SS付き電子限定版
ファンタジーはほとんど初めてでしたが、壮大なストーリーと、繊細な心理描写に惹かれ、一気に読みました。素晴らしい作品でした。表紙もうっとりするほど素敵でした。
風景描写も細やかで、満天の星のような光苔の美しい発光のシーンなど、目に浮かぶようで素晴らしかったです。
幼少期のカイエンはほんとに不憫で可哀想でした。
感情を押し殺すように育てられてきたカイエン。王が亡くなった時にカイエンの言葉がレイランドの怒りを買い、頬を叩かれるカイエンが切ない。自分の本心すらレイランドに伝えられず、そのあとの一言でカイエンの心も肉体も死んでしまう。
愛情を与えられてこなかったが故に、好きという感情を認識できず、とことんすれ違ってしまう2人がとにかく切ない。
一方自分の過ちを後悔し続けて、転生を繰り返すレイランド。
300年後、転生したレイランドはカイエンの弟をカイエンと思い込み、またすれ違ってしまう。
死を前にしても、自分を犠牲にして、弟やレイランド達を守るカイエン。
そこからレイランドが戻ってきて助けに来る怒涛のラストに心を鷲掴みにされました。
死ぬかもしれない状況下でやっと味わう幸せに、こちらも感激。
思慮深く、優しいカイエンと、自分の過ちを反省し、300年も想いを募らせたレイランド。
二人の幸せで平穏な日々を最後に見ることができて、最高でした。
ファンタジー要素が強い話ですが、出てくるキャラクターが魅力的で読みやすかったです。メインのレイランドとカインだけでなく、カインの双子の弟スウェンと王太子のベルセリドも魅力的なキャラクターで嫌味がない。実は本当に悪い奴はあんまり出てこない作品なので必要以上にイライラせず読めました。
レイランドがカインを好きになっていく過程もじっくり楽しめますし、前世の記憶が蘇って二人が和解するシーンは感動的でした。が、後半に情報が多すぎたのでラブ要素が少なくそこだけが残念でしたね。前世では友人だったので恋人関係になっても甘くなりすぎることはないのかもしれませんが、せっかく300年という壮大な時間をかけたのだから、もっとロマンチックで熱っぽいイチャイチャがあっても良かったなぁと思いました。
感情を知らない不憫健気のカイエン&カインが苦しいほど切なくて最高でした…
でも特殊設定が想像力に欠ける人間には(電子書籍には挿絵もなく)辛かったです。
転生前のカイエンは感情を封じ使命を果たすよう育てられる。無口無表情の所為で誤解され、レイランドに酷い言葉を浴びせられる。絶望の内に病死(辛)。
300年後、能力を見出されたカインの双子の弟は学校へ、カインは一緒に父の暴力からは逃れられるも下働き(いじめ含)へ。
虐待から守ってきた弟が幸せを享受する様に、安堵と喜びを感じるだけだったのが、友達が増え、最上級生に大切にされキスされる弟に羨みと苦しみが生まれてくる…
カインは弟から貰う本で独学、月イチの休み、いじめ、辛く寒い仕事…
くーっ‼︎胸が締め付けられます。
出来れば弟のスウェンが兄を守るところも見たかったなぁ。
レイランドは転生したカインに全く気付かないし、カインは好意に鈍感(お決まりですけども)だしでジリジリ萌えるけど長かった…
BLで花モチーフが出てくると内容によっては冷めるのですが、こちらも耳に飾ったりウーンはあったものの前世の象徴的な二人のシーンが好きでした。
カイエンは王(何故か女性)に花を届けるレイランドの、その行為よりも身心を案じている事に羨んだのですよね。カイエンは女々しい自分を最期にやっと吐露出来たと思えば、長々しい手紙(彼自身は捨てたのだし)に少し泣けます。
気になった点は、先日地震があったのに遺跡探訪に行くとこ。専門家の許可があるとはいえ呆れます。しかも世界を守る&これから守っていく王族や能力者達が。その無理を通してでも遺跡に設定する必要性も感じられず。
電子書籍(ブックパス)は挿絵なし、誤字・ルビが変なトコ有り。
ネタバレやレビューを見ずに購入した自分を褒めたい!
普段は安定した執着しか読まない私ですが、たまには別ジャンルも…と思って手を出しました。
物語はファンタジーで独特な世界観があり、名前なども横文字でしたが、情景も浮かびあがって映像を見ている感じでした。
キーワードはズバリ「輪廻転生」。
物語では主要な始まりと300年後しか描写されていませんが、それでも最高に面白い!!
カインの生い立ちや待遇で何度も辛い思いをしましたが、その分ラストでは泣けます。
まさにシンデレラストーリー。
双子の弟と天地の差ができてしまって劣等感に苛まれながらも頑張る姿に胸をうたれ、辛くて何度か手をとめてしまったり…。
いつの間にかその世界観に私もどっぷり浸かってしまいました。
それでも読み進めてこれたのは、登場人物の良さ。これだと思います。
双子の弟や攻めの友人がいい人で、主人公カインと私も本当に救われました。
最後は駆け足気味でしたが、全部を読み終えた後の満足感が凄かったです。
ああ、これだからBLやめられない!!と、改めて思えた小説に巡り合えて本当に幸せです。
泣きました。ただただカイエンとカインの不憫さと健気さに。
不器用だけど本当はとても正直で、思いやり深い受けが涙を誘ってくれます。
ただし、スパダリ風味に描かれているレイランドに対しては、私は不信感しか持てないのですよ。
まず、前世でいくら自分が心を寄せた人が亡くなっても、直接手を下した相手でもない他者に向かって「お前が死ねばよかった」などと言える神経がわかりません。
27歳で12歳、29歳で14歳の王に恋愛感情があったとしたらロリ〇ンですよね。
ここはまあ、”気に掛けていた”という事かとは思いますけど。
その後3か月経ってカイエンが亡くなった事を知っても腸が煮えくり返るほどの事でしょうかねぇ?レイランドの人を見る目の無さは間違いないですけど、それさえも認識が間違ってます。
よほどの事をされた相手が亡くなったならわかりますけど、こんな自分本位な攻めは嫌です。
「お前が死ねばよかった」などと言った相手が亡くなった時点で後悔するのがまともではないでしょうか?
なので後悔して苦しんでも自業自得だと思ってしまいました。
何ならあと千年ぐらい彷徨ってもらってもOKです。
遅くともカイエンが亡くなった事を知った時点で後悔して欲しいものです。
今世でも、明らかに人違いとしか思えない性格のスウェンを何としても見た目が似ているという事にこだわってるのが見た目が好みなのかよ!って思った。
カインに好きって言われたから、脈のないスウェンよりカインにしたのかよ?だった。
ま、色んな意味でレイランドが薄っぺらい男に思えてならないんですよね。
ただただ、カイエン(カイン)がレイランドを想う気持ちに免じてというか、カイエンが救われたのならよかった。という気持ちです。
でも、本当のところカイエンとレイランドが救われた一番の功労者は、ヴェルトハイム候(スウェン)であることは間違いないでしょう。
輪廻の外に隠れていたカイエンを見つけて、一緒に生まれてきたのですから。
そこの記憶をスウェンが語ってくれたら良かったのにって思ってしまいました。
みずかね先生の絵が素敵でした。