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紳士で暴力的で、誰よりもやさしいヤクザ――
西田東さんが西田ヒガシに改名されて初の新刊コミック。
改名されても男臭くドラマティックな作風は健在です。
本作は雑誌で全話既読ですが、タイトルの優しい響きや毎回扉絵に引用される小説のフレーズや格言(コミックには未収録)と、作中で画かれる血生臭い現実とのギャップにいつもギュッと切ない気持ちになっていたものでした。
ヤクザの春本(表紙右)と、背中に刺青のある元医者・水田(表紙左)。
バーで出会い、互いの素性を知らぬまま惹かれ合っていく二人。
アングラな世界に生きる悪党同士が、相手の前では猫を被り、映画にカラオケに…と何とも可愛らしいデートを繰り返す。
バリタチ同士が今まで付き合ったことのないタイプに惚れ、ぎこちなく親交を深めていく姿には萌えずにはおれません。
春本は水田を「紳士」、水田は春本を「モナ・リザ」と崇め、自分とは違う世界の存在として強く惹かれ合っていきます。
健全なお付き合いから少しずつ距離を縮めていく二人ですが、やがて競売物件絡みで互いの正体を知ってしまい……
ついに互いへの幻想を捨てぶっちゃけ合うのかと思いきや、そうはならないのが本書の面白いところ。
今までの生き方がどうであれ、春本と水田にとっては二人きりで過ごす時間だけが真実であり、互いの目に映る「やさしいあなた」は愛しくて大事にしたい存在でしかないのです。
互いの正体を知った瞬間は咄嗟に牽制し合う二人ですが、二人きりになった瞬間いつもの敬語に逆戻り。
今まで以上に互いを思いやり愛を深めていきます。
ラストについて詳しく語ることはやめておきますが、ノワールとラブロマンスの同居した本作に非常に相応しいと感じる結末。
運命の相手に出会えたからと言って、二人の今までの生き方が帳消しになるわけでもなければ、かと言って悲恋に終わるわけでもない。
決して大団円ではありませんが、不思議と温かな気持ちに包まれるラストです。
10ページもある描き下ろしは、本編後の後日談。
雑誌で既読の方も余韻に浸れること間違いなしの大変素敵な内容です。
西田さんがこんなにたっぷり描き下ろしを描いて下さることは珍しく、そういう意味でもレア感がありました。
さらに恒例のあとがき漫画も1ページあり、こちらは安定のカオスw
改名されてますます絶好調な西田さんの今後の活躍に期待が持てる一冊です。
甘い「モナ・リザ」の曲が耳の奥に響く。
目に映るのは見ている方が気恥ずかしくなるような、恋をしている二人。
二人はヤクザで、でもそこまで血腥くもなく、片や振り込め詐欺、片や競売転がし。ゲイバーで偶然出会い、ある物件絡みでお互いが敵?のヤクザと知る…
それと知ってもこの二人。恋を諦めないのです。
西田先生の筆も冴え渡る!絵柄はいつもの登場人物なんだけど、なんか色気が増してませんか?恥ずかしそうに交わす目線、寄せる唇、からめ合う指先…線で、絵で、二人の感じている恋心、高揚感、欲望、官能、快楽、その全てがズンっと伝わってくる。
実に素晴らしい!
はじめての西田作品でした。
なんでしょう?この空気感。ワールドにイッキに引き込まれてしまいました。その後、立て続けに6冊ほど読みまくりました。それくらい掴まれましたよ!
以前に電子書籍のサンプルをチラ見したときは、男性向けコミックにありそうなやや劇画調の絵が苦手で読むに至らなかったのですが、バカでした。もっと早く読んでおけばよかった〜。
このお話の醍醐味は、大人の男のかわいさにつきると思います。
大人の男男した攻め受けが、プラトニックなデートでうきうきしてる様はなんとも萌えます。他の西田作品もそういう感じのかわいいオヤジが出て来ますが、この作品は2人ともヤクザという設定なので暴力的なシーンとのギャップにやられました。
特に受けの春本がいちいちかわいい〜のです。
最後のお話で刑務所の独房に2人で入れられたシーン。大好きな攻めの前で大きい方をもよおしちゃった春本が、恥ずかしさと苦しさで涙目になってる顔がかわいすぎて、悶え転がりました。
あの劇画調のオヤジからは想像もつかないかわいさを繰り出してくる西田ワールド。やられました。そして目覚めました。
過去の作品もばんばん読むつもりです。
気になる作品は多々あるものの、初めての西田ヒガシさん作品でした。
大の大人の中学生のような恋愛。
相手に夢見て、自分を装い、本当の自分の姿をひた隠しにする。ワイルドなご職業のふたりにしては、どこまでもプラトニック過ぎるおつきあい…。
そう言えばいろいろな作品を読んでいるとき『どうやってタチとネコの役割分担が決まるんだろう?』と不思議だったことがあるのですが、いきなりキスしてきた水田を突き飛ばして走り去った春本が、後日「猫の経験がないもので」と告白するシーンがありちょっと目からウロコでした!
できるだろうか
隠しとおせるだろうか
それとも足を洗えるか
恋のために
愛する人のために
と思い悩む春本は、水田との最悪な再会でお互いの本性を知ることとなります。
お互いの本当の姿を知ってからも思う気持ちは冷めることなく、やっと結ばれたふたり。
ラストはふたりで逃避行とはならずに、帯にある通りの“BL史上に残る最高の結末!!”を迎えますが、この終わり方が確かにふたりにとっての大団円だったと思います。
独房での春本の泣きそうな顔…それに気づいた後のやっぱり紳士な水田!!
こんな素敵な映画のような本編でのあとがきが何故あれ??と大爆笑〜してしまいましたが、他の方のレビューで「安定のカオス」なんだそうですね。
他の作品のあとがきもとても気になります。
とあるバーで出会った二人。
お互い紳士然とした振る舞いをしているけど、実はきな臭いヤクザもの同士で素性を隠したまま惹かれあっていきます。
攻めの水田は医師免許剥奪されてヤクザに成り果てた男。受けの春本は中学も碌に通っていないヤクザ。
どちらも一筋縄ではいかないタイプなのに、恋した男たちはどこまでも可愛らしくなってしまう。
メールの文面であれこれ考える水田。お誘いメールが届いてウキウキしちゃう春本。即レスは引かれるな…、OK!いや、まだだ。さっきから三分しか経ってない、とか可愛らしすぎる。
自分が理想とする男を演じ続け、相手にも自分がこうありたいと思う理想を見出して惹かれていく。
そんな二人が現場で出会ってしまい、お互いの正体を知ってしまった時。
今まで二人は「経営者」「先生業」と素性を偽って紳士として演技していたけど、お互いを想い合う言葉は真実だった。
だけど、お互いヤクザだとバレて本当の姿を晒す事になって、現場で対峙してワザと相手を傷つけるような事を言い合う二人の言葉が何と偽りに満ちていることか。
でもやり通すんです。
そしてその後、車内での泣きじゃくる春本の姿、わざとBGMのボリュームを上げる弟分にはこみ上げてくるものがあります。
お互いの素性を知ったあとはもう隠すものもなく(春本のネクタイがド派手になってる)ますます惹かれて結びつきを強固にしていった二人の結末。
こーきたかぁ!!と唸りました。
てっきり高飛びするんだとばかり思ってた。
私の大好きなシチュエーション「二人だけ」「二人しかいない」がまさかここで。
こんなところで二人きりで過ごしたカップル、他作品のどこにも存在しないんじゃないでしょうか。
どんな厳しい場所、厳しい条件であっても、二人一緒にさえいれば言葉を交わせなくとも、そこは二人にとって地上の楽天のような甘美な世界になる。そこが堪らなく良かった。
そして相手のことを想えば拘束服さえ厭わない。
二人で足を洗う日は来るんでしょうかねぇ。
いつか足を洗って欲しいです。
私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのが、こちらの作品。
言葉が幾つあっても語り足りず、ヤクザものが嫌いじゃなければまぁとにかく読んでください、読めば解ります!と言いたくなってしまうような作品でした。
教えてくださり本当にありがとうございました。