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作家さんが何年もあたためてきたお話だけあって、伝わるものがありました。
本当に胸を締め付けられるような切なさがありますが、それを乗り越えられた主人公たちに心を込めて拍手したいです。
このふたりにはこれから先はずっと幸せでいてほしい。
智之は過去に囚われていた。元は親友だった恋人から別れを切り出されたが、原因は自分の妹だった。それが納得できない智之は仲の良かった妹にも恋人にも酷い言葉をなげかけ酷い仕打ちをした。そのことに苦しみながら、人とのかかわりを避けて生活をしていたのだった。そんな智之の隣に青柳という男が引っ越しをしてきた。
初対面からなれなれしい青柳が鬱陶しいと思うが、いつしか交流を持つようになる。
青柳もある事で家族を失って苦しんでいて、たまたま隣人となった‘死んだように生きている’智之に関心を寄せて、ふたりはお互いの存在に癒されて、新たな人生を踏み出すきっかけとなるのです。
青柳は智之がちゃんと生きているか確認したくて根気強く、なかなか応対してくれない智之の部屋のチャイムを必ず二度鳴らします。ここポイントですね。
もうふたりの過去の出来事が、それぞれにとても辛いことで読み手もかなり辛くなります。個人的にとても辛かったです。泣きました。
でもそこから再生するふたりに感動します。
そのために出会ったんだよね。ふたりが心を寄せ合うのはただの同情や慰めだけでないことがふたりが接近するのに時間の流れがあるのでとても自然ですっと心に響きました。
タイトルとオビからはちょっとえっちな雰囲気が漂いますが、かなり刹那的感動的な物語です。
えっちはふたりの気持の延長上だったり、どうしようもない出来事のあとの慰めだったり効果的に使われた感じでただのエロではありませんでした。
とても良かったです。
想像と違ったシリアスなお話でグッと評価UPです。
隣人ワイルド系おっさんっていうのがもうもう猛烈に大好きです。
この手の設定の本は本書で3冊めなのですが、もっと読みたいです・・・。
こちらの本もあらすじ読んで、ひたきさんの表紙を見てすぐ購入決定でした。
読んで、もうわたしにとっては神評価で。
最初あらすじで失恋の痛手を抱えたままって読んで、は?いつまで引きずってんの?と思い読み始めたら。
ただ未練があるのではなく、恋人(元彼)が自分の妹を好きになってしまって、そのことで、元彼と妹に対して醜悪な態度で接してしまったことをずっとずっと後悔しつつ、でも坂梨にとっては、ふたりを祝福してあげられる程に過去の話になってなくて。
その思いにがんじがらめになったまま死んだように生きてる、坂梨。
そんな坂梨の隣に引っ越してきた青柳。
隣人ワイルド系おっさんだー!!と喜んでいたら(わたしが)、この青柳にも辛い過去があって。
シリアスなお話でした。
青柳の過去の事については、リアルでもその手のニュースを見るといろいろ思う事があったりするので、なんか複雑な気持ちになりました。
そんなふたりが過去を見つめて乗り越えるというか、ようやく時間が動き出して、まさに春がふたりに訪れて。
あたたかい季節をふたりにはゆっくりと過ごしていってもらいたいと思いました。
辛かった。途中までは辛くて辛くてこちらも気分が不安定になりました。
坂梨の辛い過去と死んだように生きてきた今までが辛くて切なくて。私も元カレと妹を恨みました。
そんなときに隣人の青柳と出会って。
青柳の過去も辛すぎて凄絶で。
でも坂梨があの過去があったから今がある、このマンションに住んだのも、青柳と出会ったのも、ただの隣人ではなくなったのもあの過去があったから繋がってるんだというところで、泣きそうで喉が苦しくなりました。
一度は青柳から逃げ出した坂梨が今度はちゃんと青柳を捕まえる、元カレの時とは違う求めるだけじゃなく与えたい、何があってもそばにいたい、愛したい気持ちが、暴走した青柳を引き留められましたね。
犯罪の加害者と被害者遺族の問題は本当に辛いです。特に今回のような場合は。
でも青柳は坂梨が枷になってくれるからもう大丈夫ですね。冷静に事件を追えますね。
そして坂梨も醜い自分に怯えることなく全てをさらけ出して一緒に背負って生きていけますね。
途中まで本当に辛かったのですが二人が結ばれてからは一気に読めました。
「好きだぞ」「愛してるぞ」いいですね!
最初は青柳の登場に、きたきた!中原さんの男盛りのオヤジが!と思ったらこんなに辛くて感動するお話だったとは!
某有名小説を連想させるタイトルに
ミステリなのかな?と思っていたら、意外にも
非常に切ないヒューマンドラマでした。
受けの坂梨は、過去の恋愛のトラウマで
脱け殻のように生きているサラリーマン。
人と関わろうとしない坂梨を変えていくのが
マンションの隣の部屋に越してきた
気さくなオヤジ・青柳(攻め)です。
恋人が自分の妹を好きになり、フラれた過去。
坂梨の苦しみは、恋人に裏切られたこと自体より
恋人に未練がましく付きまとい、
妹を「泥棒猫」と罵った、自分の醜さにあります。
そんな坂梨のネガな部分も含めて包み込み
生きることの楽しさを教えようとする青柳が
とても温かく男前です。
そんな青柳も、妻子を失った悲しい過去の持ち主。
復讐のため危険な領域に足を踏み入れようとする青柳を、今度は坂梨が救おうとする。
お互いの過去も含めて受け入れ、相手を愛し癒そうとする二人に、何度もキュンとさせられました。
物語前半ではあんなに暗くて悩んでばかりだった坂梨の成長も、愛の力かと思うと感慨深いです。
本書タイトルの元ネタ(?)には
「二度ベルを鳴らす」=「他人」という意味や
「事件は二度起こる」という意味があるそうですが
本書でも二人の関係の変化に「チャイム」や
「二度目」が効果的に使われています。
坂梨が、青柳が鳴らすチャイムを
いつしか楽しみにするようになったこと。
青柳が、じゃがいもをおすそわけした後
今度は白菜をもって坂梨の部屋を訪ねたこと
(最後まで読むと、これは青柳にとって結構勇気のいる行動だったことが分かります)。
それぞれに辛い過去を持つ二人が、
一緒に生きることでこの人を幸せにしたいと
思えるほどの相手と出会えたことを思うと
ただただ胸が一杯になりました。
絡みは、シリアスな話だけに
エロさより感動が勝る感じですが、
青柳の大人の色気は堪りませんし、
青柳を「静夏さん」と名前で呼ぶ坂梨も可愛くて
ラブラブな年の差カップルの良さを楽しめました。
神寄りの萌×2です。
筆者があとがきで、
プロットに何度も没を喰らったエピソードを書かれていたが
それはそうかもしれない。
とても面白かった、が、
どちらかというとヒューマンドラマとして読んでしまった感じなので……。
大学時代の親友がやがて恋人になり、幸せに過ごしていた矢先の別れ、
その手痛い傷を5年経っても未だ引きずって、
日々死んだように生きる会社員・坂梨。
その隣の部屋に越して来た、年上の男・青柳。
いい加減に見える彼もまた、辛い過去を持っているのだが
だからこそ惹かれ放って置けなかったのか、
頑なな坂梨の心に何度もチャイムを鳴らし、
少しずつその扉が開いて行く中で、青柳自身も変わっていく。
じわじわと互いの心が近づき、癒し合っていく過程、
そして最後は、それぞれが自分の過去と和解し新たに生き直していくまで。
中原さんのオヤジとしては小綺麗め(比較の問題)な青柳も
自身の言動を悔やみ続けていた坂梨も、キャラクターは魅力がある。
話の展開も悪くないし、そんな二人のエロは心にしみる。
が、最後のクライマックスはいささかやりすぎだったのでは?
青柳の凄惨な過去については、深く心を揺さぶられる。
それに対する怨念と執念はよくわかるが、
ポケットに入れていた使おうとした道具が、どうなのだろう?
地に足のついた感じの読みでのある物語が
ちょっと一般の感覚と離れてしまって、絵空事になってしまった感じ。
そこが☆マイナス一つ。