濃厚エロスに包まれた童話世界の芳しき恋愛譚!

人魚姫の弟

ningyohime no otouto

人魚姫の弟
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神71
  • 萌×248
  • 萌20
  • 中立5
  • しゅみじゃない10

--

レビュー数
19
得点
612
評価数
154
平均
4.1 / 5
神率
46.1%
著者
犬飼のの 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA(メディアファクトリー)
レーベル
フルール文庫ブルーライン
発売日
価格
¥650(税抜)  
ISBN
9784040669861

あらすじ

イルカ族の血を引く人魚のリトは、人間の王子グレンに恋をしている。イルカの姿で友達になれただけでも幸せだったが、嵐の夜に海へ落ちた彼を助けたことをきっかけに、どんな犠牲を払っても傍にいたいと願う。報われない恋と知りながら美しい瞳とひきかえに魔女の薬で少年へと変身するが……。表題作のほか、ユリアスとテオの美人兄弟それぞれの初恋を描く「輪」シリーズを収録。濃密エロスで贈る童話世界の匂いやかな恋愛譚!

表題作人魚姫の弟

グレン・クリスチャン・アンデル,王国の第一王子
リト,イルカ族の血を引く人魚王子で人魚姫の弟

同時収録作品銅の足輪~The anklet of bronze~

フェルナン,黒い森に住む悪魔と噂される男
ユリアス,男娼,家出をしてきた兄弟の兄

同時収録作品金の腕輪~The bracelet of golg~

ジークフリート,テオを助けてくれた男
テオ,ユリアスの弟

その他の収録作品

  • 銀の指輪~The ring of silver~
  • 人魚王の息子達
  • あとがき

レビュー投稿数19

童話BL Hでハピエン アレンジが楽しい

二話構成、童話BL。表題より、「輪」シリーズのほうが、私は面白かった。

小川未明童話集の同名の童話「金の輪」ではなくて、グリム童話の「金の斧」のパロディだと思う。「輪」シリーズは、アンソロのお題とあとがきに書いていました、だから制約がある。

▶銅の足輪 :フルエロス
強欲な継母の言いつけで、兄は赤いアンクレット(最下層の男娼の印)をつけて、男娼として働いている。弟を守るために、ユリアスはテオの手を引き森の中へ逃げると、小さな家があって、噂さと狼男が住んで居る・・・
▶金の指輪 :初恋
ユリアスと狼男の結婚
▶銀の腕輪 :音
美しい兄がしていたアンクレットが男娼の印と知らず、脚に付けて町にでたテオが、襲われているところを助けてくれた美男子が、テオにひとめ惚れ。お城に住んで居るというその人と将来の約束を交わしたところで、「輪」シリーズは終わり。

「人魚姫の弟」は、「輪」シリーズと関連無い別の話。あとがきに「助けてくれた美女より、目の前に居る人魚だけを見つける王子様を書きたかった」とありました。
▶人魚姫の弟
泡になって消えた姉人魚の弟は、陸に住む人間の王子と恋をする。魔女の契約を、上手く回避して王子様は人魚族に仲間入り。
▶人魚王の息子たち
---
グリム兄弟が集めて収録した伝承は、皮肉な意味合いを潜めているものが多いのと、原話は非常に残酷で怖い点が特徴です。編集当時の欧州の一般的な生活が飢饉や伝染病で厳しかったから。
「人魚姫」は、作者の自伝、トラウマを持つ人;アンデルセンはバイでした。
1837年に発表した、童話『人魚姫』は、デンマークの作家アンデルセンの自伝。「人魚姫」は、報われない恋親に苦悩するアンデルセンの想いが、悲しい恋物語;人魚姫は海の泡になる;に込められています。
---
★この作品の「人魚姫の弟」は、作者の「こうあってほしい」という願いがこもっているので、ハッピーエンド。

---メモ:アンデルセンについて調べて驚いたΣ(゚Д゚)、私がダメだった「美しい彼」の攻キャラの元祖ネタは、アンデルセンだったかもしれない。

▶NHK/BS歴史館「アンデルセン 童話に隠された秘話」の心理学的解説
番組によると、アンデルセンは、恋した相手に激しく拒絶されていた。
★童話作家アンデルセン:現地読みの名はハンス・クレシテャン・アナスン/ホー・セー・アナスン/貧しい靴職人の子/頭脳明晰だが生まれにコンプレックスを持っていた/昔の民話をアレンジした童話に、自分の体験や社会情勢を基にした創作童話を発表/生涯独身、70歳に肝臓癌で死亡。

★アンデルセンの片思いの相手は、パトロンの貴族の息子:
アンデルセンはパトロンの貴族の息子に「親友として交流したい」と何度も願うが、手紙で丁重に断られる。ラブレターは、長文の自伝。告白を繰り返すアンデルセンの粘着気質をキモがられて破局。アンデルセンは、この恋で体験した恨みつらみを作品に組み込んでいた、・・という内容の番組。

1

おおっ!!攻めの一途さに腹黒さがない!!

2014年刊。
ルビー文庫の官能童話シリーズなら先に一通り読んでいるので、童話モチーフの元祖となる?こちらも読んだ。
この一冊には、幼い弟まで男娼として稼がせようと目論む両親から逃れてきた兄弟の物語『銅の足輪』と後日談、お馴染みの人魚姫を元にした表題作が収録されている。

『銅の足輪』ではヘンデルとグレーテルモチーフだけでなく、ヨーロッパではじゃがいもの普及で飢饉を乗り越えるようになった?という史実も元にした気がする。
多分フェルナンは植物か農業に関する学者なのだろうね。
『人魚姫の弟』もあの悲哀エンドが見事に昇華されていて、これこそ『二人は仲睦まじく幸せに暮らしました』エンドだ。
オリジナル版の人魚姫もこんな結末だったら良かったのにね。
でも、あっちのほうは王子さまが助けてくれた相手を誤解してしまったのが手痛いよなぁ。

件の官能童話シリーズと比べると、こちらは攻め受けの間に背徳関係がない分マイルドでお薦めしやすい。
特に注目すべきは、攻めキャラが受けを想う清らかさ度の高さだろうか。
フェルナンは男娼だった辛い過去を持つユリアスを思いやっているし、ジーク王子は幼いテオを前にギリギリのところで踏み留まっているほうだし、グレン王子は何があろうともリト一筋で通し切った。
そう、今回の三人の一途さには腹黒さがない!!
随分な言い分だが、犬飼さん作品の攻めキャラって大抵執着心が強くてどこか腹黒い考えを隠し持っているじゃないですか!?
…ま、とにかく貴重なんだよ、と言いたいの…

他には人魚とのエッチシーンを具体的に読むのはちょっと抵抗があるな、とかほんの一滴だけの毒味があっても良かったかも、とか感じる点はあるものの、犬飼さんのアレンジ力はさすがだと感じ入るのだ。

2

ファンタジー三部作

うむ。やはり犬飼さんは筆達者だなあと思いました。
おとぎ話にモチーフをとったファンタジー中編が3つ。

男娼だったユリアスは弟のテオを守り育てるが、耐えられず二人で逃げ出す。鬼が棲んでいると噂されていた家にたどり着くが、家人は留守でこっそり入った家にはおいしそうな料理が並び。。
家主は鬼ではなく青々とした髪の農作物研究者。隆々としたフェルナンとユリアスはやがて恋仲となって幸せに。というお話。めでたしめでたし。

その後、弟のテオと、それを助けた白馬の王子の物語もありますが、テオが幼いだけに恋にはならず、将来きっと会おうと誓い合うまでのお話がもう1つ。

最後の表題作が一番波瀾万丈で面白かったです。イルカの王子リトと、友達の孤独な人間の王子、グレンの恋。人間になるために魔女に片目を渡したリトは、身を偽ってグレンのそばに。
やがて二人は恋仲になるが、見合い相手が何かと邪魔をする。しかし二人の愛は深く、何度も助け合って、やがて海で幸せに暮らす。

ストーリーがよく構成されていて読んでいて無理がないし面白いです。
この位のよくまとまった中編を読むのが一番面白いかもと思いました。

1

一部ショタだろー&身体損壊シーンにより中立・・・

のの先生&笠井先生の最恐ペア。
白雪姫の息子で第一ラウンドでノックアウトされた経験あり、
今回も ややドキドキしながら手に取りました。

よかったんですが、下記の点において萌えきらず、中立・・・
笠井先生のイラストは相も変わらず絶好調ー神 ですが、何人かのキャラに同意できず(笑)

1.美人兄弟弟にちょっかいだした王子。
  あんた、やっていいことと悪いことがあるでしょ!
  王子なんだからさ、分別わきまえて振舞ってよね!!!!
  と つい怒ってしまって・・・
  最近 ショタがだめだ と気が付いたんですが、
  あまりの気持ちよさにどうでもよくなってる いたいけな美少年に
  手をだすなっつーの(怒) という気持ちでいっぱいです。

2.人魚姫の弟。せつなかった。
  でも何回も○○のやりとりしないで・・・・・
  ちょっと怖くて どんびき。
  身体損壊シーンもだめなんです(泣)

3.人魚姫の弟さんの想い人の王子。
  王子だろ、孤独なんだかなんだかしらねーが
  イルカだけが友達 みたいなの、ちと情けなくねーか?
  という気が少々・・・・
  純愛にいかないと 話が成立しないのはわかるんだが
  もうちょっと凛々しくあってよ。。。。

ということで、中立。
先生ごめんなさい。

2

甘くも切ないお伽噺

2つの作品が収録されていて、お互いにリンクもしていない全く別のお話なんですが、ファンタジーの要素が含まれていて、童話やお伽噺が好きな方には打ってつけの作品だと思います。
前半には禍々しい空気を漂わせながらもとっても甘い雰囲気のお話が、後半には美しくもどこか切なく哀愁が漂うお話が楽しめました。
主人公達がお互いに寄せる気持ちの強さは共通していて、色々な弊害を乗り越え幸せをつかむ彼らにいつまでも幸福でありますようにと思わず願ってしまいます。
私はどちらの作品も好きだったのですが、特に表題作は哀しさと幸福感のバランスが良かったです。
笠井さんの挿絵が繊細で美しく、作品に素敵に華を添えていました。

3

魔女は変わり者

【人魚姫の弟】の前に【輪シリーズ】が3本収録されています。こういった形の本は初めてでしたが、”読者の心を掴んで離さない!”・・・。心を鷲掴みにされ金縛りにあったように夢中で楽しませて頂きました!その後いよいよ【人魚姫の弟】。私達が知っている人魚姫との繋がりもあり、人魚姫と言えば魔女!魔女とのやりとりも見どころだと思います。読み終わるころに『そうなるんだ・・・!』と感じさせられたり。全体的にしっかり濃いお話しですが、スーッと頭に入ってきて読みやすいです。苦しくなるけどモヤモヤしないステキな小説でした!

3

健気だけど貪欲

とても堪能できましたが、童話世界に乗りきれない部分もありました。
特に表題作の「人魚姫の弟」は、世界観をまるごと受け入れることが難しくてどうしてもご都合主義に感じてしまい冷めてしまいました。
この世界観に入れるかどうかで評価が分かれそうな気がします。

「ヘンゼルとグレーテル」が基になっている兄弟のお話(輪シリーズ)は、生き地獄の生家から必死に逃げる幼い兄弟がとにかく可哀想で救われてほしい一心でした。
なので甘くて安心感のあるハッピーエンドで大満足でした。
ユリアス(兄)と兄弟を匿った男フェルナンの話がメインですが、テオ(弟)と王子ジークとのお話もあります。
この2人のお話は、「テオが大人になったら会いにきてくれ」といった約束を交わして終わるのですが、なんとなく曖昧に濁された気になりました。
なぜなら、具体性のない約束が守られる確率って時が空けば空くほど低くなる気がするからです(その時の2人の気持ちがどんなに堅いものであっても)。
ジークがテオに由緒ありそうな腕輪を託すことで繋がりは残りますが、本当に大丈夫なのかな?と若干ではありますが不安が残りました。

「人魚姫の弟」は、2人が結ばれるハードルがめちゃくちゃ高いです。
2人が添い遂げる形が想像できないので、主人公リトの行動が無謀というか捨て身すぎると思いました。
しかし、それは外野がとやかく言った所でどうしようもないことで当事者にしか分からない衝動なのですよね。
リトの感情に乗れなかったために、”王子とお近づきになれただけでも満足”とならない彼がやけに貪欲に見えました。
お互いを求める気持ちが抑えられない衝動も理解できるけど、あの困難な状況で諦めが入らないのも凄いと思います。
しかし、「人魚姫」をよくぞハッピーエンドで書いてくださったという気持ちもあります。
同時に元ネタである「人魚姫」のお話の持つ美しさにも改めて気づかされました。
悲恋かもしれないけど、不幸ではありません。
愛する人の幸せを守った人魚はさぞ満足だったことだろうと思います。

2

コンセプトの勝利

表紙の絵の美しさと、童話を使った世界観が魅力的。

前半3つ「胴の足輪」「銀の指輪」「金の腕輪」は、
ヘンゼルとグレーテルをモチーフにした物語。
大きな起伏はない話なのだけれど、懐の大きな青髭もいいし
トントンと短いのを生かした話の進み。
ラブラブのお兄ちゃん達はいいとして、
少し成長した弟が白馬の王子さまに出会う「金の腕輪」、
これ、ここでおしまいですか?
どうもペーパーが(未読)この二人の話らしいのだが、
そういうのって、いかがなものだろうか?

後半の表題作人魚王子の話は、悲恋で終わっても良かったのでは?
切なく美しく、山あり谷ありの展開で読ませるが、
最後がちょっと蛇足な感じがしたのは好みの問題か。
「人魚王の息子達」の人魚姦は……なかなか珍しくて悪くないが。

全体には、エロくて心優しいいおとぎ話の趣で
気持ちの良い読後感の一冊。


ところで。
笠井さんの絵はモジャモジャの毛も麗しの人魚もとても素敵なのだけれど、
前半、馬鈴薯が普及する途上のドイツ界隈……と考えると
17~18世紀だろうか、それにしては衣装が現代的と思える挿絵がある。
そこはちょっと違和感があった。
余談だが、悪魔の食べ物と言われたジャガイモ、
裁判記録もあるそうな……、被告:ジャガイモ……判決火あぶり!

5

あまりにもおとぎ話でした

ノミネート作品と言うこととたいへん人気があるようなので、普段は手に取らない設定なのですが、トライしてみました。

2つのお話があって、ひとつは「ヘンゼルとグレーテル」、もうひとつは「人魚姫」を題材にしたお話。
それぞれイメージ通りといった感じで、正直意外な展開もストーリーもありません。
ただ、本当におとぎ話を読んだと言う後味は悪くなかったです。

ひとつめのお話。男娼として両親から理不尽な扱いを受けているユリアスは弟のテオを連れてある日逃げ出します。
森の中で悪魔と恐れられているフェルナンに助けられ、愛し合うようになって…
気持ちが通じあってからほぼ困難なく進んでやや尻すぼみで終わります。

ふたつめのお話。イルカに変容出来る人魚の王子リトは人間の王子グレンに恋して、イルカの姿で悩み多きグレン王子を慰める日々。
アクシデントでグレン王子が海に落ちたところを助けたのがきっかけで、魔女に頼んで片目と引き換えに人間になりグレン王子に仕えることになります。
この導入はまさに「人魚姫」ですが、リトの6番目のお姉さんというのが泡と消えたその人魚姫となっているようです。
お姉さんと違うのは泡と消えず、一度死んでも復活したり人間の王子もリトのおかげで死なずに、結果人魚になったりします。
結果、ハッピーエンドなわけです。

かわいらしい童話を読んだなという感想で、BL小説を読んだ感じがしませんでした。
こういった設定もアリだとは思っているので、悪くはないのですが、ワタシには合わなかったです。ちと残念。


1

なんて読み応えのある短編集!

犬飼さんの作品は、随分前に一冊読んだきりでした。
その時には個人的に合わず、今回もどうしようかなあと思いながらも、笠井あゆみさんの美しい表紙とフルール文庫(意外に自分には合うレーベル)にホイホイされ購入。
しかしこれが!
もっとはやく買って、ペーパーもゲットすべきだったと激しく後悔しております。
ペーパー読みたかったよー!(涙

**********************
カップルは三組。

森の中で一人で暮らす研究家でモジャモジャヒゲのフェルナン×家族を養うために両親によって男娼をさせられていたユリアス。

テオを暴漢から救った王子ジークフリート×ユリアスの弟で兄思いのテオ。

ブロンズの肌を持つフューン国第一王子のグレン×人魚姫の弟でイルカ族の血を引く15歳のリト。
**********************

今作は、三カップルの短編集とでも言えそうな作りとなっています。
『銅の足輪』『銀の指輪』『金の腕輪』はヘンゼルとグレーテルがモチーフで、『人魚姫の弟』『人魚王の息子達』が人魚姫モチーフ。
両方に王子は登場していますが、国が違うのでまったく別ものです。

前半はユリアスとテオたちのお話が収録。
両親によって自分だけでなくテオまでも身売りさせられることを恐れ、とうとうテオを連れ森へ逃げたユリアス。
しかし方向を見失い空腹を抱えたところでたどり着いたのが、フェルナンの小屋でした。
はじめユリアスはフェルナンを森の悪魔だと思っていましたので、せめてテオだけでも命を救いたいと身体を投げ出し抱かれることでフェルナンに許しを請おうとします。
でもね、フェルナンは悪魔ではなく優しい人間の男で、ユリアスに一目惚れしちゃっていたわけですよ。お約束ですが。
でもこのお約束がひじょうに良い。
一見それこそ熊のようなフェルナンが、華奢でフェルナンいわくべっぴんなユリアスを大事に抱き、そして翌朝、嫁に来て欲しいと頼む様がたまらなく萌えます。
もともとヒゲやら体毛やらは大好きな(攻めのね)わたしなのでよけいに(苦笑

そして弟テオのお話はというと、フェルナンとユリアス、三人で暮らし始めて六年の歳月が経っています。
ふたりが仲良く買い出しに出かけ、テオが一人で留守番をしていたそんな時。
ユリアスが以前嵌めていた銅の足輪を発見し、それが安売りの男娼の目印と知らず持ち出したテオ。
そして男に襲われ、結果ジークフリートに助けられ…という展開なのですが、テオが本当にユリアスを愛していて、彼が幸せになったことを自分のことのように嬉しい反面、男娼として働き自分を食べさせてくれていた兄の笑顔の影を知り、体が千切れそうな思いを味わいます。
しかしテオは強いんですよ。
自分にそんな過去のことを知って欲しくないとユリアスは絶対考えているはずと、テオはジークフリートへ語ります。
だからそんなユリアスのために自分は笑顔でいるのだと。
そんなテオの強さとしなやかさに、一気に惹きこまれたジークフリート。
わたしは年の差大好きなため、このお話が悶えるほど好きなんですよー。
しかも寸止め!
なんという焦らしプレイですか、犬飼さん!
ジーク、そこまで手を出したなら良いじゃないかーと思う悪人です。わたしは。
この続きはぜひ文庫で出して欲しいです。
熱烈希望です。
なにやらペーパーはこのふたりだったようで、そちらが読めず本当に悔しいー。

で、最後がリトのお話。まずネタバレさせますね。
アンハッピーが嫌な方も多いと思いますので書きますが、こちらは童話の人魚姫と違ってハッピーエンドとなっています。
まあ、ハッピーの形は色々なのですが、きちんと共にいられるラストです。
もちろん人間の姿になれるようにと人魚姫が自分の声を魔女へ差し出したように、リトも差し出します。
声ではありませんが。

男同士(フューン国は同性愛禁止)であり、自分の本当の姿を語ってもいけない。
そして城へ入る為に魔女が用意した紹介状も、怪しまれず有効なのは春まで。
恋を知るまでは泡となった姉のことを本当の意味で理解することが出来なかったリトも、姉が嫌という程味わった悲しみと苦しみを自身も味わうのだと覚悟しながらも、叶わぬ想いを断ち切れずにグレンの側に居続けています。

この人魚姫モチーフのお話だけは攻めと受けの両視点です。
そのお陰でグレンのリトへの熱情と国を思うその狭間で苦悩する心の内も、ひじょう伝わってきます。
本当は両想いのふたり。でも、環境がそれを許さない。
リトもまた、グレンの幸せを願いながらも、自分本位な希望も捨て去ることが出来ず己を責めています。
わたしはラストを先に確認して(邪道)から読んだので良いのですが、確認せずに読まれてた方はハラハラしたことでしょう。
特にリトが囚われてしまってからは。

本来短編集は苦手で読み応えがないと思うことが多いのですが、こちらの作品は構成も良く一本一本がしっかりしていて、今まで読んだ短編集の中で一番読書した!という満足感をもたらしてくれました。
童話の世界がお嫌いでなかったなら、ぜひご一読ください。

6

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