電子特典&描きおろしカラーイラスト付き
ずっと「親友」でいられると信じてた――。
"親友"でいることの居心地の良さ、"親友"でいることの苦しさがビシビシと伝わってくる物語です。
翔太への恋心をずっと隠したまま、親友を続ける龍之介の苦しみが詰まったストーリーに胸が痛くなりました。
視点は翔太ですが、なぜだろう……龍之介の視点か?というくらい、彼の苦しみが強く伝わってきます。側にいるために諦めなければいけないけど、でも諦めきれない想いが龍之介の心を支配していて、翔太が自分以外の誰かと結ばれることに恐れ、怯える姿は切なかったー…。想いが募るあまり、無理やり翔太を抱いてしまうほどに追い詰められている龍之介の心理描写に引き込まれてしまいました。
当然翔太との仲はすれ違ってしまうのですが、龍之介が翔太から離れたことによって、翔太の中に眠っていた龍之介の想いに気付いていくところは、過去回想も含めて沁みました…。いつの間にか大きな存在になっていたんですね、龍之介は。
自覚したあとの翔太は龍之介との恋人関係を真っ直ぐに受け止め、堂々とした態度は男前だなぁと感心しました。
想いが通じ合ってからは、龍之介の方がちょっとヘタレ気味で、嬉しさのあまり浮かれているんでしょうけど、そんな2人が可愛らしくて思わず笑みがこぼれました(*´︶`*)
そんでもって。最高に面白いのは、巻末の4コマです。
それまでの悩みや葛藤が吹き飛ぶくらいの2人のやりとりがギャグッ気たっぷりで思いっきり楽しめました。いわば、本編のアフターストーリーになってるのですが、自然体で親友感のあるコミカルテイストなストーリーが最高です。
こんな風な2人は本編ではあまり見なかったので、もっと読んでいたかったなと思いました♪
絵がとても綺麗で、そんなところにも魅了されました。
デビュー作の『少年と薬売り』で、絵を描き始めて数年とは思えない画力に驚いたのですが、更にお上手になっていて、とても表情豊かになったと思います。
クオーターでイケメンの新米美容師の龍之介と事故で難聴になってしまった過去がある翔太。親友同士の関係は翔太が初めて女性に告白されたことで、形を変えて行きます…。
見たことある様な設定だし、展開もよくある展開なんですが、龍之介の翔太への想いが、表情からも行動からも読みとれて、感情移入してしまいました。翔太のことをいつも「愛おしい」って顔で見ているんです。しかもすごくカッコよくて、絵柄もますます好みになりました。
龍之介の長い片思いを裏打ちする、中学時代のエピソードが更に素敵で、今よりかなり幼い風貌の龍之介と屈託なく話しかけてくる翔太との、出会った日のエピソードが、大切な宝物のように描かれていて、龍之介にとって何から何まで忘れることが出来ない出来事だったのだとわかります。このエピソードで萌2付けたいと思いました。
龍之介の想いが明白なぶん、翔太は性的なものを感じないタイプに描かれていたので、龍之介への友情が恋に変わる瞬間が曖昧な感じで、こんなんでSEX出来るもんかなぁと思ってしまったので、翔太のセクシャルな面がもう少し描いてあれば、スッと入ってきたかなと思います。
気持ちを気付かれた龍之介が無理やり翔太を抱いてしまう場面は、私の中で賛否両論が渦巻いています。好きな相手にそれは駄目だろーって思うんですよ、やってはいけないことだろうと…。だけど涙を流す龍之介が描かれたひとコマに、許してやりたくなっちゃうんです。多分翔太もあの顔を見て、それほど怒らなかったのだと思う、あのひとコマ、すごく良かった。
前作と同じく、もうちょっとあと一歩と思えるところも沢山あるのですが、それを補う画力に次の作品も読んでみたいと強く思います。エロとストーリーのバランスが良ければそれに越したことはないですが、まずはエロは少なくてもいいので、ストーリー重視で描いてほしいです。期待しています!
切なくて泣けるBLが読みたいと思い購入。
帯の言葉に惹かれたというのもあります。
読んでみたところそのとおり、親友である翔太のことを好きになってしまった龍の葛藤が描かれていて切なくなりました。
無理矢理ヤってしまい、翔太に追い出されて……いつまでも親友でいられるも思っていた翔太と親友でいたかったけどそれ以上の感情を抱いてしまい歯止めが効かなかった龍。龍の気持ちを考えると涙が出てきました。
そこまでは良かったです。問題は翔太が龍を好きになるきっかけがどうなるかで決まるなぁと思いながら読んでいたのですが……翔太がなぜ龍の好意を受け入れたのかがわからない。
初めてヤったとき、ぶん殴るほど嫌だった。
それなのに龍が事故ったら突然…そのへんがよくわかりませんでした。
殴るほど親友という関係を続けたかったと思っていたのにあまりにも展開が早すぎるというか…。
そのへんがわかりづらく感情移入できませんでした。
全体的には素敵な話だったのですが、後半がなっとくいきませんでした。
前作『少年と薬売り』ではデビュー作とは思えない画力でびっくりしましたが、今回もちるちるさんの作家インタビューでお見掛けして、面白そうだなと思って手に取ってみました。
内容をざっくりと。すみません、ネタバレしてます。
美容師の龍之介と、難聴というハンデを持つ大学生の翔太は中学生の時からの親友。今はルームシェアをして、一緒に住んでいます。
難聴を持ちながらも、それに負けることなく前向きに努力し、誰にでも優しい思いやりを持つ翔太に恋心を抱いている龍之介ですが、自分の恋は叶うことはないとずっと心に秘めています。
お互いサポートし合いながらの快適なルームシェアをしていた彼らですが、翔太が女の子に告白をされたことから二人の距離感に隙間が空きはじめ…。
というお話。
なんというか、よくある話というか、既視感のあるお話でした。先の先までスーッと見通せてしまう。
龍之介と翔太の二人の視点が交互で描かれていますが、どちらかというと龍之介の視点がメインでした。
中学生の時のエピソードが所々に盛り込まれているため、龍之介が翔太に恋心を抱くようになる過程は理解できるんです。けれど、ノンケさんの翔太が、友達だと思っていた龍之介に、友情ではなく恋愛感情を持つに至った気持ちの変化が分かりづらい。友情ではなく、その気持ちがなぜ『恋』なのか、が、この話のキモだと思うのだけれど。
翔太の難聴というハンデ。
龍之介のクォーターというバックボーン。
おいしい設定はあるものの、それを生かしきれず終わってしまった、という感じ。
悪い人も出てこないし、お互いがお互いを思いやる二人のお話なので優しくほっこりしたお話ではあるんです。特に龍之介の職場の先輩の晶。二人をさりげなくサポートするナイスガイで、彼主役のスピンオフを書いてほしいなと思ったら、あとがきで彼のスピンオフを描かれるとのこと。そちらも楽しみに待っていたいと思います。
お互いがお互いを思いやる二人のお話なので優しくほっこりしたお話ではあるんです。が、それだけ、というか。もうひとひねり欲しかったな、というのが正直な感想。
ですが、きれいな絵柄とよく合った優しいお話でした。