愛に焦がれる少年たちの、いびつで幼い恋!!

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表題作ロッカバイディア

江波八尋,累を見守る幼馴染
保科 累,トラウマを抱える高校生

その他の収録作品

  • 後日談
  • カバー下:あとがき・イラスト

あらすじ

「俺にできることは全部叶えてやりたいから」
大病院の次男坊で、奔放に日々を過ごす
八尋(やひろ)。そんな八尋にとって大切なのは、
幼馴染みの累だけ――。
養子という立場に引け目を感じている累(るい)に、
自分にだけは甘えていいと教え込んできた。
そうして幼い日を過ごした二人はやがて、
身体を重ね始める。
曖昧なバランスで保たれていた関係だけれど、
義母の妊娠を機に突然、
累が「終わり」を口にして!?

作品情報

作品名
ロッカバイディア
著者
暮田マキネ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
発売日
ISBN
9784199608117
4.4

(250)

(155)

萌々

(56)

(29)

中立

(5)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
28
得点
1091
評価数
250
平均
4.4 / 5
神率
62%

レビュー投稿数28

溺愛攻め×薄幸受けがお好きな方に。

作家買い。

暮田さんの描くちびっこちゃんがどうしようもなくツボなのです。
ビジュアルも、中身も、とにかく可愛い。

で。
今作品は、そんな私の大好物の暮田さん@ちびっこちゃんがたくさん描かれていまして、読みながら悶え、萌え、愛おしくってどうしようもなかった。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






主人公はDKの八尋と累。
どちらかというと八尋視点で描かれることが多いですが、交互で累視点も描かれているので二人の感情が読み取りやすいです。

八尋と累は幼馴染。
子どもの時に八尋の隣に累が越してきたことで友人になった。

累の両親は弁護士で恵まれている…、ように見えるが、実は累は実母に虐待されていたところを、弁護士に救われ(それが累ののちの養母となる女性)、そして彼女夫婦の養子になったという経緯がある。

実母に虐待されていた累は、出会った当初かなり痩せていて、感情をあらわにすることが苦手だった。
が、引き取ってくれた義両親と、八尋のおかげで少しずつ明るさを取り戻していく。

控えめで、自分に懐く累に少しずつ恋愛感情を育てていった八尋は、累を言いくるめる形で身体の関係を持つようになるが―。


というお話。文章で書いてしまうと八尋がやや外道な男に感じてしまうかもしれませんが、彼の累への愛情がそこかしこににじみ出ているためになんとも切ないのです。

累だけのために、八尋は奮闘する。
帯にも書かれていますが、「お前が望みさえすれば なんだってしてやれる」

この一文が、八尋の累への愛情をまるっと表現しているのです。

そして一方の累も。

彼もまた、八尋を愛しているのが透けて見えるんですね。
なのに、彼の感情にセーブをかけるのが両親への感謝の想いと愛情なんです。

血の繋がりのない自分を引き取り、愛し、そして育ててくれた両親。
そんな両親に、累は報いたい。

ゲイであり、男である八尋を愛してしまった自分に葛藤をずっと感じて生きてきた。
そんな想いは、八尋に対してもむけられている。

両親に、そして八尋に、嫌われたくない。

そんな想いに囚われ一人で踏ん張り続ける累という青年が、とにかく健気で泣ける。

序盤、八尋視点で描かれているために累の感情が分かりづらいのですが、少しずつ累の感情が理解できるようになる展開の仕方が非常に秀逸で、一気に読み手に累の感情が流れ込んでくる。それ故に切なさとか、萌えとか、そういったものがぐっと膨らみ、ページを捲る手が止められませんでした。

累は自分の立場をネガティブにとらえていますが、彼を取り巻く周囲の人たちが凄く優しい。
累の両親はもちろん、八尋も、そして八尋の兄も、累の友人も。

累が、「自分」に自信を持ち、そして素の自分をさらけ出せるようになるために必要だったものは何か。

愛情なんですよね、やっぱり。

個人的に暮田作品に魅了され続けていますが、その大きな魅力の一つが、作品に流れる「優しさ」と「愛情」なんだと、この作品を読んでしみじみと思いました。暮田さんの優しさが、暮田作品のいたるところで描かれている。バックボーンはシリアスさも多くある作品なのですが、そんな暮田さんの優しさに満ち溢れている作品で、切ないと、萌えのバランスが素晴らしいです。

八尋と累は、序盤「セフレ」という立ち位置にいます。
そのため濡れ場は暮田作品にしてはやや多め。多めですが、エロい、というよりは綺麗で、そして切ないです。「セックス」という行為が、エロ目的ではなく二人の感情の機微を細やかに描くためのツールとして描かれているからかもしれません。

カバーを外すと、そこには子どもだった時の八尋と累のイラストが描かれています。

もう最高か…!
可愛いが過ぎる。

薄幸な受けさん。
受けを溺愛する攻めさん。
そして、家族愛、隣人愛。
そんなキーワードにビビッと来る方に超お勧めの作品でした。

暮田作品はすべて読んでいますが、かなり好きな作品です。
文句なく、神評価です。

24

表紙がほんとにステキ

今回気付いたんですが、無意識で作家買いになっていた暮田先生作品です。
ある意味作家買いよりも凄い、試し読みで作品をチェックして購入した結果コンプリートしてるって。
しかも、同時進行の分冊版も全部読んでる…恐ろしい作家さんだ。

暮田先生の画は、ちびっ子描写が抜群の可愛さで、DKになったら攻めも受けも色気がある。
仄暗い世界でしっとりした空気感には中毒性があるのかな。

今回は特に表紙が好みで、色彩やデザインが本当に素晴らしい。
内容を知って見ると、更に特別感のある場所と温もりに癒されます。
累と過ごすデザインコンクリ壁に囲まれた八尋の部屋が、二人だけの秘密の隠れ家のようで、
全て絵空事かと思わせる不思議な空間が、印象的に描かれてました。

虐待で保護され弁護士の養父母に引き取られた9歳の累。
大病院の次男である隣家の八尋は、出会いからずっと累を溺愛し、累も懐いて甘え、
いつしか身体の関係も持ち高校生の現在。

養母が身ごもったことから、養子である累は良い子でいる為に八尋との関係を終わらせ、
距離を取って優等生として頑張ろうとしますが、
夜になると八尋の部屋に行っては身体を繋ぎ、普段は八尋に見向きもしない生活が続く…。

執着溺愛攻めの八尋と、トラウマを抱える薄幸受けの累。

優しい養父母や溺愛する八尋に守られて8年生活した累ですが、
9歳までネグレクト環境だった、累の抱える闇を消してはくれないという現実。
存在することを誰にも気に掛けて貰えない、ネグレクトの傷の深さがリアルです。

自分を必要として貰う為には良い子でいなくてはいけないという強迫観念は、
周囲が思う以上に切実で、大切な場所だからこそ失いたくない。
八尋への想いも断ち切れず、日を追うごとに壊れていく累が痛々しくて見てられない。

それにしても八尋はスゴイわ。
あの執着と溺愛は慈愛から始まってますね。
あれだけ甘やかして、欲しいものは何でもやると教え込んできたからこそ、
限界を超えた累は八尋に「たすけて」と言えたんだと、私は思ってます。

養父母にもあれだけ大事にされてきたのに何で?と感じるかもしれませんが、
幼少期の虐待の傷は、自己肯定感に大きく影響するので、そんな簡単には癒えないし一生もの。
だからこそ余計に、無償の愛を突きつける八尋が、累には理解できなかったんだろうねぇ。

鷲づかみされたのが病院での養母との会話で、もう思い出すだけで涙が出てくる…
八尋に助けを求めた累が、今度は養母に心を開く。
イイ子じゃなくて、素の自分のままの累の想いを言葉にして、
養母と心から通じ合える場面が本当に温かくて、涙が止まらなかった、良いシーンでした。

28歳の二人が変わらず実家暮らしで、累の義弟も可愛くて最後の最後までステキでした。
電子描き下ろしの「定点観測」が本編前後の二人の関係を描いた4コマ4Pで、
成長する二人の関係性が巧妙に描かれていて素晴らしかったですよ。

暮田先生の描くちびっ子が本当に可愛くて、甘やかす八尋と必死でついてく累が可愛くて堪らない。
靴擦れのエピソードが最高でした。
二人のちびっ子ネタで一冊見たいくらい掴まれました。

※Renta:トーン描写です。

19

少し歪だけど一途で献身的にも感じます。

【お前が望みさえすれば何だってしてやれる】(帯より)

これが非常に良かったです。
献身的にもみえる攻めの愛情にグッとくるものがありました。
そして高校生なのになんて大人びた愛し方をするのだろうとも感じました。

その実、受けを守ることで自分が必要とされていることに安心も覚えてるのですね。
なので自分だけを頼るように、甘えてくるように、と幼い頃から教え込んでいる。
そういった部分は少し歪で少し幼い。

切なくて仄暗い空気感の作品なのですが、
根底に溢れんばかりの優しい愛情が流れていてとても良かったです。



累(受け)は幼い頃に実母から虐待をうけ、優しい夫婦の養子になりました。
新しい家で出逢ったのがお隣に住む八尋(攻め)です。

八尋は幼心に「累を守ってあげなきゃ」と心に誓います。
そして何でも我慢してしまう累に言い聞かせます。
自分にだけは何でも話して、甘えて、嫌がることは絶対にしないから、と。
その言葉通り、高校生になっても八尋は累の嫌がることは避けてきました。

累は義母の妊娠をきっかけに少しづつ心が病んでいきます。

優しく育ててくれた両親の為にも自慢のイイコでいなきゃというプレッシャー。
今まではそのプレッシャーを緩和してくれたのが八尋の存在だけど、
八尋と肉体関係を持っているのは両親への裏切りと同等でーーー。
板挟みになって苦しんでいるのですね。

それに気付いた八尋は、
初めて「累の幸せの為に累が嫌がること」をします。
ずっと守ってきた絶対に嫌がることをしない約束を覆す。

これがもう痛々しいのですよ。2人とも。

自分の足で立って平静を装うのに必死な累は周囲の愛情に気付けず、
それをただただ見守ってそっと支えている八尋の気持ちも切なくて。

好きという言葉が出る前に躓いてしまったばかりに、
支えるとか甘えるとかいう関係でも甘々な空気はなく…(;ω;)
結果、肉体関係ばかりが先行してしまって些細な言葉のすれ違いが諍いになる。

これで累の視野はますます狭まっちゃって殻に閉じこもるのが見ててツライ。
八尋はそんな累を助けたくて、必要とされたくて、甘えて欲しくて。
苦しくて切ない想いがブワッときます…!!!(;///;)

個人的にはとにかく八尋の献身的にも見える愛情が刺さりました。
態度や言葉使いが上からっぽいのがまた不器用に感じてキュンとくる。

どっちも互いに囚われた共依存のようにも見えました。
八尋は累を甘やかすことで喜びを感じてるし、
累は八尋の居心地の良い愛情に支えられてきた。
歪にもみえるけど一途な優しさに救われるお話でとても良かったです。

18

神作品だと思います!

神です‥。
文句なし神作品です。

実は名前も知らないお初の作家さんでした(。>_<。)

表紙の可愛さに一目惚れして衝動買いしてしまいました。
推しの作家さん以外は発売後に様子をみてからじっくり吟味して購入するのですが、中身もい問わず思わず手に取り夢中で読んでそして衝撃‥。

すごい!うますぎる‥。
私、自分が好きで買っているので萌以下も滅多な事ではつけませんが、神はまず初読みの方には付けたことないです。
絵が上手い、子供の描写が健気で可愛くて、成長してからのキャラがまた魅力的、せつなく辛いストーリーで静かだけれど‥うちに秘める熱い登場人物達の心情‥に心臓鷲掴み!!

私好みの黒髪、寡黙なイケメン攻め!(๑´`๑)♡

泣けるほど悲しいけど、ラストの幸せの深さ‥すばらしいストーリー展開!

もう、言うことなし‥
とりあえず他の作品も読んでみようかと思います‥。
またお気に入りの作家さんが増えて嬉しいです(*^^)v

11

切なさと尊さがMAX

累は幼少期実母に虐待を受けその担当弁護士をした保科家へ養子として迎え入れられた。
お隣で同じ年だった八尋は痩せ細って怯えてる累を「大事にしなきゃ」と幼いながらも守る対象と確信する。
それから8年、「いい子」を貫いてきた累が養母の妊娠により変化し始めるお話。

もぉ語彙力のない私には説明も表現もできないけど・・・尊かった!!
累の心が壊れていくのがとてつもなく切なくて歯がゆくて、
何があろうと累を受け入れると決めてきた八尋に心許し甘える累にも異変が来てもぉ・・・たまらない。

そして何より、累は苦しんでいるけど悪い人は誰も出てこないというのが切なさが増しましたね!
保科夫婦も心から累を愛しているし、それは八尋も分かっているし。

もぉたまらなく心が締め付けられるお話でした!

10

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