SS付き電子限定版
表題作
全て愛ゆえに…のことですよね。
優秀でいつも冷静沈着な春輔が兄のことになるとテンションがおかしくなる。
巧弥がシナリオを書きわざと痩せて春輔と父親の世話になり思い出づくりをしようとする。役者であり演出家だからこその設定。
個人的にはこの辺がしっくりこなかったんですけど、そういう愛情の物語てことですね。
鍵のかからない檻
テーマはとてもいいと思いました。
ただ芸術的な美しさや情感をもっと感じるには、視覚的効果。引きの絵、背景(作中の絵、空など)や余白で訴えられると個人的にはすごく刺さったのではないかと感じました。
2本とも純愛でありながら人物たちの屈折した表現を見せたかった作品なんでしょうか。
弟とお父さんがめちゃめちゃ可愛い。お兄ちゃんとお母さんが好きすぎて、ただそれだけなのに人にはいろんな思いや思惑があって、それが複雑に絡まっているのにとてもシンプルに表現されていて読後のスッキリ感が心地よいお話でした。すごく好き。お兄ちゃんが可愛いなぁ。
同時収録のお話はとってもダークな印象。倫敦巴里子先生の可愛らしい絵柄とは相反する仄暗いストーリ展開がミスマッチでぞくぞくします。こちらもこちらで幸せの形に収まるので納得。ふり幅の広い作品が読めるのでお勧めです。
◆兄弟ですが、他人です。(表題作)
冒頭ではギャグ要素満載のほのぼの義兄弟物語といった雰囲気だったんですが、中盤以降、兄弟共に互いに抱える薄暗い想い、歩んできた人生が描き出され、シリアスな場面が多くなっていきます。のほほんとした愛されキャラの兄・巧弥が、母親のことでここまで鬱屈した一面を持っているのには驚きました。人は本当に見かけによらないですね。自分が春輔に道を誤らせたのではないかと不安に思う巧弥。選ぶことのできなかったもののせいで、そんな風にずっと自分を責める人生は悲しい。最後まで巧弥を追い続けた春輔に拍手したいです。
◆鍵のかからない檻
表題作よりさらにシリアスなトーンの作品。こちらも設定が好みだったので、できればメインでもう少し長く読んでみたかったかも。この若さで芸術家のありのままの熱情を受け入れる覚悟を決めた、大介の想いの強さに痺れました。
「鍵のかからない檻」の内容、把握しにくかったのですが、先の方のレビューが参考になりました。ありがとう。
遥が描く、特殊な「情念がこもる赤」の秘密についての作品。
両親を亡くした美少年大介12才を引き取った画家の遥28才。
周囲の人達に「大介に優しくしなければ」と口癖のように言う遥。
遥は、何枚も大介をスケッチする。でも完成させない。
或日大介は、荷物を整理して遥が自分を描いたキャンパスを見つける。
沢山の絵は、色付けしない状態。
描かれていたのは、縛られて苦痛に泣く大介の姿を描いた絵だった。
実は、遥は苦しむ様子を観なければ、情念が湧かないSな人。
遥な異常な赤の秘密を知り、「興奮と罪悪感に苦しむ遥さんは最高」と大介は受け入れる。
でも、遥は、何時か大介を傷つけるかもしれないと、筆を折る。
大介も、遥からいつか自分は逃げ出すのではないかと、全寮制に行くことに。
大介は、全寮制の学校に行く前に気持ちが変らなければ、本気でおとすと告げる。
学校の窓から、赤く染まる夕焼けを見つめる大介。
時を経るにつれ、鍵の無い檻が恋しくなる大介
美大に進学した大介は、遥の斡旋で絵のモデルのバイトを務める。
展示会用に大介が描いた絵は赤い夕焼の空.
・・と解釈したらよいみたい。
この作品を読んで思い出したのは、
絵画モデルに纏わるあわやのりこさんの話;
「「霧島のぶ子」を名乗っていた時期、1928年(昭和3)秋のある日、アトリエでポーズをとる淡谷のり子に田口省吾は突然襲いかかり強姦してしまった。」
・・・みんな貧しくて苦しんでいた時代の逸話です。
絵画モデルは、リスク一杯のお仕事のよう。
なんとも後味のスカッとしないというか、疲れてるからかいまいちよくわからないお話でした。
「兄弟ですが、他人です」
弟はわかりやすいです。子供の頃から兄が好きで兄を手に入れる為の壮大な計画を着々と実行していく。素直じゃないけどはたから見れば超ブラコン。
兄が天然かと思いきや兄も弟に恋をしていたんですね。わざと痩せてシナリオって一体?母子で元父に引き取ってもらう計画?だけど内緒で田舎に引っ越したのは?そして両親が再婚。
うーん、自分と母が魔性だからと気にしていましたが父と弟に追いかけてほしかったの?
読解力がなくて理解できず。すみません。
「鍵のかからない檻」
誰かに優しくしたいから引き取った遠縁の子供。その子に好かれて。
でも主人公には悪癖があって。
結局好意は受け入れないの?こちらもよくわかりません。ごめんなさい。