特典付き
「はじめて、はじめました。」で初めて著者の作品を読んで、可愛いなと思って色々探ってるうちに見つけました。
短編集ですが、いちばんグッときたのは、表題作である「還らずの夏」と「いちばんしあわせ」。
メリバ系が好きな方は、スッと刺さると思います。
暮田マキネ先生の作品は全部好きですが、やり切れない切ない終わりが好みなので、特にこの短編集は好きです。
あとがきにもありますが、主に「涙(というか最愛の人の死)」・「オメガバース」・「心中」・「縛」の4つのテーマの短編が収録されています。
表題作品である巻頭の「還らずの夏」がまずめちゃくちゃ切ない。涙なしには読めないけど、これで暮田先生を好きになったとも言える。
登場する3人それぞれの気持ちも痛いほど伝わるし、3人ともが心から願う幸せになれないやるせなさにしばらく動けなくなるほど。
2〜3番目はオメガバースの「不機嫌なつぼみ」その続編の「咲き初めの焦燥」。
この短編集においてちょっと箸休めのようなほっこり作品で、あって良かった^^;
次は心中がテーマの「いちばんしあわせ」
悲しい結末ですが、このタイトルがしっくりくるなんとも言えない物語。
最後は一応家庭内恋愛の「All things I know.」
血は繋がっていない父子による執着系なストーリーなのに、父であるメイが抜けてるので、うっかり微笑ましく思ってしまう不思議。この物語の続編があるので、気になる方はぜひ!
そして、書き下ろしがそれぞれあって本編と違って癒されるんだけど、表題作のカバー裏はどーやっても切なくて、心臓がキュッとなる(T-T)
所謂ハッピーエンドはありませんが、定期的に読みたくなる大好きな作品です。
短編集です。
暮田先生の作品は初めて読みますが、絵が綺麗で読みやすいです。
表題である還らずの夏を読んで、「ヴッ…」と少し落ち込んで、でも大丈夫、わたしは彼らの幸せな時間をほとんど知らないからつらくてもすぐ立ち直れるよ!と、メリバ読書特有の謎ポジティブが発動しました。
しかし、読み進めていくと、なんということでしょう。
あったのです。幸せな夏の時間の漫画。
「ずっと一緒にいような」
このセリフを読んだ私は、このレビュータイトル通りの言葉が口をついて出ました。
「ひ、酷すぎる…」
順番って大事だと思うんです。
例えば、幸せな過去の時間→辛い現実だったら、まだその後泣くだけで終わります。
しかし、この作品では、幸せな過去の時間(少量)→辛い現実→幸せな過去の時間(少量だけどどれだけ2人が愛し合っていたかわかる)という、メンタル潰しにかかってるのかな?疑問に思ってしまうような攻撃を受けました。(でもそれが良い)(涙の数だけ強くなれるよ)
ちなみに、現実時間で受けの子が死亡エンドだったらこの攻撃は幸せみを増させるものになると思いますが、作者さんがあとがきで言っていた通り、多分受けの子は幸せになれないので、一生なつのことを思い出しながら生きていくんだと思うと、「ずっと一緒にいような」の言葉のしんどみが変わってきますよね。
泣ける分には泣けますし、後日談含めとても良い作品なので、地雷でなければぜひ読んでいただきたいです。
他の4編は心中していたり束縛エンドだったり、幸せオメガバースだったりするので、割と読みながらメンタルは保たれました。(後日談で崩れましたが)
つらいけど、乗り越えてこその幸せがあることを知っている腐女子、腐男子の皆様に、是非ともおすすめしたい一冊です。
暮田マキネさんの独特な絵柄と作品の空気感が好きで、遅れましてですが読ませていただきました。
まず表題作で泣けました......しんどい.......ハッピーエンドになれない2人に胸が締め付けられました......最後の表情がもう......。でもやっぱりこの1冊のなかで1番好きなお話です...辛いのに...なんでだろう......涙
そして表題作の他にも4作品ほどあるのですが(ハッピーエンド作品もあります!)、全体を通して重めの雰囲気に感じます。
最後の作品の「All things I know.」はファザー・ファッカーの2人ですね!?!?
ネタバレなしで読んだのでここから繋がっていたのか....と嬉しくなりました♪
表題作「還らずの夏」。
よみがえることのない奈津、に掛けているのかな?
登場人物も はる、ヒデあき…四季です。(冬はどうした⁉︎)
奈津と陽の言い合いのシーン。
勢いよく頁をめくると、そこにはふわりと浮遊している奈津の姿が!
見せ方上手いなー!
あと大好きなシーンがもう一つ。
陽は抱き締めてきた秀明を突き飛ばし、奈津に必死に手を伸ばしてその胸に飛び込もうとする。
が、その瞬間、二人の身体はお互いを通り抜ける!
そしてめくって次の頁。
ずしゃあっっ、と大きな音を立てて大ゴケするのです。
少しコミカルでもあるのが逆に泣けた。
対して秀明。
彼は泣きじゃくる陽をしかと抱き締めることが出来る。
生者と死者の如何とも出来ぬ隔たり……。
残された者と残し行く者。
そして生者は死者には勝てないのです。
還らないものもあれば、記憶に刻まれ失われることのない永遠もある。
スペシャルサンクスの後を見落とさないで。
他は、続きもののオメガバ2作。
心中もの。
「ファザーファッカー」の元ネタ話。
それぞれ趣向が違って飽きさせない。
この作家さんは言葉が文学的。
このコミックスには無かったけど、素敵な文章を引用したり。
叙情的な世界に引き込まれます。