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表題作星に願いをかけながら

手塚海里,20歳,親友の弟,喫茶店でバイトする大学生
久坂慧,25歳,建築事務所の設計士

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

「自分と同じ気持ちを相手が抱いてくれるなんて思えない」──
初恋の相手である幼なじみの俊之に中学生のときに失恋して以来、恋愛に臆病になっていた慧。
ある日、仕事先で訪れたカフェで出会ったのは、俊之の面影をうつす大学生の海里──なんと俊之の弟だった。見かけはそっくりなのに、性格は正反対で無愛想。生意気な年下の海里はなぜか慧に懐いてきて……!?

作品情報

作品名
星に願いをかけながら
著者
杉原理生 
イラスト
松尾マアタ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199007743
3.9

(14)

(2)

萌々

(9)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
55
評価数
14
平均
3.9 / 5
神率
14.3%

レビュー投稿数4

繊細な心の揺れがたまらない…!!

帯の「──もう無理だよ。
俺の気持ちを変えさせようだなんて、あきらめて?」で
ずぎゃーんときてしまって
貪るように読ませていただきました!!

小さい頃、隣の家に住んでいた兄弟二人の両親が不仲で
慧の家がある意味休息所のような形で
過ごす時間も多かった当時、
兄は同い年の俊之、5歳下の弟は海里、
二人とも違うタイプの子供でした。
俊之は朗らかで優しくて慧の密かな想い人でしたが
海里はわりと無口で子供扱いされるのが嫌な様子。
中学3年の時に俊之と海里の両親が離婚して引っ越してしまい
それから連絡をとることもないまま大人になります。
慧は設計事務所に勤め、古い喫茶店の改装打ち合わせの為
依頼人を訪れますが、そこでアルバイトをしている大学生が
熱い視線を投げかけてきて……。

再会から、とにかく控え目なんです!!海里が!!!
でも目力がモノを云っていて、慧もあっさり忘れられない程だなんて
さすが長年の想いは伊達じゃないっすね…!!
そういう、一途な年下攻めが大好きなので
どこをどう読んでももうのたうちまわりたくなりましたw

慧は慧で、俊之の面影を忘れられず、
ただ一方的に好きだっただけじゃなくて
触れるだけのキスを同情のようなかたちでしてもらった事もあって
振り切れずにいたのも切なかったです。
その姿を知っていて、海里もずっとつらかったんじゃないかなぁ…。

幼い頃から慧は自分が普通とは違う事に気が付いていて
女の子になりたいわけじゃないし、可愛い服を着たいわけでもないのに
綺麗なビーズや可愛いお菓子が好きで
女の子の遊ぶような人形もこっそり仕舞っていたような男の子でした。
それを見ても、海里は貶したり深く追求する事はありません。

海里は多くをべらべらと語らない分、
幼い頃と同じうような拗ねた表情や触れ合う熱が雄弁で
早く海里に好きだって言ってあげて!!と慧にお願いしたくなりましたw
慧は慧なりに、事務所内の仕事と人間関係で忙しく…。
ここでも、リアルにありそうな過去の引き抜き話や突然の先輩の退職、
真実味があって惹き込まれました。
誰にでも事情はあって、思い通りには決してならないですものね。
そして不変なんて公私ともにあり得ないのです。

健気に慧の返事を待つ海里が程良いバランスで押してくれて
でも慧が忙しい時にはメールも遠慮してくれたり…なんていいヤツなの…!
慧が改めて自覚する時に、
やっぱり海里には女性の方がお似合いだと胸を痛めるシーンと、
二人がようやくわだかまりもなく胸の内を明かすシーンは涙が出ました。

ゆっくりじっくり与えられるただひとつの想いが
こんなに愛おしいなんて…。
慧自身が真面目で常に一生懸命で向上心もある為、
好きで居続けられた海里の気持ちもとてもよくわかりました。

結論:凄く癒されました!!!
松尾マアタさんは好きなのですが、今作との相性は…うぐぐぐ…!!
すみません。でも改めて年下攻めが大好きだと思いました!!
神寄りの萌×2です!!!

6

星は何でも知っている

すごくシンプルで、緩やかで優しいお話でした。
好みはわかれそうですが、私にはかなりツボです!


昔から少し女の子っぽいところがあり、ゲイである慧(けい)。
慧の友人俊之の弟、無愛想でもの静かな海里(かいり)。
10年前に引っ越してしまった、お隣に住んでいた初恋相手の弟。
ツラい想い出の相手、あの頃いつもその隣にいた小さな弟。
慧は、仕事で訪れた喫茶店でアルバイトをする海里と偶然再会します。
再会してからの戸惑いの感情。
過去の兄と弟、それぞれとの様々な出来事。
はかりかねる距離感。
少しづつ近づいてくる存在。
そんな海里を大事に思う反面、戸惑う慧ですが…?


このお話は、設計事務所の下っ端として働く慧の仕事への気持ちや悩みがしっかり書かれています。
それがすご~く好きでした!
尊敬する人の下で働く事。
優秀な先輩達、その人間関係が実は色々あるのだという事実。
仕事内容も何人かの人物も、丁寧に書かれていて楽しかったです♪
やはり専門職の話は好きだなぁ。

そして、少しづつ縮まる二人の距離。
なのに手をはなそうとしてしまう、戸惑いの姿。
べつに大事件も起きないし、日常の中での小さな変化の積み重ねなんですが。
それが杉原先生らしい文章で、優しく書かれていて。
行きつ戻りつの二人のじれったさが、もうたまらなく好きでした!
個人的なツボ押されまくりです。

そして、最後のページ。
先生にじんわりとした幸せをわけてもらえて、すご~く癒されました。
タイトルの意味が自分の中でグワ~ッときてたまらなかったです。
二人の中で変わったもの、変わらないもの、強く感じられた場面でした。

このお話は先生にとってかなり産みの苦しみが強かったみたいですが。
起承転結がハッキリとした話よりも、こういうジンワリ沁みる話は難しいだろうなぁと感じます。
苦労して書き上げて下さった先生に感謝♪

挿し絵の感想も。
大好きな松尾マアタ先生。
中のカラー二枚の絵が特に素敵すぎです♪
モノクロ挿絵には、今流行りの壁ドン!の絵もありました。
ご馳走さまでした♪

3

繊細で凶悪な受…

杉原先生十八番の受が考えすぎるやつですが、同性ということや、家族との関係性ゆえの葛藤から萌えを見出せるタイプなのでアリよりのアリでした!!細やかな心理描写、情景を淡々と読むのが好きな人向け、仕事に多忙な等身大の社会人と一途な大学生のラブストーリーです。

設計事務所に勤める慧(ナイーブ君と呼ばれる…)は、リノベを手掛ける喫茶店に出向いたところ、初恋の記憶を蘇らせる面影を持つアルバイトの大学生に出会うが、彼は幼なじみで初恋の相手・俊之にいつもひっついて家に遊びに来ていた小さな弟の海里だったという…。慧→成仏しきれなかった初恋への弔い合戦(?)、海里→子供過ぎて参戦できなかった初恋のやりなおし、みたいなモダモダでした。

慧が人形や綺麗なものを好むことに対して、俊之に「それは変だ」と指摘されて外の世界に連れて行ってもらったというエピがあるのですが、そういうもんかと受け入れながら、実は慧の本性は萎縮していったんだろうな~と切ない気分になりました。なんとなく周囲と足並みをそろえ、本心を明かさないことで平穏に生きるという処世を身に着けた慧の前に、海里が現れてグイグイ口説いていきます。肚の座った年下攻めでした。行動では無自覚に煽るのに、煮え切らない発言でうだうだする受(言葉だけが素直じゃないみたい)に、”俺が好きだよね”とジャブを繰り返す攻の攻撃に、早く受が素直におちますように、、と祈りながら読み耽りました。受が何の気なしに攻を食事に招いたりする行為に対して、攻が愚痴る「凶悪…」という言葉にちょっと違和感おぼえて、印象に残ってしまいました。

仕事に忙殺されていた慧でしたが(職場のエピ多めです)、実はそこから成長するんですよね。一歩踏み出して、本当の気持ちを海里に伝えて話し合えたことで、最終的に重なった気持ちが、過去に一緒に流れ星を見た記憶につながる展開が美しいと思いました。

0

受けがグルグルしすぎ

同じところで、足踏みが続くなぁと思いながら読み進めていました。
とにかく受けが臆病というか、しつこい程後ろ向きすぎる。

なかなか切り替えが出来ない性格で、実らなかった初恋を10年経っても何かと思い出すという性格なので、眼中にない相手、しかも初恋相手の弟に恋を打ち明けられるも、なかなか受け入れられずグルグルしちゃうのも仕方ないと思いながら読んでいたけれど、それにしても限度っていうものがある。

小学生の頃から、自分の兄に恋する受けの姿を見てきて、ちっとも気づかない兄なんかより俺の方を見て欲しいと願い続けてきた攻め。
大人になって受けと再会して、俺を見てほしいと受けにひたむきに想いを寄せてくれる相手に返事をする際、
「男の俺なんかよりも、ああいう子(攻めのバイト仲間女子)が似合う…」という断り方しちゃうのも、ナイです。
(ゲイゆえに、俺より女の子の方が…という身の引き方は好きなのに、この受けの場合は、何言ってんだ?としか…)

今は熱烈に思ってくれても、未来はそうじゃないかもしれないからという理由で、両思いにも関わらず恋を無理矢理諦めるんだけど、そんな事言ったら、全人類誰も恋なんか出来ないわ!と思った。

この臆病さが美点に感じてしまうほどの何かがこの受けにあれば、そんな臆病なところも思わず抱きしめたくなるような衝動に駆られるのだと思うけど、残念ながらイライラしてしまうだけだった。

どうしてそんなに臆病になったのかという理由も私からすると、そこまで……って感じなんです。

長年片思いしてた幼馴染が女の子と帰宅する姿を見て、思わず泣いたことより気持ちバレ。
気持ち悪がるどころか「俺もそういう風に見れるよう努力する」と幼馴染は言いだし、時折キスしてくれるも、ドノンケの彼にはやはり無理と半年後謝られ、次第に気まずくなり疎遠に…

初恋の幼馴染、すっごく良い奴じゃん。
何よりも大切な幼馴染という存在すら失った事は痛手だけど、だからって、一生恋しないと結論付けるのは極論過ぎるというか、ただの繊細様って感じ。

タイトルにもあるように、星空の下で過ごした中学時代の攻め兄と、攻めと受けとのエピソードは素敵だし、丁寧にデリケートに綴られていく静かな感じは嫌いじゃないんだけど、仕事描写に結構割いてる割には中途半端だし、どうにも受けにイライラしました。

0

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