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表紙は何度も見た事がありましたが、無料キャンペーンのタイミングで拝読しました。
前知識でオメガバースというのは知っていたのですが想像以上に読むのに苦戦した作品でした。まず、絵が荒いので読みにくい……という事とストーリーがあまりにも重すぎて、読みながらしんどさを感じました。
オメガバースでα優位、Ω劣性の世界観なので、Ωに対する扱いがただでさえ悪い環境。その中で発生する同級生、実の兄弟からのレイプ(兄に至っては妊娠させられる)、クラスのα全員から番を求められ山(?)の中を鬼ごっこ(このシーンハラハラして心が休まりません)などΩカナエが心休まる事が無い日々の連続のように感じました。
クラスのリーダー的存在であるオウギもカナエを自分のモノにしようと策をねり始め…。
自身の意思に関係なく周囲を欲情させてしまうカナエをオウギは守り続けますが、彼の番になりたいという欲と「友達」の状態をどこまで保とうかという葛藤にも、どうしたいんだ……とあやふやなものに見えて。
お互いに幼い頃交わした約束を思い出し(カナエは望んでいたオウギとの恋人関係)ハッピーエンド……という流れではありますが、あまりにもカナエが不憫で終わり良ければ…で済ませていいのか悩ましい所がありました。
αばかりのクラスにΩがひとり転校してくるお話。
そしてこのΩ、過去のとある事件から体質が変わり、αを誘引させてしまうのだ。
クラスのαたちも例に漏れず誘惑され、パートナーがあっても唯一のΩを手に入れたくなる衝動に駆られるが、クラスのリーダー的存在オウギがあれこれ画策して、Ωをなんとか護ろうとする。
だが、、、
とにかく波乱に波乱を重ねた展開でした。
今となってはオメガバースという設定自体なんらもの珍しいものではないし、亜種的な設定もバラエティ豊かに見られる昨今です。
けれど、最後までハラハラドキドキ感を読者に与えてくれる面白い作品でした。
というか、ひどいことばかりだった受けちゃんの一途な純愛…攻めが生きる希望だったっていうのがとてもよかったです。
発売当初に購入して読み、続巻を読むために数年振りに再読。
あれ、このお話こんなにも面白かった…?
と、改めて痛感。
というのも、あの頃はオメガバが出始めで目新しさがあって、でも第二の性差別や強制的に発情してしまう質が少し怖くてずっと本棚の隅にそっと閉まっていました。
かくいうこの本もΩやαである高校生が苦しみ、もがいて運命の番を見つけていくお話で、受けが過去にトラウマを背負っています。
これまでに結構な量の色んなオメガバを読んできたので耐性がついた今、改めてこの本の良さに気がつきます。
やっぱり構成だったり絵が抜群に上手くて…。
それ故に、入り込んでしまうんですよね…。
あとタイトルも秀逸!
数年経っても覚えているくらい、すごくいい、天才だ。
受けの抱える問題、攻めの抱える問題が続巻で解明してくと思ったら次巻が楽しみであり、やっぱり辛くなるのが分かっているから少し手が遠のきそうになったりしながらも…読んでしまいたくなる、そんなお話です。
本当に素敵。
登場人物一人一人の心理描写が緻密に描かれていて、丁寧に感情移入してしまいます。
それぞれのカプの苦悩とか相手を思いやる気持ちとか、それでいて本能が恋心に襲いかかってくる感じとか息をするのも忘れて読んでしまいます。
行為の描写も、この方向に感情が動いたからこの行為になる。という感じで、普段読んでいるBLとまた違った文学のような感覚が味わえる作品だと思います。
個人的にはオマケページのβの先生のスピンオフ作品が読みたいなぁと小さな希望をここに記させて頂いて、レビューを締めさせて頂きます。