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表題作鈍色の華

ダン・カーター、ヒューイ・アダムス、兎河俊 
鶴谷文夫・「ラビットフード」物品管理部課長

同時収録作品漆黒の華

ダン・カーター・「エリック&ロナウド」日本支社社長
佐川良祐・「エリック&ロナウド」日本支社社員

その他の収録作品

  • 鈍色の果実
  • あとがき

あらすじ

大手食品会社の物品管理課で働いている鶴谷は40代後半にも関わらず、
白髪が目立つ冴えないサラリーマン。
だがある日若手でやり手の社長・兎河から呼び出され、
会社提携のために海外の会社の重役の接待を命じられた。
そんな大役は務まらないと固辞する鶴谷だったが、
それがセックスでの接待であると告げられる。
「あなたは彼らの前で服を脱ぎ、
興奮させて好きなように体を弄らせていれば、それでいいんです」
会社への恩もあり、その接待を引き受けた鶴谷が向かった場所には
金髪と茶髪のアメリカ人が二人いて…!!
エロとじに掲載された中年受が続編書き下ろしを含めてノベルズ化!

作品情報

作品名
鈍色の華
著者
木原音瀬 
イラスト
ZAKK 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
ISBN
9784799733554
4

(123)

(62)

萌々

(29)

(19)

中立

(7)

趣味じゃない

(6)

レビュー数
19
得点
490
評価数
123
平均
4 / 5
神率
50.4%

レビュー投稿数19

休日に読みましたが

木原先生はたいへん高名な作家様という事しか知らずすみません。
レビュー評価をチラッと見に来たら私の予想の何十倍も多くて知らんかった。
有名作品なんですかね?

エロエロ?だし、オモロヘンなヒトばっかりで一気に読んでしまいました。
バッドエンドはイヤなんですが、恋愛抜きのエロは嫌いじゃないです、むしろ好みです。
にしても中年の冴えない白髪リーマンとかメガネのフツメンとか受けは全員タイプじゃないし、攻めもアメリカ人2人はいかにもというタイプだし、社長の兎河が辛うじてBLぽいかなという程度。
なのでキュンキュンとかはしないです。
ブラックユーモアみたいな仄暗いエロ展開でなんやねんこれ?!
と思いながらも楽しく読めます。

ZAKK先生のイラストが見たかったのでした。

ゲイの世界、軽く見てハマってしまい抜け出せない蟻地獄で一生終わるヒトとかマジであるのかもしれないー
とふと思ってかなり怖いですね。

あのタトゥーも怖いよ。

0

人間、突き詰めるとなんだかすごい…

ここんとこBL小説にハマり、この作者様のアオイトリがもう大好きで、他の作品も読んでみようと手に取った1冊。

この作者様をよくご存知の方なら、あーなるほど…と思うのかもしれませんが、免疫のない私は…すげーな(いろんな意味で)しかなかったです(笑)

あらすじは他のレビュアー様が書かれているので、感想を書きます。

「鈍色の華」「鈍色の果実」

これ、ほんとにすごいというか(笑)常識ある人が1人も出てこない(笑)

50歳手前にして、男に身体を開発されただけじゃなく、自分自身もその快楽の虜になっていく鶴谷。その描写たるや生々しすぎて、ひぇーーーって感じでした。

いくら仕事の為とはいえ、社長の兎河は部下にこんなことをやらせる時点で普通じゃない。しかし、鶴谷は兎河からの仕事(性接待)で新たな悦びを発見できたわけだから、鶴谷的には良かったのかな。

鶴谷を見初めて接待させるヒューイとダンの悪趣味な攻め方がもう…これ苦手な方は本当に苦手だと思います。それを冷静に見る兎河。兎河は本当に冷徹に鶴谷を見下してるんですよね。兎河が鶴谷に対してそういう風に見るのはよくわかる。

私はオジ受け好きですけど、今回の鶴谷はほんとになんというか、生々しくて、うわー…と思いながら読みました。

でも、特に兎河の心理描写なんかは本当に細かくて、すごいわかりやすくて、どんどん惹き込まれながら読み進められました。作者様のこの手腕、さすがだなぁと思います。

鈍色の果実で、あっさりダンの申し入れを断る鶴谷、まさかまさかの、本人めちゃくちゃど淫乱になってるんですよね。それがもう徹底的でブレなくて、もはや清々しいくらい。

鶴谷が兎河と1度だけセックスしたいと申し入れた時、え?とか思ったわけです。え、そこなの?なんで?みたいな。そしたらその理由が、兎河のアソコが自分の理想だから、1度見てみたい、試してみたいと。肉体的快楽を追い求めすぎると、もはやここまでになるのか…と。

さらにそのあと、鶴谷の実家で激しく兎河から執拗に責め立てられ手酷くされても、鶴谷はそこに快感を得るし、兎河は兎河で、自分の隠された性癖に目覚めて、虐めて蔑んで執拗に責立てることに快感を覚える。

なんだかなー。人間、ここまで突き詰めると、狂気の沙汰というか。すごいんですよね…。兎河がまだ自分の方が優位的な立場だと踏んで、鶴谷に関係を継続してやってもいいと言うも、あっさり、あ、いいです、みたいに断る鶴谷。

ここの兎河の心理描写がとても秀逸で、なんなんだ、この男は、と兎河にはもはや理解不能なわけです。だけど抗いきれない鶴谷への感情が生まれて、自分から関係を維持しようとする。もはやこの時点で兎河は完全に鶴谷という男から逃れられなくなっているですよね。なんというか…もはや凡人には理解不能な世界。

鈍色の果実では、ダンが鶴谷を迎えに来るんだけど、あっさり振って「彼」の待つ家へ帰る。この彼こそ兎河で、兎河は鶴谷の毒牙に完全に埋没し信じられない執着で鶴谷を独占している。

そもそも部下にあんな仕事をさせる時点で兎河もどこかしら破綻している人だったんだろうけど、あんなに蔑んで見下していた相手に、心から愛されてもないのに自分だけのものにしようと執着している兎河が、哀れにも思いました。

「漆黒の華」

鈍色の華に出てきたダンと、ダンの勤める会社の日本人社員の佐川の話。

佐川がもう徹底的にドクズで超ゲスなんですよね。ダンに近づき、身体を使って出世しようとするも、身体が男に抱かれないと満足できなくなっていて、損得勘定だけで付き合っていた彼女の前で大失態をおかすんです。

佐川くんね、ほんとに自業自得だけど、なんかその大失態の描写がものすごくエグくて、またまた、うわー…とドン引く私…(笑)

付き合ってる彼氏とセックスしてて、突然彼氏のお尻からローター落ちてきたら、なんかトラウマになりそう(笑)もう、この佐川の堕ちるところまで堕ちる描写の追い詰め感たるやすごいんです。ここまでやるか?もうド最悪なシチュエーションで佐川を追い詰めていく。容赦ないなぁ…と怖いくらいです。

でも、佐川には全然同情できないから、かわいそうとも思わないんですけどね。佐川は頭よくないのに自尊心と大きすぎる野心で、小賢しく、後先考えずにやらかすバカ、みたいなやつで、よくもまぁあんな大それたことしたなぁと。ほんとに救いようがない。

札幌出張の夜、佐川がダンに手酷く抱かれて、そのあとのダンの冷酷な態度の描写もすごい徹底的で、頭の中にその情景が再現されるくらい克明な描写なんですよね。セリフもすごいブレがなくて。

でもここで冷酷なダンにキスしたあたりで、もはや佐川は心のバランスを失いかけて、ダン以外に自分を受け入れてくれる人はいないということに気がついたというか。それほどまでに佐川は追い詰められていたんだと思います。

私は、ダンは手酷く佐川を捨てて、佐川バッドエンドな予想をしてたんですけど、ダンは佐川を許し手に入れる。正直、ダンがなんでそこまで佐川に執着するのか分からないくらい、佐川って全然魅力がない男なんです。

ダンが自分の男になったら、俺は甘くない。と言ったとおり、ダンの執着と独占欲は半端なく。自分の名前を佐川の身体に刻むくらいの凄まじいもの。でももはや、佐川はダンのものになるしか助かる術はなかったから、ダンに捨てられなくて良かったじゃん…と思いました。ダンも最後は甘いんだなと。

挿絵は雰囲気もあって、特にダンなんかはめちゃくちゃかっこよくて好きでしたが、どーにも佐川のイラストは全然萌えなくて、ほんとになんでこんな男がいいんだろう…と、最後まで理解不能でした。

いろんな意味で、人間の欲望と執着、突き詰めるとすごいんだな…と。そしてここまで振り切れて書ききれる作者様がすごいなって思いました。癖あるBL読みたい方にはオススメします。

2

万年発情期

まともな人が誰ひとりいない本でした。木原音瀬先生にしては多くのBL小説に近しい雰囲気かな?と思っていたら相変わらずの木原節…常識は通用しない。

◾︎鈍色の華
終わり方でもってかれました。こうくるか…と思いきや次の鈍色の果実でまた、そう返したか…ともなりましたが。

◾︎鈍色の果実
そう返したか…となった後は驚く展開はありませんでした。兎河はハマっちゃうんだろうなと思ったら案の定である。鶴谷の魅力は自分には理解できない。というかこの本の登場人物誰も彼も異常で、徹頭徹尾なんじゃこらという感想。

◾︎漆黒の華
極め付けのなんじゃこら。佐川はソコソコの男だったのに、普通そんなことするか?ってことをする。創作物的ファンタジーかと思いきや、やっぱ普通そんなことしないよね、佐川異常だよね、と読み進めるごと深みにハマる佐川に心が離れていく…面白いけど、この本はその楽しみ方で正解なのか?玲奈ちゃん逃げ切れてよかったね。
口絵、文章で隠れていたソコはそんなことになっていたんですね。ダンが飽きて佐川を捨てるぐらいまでやってくれても嬉しかった。「鈍色の華」でもホイホイ鶴谷に惚れてたし、相当惚れっぽいダン。飽きるのも早いのか、あるいは今まで着いてこれる人がいなかったのか。最高傑作とのたまうからには今までも数多の作品を生み出してきたのでしょう。ボロボロになったタイミングで捨てられる佐川も自分的にはあり。


軽そうだったヒューイが、全部読むと他の皆の異常さに霞むという。書かれてないだけで彼もとんでもないことしてそうな気もする。天王寺は背後に気をつけた方がいいのか…いや、天王寺はまともな人生歩む良い奴であれ。

萌〜萌2

4

コメディでした。敬語責め好きは是非

1冊を通して一番登場するのは外資社長チートキャラすぎるダン。そしてダン(とヒューイ)によって男に目覚めてしまった40代鶴谷と20代佐川の2編。

枯れ始めてからまさかのシンデレラストーリー⁉︎(枕営業だけど)という設定は凄く面白い!それにちょっと夢があるし秘訣を知りたい〜。ただの野次馬根性です。
男体盛りとか、いかにも妄想の大風呂敷を広げた設定と台詞!という感じが笑えるし鶴谷さんの“秘めてる感”にもっと読みたくなる!

鶴谷さんが佐川みたいに後戻り出来なくなっていく過程も、最初の3Pも描かれていないのが残念、詳しく欲しかったなぁ。もっと鶴谷の魅力を語って欲しかった。ヒューイが途中退場するのも気になる。

佐川のお話は綺麗に纏まっていて結末も自業自得で笑えるのだけど、いかんせん彼自体の魅力が鶴谷さんより薄い。なので予想していたのは、ダンの物になった後鶴谷さんが気紛れに現れ、OMG、ダンは迷わずジジイのケツを選ぶ。タトゥーまで入れた佐川はあっさり捨てられる…というものでした。ハッピーエンドでよかったね、と二人に言いたくなります。
あとクッキー食べたくなった。

毎度木原作品に登場するクズキャラは男女問わずゲスすぎる内面描写が清々しい。木原さんは男女共に容赦ないのでそこが好きだし、凄いなよう分かるな…と思う。
「ジジイのケツを追いかけて振られるような男なら、自分の顔面レベルでも十分に可能性はある」
「ニコリと俳優のように微笑む。ガムか歯磨き粉のCMのような白い歯がキモい。」

2

不幸になった人が誰もいないので、ほのぼのと言えるのでは。

個人的にきゅんきゅんするポイントはあまりなかったので評価は萌2にしてあるが、小説としては相変わらず抜群に読みやすいし面白い。木原作品ということで身構えていたけれど、当社比で『鈍色』は全然痛くない作品だった。木原先生にしては、ほのぼのとも言えるような笑。

お話が3作入っていました。『鈍色の華』と『鈍色の果実』は同じ登場人物が続投している。3つ目の『漆黒の華』は攻めだけが鈍色から引き続き登場し、受けは新しい人。

以下自由にネタバレ。

ダン・カーター氏は、自分だけのパートナーが見つかってよかったな!インスタグラムに「my lover」なんて乗っけてくれるような可愛い恋人で、一途なダンには相性ぴったりだと思うぞ(書き下ろしペーパー)。『鈍色〜』の主人公の鶴屋じゃこうはいかなかったはずだ笑。

社会で何かを成し遂げていこうというような活力は薄いが、たくさんのtintinを経験したい!という精力にはアクティブになれちゃう鶴屋。身を持ち崩すとはこういうことなのか、それとも本人はやっと人生の楽しみを見つけられたのか……ともあれ、自己中なのは間違いないので、一途なダンよりは血の通わないヘビみたいな兎河社長の方がお似合い。総じて、兎河社長が一番ミステリアスな登場人物だったかもしれない。

こうなってくると、木原作品には珍しい裏のなさそうな好青年の天王寺編も書いて欲しい。こんな好青年が木原作品で見れるなんて、しかも、好青年な上に卑屈じゃない!お相手はダンより一癖も二癖もありそうなヒューイでしょうか。

ZAKK先生の挿絵、とてもよかった。特に佐川くんからピンクのヤーツーが出てきちゃたときの玲奈の顔に笑った。ピンクのヤーツーの躍動感が素晴らしかった笑。

しいて木原先生に物申すとすれば、ペーパーが重要すぎないか?とは思う。ペーパーを読んでいない人がいるかも、と思うとちと残念。

2

この作品が収納されている本棚

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