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久我有加先生。大好きです...
先生の訃報を聞き、一瞬頭が真っ白になりました
今も心のどこかに、ぽっかり穴が開いたような感覚があります
小説歴が浅いため、先生の御本の中にまだまだ未読のものが
たくさんあって、、
これから時間はかかると思いますが、先生の生み出してくださった御本を
一冊ずつ、大切に読んでいきたいです。。
心に大きな傷を負った二人。
偶然の出会いから一緒に旅をすることになった二人の、
逃避行物語であるこちら。Kindle unlimitedにて拝読しました。
(以下、核心に触れるネタバレありのレビューとなります。
未読の方、ご注意ください;)
成一(受)の境遇が”あまりにも不幸”だと思い、
もう序盤のその部分だけで泣きそうになっていたのですが、、
(結婚式当日に親友と駆け落ちされ、元嫁は謝罪もなく、
周囲に誹謗中傷されたあげくリストラされ失業)
もう、小出しにされる情報と、終盤一気に明らかになる
攻め・ナトリの悲惨な境遇に、絶句。。
後半〜終盤にかけて、一気には読めず
涙を拭きながら3日ほどかけて読み切りました。
犯罪加害者の家族は、一生幸せになってはいけないのか?
どんな誹謗中傷をされても、耐えるべきなのか?
そんなのおかしいよ、と泣きながら伝え、
一方で被害者遺族のそんな気持ちも理解できてしまうー
と思い悩む成一同様、自分も考え考えしながら読み、結論は出せぬまま。。
苦しい思いで読み進めました。
それでも、
”自分は幸せになってはいけない”という思いが根底にあるナトリが、
間違いなく成一の存在に救われていること。
一年にたった2、3回の逢瀬の際に、ナトリが見せる
優しく甘く、愛に溢れた顔。
そこに、大きな救いと希望が見えたように感じる。。
宇宙から見たらちっぽけだ、と思え、
やり直しのきく傷もある。
それとは反対に、宇宙の広さと比べても覆いきれないぐらいの
傷、決してやり直しのきかない傷も確かにあって、、
兄も、両親も、”家族”を全てなくしてしまったナトリだけれど、
成一だけは絶対にその手を離さないから。
二人の、年に数回だけの逢瀬がいつまでもいつまでも続きますように、と
祈る気持ちで本を閉じました。
久我有加先生、こんなにも強く胸を打つ作品を送り出してくださり、
本当にありがとうございます。
ずっと、読み続けていきます。
久我さんもともと好きでしたが、レビューを見ると重いとかそんなのばっかりだったので手が出ず寝かし続けていたところ、Kindle Unlimitedで見つけたのでソッコーでダウンロードして読みました。
個人的には別にそこまでズーンとなるほど重いとも思わなかったです。
確かに攻めは重たすぎる荷物を背負って人生を生きていかなければいけないけれど、お話の最後はちゃんとハッピーエンドですし。
何を抱えているのかとかは読んでいただくとして、話のテーマが大きいにも関わらずちゃんとBLしてるところがすごくよかった。
というかエッチシーンが良すぎた。
表情が顔に出にくいクールな年下攻めと元気でおしゃべりな明るい年上受けって感じですが、この組み合わせ最高です…。
受けがマジックミラーのバスルーム(受けはマジックミラーだと知らない)でああでもないこうでもないとエッチの準備をせっせとしてるのを攻めがずっと見てたっていうのかわいすぎて笑いました。
そのあともテクニックを持ち合わせた年下攻めにとってもかわいく抱かれちゃってますし。
経験が豊富なのか、とにかく年下の攻めが受けを翻弄しまくり絶対的な自信で受けのことをめちゃくちゃ気持ちよくしてくれます。
この受け、ほんとにいままで女抱いてたんか?って感じです。
最近はエッチシーンを読み飛ばしてしまうことも多々ありますが、これは読み飛ばせないエッチでした。
年下くんが慣れてきて年上のことを「あんた」って呼ぶのがたまらない属性なのでそれも非常にありがたかったです~。
あと個人的には絵津鼓先生の挿絵も合ってると思います。
特に受けの元気でかわいらしいキャラにはピッタリではないかと。
ベッドの上で力を発揮するクールな年下攻めが好みの方、おすすめです。
訳アリの男二人が旅先で出会い、
UFOが出たという街を目指し一緒に旅をする。
一見ロマン溢れる旅物語ですが
それぞれの背負う過去は非常に重く、哀しい。
現実は変えようがないけれど、
短い旅を通じて互いに出会えたことで
少しだけ未来に希望が持てるようになる。
そんな切なくも感動的な作品でした。
婚約者と親友に裏切られたあげくリストラに遭い
失業中の成一(受け)は、ふとした思いつきで
UFOの目撃情報のあった街を目指し旅に出る。
旅の途中、同じくUFOを見に行くという
青年・ナトリ(攻め)に出会い、一緒に旅することに。
あまり自分のことを語りたがらず、
どこへ行くにもキャップをかぶっているナトリ。
彼は何者で、旅の目的は何なのか。
ほのぼのとした旅情を醸しつつも
ときに緊張感も漂う展開です。
一緒に旅するうち、
成一は本来の明るく天真爛漫な自分を取り戻し、
ナトリも、ときに敬語が崩れ「あんた」呼びになる等、くだけた一面が出てくる。
友だちのように軽口を叩き合う二人はとても楽しそうで、二人が旅先で出会う人びとも親切で温かい。
だからこそ、ナトリの背負うものが
明らかになる後半の展開がズシリと胸に響きます。
大切なものを奪われた人々の、やり場のない怒りと憎しみ。
そのような怒りのはけ口として、ナトリのような罪のない人々が、スケープゴート的役割を強いられているという現実。
一生「夜間逃避行」のような人生を送らなければならないナトリの境遇は、とても理不尽で哀しいものです。
本書の核は、そんな境遇のナトリと、
彼を好きになってしまった成一とが、
旅を終えそれぞれの現実をどう生きていくのか?
という点にあると思います。
成一は、ナトリを救いたいという気持ちを
社会への問題意識に昇華させ、
今までとは全く違う職業を選択する。
ナトリは、一生安泰とは言えないまでも、とりあえず地に足をつけて暮らせる環境と仕事を手に入れる。
遠距離恋愛でも、二人はとても幸せそうで
特に、人生を楽しむことに罪悪感を持っているナトリが、成一の前では自分を少しだけ解放できているところにホッとします。
本書のラブシーンは、一回しかないわりに
フェラやボール挿入などやたら濃厚なのですが
これも何かと制限の多いナトリの境遇を思うと
救いのシーンにも思え、何だかグッとくるものがありました。
重いテーマを扱いながらも、読後感は爽やかで
前向きな気持ちになれる一冊。オススメです。
久我先生の作品って、だいたい前向きなハッピーエンドで終わって、そこがいいところであり、そこが好きでずっと読んでいるんだけど、、
恋人と親友に挙式当日駆け落ちされて、オマケにリストラされた主人公が、引きこもりの日々から立ち直るお話。
主人公は引きこもりの後ろ向きの日々を、何とかしようと思って、UFO目撃で注目されている場所へと旅に出ます。
この「何とかしよう」が、果たして、立ち直りたくてなのか、全てを捨ててしまいたかったのか?
途中、台風の近づく中、街道沿いの定食屋でたまたま相席になった男と旅を共にすることになったのですが、、、。
実は、自分は、性的には受け身で愛されたい体だったんだと知って、本当の恋愛感情を理解するっていうところはよかった。
でも、自分よりさらなる不幸を知って、自分の身に降りかかった不幸なんて、生きていればいくらでも取り返せるからって立ち直るって、、、。
うー
加害者と被害者、被害者家族と加害者家族、人間の感情はままならない。
ちょっとテーマが重すぎて、ラブロマンスの要素として持ち込むには難しかったと感じてしまい、微妙。
結婚式の日に花嫁と親友に駆け落ちされ、
その上リストラの憂き目にまであった内野が
旅先で出会った寡黙な青年ナトリ。
偶然の成り行きで、共にUFOが見えたという海辺の街に向かう二人。
再生の物語……
旅の終わりに、何も変わらないけれど何かが変わって
未来につながる道が見えて来る、そんなイメージ。
筆者は後書きでロードムービーが書きたかったと書いている。
その通りで、旅をしながらの些細な出来事、出会った人
それぞれの行動、そんなものが綴られながら
二人の持つ傷と、心が近づいていく様が見えてくる。
内野は旅を通じて持ち前も明るさを取りもどし、
自分の愛のあり方や、生きる道を見つけていく。
一方、ナトリが抱える痛みは、とても重い。
その痛みを解決するウルトラCはどこにもない。
ロードムービーらしく、明確な結論はないところや
勧善懲悪で切らないところが、秀逸。
Hシーンは濃厚で切ない。
ナトリはそれなりに経験もあることが伺えるが
刹那そうやって、ある種即物的に
生きる辛さから逃れていただろう彼が垣間見えて
エロティックというよりは、切ない。
現実はおとぎ話のように何もかもうまくいって
メデタシメデタシとはいかないが、
唯一の心通う相手と抱き合い、
苦しい消化するだけの人生に細く光が見えるような終わりは
心に染みるものだった。
書き下ろしやペーパーは、その後の二人が描かれている。
達観しているようなナトリの実は可愛い様子や、
二人のその後の生き方や、なんとも微笑ましい幸せぶりを
読むことができる。
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久我さんの作品は割に読んでいるが、
フルールの二冊はどちらも意欲作に思える。
前作は明治時代を舞台にしたファンタジー、
そしてこれは関西弁でもなく、独特の関係を描く。
タイトルもまた美しい。
イラストが若すぎるというか幼く感じて
この淡々と抑制の効いた、世界観にはミスマッチな印象なのが
個人的には残念だったが、心に沁みる作品だった。