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不遇の貴公子×兄の盲愛に怯える王子の大逆転ラブストーリー!
人魚姫、白雪姫、ときて第三弾がシンデレラ。笠井さんの美しい表紙で、リアル書店でも手に取りやすい…、と思いきや、よくよく見るとちょっとエロティックなのが笠井さんならではか。
内容はすでに書いてくださっていますので、感想を。
童話「シンデレラ」をベースにしているので、エラルド(=シンデレラ)はそこそこ高貴な生まれであるのに薄幸。母亡きあと、父親と再婚した継母に財産を奪われ、雑務を押し付けられ、そしてあろうことに閨の相手までさせられる。という事で、エラルドが女性と絡むシーンがあります。直接的な描写はありませんが、苦手な方はご注意を。
そんなエラルドが出会ったのは見目麗しいアシェンプテル王国の第二王子・シャロンで…。
お互い身分を偽り、少しずつ恋心を育てていく。
けれど、このストーリーで二人を引き裂くのは「身分」ではなくシャロンを溺愛する兄王子。
この兄ちゃんがさ…、
良い!
素晴らしい当て馬だった。
不器用で、シャロンに対する想いを素直にぶつけられない。
でも、シャロンを心から愛している。
彼の最後の覚悟がカッコよかったです。
エラルド×シャロンもナイスガイなのですが、個人的にこの兄ちゃんが一番好きでした。
どこかで彼を幸せにはしていただけないだろうか…。
犬飼先生なら、彼がいる場所で、彼を幸せにしてあげられる作品が書けると思うんですよね。
兄ちゃんとエラルド、そしてシャロンの関係もなかなか素晴らしかった。
ああ、こういうオチか、という。
犬飼さんの描かれる童話シリーズの中で、この作品が一番好きかも。
笠井さんの描かれる挿絵は文句なく素晴らしく、作中に漂う儚さとか、切なさとか、そういったものを見事に描き切っています。表紙の、馬ですらイケメンなんですよ。
いつも思うのですが、笠井さんの画集、出してくれないかな。
読後、この作品の余韻から覚めるのにしばし時間がかかったくらいドツボに入った神作品でした。
前作、「白雪姫の息子」は
レビューを見る限りグロがあるようなので、
のの先生大好きだけれども
グロ、スプラッタ、ホラーがだめな私は
読めずにいました。
しかし、本作「シンデレラ王」は
グロがないようでしたので、
ちょっとビクつきながらも(笑)
安心して読めました!
さすが、のの先生!
本作もとってもおもしろかったです。
山あり谷ありすぎて、
ハピエンになれないんじゃないか?
と不安になりましたが
ちゃんとハピエンでした。
シンデレラでは、魔法使いが
ドレスや馬車を魔法で出してくれますが、
本作でももしかして魔法使いが出てくるのかな?
と思っていたら、
とってもおもしろい方法で夜会服が現れたり、
ガラスの靴の代わりがあっと驚く物で表現されたり。
コメディじゃないんですけど、
このあたりはちょっと笑ってしまいました( *´艸`)
物語の舞台と時代設定からか、
登場人物はみな信心深く、
事あるごとに神や罪を口にします。
自害は天国に行けない、同性愛は地獄行き等。
それがまた物語を盛り上げていました。
たとえ神に逆らってでも、地獄に落ちたとしても
二人一緒ならそれでいい、と気持ちは盛り上がる一方です。
こういった考えは現代日本が舞台のBLでは
あまり見かけないのでとても新鮮でした。
シャロンの兄である王太子ヴァリウスも
ただの憎まれ役ではなくて、
とても悲しい人だったので、嫌いになれませんでした。
むしろ読了後は、
「ヴァリウスいい人だった...」
という気持ちも芽生えています。
BL世界のおとぎ話シリーズ「シンデレラ」
今回のタイトルの「シンデレラ」は、ストーリー内でエラルドがシャロンに読み聞かせる白くて美しい本の中で描かれた物語として直接的に登場。
エロルドはこの物語と自分の境遇を重ね合わせて懊悩します。
このお話の何が凄いって、不遇に耐える健気なシンデレラが聡明で美丈夫な「攻め」に設定して、王子様の方が「受け」だってこと。
この発想の転換がハラハラドキドキを盛り上げます。
エロルドとシャロン、そしてシャロンの兄の第一王子ヴァリウス。
サブタイトル~罪を抱く二人~に込められた三人の愛憎の結末。
三人それぞれの思いの描かれ方が良く練られていて一気読みでした。
本屋で表紙に一目惚れして購入。
犬飼のの先生が書く本は初めて読んだのですが素晴らしかった。描写からストーリーの展開やら何もかもが好み。笑
笠井あゆみ先生のイラストがまた、物語の世界観と見事に会っていて感動。
誰もが知っているシンデレラの童話がもとになったBL、しかもそのシンデレラが攻めです。
その他あらすじは説明がされているので省略しますが、以下ネタバレ感想です。
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この本の感想を一言で表すと個人的には「ヴァリウス…………」でした。
序盤はただの弟大好きお兄ちゃんなのかと思いきや、物語が進んでいくにつれてヴァリウスの心の内や弟であるシャロンへの歪んだ愛情が露わになっていきます。もちろん私はエラルド×シャロンのメインCPが幸せになってくれれば良かったのです…が、この本を読み終えた後もどうしてもヴァリウスという兄の存在を忘れることができなかった。終盤ヴァリウスとエラルド二人が対峙している挿絵が二枚あり、特に二枚目の挿絵を見るたびに心が痛くなってたまらなくて……。
ヴァリウス視点の『もしも再び会えたなら』という短編からも分かるように、ただ彼は素直になれなかっただけで、本当はエラルドやシャロンと同じように愛する人のために奔走する人だったんだなあ、と。ヴァリウスの死と代わりに得た幸せは、果たしてエラルドとシャロンにとって嬉しいものなのだろうかと思ってしまいました。
ヴァリウスが命を落とすことなく、三人が幸せに生きていく結末を望んでいただけに読後涙が出ました。来世幸せになってほしいと願うばかりです。
犬飼さんがどうやって童話・シンデレラを土台にして独自の世界観を表現するのかと楽しみにしていたが、まず主人公の役割を担うのが<攻め>というところからして新鮮だった。
誰もが知っている原型の童話と頭の中で比べながら読んでいくと、ニヤリとする部分が散りばめられている。
両親との死別、意地悪な継母と連れ子、BL仕様にアレンジされたきらびやかな舞踏会、そしてガラスの靴の代わりは…読んでみてのお楽しみ。
話のほうは高尚さと官能がせめぎ合っている中から各キャラクターの心情の深さを感じた。
最初は不遇な境遇に屈したくないエラルドの高尚さが色濃く出ているが、シャロン王子と恋に堕ち想いを募らせるにつれ官能さが際立っていく。
また、シャロン王子の兄・ヴァリウスも印象の強いキャラクターで、単なる悪役としては憎み切れない複雑で切ない存在だった。
シャロン王子が垣間見せるエラルドへの恋慕とヴァリウスに対しての微妙な素っ気なさと比べてみると、この物語内の神様もつくづく不条理な境遇を二人に与えたものだなと感じずにはいられない…。
表紙からして見目麗しい二人にうっとりするが、既に此処からして、実はこの二人は…!!って真相が仕掛けられていたんだなと読了後に実感できる一面もあると思うので、これ以上は語るのを控えないと…。
ちなみに、今回は小説だけでなく、笠井さんの表紙・挿絵にも拍手を送りたい。
いつもなら過激すぎる表紙を見て正直読む前からうんざりする時もあるのだが、この小説に関しては一切文句なし。
それどころか、2017年刊BL小説・最美麗表紙賞を差し上げたい程だ。
物語がより引き立ったのも、この表紙と中の挿絵のおかげだと言っても過言ではない。