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表題作ひつじの鍵

一色千喜,31歳,カード会社のコンシェルジュ
登島羊,18歳,セレブ高校に通う社長令息

その他の収録作品

  • ひつじの夢
  • ひつじの心配 あとがきに代えて

あらすじ

金持ち学校に通う高校生の羊は、父親のカード会社のコンシェルジュ一色と知り合う。
どんな難題でも叶えてみせる彼に夢中になる羊だが……?

作品情報

作品名
ひつじの鍵
著者
一穂ミチ 
イラスト
山田2丁目 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
ひつじの鍵
発売日
ISBN
9784403524066
4

(221)

(96)

萌々

(77)

(20)

中立

(12)

趣味じゃない

(16)

レビュー数
20
得点
860
評価数
221
平均
4 / 5
神率
43.4%

レビュー投稿数20

攻め視点のお仕事BLだともっと良かったな

本編「ひつじの鍵」と、続編の「ひつじの夢」の2本収録。双方同じくらいのページ数で、本の半分まで読んだら次の話のとびらページが来たので少し驚きました。

面白かったです。
羊は社長令息で豪邸に住み富裕層の学校に通う高校生なのですが、実際には、ついこの間までぼろアパートで母と二人で貧乏生活をしていた苦労人。母を亡くし、今は母の再婚相手と二人で暮らしています。優しい義父、くそったれの実父。貧乏生活と富裕層の世界のギャップ。
とりまく環境に押しつぶされそうになりながら、羊が縋るように求めたのが、救世主のように父のピンチを救ったカード会社のコンシェルジュ。
最初は、羊の態度が憎たらしくてたまりませんでした。子供が、どこまで悪いことをしたらこの大人は怒るんだろうと様子を窺うのに似て、まったく意味の無い無理難題をコンシェルジュにふっかける。それはまるで暇を持て余してカスタマーセンターに鬼電する、客の皮を被ったクレーマーと変わらないなと。
相手は仕事だから無碍にできない、それをいいことに高校生の分際で何をしくさっているのだと結構イライラしました。
でも、途中で羊は謝罪し改心し、彼のバックボーン(前述参照)も見えてきて、ようやく読者であるこちらの精神も安定しました(笑)
恋愛面については、二人の距離が近付いていく様子を丁寧に追っているかと思いきや、結構な急展開に驚きました。

コンシェルジュの一色さんがプロフェッショナルでとても良かった。本作では全てが明かされているわけではないけど彼にもいろいろな過去があり、出会いがあり、それがあっての現在の姿がある。そういう、人が経てきた年月を感じさせられるキャラ設定でした。

2編とも羊視点なので、一色視点のお話が気になります。
「ひつじの夢」を読む限り、一色は相当この羊との関係に悩み、様々思うところがありそう。
羊は学生で歳が離れているし、顧客の息子だし、仕事に邁進する一色にとってみれば決して簡単な恋ではない。それだけに一色視点で読んでみたいなあと思いました。(せっかくだからコンシェルジュのお仕事BLにするなど)
勝手なことを言ってますが、探したらどこかにありそうな気もしています。

0

攻めにとても萌える作品

再読です。
のんびりしたい時、癒しが欲しい時に読み返してしまうこの作品。
結構トントントンと進むので、どちらかというと肩の力を抜いて気楽に読めつつ、キャラクター達の魅力に引っ張られるような感じでしょうか。
一穂先生作品の中で1,2を争うくらいに好きな作品かもしれません。
優しくて可愛くて、2人のやり取りにクスッと笑える作品です。
一穂先生ならではの、ちょっとした雑学が書かれているのも楽しいです。
お仕事の設定も毎回面白いものが多いですよね。
あまり耳慣れない職業名でも、説明臭くなく自然と描いているのが本当にすごい。


以下、ざっくりとしたあらすじです。
元々はあまり裕福とは言えない家庭で育った羊。
母親の再婚と共に新しく父親となった「父ちゃん」が会社社長であった事から、お金持ちのセレブが集まる高校に通う事となったものの、未だに同級生達の上流階級故の思考にあまり馴染めずにいます。
そんなある日、ひょんな珍事から父親のカード会社の担当コンシェルジュの一色と出会い、その魔法使いのようなスマートな仕事ぶりに圧倒されてしまう。
その際、影で一色が一瞬見せた素の表情が忘れられず…
それからというもの、一色の事が気になってしまい、社長の息子の立場を使って小さな頼み事を繰り返し理由を付けて一色とやり取りをするようになり…?といった内容です。

タイトルにも書いた通り、攻めの一色がものすご〜〜く!ツボに入りました!
お客様を第一に考え行動し、応対も丁寧かつスマートなコンシェルジュ。
そんないわゆる出来る男が素に戻った瞬間のギャップがたまらないんです。
仕事モードの丁寧な言葉遣い、丁寧の中に素が現れる言葉遣い、口の悪い近所のお兄ちゃんのような素の言葉遣い、そして羊だけに見せるちょっぴり甘い言葉。
「抱くぞ」と言ったかと思えば「そうそう、じょうず」と甘く褒めますし、羊を思って軽く窘めたかと思えば、「よしよし」「ご褒美タイムでございます」「おいで」等、羊に対する飴と鞭加減が絶妙!
こんなギャップずるいですよねえ。
包容力があって、大人の余裕を見せながらも、年下の恋人が可愛くて仕方がないのが見え隠れしているのもとっても良かった。
羊の発言をしっかりと聞いているところも、何でもない事のように仕事の為への努力を惜しまない姿も◎
我慢出来ずに慎まず羊を頂いてしまうだめな大人ではあるのですが…笑
久しぶりに攻め萌えしました。
受けの羊くんもスレている所のない素直で素朴な良い子で、ふわふわとした外見と元気な言動とは裏腹に、内面は繊細でとても思慮深い。
一色に対してかなりストレートに体当たり上等で突っ込んでいく姿も若々しくて好きでした。

「まじ?」「まじでございます」
「めーめー語じゃわからん」
「おっきい…」「ありがとう」
等、2人の絶妙なテンポの良い掛け合いも小気味が良く、終始とても楽しませて頂きました。
嫁子も羊の父ちゃんも素敵な人ですし、今作はサブキャラクターも魅力的です。
嫌な人間はあまり出て来ないかなと思います。
今作で羊の親友・和楽が気になった方は、スピンオフ作品のアンティミテをぜひお読みになってください。
彼のその後の姿が描かれています。

3

設定が気になった

カード会社のコンシェルジュの設定が気になって前半しか読めませんでした。
私の知ってるカード会社のコンシェルジュは予約や買い物の手配だけでカード会員と会う機会なんてないと思うのですが…。
しかも主人公がした質問の回答を手紙にして家まで届けるなんて異常としか思えません。
もし主人公が女性ならばカード会社に気持ち悪いとクレームをつける事案だと思います。
カード会社のコンプライアンスも攻めの社会人としての意識もどうなってるの?と気になって気になって先に進めませんでした。
仕事の出来る男性が好きなので、今回の設定が合いませんでした。

4

受け攻めどちらの思考にもついていけず

序盤は二人の出会いに萌え、敬語の攻めも好きなのでドキドキしながら読んでいた。執事さんに会いたくて無茶ぶりする受けも可愛いし、そんな受けを穏やかな口調で叱る攻め様にはときめいた。
が、そこからすぐに、プライベートな本来の、乱暴な言葉づかいの攻めになってしまい…。個人的にはお仕事モードの攻めの方が好きで、ギャップ萌えはなかった。
それでも好みの問題と気持ちを切り替えて読み進めるも、攻めの住んでいるアパートの部屋が、まんま受けの昔住んでた部屋、というのに、ご都合主義的なものを感じてしまい、持っていた鍵を使って受けが攻め宅に不法侵入し、写真を盗むくだりには普通に引いてしまった。いや、それ犯罪…。
その写真の女性が亡くなった妻ではないと知った受けが、嘘つきと攻めをなじるのも、人の家に勝手に入ってもの盗んでおいて、この子なに言ってんだ、としか思えず。

それより何より、やっと受けが恋心を自覚したと思ったってとこで、即、攻めが「高級ホテルとラブホどっちがいい?」って訊いて、「ラブホ」って受けが即答する展開の性急さにびっくり。
だってそれまでは攻めの心理描写がなくて、受けも読者も、攻めはバツイチノンケだと思ってたし。その場で実は元々男が好きで、受けには一目惚れみたいなものだった、と言われても。こっちは一体いつ、どこをそんなに好きになってたの、って位なのに、いくらなんでも、好き→初キス→ホテル直行の流れはサクサクし過ぎじゃないか。
で、受けものこのこ、ホテルついてくんかーい!  みたいな。しかも最後までやっちゃうんかーい、みたいな。
コレだけ年齢差あって、受けはまだ高校生だけど、ていう躊躇もなにもなく? 
申し訳ないのだが、この展開の唐突さにまったくついていけないというか乗れなくて、結ばれたシーンもまるで萌えず、平常心で読んじゃった。
んでもって、受けの家宅侵入と窃盗も、特にお咎めなし? それもなんだか納得いかず…。この結ばれるまでのお話が、一冊まるごと使ってもっとじっくり丁寧に書かれてたらな。
最初の設定なんかは好きなのに、残念。

7

キャラメルからはじまる恋

攻めの一色さんがカード会社のコンシェルジュで受けの羊くんのお父さんの顧客のお願いでキャラメル千箱用意してもうらうとこから始まるんですが、羊くんがたまたま見てしまった一色さんの一仕事終えた素の姿が気になって…みたいなお話。
一色さんのTHE・コンシェルジュのお仕事モード丁寧口調からオフモードの乱雑な口調へのギャップがどハマりしました!
羊くんのお金持ちになったのに洋服をイオンで買うような素朴さも可愛いし一色さんにかまって欲しいけど素直になれないところもいい!
理想の年の差カップルですね。一色さんもいい大人なのに高校生に手出しちゃうところがさらにギャップ萌えで好きです。

あと、羊くんのお父さんの悲鳴が「キャッ」なのが個人的にすごくツボりました(笑)
お父さんかわいいですねぇ。小動物を愛でてる気分になります。

4

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