電子限定おまけマンガ4P付
これを読んでいて、なんとなく望月花梨さんや高尾滋さんを思い出しました。
少年少女の心情を描くのがうまいところに共通点を感じたのかな?
そのためか、BLのジャンルじゃなくて少し前の花ゆめやLaLaあたりで掲載していた方がマッチしてる感じがしました。
BLっていうよりは同性愛や少年愛っていう方がしっくりします。
私は泣きはしませんでしたが、同じ女性として凪子の立場で読んでいて、心情がわかる分とてもつらかったです。
女子中心なのはタイトルで示されていたので、凪子視点なのはBLへの伏線だと思って読みました。
凪子がやさしく健気でいい子だけど、自分のエゴを貫いて、罪悪感から「ごめんね」と言い、和也の思うようにしてほしいと書き残す。
私はこういうのがいちばん怖いんよな〜とずっと思ってしまいまして。ひねくれているからかもだけど。
一見善人で常識人だけど自己中で周りを傷つける。
凪子が偽善者に見える時があって。あの笑顔に隠された本音が見え隠れするから。それをわざとああいう笑顔に描かれているんだろうなと。
や、本音を隠すのは悪いことではなく普通なんだけども。
回想の場面が長く、コマ外が黒いのが不気味で。
3人とも笑ってはいるけど目の奥が笑っていないのも怖くて。
残酷な話よな。これも人間よなと思いました。
かわいい絵柄で無垢な笑顔が並び(逆に怖い)祖母の狡猾さとか、善人に無自覚に潜む陰湿さを描かれるのがお上手だなと感じます。
最後の最後にやっとBLぼくなって、これが見たかったんだけど、それまでが長いのは、作家さんはタイトル通り凪子の話を描きたかったからだろうと。
凪子がいなかったら逆にくっつかなかったかも…てことでもあるんかね。
ラスト、浩平が
「俺ばっかりお前をこんな風に一人占めして 凪子ちゃんに怒られないかな」
「どうなんだろう」←
「やっぱ凪子ちゃん怒ってんのかなぁ…」
「そうかもな(笑)」←
和也、そこは否定するとこではー?!とツッコミました。ボケで言うてはるの? からかってるの?
ひとり対ひとりの恋愛のお話ではなく
その結末に辿り着くまでの長い道程を
3人それぞれの目線で描かれているというのが斬新だなと思いました。
浩平、和也、凪子、誰の目線になっても切なく苦しい部分があり、それぞれに葛藤もあって
想いが強くなるほどにその切なさも増すので読んでいて辛いところはたくさんありました。
でもそれだけではなく、辛さと同じくらいの幸せを彼らは確かに感じていたんでしょう。
好きな相手と両想いになることがゴールならば、もっと脆い関係だったかもしれない。
そうならなかった彼らの絆を感じられるお話だったなと思いました。
面白かったです。
賛否両論ありますが凪子が死ななかったら、この男子二人は確実にくっつかなかったと思います。凪子が死んだ上で二人に一緒になって欲しいと背中を押したので、やっとこさ腹を括れたのかなと。
凪子が死を理由に結婚を迫るって所で、個人的には凪子は自分の罪を十分理解して苦しんでいるように見えたし、なによりやはり死期を分かっている者にしかわからない苦しみがあると思いました。
あと凪子に対しての気持ちは恋じゃなかった、と作中で言い切ってるのも良かった。ここでちょっとでも凪子に恋心があった….となればあまり受け入れられなかったかもしれないけど、そこはブレずにBLしてくれてて安心しました。
ただ1つ気になったのが作画です。絵柄も大変素敵で折角画力も申し分ないのに勿体無いな、と思ったのがキャラの省略顔が多かった所。ほぼほぼ1ページに1コマ、多い時は2コマ、主要キャラがモブ顔、というかのっぺりした顔に目がチョンチョンな描き方になってしまったので重要なシーンでも感情移入しづらくなってしまいました。作者様のクセなのかもしれませんね。
全体的にはまるで1つの映画を見たような気分で、とても心に残る作品となりました。かずやとこうへいくん、幸せになってや!
評判がよくて、かつ実写化するということで気になってたこの作品。BLに女性が絡むのも嫌いではないけど、結果凪子に想いを寄せられなかったのでハマれず。
凪子が悪い人間ではないのはわかるが、自分が死ぬことが分かっていて、今付き合ってるわけでもない男に結婚してほしいと言える根性が、どんなシチュエーションであれ私の好みではなく。これはもう仕方ないことです。自分の人生があと2年で終わるからと、人生を既に誓い合った仲でもない男の人生を奪う形にさせるのは酷いと、少なくとも私は思う。その男が優しいから拒まないと知っているならより一層。
一方でBL部分を取り出した時の和也と浩平の関係性や幼少時代のエピソードはとっても好きでした。祖母や崖の怪我のくだりなど。幸せになってほしい。
中立〜萌