすごい・・・

2

胸を抉られる繊細さ

日野ガラスさん2冊目ですが、言葉選びがやっぱり強烈。
これもモノローグにやられまくりました。
言葉の組み合わせ方がいちいち好みなんですよね。
表現そのものに鳥肌が立ちます。

3つのお話が入っているんですが、表題作よりも『青に溺れる』がページボリューム的にも全体の約半分を占めていて、一番読み応えがありました。
主人公〔博久〕の10年越しの片想いを描いたお話で、純粋過ぎるがゆえの底のない苦しみにグサグサと胸を抉られます。

同性の友人を好きになってしまったとして、それがせめて「ただ好き」という綺麗な感情だけで留めておければいいのに、欲望と直結している男の身体はそうはいかず勝手に熱を持たせ、そのことが相手を汚しているという罪悪感を生み出し、行き着く先は「自分は汚い」という自己否定。
日野ガラスさんの強烈な表現で描かれると言葉を失います。

「青に溺れる」の本当の意味は最後の最後に。
そのコマを見た瞬間、1話目の同じ日の博久目線のコマを速攻で見返してしまいました。
良かったこれ。
王道中の王道のようなラブストーリーですが、ズトンとハマりました。

表題作『地上より10センチ』は、恋愛の浮遊感を描いたお話で、解りやすくいいお話でした。
日常の雑音を音楽で遮り、すでに人生を諦観している主人公〔亮〕が、気持ちを曝け出してガツガツと自分に踏み込んでくる〔基樹〕との出会いをきっかけに高校生らしい感情を取り戻していく過程を、日野さんの強弱ある心理表現で鮮やかに描かれています。
音楽で塞いだ無音の世界に音が鳴り響く瞬間、という感じでしょうか。
表題ですが、本編は30ページ程の短編です。

描き下ろしの『17の距離』では、亮から基樹に一歩踏み込む瞬間が描かれるのですが、これがまたその一歩がビックリするほど小さくて!
いやー萌えました。

もう一編の『妄想の中の淫らな君』も同じく30ページ程の短編で、熱に浮かされる恋のしはじめを艶っぽく描いたお話でした。
暑い夏の情景描写と重ねて綴られる心理描写がこれまた巧みで、短いながらも惹き込まれました。

いわゆる少女マンガのようなBLはあまり好んでは読まないんですけど、日野ガラスさんはなんだかハマります。

2

日野さんらしいモノローグに溢れてます

全部で3つのお話が収録されています。

どちらかというと王道が多くて、あらすじにするとシンプルだけど、日野さんらしいヒリヒリするような心理描写とか多感なモノローグで綴られることによって唯一無二となる、そんな作品ばかりです。

【地上より10センチ】【17の距離(描き下ろし)】
家庭内不和のせいで頑なに人を遠ざけている高校生・亮視点で綴られた恋です。

臆面もなく好きだ好きだと言ってくるワンコな同級生・基樹に対して、心を揺り動かされないように身構える亮。
だけど基樹の真っ直ぐな心に触れ、戸惑いながらもいつしか頑なな心を段々溶かしていく様子が、「地上より10センチ」という恋をしたときの浮遊感を絡めて綴られています。


【青に溺れる】
何をしても絵になると憧れていた中学の同級生・薫に対して抱いてしまった性の欲望。
そしてそんな自分を汚いと恥じる博久。
深く深くその気持ちは埋めていたはずなのに、10年ぶりに薫と再会して……。

博久の全てを当時から見抜いていた薫。
純な反応をする博久をおもちゃにしている感が否めなかったけど、溺れちゃいそう宣言をしたことだし、これから博久沼にどっぷり溺れればいいと思います。
あ、沼じゃなくて海か。

【妄想の中の淫らな君】
6年間親友でい続けた二人の関係が、夏の暑さで触発されたかのように変化していく様子がいいです。
夏は終わっても、恋の熱さで身を焦がすという終わり方がとても好き。

1

美人受け

うーん全体的にキャラの個性あまり感じられませんでした(スミマセン)
この作品だけなのかは分かりませんが全CP茶髪×黒髪でしかも黒髪が儚げな美人ちゃんで読んでて同じ絵面ばかりでなんかなと思ってしまいました。
私がまだ経験値浅いからこう感じてしまうだけかと思います^^; もっと読んで頑張らないとですね…

「地上より10センチ」
この本の中では一番好きな話でした。
周りから恐れられている亮、彼の家庭環境が複雑で両親の喧嘩に巻き込まれて傷などができ性格が暗くつんけんした感じになってしまったのだと思いました。でもあの家庭環境でまだ普通と言えるような性格な彼がすごいと思います。きっと親に愛されたという記憶とかもないんでしょうね…
それを救ったのが同級生で亮が勢い余って自転車でひいて骨折させてしまった基樹です。
彼のグイグイくる明るさと亮のことをちゃんと理解してくれるところに好感を抱いて救われたのだと思います。家庭にも友達にも見放されていたので分かり合える人が1人でもできたのはとても彼にとって嬉しかったでしょう。2人には幸せになってほしいです。

サイン本を購入したのですが字がまたお綺麗で…普通のサインと言われているサインではなく名前を書かれていたので絵柄のまんまイメージの方だなという印象を抱きました。

1

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