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表題作極悪人のバラード

高野航二
親友に片思いしている起業家
水沢渉
19歳, 郵便局臨時職員

その他の収録作品

  • Home, My sweet home
  • 君の幸せ 俺の幸せ
  • あとがき

あらすじ

自ら起業し社会的な成功をおさめながらも、親友への叶わぬ恋にフラストレーションを抱える高野。憂さ晴らしに一晩30万円で澄んだ瞳の青年・渉を買うが、文句ひとつ言わず従う渉に苛立ち、酷く当たってしまう。それでも変わらずに逢瀬に応じる渉――いつしか二人でいる時間が心の拠り所になっていた高野は、溺れるように渉にのめり込んでいくが……!?

作品情報

作品名
極悪人のバラード
著者
月東湊 
イラスト
榊空也 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344834453
3.8

(88)

(37)

萌々

(26)

(9)

中立

(5)

趣味じゃない

(11)

レビュー数
11
得点
321
評価数
88
平均
3.8 / 5
神率
42%

レビュー投稿数11

突発的な攻め

読み出してからすぐあらすじの流れに乗れるので飽きっぽい自分には良かったです。割とベッドシーンも実況でなく事後っぽい書き方が多い印象で、売りとしての一回一回の受の反応とそれに対する攻の受け取り方がサクサク進むというか、一回ずつが長いよりは展開早くていいのだろうけど、もう少し出会いの一日とか大事な場面はもっと丁寧めに読みたかったと感じました。まあ入れ込みの度合いが深くなっていく毎に、という感じなのかな。最低な攻めがどんどん深みにはまってく感じが好きなので楽しめました。

割と高野が突発的な奴で、急に読者が知らない別攻めを呼び出して渉を抱かせようとしたり、赤ちゃんを盗んだりと、「おいおい大の大人なんだからもっと考えなよ人生狂うよ」と思う行動に出ます。別攻めの件は渉が傷付くのが見たい、自分以外の人とすることへの反応が見たいというのでしょうが、あと赤ちゃんの件も何かあるだろうけとその辺りの納得できるような心情をしっかり書いて欲しかった。でもその後先考えられない行動で人を傷つけるというのは小説っぽさがなく人間らしいのかもしれません。赤子の件は普通に警察事。

恵まれない生き方だった渉が幸せを感じる事に高野と共にジーンときます。身近な人が孕って、家族になろうと決意したことを「簡単に家族を得ようとした」と自分を戒めたり、優しくされてその人に親しみを持つ事を、気まぐれに骨をあげた野良犬が家までついて来たら困るだろうと吐露するのが切ない。
高野の誕生日に、渉が何がほしいかと聞かれた時の高野の回答が良かった。

0

私は高野を許せない!

渉が、幸せだと自分で思えるようになって良かったです(´つω・`)
彼の生い立ちと境遇には、もう辛いし切ない…!!

高野が憎たらしくなりました。
よく許されたな…。
もっと痛めつけてもいいんじゃないかって思えるぐらいの渉への仕打ちが私は許せなかった ಠ_ಠ
でも、渉への異常な執着ゆえの愛情は渉にとっては唯一の自分自身へ初めて優しさと愛情をくれた人と思ってしまうのは仕方ないのかなぁ…と思いました。
渉の孤独と高野の孤独は、私は同じだとは思えないけれど…寂しさを誰かが側にいて安らぎを感じることが出来たのが、お互い同士だったのだなぁ〜と思いました(๑ ̄∀ ̄)

結構、内容的には好みが分かれる作品でもあると感じました。フィクションでも…物語の設定を少し現代よりにしなければ受け入れられたかもしれないけど、結構ギリギリラインの物語でした。

1

なんて奴!

最初、高野は何てやつだ、お金で言うことを聞かせるのはまぁ仕方ないとして、と思ってましたが、物語が進むにつれて渉に首ったけになってしまう。。。
ですが、その渉への思いがねじ曲がって、どう対処して良いのかわからずに、最悪の仕打ちをしてしまいます。

渉はそれを機に高野から距離を取り、離れていきます。
高野の方は、信田とのことも渉とのことも気持ちの折り合いが付けられないまま、そしてどうにもならずに事件を起こしてしまいます。
(とは言え、通報されなかったので事件にはならなかったのですが)

でも、そのおかげ?で渉を側に置くことができるようになり、信頼を回復する努力をしていきます。

高野のねじれてしまった心の動きと、渉の健気な高野への対応、めちゃくちゃ引き込まれました。ありがちだけど、嫉妬や劣等感といった負の感情をうまく表現されていました。ホント、あの境遇でひねくれなかった渉がすごいわ。
だからこそ頑なだった高野が変わったんでしょうけどね。書き下ろしはもう、甘い甘い。高野がいい男になっていきます。
信田達とのパーティも楽しそうで、このまま幸せに暮らしていってほしいです。

榊空也さんのイラストもストーリーとマッチしていて最高です。

2

隠れた名作!攻めザマァ成長記


親友に片想いを拗らせている攻めが、憂さ晴らしで男の子を買って遊んでいるうちに、だんだんその子にハマっていくお話。
珍しく攻め視点です。(最後に少しだけ受け視点もあり)

驚いたのは受けを好き勝手に扱う攻めですが、なんとその描写がないこと!
乱暴にしたりと可哀想なことをしたとのことですが、その部分のエッチシーンがないので痛い系が苦手な方には、大分気が楽かと思われます。
ただ、逆にその辛い部分がないと成就した時の幸せも薄くはなってしまいますが…。

あと思ったよりも早い段階で攻めが恋を自覚します。
あれ、あと7割くらい残ってるのに…?と、戸惑いましたが結構拗れていくんですねこれが…。

読み終わった私の攻めへの印象は「思春期拗らせた大人」という感じ。
お金も才能もあるのに、どこか不安定。
嫌なことがあると受けに当たり、落ち込み、自堕落になる。
当たり前のように不法侵入もするし、たくさんの貢ぎ物をして記憶に刻まれようとしている。

そして後半と描き下ろしが神です!!
何かあるんだろうな~この受け、と思っていましたがまさかの不憫受け!!
実はどちらとも愛に飢えていて、居場所を探している。
幸せを探しているんです。

前半はあんなにダメだった攻めの愛情が、後半ではヒシヒシと伝わり、受けの心を溶かしていく過程が本当に良かった。
実は繊細で臆病な心の持ち主の二人が、互いを思って生きていこうとする姿勢に涙しそうになりました。

執着攻め目的だけで購入したのですが、こんなに深いとは思わず…。
いい意味で裏切られました。
本当にこの二人にはずっと幸せでいて欲しい!と強く思いました。

また、この作品の魅力でもある挿絵のイラストがとても良かったです!!
ここの描写があったらいいなぁと思う場面で絵があり、想像以上に構図や雰囲気がとても綺麗で優しいんです。

読了後の満足感でしばらく天井を眺めていた私でした。

5

寂しがり屋のオレ様が愛しい居場所を見つけるまで

答えて姐さんの「泣けるおすすめBL」で推薦されていた作品でしたので早速読んだとこと私の好みドンピシャな切ないお話でした。
ご紹介くださりありがとうございます。

タイトルになっている『極悪人』は学生時代の研究仲間と起業して成功した技術者でもある 高野。
この男、見目よく金もあり男も女もいろんな尻尾を振ってくる華やかで幸せそうに見えて結構寂しがり。
恵まれた中流家庭で育つもどこか家庭に居心地の悪さを感じ自分の居場所を見つけられないまま大人になったような人です。

金もあり仕事に成功し名を成していても、誰にも気を許せず尖った心で表面だけ笑顔の付き合いで疲れ切ってる毎日が痛々しいです。
心のより何処を求めながらも弱さや疵を分厚い鎧で覆って他者を攻撃することで癒そうとでもしているようで、誰かこんな寂しがりやさんを救って欲しいと思わずにはいられませんでした。
とは言ってもやることは結構クズなんですけどね。

ある日、気晴らしにSMプレイの相手探しのナンパ中に出会った少年 渉。
恋人の出産費用の30万円のために好きにしていいという。

高野にしたら渉は見てくれで一目惚れ、会うたびにどんどん好きになっていく、でも彼はもうすぐ生まれる子供と妻になる女のために身を売ることすらできるくらい愛してるんだと思うと憎らしくも思うのでしょう。
ときに酷くして、気まぐれに優しくする残酷な男です。

学生時代から片思いしている仕事上のパートナーには妻がいて、渉にも将来の妻子がいる…
自分の思いはいつも叶わない…
自分にだけは居場所はどこにもない…
そんな閉塞感やら焦燥感、孤独感などまぜこぜになり渉に当たってますます酷くしてしまうことにも自己嫌悪して、という悪循環。
本当は好き、俺のものになってなんて素直に言えるはずもないのがじれったい。

しかし、このドSな『極悪人』直ぐにその化けの皮が剥がれヘタレな寂しがりやさん、あるいはちょっと危ないストーカー、それとも誘拐犯かと変容していくのですが、天使な渉のお陰で犯罪者にもならず暖かい居場所を見つけて幸せになれて本当に良かった。
高野が哀れすぎてクズでしょうもない行動も許せちゃうところが不思議です。

恵まれない生い立ちの渉も、居場所探しに疲れ切っていた高野と出会えて二人が一緒に幸せになれて本当によかった。
それから5年後10年後の二人が共にあってずっと幸せなんだろうなという展開が見えて幸せな気持ちで本を閉じられました。

11

もっと刺激が欲しかった

久し振りに健気受けとその切なさを堪能したいと思い…
クズ攻めも大好きなのでタイトルからも期待したのですが……
インパクトはほとんどありませんでした。残念。

シリアス好きなので受けを玩具扱いしているシーンなどはじっくり読みたかったのですが…リアタイではなくそう扱ってやった的な説明ばかりでどうにも心抉れませんでした。

攻めが惹かれていったというよりはそうなるように組み立てられたお話…という印象が強くキャラにのめり込むこともできませんでした。

いじめたかったのは分かるけど唐突にモブ呼び出し受けを抱かせようとした攻めにハテナマークを浮かべてしまいました。
そういう嗜好があるなら分かるけど…それで関係途切れたとか正直カッコ悪かった。

あと副支店長の存在さ…そういうお話の展開になるならこっそりでも最初から絶対援助してくれたと思うぜ。
受けの行動にお涙頂戴させたいだろうけど…正直必要だったのか?すら感じてしまった。


後半はずっと甘々で正直とても退屈でした。
このお話は波に乗れないとずっとローテンションになってしまう気がする。


健気な子が幸せになるそんな姿を追っていきたい…!という人にはいいかもしれません。
ただし私の中ではシリアス度も低いですし攻めはタイトル負けしていると思うのでそこを欲すとかなり物足りないかも!?

イラストはとてもお話に合っていたと思います。

2

設定は好き

完全にストーリー重視の作品だけど好き嫌いは結構分かれる内容だと思う。所々に辻褄が合わない箇所もあって、意識が逸らされた。
全体的な設定は良かったのに肉付けが良くなった印象。作者が書きたいシチュエーションと設定がかみ合ってないのがおしいと感じた。
受けが痛めつけられるののが好きな人ははまるかも知れない。
攻めの葛藤が良く書かれていたが、受けの思いがいまいち分からない。
なんでこういう行動したんだろう?と疑問に思う部分があった。気にしない人であれば萌えられるかと。

2

惜しい

大学時代の友達と起業した実業家×孤児の郵便局職員。
どちらかといえば苦手な攻め視点の話だったのですが、ページは分厚いし、ガッツリ読みごたえのあるいい話でした。ただ攻めと受けが別れていたときに受けが身を売ろうとしていた理由がイマイチわからないし、そのことを攻め受けのあいだでその後話し合われていないのがマイナス点。まあ金銭的事情なんでしょうが、そのときにはそれほどお金の必要な状態ではなかったはず…。
あと、受けがのっぴきならない事情により攻めに「自分を買ってくれ」って身売りしたのが始まりなんですが、そんなにのっぴきならない状況だったという設定なのに、攻めと別れたときにお金を全額返してきたのがおかしい。いや、そんな状況で身体を売ってたのにすでに遣ってなきゃおかしいでしょ、お金。作者さんは「もらったお金には手を付けていなかった」というかっこいいシチュエーションを使いたかったんだろうけど、それで設定崩れるなら本末転倒…。

5

久々健気受けに萌えた

起業家 x 孤児院で育った孤独な青年

幸薄健気で一途な受けというBL王道的作品。

陵辱っぽいのが入ってると萌え度高い私には満足行く不幸健気受けで良かった。たぶんこの本は切ないものを堪能したくなったらまた再読する作品となった。
途中切な過ぎて何度か泣いた。

自分は必要ない人間なんだとずっとそう思って生きて来た受け。
ある理由から30万で売りをしようとする。
たまたま気まぐれに誰かを乱暴に抱きたくなった金持ちの起業家が受けを買う。

この攻めがかなりのドS。攻めの好きな相手(仕事のパートーナーの男性)は結婚していて奥さんは妊娠中。そういう報われない思いから受けを酷い態度で抱くんだけど、受けは従順で健気。

そういう受けに惹かれていく攻め。
でも、報われない愛のために、受けを他人に抱かせて鬱憤を晴らそうとするのだが。。。

受けが攻めを拒否して連絡を絶って、それを必死で攻めが追いかけるんだけど、もうストーカー入ってて途中でちょっと怖くなったw

でも両想いになった後の受けに対する愛情の深さと大人な態度で優しく包み込む様に接する攻めがかっこいいし頼もしい!

16

孤独で不憫な受けに泣かされます。。

極悪人攻め最高!と不純な期待でいっぱいだったのですが、涙涙のカナリ切ないお話でした。
最初の頃の攻めはまさにサイテー!性格最悪ですが、受けと出会って愛しさを知り、これまでの愚かさを悔いて、救われていきます。
元々悪い男ではなかったんだと思いますが、親友への報われない思い、孤独感で歪んじゃってたんでしょうね。
受けの生い立ちがとにかく可哀想で不憫で。。
泣けました。。
攻めが受けを知り合いに襲わせようとした場面は最も悪でしたね。
あんなことされたら逃げられるのも当たり前ですよね。
そのあと受けが、自分には幸せは勿体無いからこれで良かったんだと言っていた場面が、これまでどれだけ傷付いてきたのかと本当に痛々しかったです。
攻めは受けを傷付けてきた分、一生かけて幸せにしてほしいです!!
最後の後日談で2人の幸せそうな様子に救われます。幸せなシーンがまた泣けるという。。
身体から始まった関係ですが、Hシーンの描写は前半少なく、後半の気持ちが思いあってからなので、胸焼けせずにすみました。
むしろエロより完全ストーリー重視です。
この分厚さで、全く飽きさせずに一気に読ませられる作者様の力量に感心しました!!

17

極悪人がメロメロになっちゃうお話です

月東さんの新刊は、380ページ越えで、読み応えたっぷりな1冊です。サイトに掲載されたお話を加筆修正された内容になってます。

極悪人と題名にあるように、攻めの高野がかなり酷くて、苦手なタイプでした。だから、最後まで読み切れるか不安だったけど、途中から、ただの恋する不器用な男になっていたので大丈夫でした。ただ、イライラしていたからって、他の男を呼んで、手を縛って無理矢理エッチさせようとする(未遂に終わったけど)場面だけはどうしてもダメでした。

お話は、親友に長い間片思いしていた高野が、憂さ晴らしに30万円で買った青年・渉に、最初は酷いことをしていたのに、だんだん渉の傍の居心地が良くなって本気で惚れてしまう…という感じです。

その渉との、最初の頃のエッチの描写が痛々しいのです。いいオモチャが手に入ったと喜び、渉のイヤがることがしたいと、エッチでストレス発散をするから、愛情なんて一つもなくて。
一方の渉は、彼女が妊娠してお金が必要だと、高野に何をされても黙って耐えて。

実は、渉には人に言えない秘密があって、家族への憧れが人一倍強いのに幸せになれないと思っていたのです。
反対に、一見、お金があって何もかも手に入れているような高野にも、ずっと抱えてきた孤独と寂しさがあって…。
境遇は違うけど、同じ孤独を抱えた2人は惹かれ合います。

だけど、渉には妊娠した彼女がいると思っている高野は、手に入らないもどかしさに悶えます。その結果取った行動が、部屋に勝手に入ったり、ストーカーしたり、彼女の赤ちゃんを連れ出したりと、最初の極悪ぶりからは想像できない方へ向かってて驚きます。

2人の心が結ばれるまでには紆余曲折あったけど、結ばれてからは甘々になって、その様子は番外編に書かれています。
同居して表札に同じ名前を書いたり、旅行の約束をしたりと、エピソードの一つ一つの渉の幸せそうな様子に、このままずっと幸せになってと願わずにはいられません。

お話全体としては萌え萌え評価なんだけど、最初の頃の高野が苦手だったので萌え評価です。
だけど、極悪人がただの恋する男になっていくのは面白かったし、2人の心が結ばれた時にはキュンキュンして泣けました。
最初が酷かっただけに、幸せになった結末に、読後感がとても良かったです。

13

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