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表題作銀座ネオンパラダイス

郡司鷹彦、老舗呉服問屋のドラ息子
見目葵、下請けの縫製工場の息子で進駐軍通訳

あらすじ

昭和23年、東京・銀座--。
東京の片隅で、葵は戦争から戻らない幼馴染を待っていた。
それは出征の前夜、ただ一度だけ身体を重ねた男(ひと)でもあり…。
ところがその鷹彦が突然目の前に現れて…!!
相変わらずのワガママさで葵をあきれさせるが、人を引きつける力も昔と同じ。
そして役者になるという夢に向かって少しずつ変わろうとする鷹彦に、葵は秘めていた恋心を止められず…。
痛くても、苦しくてもお前とともに生きたい--お前は俺を照らす光、俺の生きる理由だから。

作品情報

作品名
銀座ネオンパラダイス
著者
ウノハナ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
日本文芸社
レーベル
KAREN COMICS
発売日
ISBN
9784537133578
4.2

(346)

(175)

萌々

(109)

(42)

中立

(11)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
36
得点
1448
評価数
346
平均
4.2 / 5
神率
50.6%

レビュー投稿数36

ありがちなのに泣ける

Kindle unlimitedで読みました。
王道にスパイスが効いた感じで一気に読んでしまいました。戦後という重い時代背景がありながらも、ちゃんとラブストーリーとして落とし込めるところがウノハナ先生の力だなと感じました。再会要素もあるのに前半は特にお涙ちょうだいというところがなくて、鷹彦の図々しい俺様的な性格が中心に話が進んでいくので、あんまり暗くなったりしんどくなったりはなかったです。なのに、ラストの映画のシーンは泣けましたね。鷹彦の強引さとか華やかさがスクリーンを通して伝わって、彼の魅力がダイレクトに伝わってくる。「やっと帰ってきたんだな」という安心感が一気に感じられて、このシーンのためにすべて構成されていたのではないかという気持ちになりました。
ありがち展開なのにドラマチックさがあり、ノスタルジックなところもあるけどどこか現代的、というまさに良いところ取りの作品だと思います。

0

心に沁みる物語

戦後間もない昭和が舞台。トローリーバスが走りだした頃。 
ウノハナさんの2015年の作品。 
読後感が、凄く良い作品。

★鷹彦が戦友の遺品を届けた未亡人が、葵に言う
「どうして? 醜くてみっともないのがいけないの? 可愛いじゃない 必死で生きてる証よ」 
・・この沁みる台詞のために作った作品じゃないかと思った。

出だしの場面は有名な歌、「岸壁の母」を連想。
終戦後の帰還兵を乗せた船が着く波止場でずっと鷹彦を探して待つ葵
葵は、米軍将校の通訳をして生計を立てていた。

鷹彦が戻る日を信じて、ボロボロの借家に住み続ける葵。
葵の古い借家に、出征以来、行方不明となっていた 幼馴染の鷹彦が訪れる。
ひょっこり帰ってきた鷹彦は、役者の卵になっていた。

1

のらくらな態度に隠れた想い

 いやあ、良い読み物に出会えました。ウノハナ先生と時代物の相性が、ここまで良いとは。なんといっても、鷹彦のふらふらした感じが魅力的ですよね。浮気性な攻めは好き嫌いが分かれやすいと思いますが、鷹彦にとって葵とそれ以外の人間では決定的に違いがあることはすぐ察せるので、私は気になりませんでした。葵の隣に堂々と並ぶことに自信がないから、居場所を定めきれず、ふらりと出ていっては戻ってきてを繰り返す鷹彦。それに振り回されてうんざりしながらも、結局いつも心の中では帰りを待ちわびてしまう葵の健気さ、一途さが切なくて。

 死んだかどうかも分からぬまま、想い人の戦地からの帰りを何年も待つ心地というのは、どれほどの狂おしさでしょうか。現代に生きる私には想像もつきません。どうせ死んでいるだろうと早々に諦めてしまえば多少は楽になるかもしれない、しかし、確実な知らせもないまま諦めてしまって本当にいいのか、持つべき希望を捨てていいのか。そうやって苦悶し続けた葵の心情を思うと、鷹彦が戻ったことの奇跡、尊さが身に沁みます。

 鷹彦は鷹彦で、葵の知らない前線を生き抜く中で、生死や人生についていろいろ考えたでしょう。帰国後長らく連絡しなかった彼の想いにも大いに共感できました。そうして一度は別々の道を歩んだ2人が、この時代に再び昔のように隣り合う。時間はかかったけれど最後は帰った鷹彦、それを受け入れた葵、どちらの選択も涙が出るほど嬉しいです。戦時中、戦後の物語として、とても良質な作品でした。鷹彦の浮気性は葵への甘えからではなく、自分に対する自信のなさから来ていたものなので、葵の恋人として自信がつけば、しっかりしていく気がします。これからは女性がいる場へは葵も連れて、豪快に遊んで欲しいですね。

1

お前しかいない…萌え〜

2人ともいい男〜。
素直になれず意地をはっちゃったりもするけれど、お互いすごく思い合っているのがいい。

鷹彦の放蕩ぷりに耐えて待つ葵が何て忍耐強い。
その葵が戦後3年間ひたすら鷹彦を待つ日々は辛かっただろうな。そりゃ帰国していても連絡よこさなかった鷹彦に怒るよ。

それでも葵は一途で健気で、鷹彦が相変わらず奔放にしていても最後には自分の所へ帰ってきてくれればいいと。
ま、戦争で死んだと思えば、生きていて自分のところへ帰ってきてくれればいいと思えるか。

鷹彦はそんな葵に甘えて相変わらずだったけど、役者の道を目指すと言った割に中途半端で。
それが葵を喜ばせたいと真剣に役者に取り組めるようになってよかった。

鷹彦のデビュー作をスクリーンで見る葵の号泣っぷりにどんだけ好きなんよ!!と笑ってしまったけどw
何があってもお前だけ、お前は俺のもの、と言える2人がウノハナ先生らしい萌えなのだなと楽しく読めました。

1

王道が難しい時代にエモで現代テイストで通す

素晴らしい作品でした。カバーも美しい〜。

出兵して戻らない友人、最後の夜に触れた記憶、いつも船を出迎えて帰りを待つ、銀座のネオン、米人とのやりとり。
戦中戦後はなかなかBLで少ないテーマだと思いますが、重苦しくない描き方で読みやすく、キャラや台詞も現代と言ってほぼ遜色ないです。
鷹彦の性格が宵の金は持たない江戸っ子っぽさというか、昭和の色男風と言えなくもないのが良いし、葵の真面目な常識人の白黒コントラストが楽しいです。
王道的な流れもありますが、でも戦後でBLで王道って無い(テーマとして・時代背景として)からジンと来ます。
脇キャラの配置のソツの無さ、お話との絡ませ方は流石です。

戦後すぐ鷹彦が葵の元に戻らなかった理由、それを知って泣きながら無言で鷹彦を抱きしめる葵にグッときました。
映画に映り込む鷹彦に涙する葵。鷹彦が戦中想像したように、もし葵が家庭を持っていたとしても同じように泣いたでしょうね。
映画は一生その人のその時の輝きのまま残ります。映画と2人の普遍性、生きていることが溶け合ってエモーショナルなシーンでした。

あの頃って開襟シャツでは?とかボロ家で致して(個人的に対面座位がとても良かったです)筒抜けでは?とか、突っ込みは野暮です。でも髪型や言葉使いや生活にもっと歴史背景取り入れて欲しかった気もします。でもこのままで素晴らしく完成されている作品なので、やはりそれは野暮。
Kindle Unlimitedにて

2

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