生前に、凄く、好きな人がいたんだ。

猫の王国

neko no oukoku

猫の王国
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神37
  • 萌×225
  • 萌22
  • 中立11
  • しゅみじゃない4

--

レビュー数
15
得点
362
評価数
99
平均
3.8 / 5
神率
37.4%
著者
犬飼のの 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778124243

あらすじ

猫を助けて死んだ由良が目を覚ますと、猫耳と尻尾が生え“猫の王国"と呼ばれる天国に居た。ここでは猫騎士になれば願いを1つ叶えてもらえるという。自分が親友・泉 貴洋との喧嘩が原因で自殺した事になっていると知った由良は、その誤解を解くため騎士を志願する。騎士学校で由良の専任になった教官のイズミは貴洋によく似ていた。二人が重なり不思議に思う由良だが、イズミは過去を語るのはルール違反だという。優しくいつも傍に居てくれるイズミに次第に惹かれていき…

表題作猫の王国

イズミ、由良の幼馴染に似た指導教官・騎士
森本由良、猫を助けて死に猫人になった高校生

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数15

「悔恨」の物語であると同時に「赦し」の物語でもある

もう凄かったです。
物語としての巧みさにとにかく驚かされると言うか、衝撃のネタバレに悶絶すると言うか。また、そのネタバレからのラストが萌える・・・!
ホント、最高でした。

内容です。
川に流されていた子猫を助けて死んでしまった由良。気が付くとネコ耳と尻尾が生えた姿で「猫の王国」と呼ばれる天国に。
自分が死んだ原因が、親友だった貴洋との諍いで自殺した事になっているのを知り、願いを一つ叶えてもらえると言う「猫騎士」になって誤解を解こうと決意します。
そんな由良の猫騎士になる為の指導教官・イズミは、何故か貴洋に良く似ていて-・・・と言うものです。



まずのっけから、結構切ない展開です。ずっと仲の良かった幼馴染みで親友の貴洋からいつの間にか避けられるようになり、寂しさを感じている由良。
そんなある日、由良が貴洋の事を好きなホモというイタズラの文章がクラスで張られ、動揺した由良は「ただの友達としか思っていない!」と強く否定します。そんな由良に対して、「家が隣なだけで、いつから友達になった?」と冷たく言い放つ貴洋・・・。
その後、流されて来た子猫を助けようと川に入った由良が死んでしまい、「猫の王国」へー・・・という流れです。

こちらの作品ですが、とても可愛い印象のタイトルに反して、実は悔恨の物語でもあるんですね。後悔だったり悲しみだったりと言う切なくほろ苦い心情が世界観と絶妙にマッチしていて、独特な雰囲気を作り上げていると申しましょうか。

とは言え、切ないばかりでは無く、指導教官であるイズミとともに猫騎士になるための修行に励んだり、同じく猫騎士を目指す候補生達から言い寄られたりと、ほのぼのしてたり萌えるシーンも多々ございます。また、候補生達が個性の強い魅力的な面々なんですね。そんな中で、可愛い系の由良はモテモテという設定。

このあたりが個人的にめちゃくちゃ萌えてですね~。
性格も良く男としても魅力的な強力な当て馬・ミケーレと言うキャラがおりまして!
彼から甘く口説かれというシーン自体にも萌えるのですが、それ以上に萌えるのがイズミの嫉妬ぶり。「指導教官だから~」と何かと理由を付けてミケーレから由良をガードしてるのが可愛いったらありゃしない!バレバレですよ・・・。

あと衝撃のラストですが、こちらはネタバレ避けます。
が、お見事な回収ぶりとだけ。
先に悔恨の物語でもあると書きましたが、やっぱりこの部分がひどく切ないです。
貴洋のやってしまった事はとても残酷で、「幼かったから」で納得は行かない・・・。でも、彼のその後の行いを見ていれば、どれ程苦しんで後悔して来たかも良く分かるのです。
なんでしょうね・・・。悔恨の物語であると同時に「赦し」の物語でもあると感じるのです。この部分で、もう涙、涙といった所。
貴洋を許せないと感じる方もおられるかも知れませんが、個人的にはもう十分だと思いました。
また、そう感じさせてくれるお上手なストーリー運びなのですよ( ノω-、)

とにかく、めちゃくちゃ感動しました!

15

取り返しのつかない過去をやり直せるとしたら…。

犬飼ののさんの作品は好きなので大抵読んでいますが、yocoさんのイラストで猫耳&尻尾の挿絵がいっぱい見られるーとウキウキと手に取りました。

他の方もおっしゃる通り切なくて優しいファンタジーでした。

仲の良かった幼馴染と諍いがあった後川に流された猫を助けようとして死んでしまった少年 由良。
自分が原因で自殺したと思い込んだ幼馴染 貴洋。
猫の国に転生した由良が苦しんでいるだろう幼馴染の誤解を解きたくて頑張るんです。

由良に対する貴洋の行為が酷くて、それでも彼を罪悪感から救いたいと努力する日々が健気でした。
同性を好きになってしまったことから起きた由良の悲しみや苦しみが猫の国で癒されていくのが良かったです。
猫の騎士候補をはじめとして登場人物たちが魅力的で萌えました。

好きだった幼馴染によく似た優しい騎士学校の教官との関係がどうなっていくのか、夢は叶うのかワクワクしながら読み進め結末に感動しました。
そして、自分のためではなく他の人の幸せを願う気持ちが尊くて頑張ったみんなの願いが叶うようにと願わずにいられませんでした。

6

これぞファンタジー

作家買い。

作家買いですが、yocoさんの描かれた表紙も、そして帯の「生前に、凄く、好きな人がいたんだ。」の文句も。どれもとても素敵。

で、肝心の中身ですが。
内容は書いてくださっているの感想を。ネタバレ含んでいますので、苦手な方はご注意を。







もう圧倒されました。

素晴らしい世界観。
盛り込まれたギミック。
そして魅力あふれた登場人物たち。

これぞファンタジー。

猫を助けて死んでしまったことで、猫の王国に猫人として転生した由良(猫の王国では「ユラ」という名前に)。その王国で、ユラ専属の指導者になったのが、生きていた時に親友だと思っていたのに最近そっけない態度をとられていた泉。にそっくりな「イズミ」。

読んでいて、イズミ=泉なのでは?と思う。思うのだけれど、でも時系列を考えるとイズミが泉ではありえない。
どうストーリーが展開していくのか、気になってページをめくる手が止められませんでした。

さすが犬飼先生というべきか、最後の最後まで読んで、こうきたか!と唸らされる。

個人的に貴洋がめちゃめちゃツボでした。
「普通」からはみ出たくない。
好きな人に拒絶されたくない。
まだ高校生だった彼が、そう思ってしまうのはごく自然なことに思えました。
そこから彼が起こした行動が素晴らしかった。
懺悔の想い、恋慕の想い。
様々な想いが、彼を突き動かしたのだろう。と。

そして、ユラくん。
良い子過ぎるでしょ。
自分が死んでなお、残された者たちへの配慮を忘れない。

可愛いんです。とっても。
彼の、人を想う優しい気持ちが、このストーリーの基盤になってるんですね。

版元がショコラ文庫、だからなのか、犬飼作品にしてはややマイルドな作品だったように思います。けれど、ただ優しいだけではない。
猫への虐待といった、目をそむけたくなるような事柄もきっちり盛り込まれていて、だからこそ、優しく甘いだけのお話にあらず。
奥行きのある、骨太な作品でした。

モフモフも良いし、時々出ちゃう「ニャ」という言葉も良かった。

イズミ×ユラだけではなく、魅力的な登場人物たちがたくさん登場しています。ぜひとも、同じ世界観で、ほかのCPのお話も書いていただきたい。
個人的に番人さんがめっちゃツボでした。

ファンタジーものって何でもありな世界。
なのだけれど、そこにしっかり根本となる設定があってこそファンタジーという世界観が生きるというもの。

すごく面白い作品でした。文句なく、神評価です。

5

憧れる世界です

凄い世界観!!
ファンタジーのみを期待して読み始めたのですが、単純な話の展開かと思いきや、その真逆!何て綿密に練られた設定なのだと驚きました。

猫を助けたために死んでしまった由良が、猫の国に導かれ、そこである願いを叶えるために、騎士になる決意をする。

騎士になるための学園が男色で溢れていて、色恋沙汰に関心のない由良を、指導教官のイズミがさり気なく助ける様子や、騎士になる意志は強い由良だけど、不安に押しつぶされそうな時に、癒やしとなってくれるイズミの存在が、すごく温かくて幸せでした。
また、由良の「こんな事を考えるのは、おこがましい」といった思考が健気で、育った環境の温かさや、性格の良さか出ているなぁと随所で感じました。
嫉妬や不満がない世界で、この先ずっと幸せなんだろうなぁと思うと、究極のハッピーエンドですね。
また幸せを感じたい時に、再読したいと思いました。

0

各々の願い

読み終えて真っ先に思った感想が「優しい」でした。
主人公の由良が亡くなった直接な原因ではないけど、キッカケの一つはクラスメイトの悪意からだし、それに対する幼馴染の貴洋の態度には腹が立ちました。
しかし読後は、各々の優しさが染み渡るようなお話だと思います。

以下、物語の主要部分をガッツリネタバレ感想なので下げます。












イズミの後悔と苦悩が、すっごく切なかったです。
由良が意識を失ってからの数年、イズミは辛い思いの日々だった事でしょう。
自身が死後、由良を助けるがために騎士になる努力をし、でもそれが間に合わないとなれば、真実を告げずにサポートに徹するイズミ。
由良が真実を知らずにイズミに告白し、好きならそう言って欲しいといった返しのイズミの言葉に涙腺刺激されました(;ω;)
「好き」は言えずに「愛してる」という、言葉の重さというか深みがガツンときます。

騎士になったら叶えられる願いを、イズミは由良のために使い、ミケーレは由良に願いを叶えて貰う権利を譲り、そして由良はいつか自身が騎士になったらイズミにそれを譲ろうと考える。
それぞれの願いは皆、他人の幸せを願うものなんですよね。
優しい選択に胸がいっぱいになります…!

エロは少なめです。
中盤に由良へのイズミのお口奉仕と、最後にH。
普段、漫画なり小説にエロは必要派なんですが、この作品はエロが無くても満足したかも。
たとえエロ無しでも内容がしっかりしてる、素敵なファンタジーなお話だと思いました。

3

猫になって やり直し

表紙買い。早くも今年の№1ではないかと思うぐらい大好き・・空中の浮遊感というか、重力を切っているような感じにうっとりです。yoco先生素晴らしすぎる。
笑うところはあまり無く、せつなめお話280P超+先生のあとがき でした。個人的にやだなと思った箇所は、冒頭にある、高校生たちのLGBTへの偏見的言動ぐらいでしょうか。ちょっと辛かった。それとBL的要素以外の部分で、あまり得意ではない箇所があったため、中立よりの萌です。

小中と仲良かったお隣さんの泉が、高校入ってから何となく疎遠になってきていることに悩んでいた由良。高校の教室でそのことをからかわれ、泉からも手ひどい言葉を投げつけられます。その日の帰り、泉に呼び出された川べりで待っていると、彼女と帰る泉を見かけ、由良は呆然。そのショック受けている直後に、小学生3人が子猫を段ボールに閉じ込め川に流しているのを見かけ、猫を助けようと川に入ったのはいいけれど、増水した川の流れに足をとられ・・・・気がつけば猫の王国 と始まります。

登場人物は
番人(猫の王国で猫人を見守る猫又 表紙の一番右上)、オルカ(猫人、表紙で番人の下にいる子。騎士養成学校の仲間)、ミケーレ(学校の仲間、表紙左上部)、シェリー(学校の仲間)です。

挿絵情報:カラー口絵は二人の着衣キスシーン+しっぽ絡み図♡猫を飼ったことないのですが、じゃれあう時、こんな風にしっぽ絡めるんでしょうか?超絶キュートなんですが!モノクロは全部で8枚。もう1枚しっぽ絡み図があります。お話の方でもしっぽが感情を豊かに表現しているように思えて、しっぽ好きには嬉しい~

****** 個人的に今一つ好きになれなかった部分(かなりネタバレ)



由良が自分が自殺だと思われていることの誤解を解きたくて頑張った結果、起こる事態が苦手でした。いや、それはない と頑なに思ってしまって、いや話成立しなくなるからこれでいいじゃんという気持ちもあり、どうにもこうにもすっきり割り切れず、評価下げちゃって申し訳ありません(泣)
由良ちゃんもイズミも今一つ性格的に自分に響いてこなかった(二人とも善人)のも、ちょっと残念だったかな。しっぽ記載はとても萌えたのですが。
うーん、やっぱりちょっと残念だった。表紙で期待度MAXだったので余計そう思うのかも(泣)

3

可愛いだけではないファンタジー

ファンタジー。
由良くんがいいこで、おぼこくて性格含めてとっても可愛かったです。
時々猫語で「ニャッ」とか出ちゃうのも可愛かったです。
いじめられたりしても相手を恨まないってなんてピュアでいい子なんだ…と。
由良くんの純粋さが際立って、猫耳・しっぽ姿も可愛かったです。

貴洋のした事や行動はいただけないけど、あの年で由良のピュアさに邪な自分の想いを昇華できなかった彼の葛藤を考えると辛かっただろうな・・・と。

死んでしまってるんだけど、猫の王国で、ある意味生まれ変わって幸せになれてよかったです。
返す返すも由良くんいい子過ぎです。

ちょっぴしコミカルなところもあり、そして、謎もあり気になりながら読み進めました。
重い重いとひーひーなりながら番人を抱えて走る姿も、目に浮かぶようでした。

猫の王国、こんなところがあったら素敵ですね。
虐待された猫たちの事を思うととても哀しかったですが、本当に生まれ変わったら次こそは愛されて欲しいなと。
動物虐待についてもすごく考えさせられました。

ミケーレやオルカ達その他のキャラも魅力的でした。

そして、作品の世界観とyoco先生のイラストがぴったりでとっても素敵でした!

3

女王陛下、万能に近いほどの力、っていうか全能すぎ

善良な魂は空に向かい無垢な魂魄として浄化され
意識も何もかも消されてしまう死後の世界

でも猫の王国はとくべつに人間を招くことがある
天国全体は大空で、国は雲の一つに相当する、その独立小国で、少年は騎士を目指す--


なんだか懐かしい感じ
どこかで知っていたような……
と、思いつつ読みすすみ、
むかーし朝日ソノラマあたりで読んだような、
と思いついて気づきました
これは今でいうラノベなのかな?

ずいぶんなほど主人公がいい子で、
登場人物たちが、みな妙に幼く感じることもあるし
剣と魔法の学園ものだし

たぶんあてはめるなら
異世界(異次元)ラノベの仕立てだな、と
BLじゃなくてもいける、というのはありますね

と、いうつもりで読んでも
ついつい引っかかってしまうのはSF読みのくせみたいなもので
イズミが出てくればまずタイムパラドクスが気になるし、

番人の説明には、
それいくらなんでも偶然多すぎ都合良すぎでは
なんて、スカウト率や男子校に皮肉めいた感想をいだく-ようでは楽しめないと思い、

気を取り直して読むと
描写がうまく、細かい設定の組み立てに破綻もなく
恋に修行に日々頑張る少年のお話なのに、どこかふわっとした雰囲気のある印象的なお話でした

そもそもフィクションとして大きな嘘を成立させないほどの小さな嘘はない
のだけど、なんか違和感を覚えるのは
なぜだろう?

とはいえ、
人間を深く愛する女王陛下はご自分の箱庭で、お好みの人間を猫に寄せて愛でている、という精神世界で
結ばれるべき恋人同士は転生の末に相思相愛を叶える
なんて、これぞ天国というものでしょう

作者はこの設定を楽しまれたのだろうと想像しました

※後半から脳内BGM「時をかける少女」がぐーるぐる

2

かわいい!けど、トーンダウン……。

悪ガキのせいで川に流された子猫を助けたせいで、死んでしまった由良。
気づくとそこは「猫の王国」と呼ばれる天国で……ということで「死後の世界」であることは重々承知してたんですね。


そして騎士になると一つだけ望みを叶えてもらえる、ただし生者として戻れるのは一時間だけという厳しい条件だけど、犬飼先生ならではの大どんでんで、もしかしたら、もしかしたら……二人とも生き返ってすべてをやり直すことができないかなぁという薄い望みを抱きつつ読んでいたのだけど……







やっぱりそこは覆らないのですね……。


私はこの世で結ばれてハッピーエンドになってほしい派なので、いくら本人たちが幸せそうとはいえ、死後成就でめでたしめでたし……というのは、読んでて心が萎れました。

もし由良が天涯孤独ゆえに遺された人々の悲哀といったものが描かれていなかったら、多分、あぁ結ばれて良かったなぁって思えたと思うんです。

だけど、由良が自殺したと知って半狂乱になる母親、遺された側の苦しみといったものが描かれていて、そこに気分がシンクロしてしまった。

本当は猫助けの末の溺死なのに、攻めとの諍いが原因の自殺とされている。
だから自殺ではなく「とある女性と添い遂げて幸せになるための失踪」と書き換えるべく、由良は必死に頑張るのだけど、自殺よりも失踪のほうがマシなのか?と。

この世のどこかで生きててくれているという希望を持たせるための優しい嘘ではあるのだけど、自分だったら、どこ歩いててもあれ?息子かも?と探してしまう。
いつか戻ってくるかも……と期待を捨てきれない。
電話がかかってくるたびに、もしや?!とドキンとする。
会いたいな……なんで手紙の一つもよこさないんだろう……なんで打ち明けてくれなかったのか‥‥そんなに信頼されていなかったのか……嫌われていたのか……と涙にくれる。

残された側としては、終わりのない地獄だなと。

そして個人的には攻めよりも、ミケーレの方がいいなと思ってしまった……。


良かった点は、あちこちに散りばめられたネコ萌え。
時々「ニャッ」と猫語になってしまったり、ラティーノ系イケメン猫人なのに、白耳でおまけに耳の内側がピンク色描写とか読んでてたまらなかったです。

2

思いもしなかった結果と後悔と



高校2年になる直前、増水した川で流されている猫を助けた森本由良(受け)は自分は溺れて死んでしまいます。
気づいた先は猫の王国。猫を助けた無垢な魂が生前の記憶を残したまま送られ猫人として幸せに暮らす天国。
猫人となった由良はユラと名前を変え、のんびり暮らすか女王陛下の騎士となるか選択を迫られます。騎士とは人間に虐待された猫の怨念の集合体から猫の国と女王陛下を守る役目を負った猫人のことです。騎士になると女王陛下からの褒美になんでも一つ願いが叶えらえるといいます。現世で自分が幼馴染の泉貴洋からの虐めを苦に自殺したと思われていることを知り、その誤解を解くため騎士にな
るべく騎士養成学校へ通うことにするのです。マンツーマンで教わるというユラの指導教官イズミ(攻め)は20代前半で、名前も容姿も貴洋そっくりでした。

出会ったときに何か知っているように見える態度なのに、褒美を記憶を消去することに使ったという貴洋にそっくりなイズミは誰なのか?ユラは騎士になり過去を変えることができるのか?

最初の由良が死ぬエピソートはちょっとしんどかったです。
ずっと親友だと思ってきたのに高校に入ってから急に避けられるようになり寂しく思っていた由良が、貴洋のことをよく見ていたからという理由で、誰かに偽ラブレターを黒板に張り付けられいきなり虐めの対象とされてしまいます。誤解を解きたいと強く思うあまり激しく否定したことで、貴洋からは「友人とも思っていなかった」と言われ、深く傷つく由良が気の毒で。
その後、貴洋に話があるからと呼び出された橋の下での待ち合わせに貴洋は来ず、小学生に虐待され川へ捨てられた猫を助けて死んでしまうのです。

猫を虐待した小学生が口を噤んでしまったこと、呼び出したくせに彼女と帰る貴洋を非難するメールが残っていたこと、偽ラブレター事件の話が両親に伝わったことで、由良が自殺したと思われてしまうのです。自分が変なメッセージを送ってしまった後死んでしまったために、自分の家族や貴洋とその家族が辛
い目にあっているだろうと心配し、もう少しうまく言い訳していれば貴洋にこんなことを言わせないで済んだのにとか、偽手紙を作った相手に対してさえ想像力が足りなかっただけで悪気がなかったんだろうとか、一番落ち度がなくそして一番傷付いたのは由良なのに、そのことについては一切恨み言の一つも言わず、周りの心配ばかりしている由良がどんな聖人君子なのかと思ってしまい、ちょっと違和感を感じました、もう少し恨みに思ってもいいんじゃないかと。

騎士養成学校では43人ほどが在籍しており、そのなかで騎士になれるのは半年から一年に一人という狭き門です。
食欲はないけど性欲は残るので気ままに恋愛を楽しむ人も多く、由良もいろんな人に誘われます。

番人と呼ばれる保健室の先生のような役割の猫又や早々に夜這いをかけてくるけど断ってからはちゃんと友人付き合いをしてくれるミケーレやオルカ・男癖は悪いけど騎士になりたくて頑張ってるシェリーなどいい人(猫人)ばかりで猫の王国ではストレスはありません。

騎士になるためには、虐待され悪霊となった猫を思いやる気持ちや来世に人間にかわいがられることを祈る気持ちなどを込めたグラスソードという剣を作ることが最初の試練となります。グラスソードを作れるようになったら、それを振り回しても霧散してしまわない集中力が必要となり、ユラは虐待された猫の気持ちを考えるあまり闇に飲まれそうになったり、眠れなかったりと自己と闘いながら研鑽を積んでいくのです。
目標のために頑張るユラとそれを支え励ますイズミ。この二人の関係はとてもよかったと思います。自然と惹かれ合う二人ですが、ユラには騎士にならなければ何も始まらないと自分を律するのです。


とても面白く、ファンタジーの設定も書き込まないといけないこともあってページ数は多かったですが、もっと読みたいと思いました。

結局、由良の決断は自分の周りの人を絶望からは守れたとは思うのですが、諸悪の根源たちのこととかを思うとちょっともやもやしました。
そして、最後の種明かしには驚きました。自分でもいろいろ考えながら読んでいましたが、矛盾なくうまくできていてすっきりしました。

ただ、貴洋についてはちょっと疑問は残りました。結局自分本位だったことは否めませんし、貴洋は一体何を考えて川辺に由良を呼び出したんだろうか、彼女と帰る姿を見せることに何の意味があったのか。友達としか思っていなかった由良にそれを見せてもどうしたかったのか。できれば、貴洋からちゃんと経緯を聞きたかった。
彼はその後生き地獄を味わいましたが、自業自得といえばそれまでなのですが、一番の諸悪の根源のことを思うとそこまでの罪でもなかっただろうと思うと少し気の毒ではありました。

できれば、騎士となった由良が活躍する話、貴洋が心穏やかに暮らせる日がくるところまで読みたかったと思いました。

イラストはとても素敵でした。世界観とyocoさんの絵の雰囲気がとてもあっていて絵本をみているような気持ちになりました。

0

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