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表題作さよなら一顆

座波榛名,27歳,中古金属買取店「百顆」勤務
矢神比呂,30歳,大手飲料メーカー勤務,バツイチ

その他の収録作品

  • またきて一過
  • あとがき

あらすじ

中古金属買取店に勤める座波。心がないと同僚にも言われる座波だが、婚約指輪を売りにいた矢神という無表情の男のことが妙に気になって・・・?

作品情報

作品名
さよなら一顆
著者
一穂ミチ 
イラスト
草間さかえ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403523908
3.5

(110)

(22)

萌々

(45)

(21)

中立

(14)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
16
得点
367
評価数
110
平均
3.5 / 5
神率
20%

レビュー投稿数16

どうしてか全然刺さらない

付き合うまでの「さよなら一顆」と、後日談「またきて一過」の二本立て。分量的には一冊の3分の2と3分の1です。思いの外、表題作が短かった印象。

社会人同士のカップルなので楽しみにしていました。
ひょんなことから知り合いになる、勤め先も仕事内容もタイプ(性格)も異なる二人。
ノンケ同士であり、知り合って仲良くなって、友情が恋に発展する展開は唐突に感じ、BL展開だから仕方ないのかなとも思わせられました。
同じ作者の「降ったらどしゃぶり」は、やはり勤め先も仕事内容もタイプも異なる二人の恋の話ですが、もっと丁寧にキャラクターの心情を追っていて、彼らをとりまく環境や普段の生活の空虚さや順調そうに見えての悩みなど、寄り添って読むことができる作品でした。ですが「さよなら一顆」は案に相違してキャラクターの誰にも共感できず寄り添えず、最後まで馴染めなかったです。
メインの二人が他愛ない日常会話を繰り広げ、なんということのない普通の毎日を積み重ねる。そういう意味でとてもリアルです。一穂先生の作品でよく見られる光景で、微笑ましく感じる場面のはず。
だけど、読んでいる私の問題かも知れませんが、どういうわけかまったく響かず、刺さらず、逆に戸惑ってしまいました。
レビューとして、同じ作者とはいえ他作品を引き合いに出すのは正しくないと思うのですが、自分の中で「さよなら一顆」をうまく咀嚼できず、安易に比較して申し訳ありません。
それと、キャラクター造形が挿絵頼みというか、外見の描写がほとんど無くて、イラストを見て初めてこういう容貌なのかと驚いたりしました。特に座波さん。

1

矢神と言う名前が好きになりました

作品内容は、上記を読んでください。

出会った時は、店員と客だったので、二人とも丁寧語で話していたのですが、次に偶然会って飲んでから、榛名は変わらずの口調、比呂はタメ語に変更。でも、どうしても私の中で、それぞれのキャラに話し方が合わなくて、何度となく「あれ?これ誰のセリフ?」と疑問に思うことがありました。
それぞれの設定は、すごく好きです。
榛名は、女性をとっかえひっかえだったのに、比呂に対して先に恋心を抱き、柄になく悩むところとか、比呂は南が明かした日常の姿が堪らなく可愛くて、笑ってしまいました。ボールペンや付箋の話!

前妻に、かわいそうなくらい利用されて捨てられた?比呂ですが、普通の人よりダメージが少なく、だからこそ何か一つでもしがみつかなきゃと思った結果が、子どもの親権問題になってしまったのですね。
もうどうしてよいのか分からなくなっていた時に、会えたのが榛名で良かった!
そして、初エッチがお試しみたいな流れで、えー?!いいの?と(笑)
大まかな話の流れは予想できますが、ちょこちょこした所で、良い方に予想を裏切ってくれるのが楽しい!

ただ、話的には好きですが、キュンとくるかと考えると、萌評価で止まりました。
2人での、飲み以外での日常の絡みが、もう少し欲しかったかなぁと思いました。

0

涙の日に

大好きな作品で今まで何度も読み返していますが
座波くんと矢神さんが出逢った涙の日(7月3日)に、と
思い立ってまた読み返しました。

過去に六股も経験した事がある男なんて
リアルでならイヤでしょうがないはずなのに
そのわりに女に執着しない、優しいのかどうかよくわからない座波くんが
性別以外の共通点なんて何も無さそうな矢神さんに
どんどん心が乱される様子が楽しいのです。
勿論矢神さんは意図的にそうしているわけではないし
いくら矢神さんが他人の機微に多少疎くても
いつだって真剣に接してくれているから
座波くんの戸惑いに共感しつつ
ノンケで女にだらしなかった男の本気の恋にときめいてしまうのです。

攻め視点というのも大好きな要因のひとつですが
あ、こういうところで気になっていっちゃうんだ、
というエピソードの数々が些細なことのようだけど
それ見逃してたらこうはならなかったかもだったり…。
ひとつひとつの出来事の積み重ねが自然で
そつのないタイプだったはずなのに今までになかった感情の波も
すべて矢神さんに向かってしまう気持ちが止められない。

秀逸だったのは床に落とした互いのネクタイのシーン。
そこで一気に性的に意識してしまった座波くんのしんどさがたまりません。

実際いたら、もしかしたら付き合いづらいかもしれないと思ってしまう矢神さんの
長所も短所も座波くんにとっては愛しさや歯がゆさだったりなので
ああもう恋だなぁ、と。

エピソードのひとつに、座波くんの部屋の鍵が
金属疲労で折れてしまっていましたが
この作品の発売数日前に私の以前の車もコレになり
めちゃくちゃタイムリー!と一人で笑ってしまいました。
(私の場合はスペアがあったので大丈夫でしたが)

ホント、物も人も何もかも見掛けだけじゃわからないですよね。
だから面白い(ジャ○ポケ)

草間さんの描かれるスーツ姿の男性はやはり最高で
作品の世界観にとても合っていましたし
夜のまとう雰囲気とか素晴らしい!!

大きな事件ドーン、大きな感動バーンというわけではないのですが
設定と登場するアイテムが活かされていて
心情の変化が非常に大好きな作品です。

6

もっと萌えたかった・・・

中古貴金属買取チェーン店「百顆」に勤める座波榛名は、閉店間際に婚約指輪を売りに来た矢神比呂に、気まぐれで夏みかんを振舞います。
その夏みかんを食べて、それまで淡々としていた比呂がぽろりと涙を零します。
比呂のことが妙に心に残った榛名。
数日後、榛名はセフレ(女)の機嫌を損ねホテルの前で打たれるのですが、その現場を偶然比呂に見られてしまいます。
比呂が榛名の腫れた顔を手当てしたことをきっかけに、二人は客と店員から、知り合い、そして友達のような関係になっていきます。
比呂のことを知るうちに、榛名は少しずつ彼が友情とは別の感情で気になり始め・・・という物語です。

他の方も書いていらっしゃるように、読み始め、なかなか入っていけませんでした。私この物語合わないかも・・・と思いながら読み進めました。
どこからか・・・多分、榛名が恋心を自覚したあたりから、やっと面白さが分かってきた感じです。
なので、榛名が告白してからの『またきて一過』は凄く萌えました!
比呂が榛名のことを好きなのに伝えられないところ、そんな比呂に榛名が振り回されるところ、ここがメインでガッツリページ数があったら良かったのに・・・と正直思っています。
想いや気持ちの”分量”のくだりも胸に響きました。「顆」の部分も、もう少し掘り下げて欲しかったです。

比呂のキャラクターが、なかなか掴めませんでした。
自分でも放り出したいのに手放せなくて、どうしていいか分からなくなる・・・気持ちは分かるけど、それが比呂にとっては親権なのが納得し辛いというか。う~ん、そこ拘るんだ?みたいな感じでした。
「高性能だけどちょっとポンコツ」感がもう少し早く掴めていたら、もっと比呂を好きになれて、榛名にも共感出来たのではないかと思います。

読みながら、色や映像が思い浮かぶ作品です。そこは凄く綺麗だし、素敵だと思います。
後味は悪くないので、大人な恋愛ものが読みたい方にはオススメできる作品なのではないでしょうか。
比呂に告白するまで、榛名が女性とかなり遊んでます。浮気もへっちゃらなクズ男です(笑)
比呂も離婚した元妻がいますし、登場人物に女性の影がチラつくので、苦手な方はご注意を。

3

初めての恋に翻弄される

数詞の『顆』を初めて知り勉強になりました。

訳ありな矢神の背景が明かされず気になりました。
どんな育ちをしたら矢神のような男ができがあがるのか
対人スキル低すぎ、空気が読めない天然な純情さんです。
それでいて粘着質のところがあったり…。

突拍子もない出会いや事件や極悪人もいない話です。
ゲイでもないのに同性に惹かれていく段階が自然で
ほんとにあるかもと思わせる大人の恋の物語でした。

笑える座間語録がツボでした。
ホテルのベッドの上で、すぐ体許しちゃうのは嫌、とサッカーに例える不思議
「両思いになっちゃったと」という座間がかわいかった
電気つけたままするのが嫌なら、暗くしてもっと恥ずかしいことする

2

この作品が収納されている本棚

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