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表題作真夜中のクライングモア

松永湊
オネエ口調の高校生
緒方純
いじめられっ子,高校生

その他の収録作品

  • in the sequel

あらすじ

緒方純の十代はぶっ壊れていた。
ゲイだとバレていじめられ、死にたいと思いながらも学校に通う毎日。
そんなとき出会った、オネエ口調の同級生・松永湊。
まわりとわけ隔てなく接してくれる湊に心惹かれていく純。

湊との出会いが、純を救う――はずだった…

遠藤巻緒、衝撃のデビュー作、解禁。

作品情報

作品名
真夜中のクライングモア
著者
遠藤巻緒 
媒体
漫画(コミック)
出版社
一迅社
レーベル
gateauコミックス
発売日
ISBN
9784758075497
3.6

(62)

(25)

萌々

(13)

(10)

中立

(6)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
7
得点
213
評価数
62
平均
3.6 / 5
神率
40.3%

レビュー投稿数7

悪意、殺意の鬱展開

「衝撃のデビュー作」に期待して購入。
読んでみて、やっぱりこれ系か…とちょっと残念な気持ち。
というのは、とにかく鬱い。
題材は、いじめ。
とにかく陰湿で、悲惨で、救いようが無く、ドス黒い。
そんな地獄のような目に遭っている主人公・緒方。
緒方の唯一の救いである年上の同級生・松永。
しかし、松永の過去も胸糞な悲惨に塗りつぶされていて、松永の心はすでに壊れている。
その壊れた心で松永が起こす行動。
それが緒方を救うと同時に縛り付けていく…

…みたいなお話。
衝撃イコール……って思いつくモノから外れない。要するに「衝撃」じゃないんです。
もちろん、これでもか!っていう暴力描写や性的描写はある。
私も以前はこのテのものを好んでいました。でも今はもう「しゅみじゃない」。
悪意とか殺意、怨恨、報復、虐待、ドス黒さ…リアル世界にすでに溢れてるよ。
これじゃない衝撃ってなんだろう。
全く新しい衝撃を体験したい。
本作は「萌」で。

0

衝撃的

緒方純の十代はぶっ壊れていた。
―‥裏表紙の言葉からしてすごい衝撃。
エピローグ、プロローグの数ページだけが現在の彼らで、ほぼ高校時代の時のお話です。
松永に出会うまでの緒方は虐められているというか‥
後に緒方自身も報復する際に口にするように、性的暴行をされていて、でもそうされても仕方がないと諦めて生きていました。
そんな緒方にとって自分を虐げることも侮蔑することもしない松永は必然的に特別な存在になったのでした。

読んでいて気になったのが
松永が仲間と暴行?報復?しているのは何か繋がりがあるんでしょうか。
最初にボコられていた弐羽という男はなんでそうなっていたか、全部読んでもわからなくてもやもやしてしまいました。

全体的にシリアスで深読みできるお話でした。

0

いじめと報復の描写が徹底されているのが良い

 徹底して救いがなく、安直な方向に進まないストーリー展開は最高でした。同級生にゲイバレしていじめの対象になってしまった緒方。高校に上がればなくなるはずと期待したのに、自分のことを知っている生徒がいたことで、結局高校でもいじめられてしまう。フェラだけだったのが、後ろも使われるようになり、坂を転がるように落ちていく人生。一度助けてくれた松永のことだけが救いで、想いを募らせますが、松永は緒方のいじめを知っていても途中で助けに入ってくれたりはしないんです。

 松永の行動は、あくまで緒方のためではなく、過去の自分を救済するためのもの。緒方に好意を告げられても、お前みたいな奴は嫌いだ、と吐き捨てられるほどの無情さ。己の手を汚してでも報復した自分に対し、いつまでも受け身で誰かに助けて欲しいと願うばかりの緒方は嫌いだと言う。彼の考えも理解はできます。悪いのはいじめる側であって、自分の手を汚さない緒方に罪は何もない。けれど、そんな彼をどう思い、彼からの好意をどう扱うかは松永の勝手ですもんね。

 吹っ切れた緒方は、初めて相手に報復する。いじめられていた受けが、1人きりでここまでの復讐を遂げる展開ってまだ少ないと思うので、私はとてもすっきりしました。松永や彼の友人の冷たい台詞も、結果的には意味を成したわけですね。個人的には緒方が性格的にも松永の豪胆さを少しは受け継いでくれていればもっと面白いかなと思いましたが、悪党にはなりきれないところも彼の個性だと思うので、この結末でも満足でした。

1

闇と暴力とヒーロー

すごい作品でした!
『MELONSODA』もドラッグが出てきたりと結構ハードな作品でしたが、本作はそれ以上の衝撃作です⁉︎

酷いいじめをされている緒方は、
ある日逃げ込んだ先で同級生の松永に出会い惹かれていくーー

これだけの内容だとここからラブが発展しそうに感じますが、
想像以上の壮絶ないじめに過去のトラウマがそうはさせません。
とにかく緒方をいじめるクラスメイト達がクソすぎます。
昼も放課後も緒方を追いかけまわし脅し、
性的暴行した挙句、全ては緒方のためって……
胸糞悪いなんてもんじゃなかった!!!!

その緒方の心の拠り所が松永ですが、
松永もまた相当なトラウマを抱えており、
その発散の矛先が暴力に向かうという凶暴さ。

お互いに闇を抱えたまま一緒にいることで、
闇はより一層深くなったような気がします。
緒方にとっての松永は一筋の光でありヒーローです。
松永にとっての緒方は過去の自分だったのではないでしょうか?

松永が緒方に言った「アンタみたいなやつが一番大っ嫌い」
という言葉、これは自分に向けて言った言葉だと思いました。

松永と緒方がとった手段は正しくないのかもしれません。
それでもトラウマを乗り越えたい松永と、
そうするしかなかった緒方を責められない……そう感じました。

松永からきた短い手紙ーー緒方は嬉しかっただろうな。
時々見せる優しさが緒方に光を与えたのだろうし、
緒方にとっての松永は間違いなくヒーローでした。

これから先の二人がどうなっていくか分かりませんが、
緒方の忠誠心は一生続くんだろうなと思います。


とても闇が深くてバイオレンスな作品ですが、
読後感は思いの外スッキリしています。

1

絶望の中ではどんな幻の光でさえ救いとなる

同人誌からの再録作品で、まるっと1冊表題のお話です。
ガトーさんはたまにハッとするような作家さんを見つけてくるから侮れない。
読む人は選ぶ内容と思いますが、決してバッドエンド作品ではないってことを先にお伝えしておきます。

主人公の〔緒方〕は非道いイジメにあっている。
きっかけは中学の頃、友達とトイレで性器を触り合っていたのを見られたこと。
そこから始まる脅迫と屈辱の終わりない悪循環。
高校受験を一縷の望みとするも失敗し、イジメの加害者達とまた3年間同じ学校に通うことになる。
(この絶望感、想像するだけで吐きそう…)
イジメは当然のようにエスカレートしていき、出口の見えない絶望に自分を奮い立たせる気力も失くした緒方は従うだけの毎日を送っていた。
そんな中、〔松永〕と出逢う。
助けてくれた理由を尋ねると、「俺と同じ側の人間じゃないかと思ったのよ」

引き込まれました。
R-15のレイティングは付いて然るべきな内容ではあるものの、ただ痛くて暗いだけのお話じゃなかったです。
99%の絶望の中で見つけた1%の光を主人公が絶対に手放さないところがとても良かった。
ストーリーの密度も濃くてページ以上の読み応えでした。

松永がどんな人物であれ、緒方にとって松永がヒーローだったことは揺らぎない真実だと思うのです。
絶望の中で緒方が勝手に作り上げたヒーローだったとしても、それが緒方の力強い救いになったのならそれでいいし、松永が正しいか正しくないかもここではどうでもいい。
緒方にとって松永の存在は誰が何と言おうと正義の味方だった。このお話の中で大事なのはこの一点。
作者の描くヒーロー像のリアルさが好きだなぁと思いました。

描き下ろしの最後の松永のモノローグ、個人的にはめちゃくちゃグッときます。
虚像が実像に変わる瞬間。萌えずにいられようか。

ラブ度が少ないお話なので、恋愛に主軸を置いたBLが好きな人にはあまりオススメできないけど、主人公の再起物語的なものがお好きなら読んで損はないんじゃないかなと思います!

【電子】シーモア版:修正○、カバー下○、裏表紙○

7

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