……僕は大人の女性を愛せません。 僕の好きな人は、大人でも女性でもないんです。

ラブセメタリー

love cemetery

ラブセメタリー
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神29
  • 萌×24
  • 萌0
  • 中立2
  • しゅみじゃない2

21

レビュー数
6
得点
163
評価数
37
平均
4.5 / 5
神率
78.4%
著者
 
媒体
小説
出版社
集英社
シリーズ
単行本
発売日
価格
¥1,300(税抜)  ¥1,404(税込)
ISBN
9784087711189

あらすじ

甥に対する密かな欲望を抱え、妄想に囚われ苦しむ百貨店のエリート外商・久瀬圭祐。欲望がいつか暴走するのではと恐怖し、治療を求めて精神科クリニックを訪れるのだが――。
小学校教師の森下伸春は遠い昔、幼い少女に繰り返し恋をした。そんな自分の嗜好を知りつつも、ある一線を越え欲望を解き放ち、そしてその果てに待っていたものは……。
本能に弄ばれる二人の男と、その周囲の人たちの心の葛藤をリアルに描いた、異色の連作小説。

BL界の巨匠・木原音瀬が挑んだ衝撃作。
著者初の文芸単行本!

表題作ラブセメタリー

同時収録作品あのおじさんのこと

同時収録作品僕のライフ

評価・レビューする

レビュー投稿数6

タイトルが秀逸

人の性癖は生まれた時からシールのようにべったりと貼り付けられている。
それは本人の意思で剥がしたり変えたりすることはできない。

マイノリティーのシールを貼られた人間はどうやって生きていけばいいのか。
その答えが出ないまま、苦しさだけが残る、そんな作品です。

正さは一つじゃない。
もしそれがマジョリティーなら誰にも責められない当たり前のこと。
ただ、マイノリティーと言うだけで責められる人生とはなんなのだろう。

人の業と哀しさを感じさせる素晴らしい小説でした。

1

どんな結末だったら、ハッピーエンドなのか?

電子書籍版を購入。
前知識なしに、非BLということさえ知らずに読み始めました。
さすが、木原作品。
話の運び方というか、見せ方が自然で巧みです。

作中のセリフ
『子供に手を出す奴は、まとめて牢屋に閉じ込めちまえ』
と私も思っていました。
それは、今も変わらない。
でも、
『愛する人の変化を受け入れられない自分と、継続しない愛情。』
という苦悩まで考えが及びませんでした。
例え、思いが通じあったとしても……プラトニックだとしても、その愛は続かない。
だって、子供は成長する。

こういった性嗜好の人達は、永遠にハッピーエンドを迎えることは出来ないのでしょうか。
だとしたら、悲しすぎる。

どういった結末だったらハッピーなのかと考えてみましたが、その答えはでないままです。

3

一体何が正しいのでしょうか?

何と言ったら良いのかわからなくなる。
 子供しか愛せない。子供しか性的対象としかみることのできない、
身なり 外見は完璧な主人公、久瀬の話。
子供しか愛せない、いわゆるペドフィリア。
現代でも後を絶たない子供を性的対象とした犯罪。
いつ自分の欲望に負けてしまうのかわからない。暴走してしまうかもしれない。
そんな恐怖と戦っている。
普段ニュースなどで耳にしては耳を塞いでいる
欲望がおさえられなかった人たちの心の本当の叫びかもしれない。
久瀬だって望んでいなかった、生まれたときから子供
しか愛せなかった。そのせいで誰からも理解されない、密かに想うことしか
できない。
自分の欲望に負け、欲望が満たされるときは自らが犯罪者になるとき、そして
まだ幼い子供が性行為を行うとき。

確かに救われた話ではない、「萌え」というものもない。ただただ考えさせられる。

3

生き地獄

非常に感想を書き辛い。
落としどころがない。
子供しか愛せない=子供にしか欲情しない。
欲望を満たす時=犯罪を犯す時。
これは当事者は地獄だろうと、予測で語るにも重すぎる。
人の親として、かつては子供だった者としての真っ当な意見はあるけれど、そんなのは語っても仕方ない。
こういうマイノリティもある。
常識では絶対に認められないけど、こういう嗜好を持って生まれてきた人がいて、倫理観と欲望との狭間で死ぬほど苦しんでいるんだと、それを知ることができました。
久瀬さんの幸せには、子供の犠牲が伴う。
常識人でもあるから、自分の罪にも苦しむ。
生き地獄だなぁと。
今はこんなことしか書けません。

7

帯の文句に偽りなしの「衝撃作」

木原先生の非BL作品。あらすじ、表紙、そして木原作品という事で痛い作品なんだろうな、と想像しつつ読みました。

この作品は小児性愛をテーマにした作品なので、子どもを性的な対象にする、というのが地雷な方には全力で回れ右をお勧めしたい。子どもを性的に嬲るシーンが割とがっつり描かれていますので、(こういう言い方はアレかもしれませんが)胸糞悪いシーンが多く出てきます。

という事でレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意を。









この作品は3つのストーリーから構成されています。

精神科の個人医院に勤務する看護師の町屋と、彼の勤務するクリニックに患者として訪れた久瀬の話を描いた、表題作『ラブセメタリ―』。

孤独死を迎えたホームレスの伸さんを描いた『あのおじさんのこと』、『僕のライフ』の二編。

『ラブセメタリ―』
町屋の勤務する精神科に暗い目をして訪れたのは、身なりもよくイケメンの久瀬。彼の相談の中身は「性欲を減退する薬を処方してほしい」というもの。
精神科医で院長の飯田は彼の訴えを根気よく話を聞くが、彼の悩みのそもそもの根源は「自分の愛する人は、大人でも女性でもない」という事。

つまり、久瀬は小児性愛者である、という事。
久瀬が想い人と身体を繋げるという事は、すなわち犯罪になってしまう、という事。

そんな彼を、初めは理解することができなかった町屋ですが、ある日偶然彼を助けたことから友人という関係に。久瀬が助けを求めたクリニックの看護師であることを告げることができないまま、二人は良い友人関係を築きはじめるが…。

町屋はゲイ。自身の性癖に引け目を感じつつ生きている。
そんな彼が出会った、「子どもしか愛せない」という久瀬。
久瀬に恋愛感情を抱き始めた町屋は、自分の恋が成就することがないことを知っている。なぜなら久瀬の恋愛対象は「子ども」だからだ。

町屋はゲイではありますが、この話は「小児性愛」がテーマになっているため、BLとしてストーリーが展開することはない。BL的な萌えはない。
もし彼らが違う形で出会っていたなら、二人の結末はまた違ったものであったのではないかと思うと胸が痛かった。

『あのおじさんのこと』
『ラブセメタリ―』で、町屋のゲイ仲間であり良き友人でもある大輝に、町屋が小児性愛について質問するシーンがありますが、そこで大輝が話してくれたホームレスの「伸さん」が登場します。

その伸さんのことを、とあるきっかけで調べ始めるのが、『ラブセメタリ―』の久瀬の、かつての想い人であった彼の甥っ子の伊吹。

元々は小学校教諭で、子どもたちにも同僚の先生たちにも慕われていた人望のある先生だった伸さん。その伸さんがホームレスになった経緯を調べて行くうちに、伸さんが小児性愛者だったことが分かり…。

そこで伊吹が知る、小児性愛者という存在。
そして自身の過去の回想とともに、子どもだった頃自分を可愛がってくれた伯父さんである久瀬に思いを馳せる。

主人公は伊吹でありながら、このストーリーで描かれているのは、彼の目を通して徐々に分かってくる伸さんと、彼のおじさんの共通点。
小児性愛という性癖。

『ラブセメタリ―』とは全く異なる話かと思いきや、絶妙にリンクしたストーリ展開が素晴らしい。

『僕のライフ』
伸さん視点のお話。
「僕のライフ」というタイトル通り、彼の回顧録。

昔から小さい子どもに性的に興奮する性癖。
そして良き教師であるという顔と、外国に赴いては小さな子どもを買うという二面性。

彼が小さい子どもに性的に接触する行為が頻繁に出てきて、正直胸が悪くなりました。そういう描写が苦手な方にはかなりきついと思います。

教師という職を辞してからは、彼が自身にかけていたストッパーが外れ、どんどん転落していく。良き教師であったはずの伸さんが、ホームレスへ、そして子どもに手を出す犯罪者へと堕ちていく。人は、理性があるからこそ「人」でいられるのかもしれないな、と。

犯罪を犯さないよう悩みもがく久瀬。
箍が外れ自身の欲望を抑えきれず子どもに手を出してしまう伸さん。
この対照的な二人のストーリーを描くことで、より一層読者に訴えるものがあったように思います。

本来、人が人を愛するという事は優しく温かいものであるはず。
けれどその対象が子どもであるというだけで、それが苦しみを産む。
でも、子どもを性的な対象にしていいわけがない。
何が正解で、何が不誠実なのか。

このご時世に、あえてこのテーマで切り込んだ木原先生の心意気に拍手を送りたい。

エピローグで、久瀬と伊吹のその後の話が描かれています。
このエピローグも非常によかった。というか読み手によってどうにでも取れる終わり方だったと思います。

久瀬の、「過去の切ない失恋」は町屋との恋の事ではないだろうか、とか。
伊吹が海外に目を向けるようになったのは、貧困ゆえに身体を売るしか手段がない子どもの存在を知ったからではないだろうか、とか。


どれが正解なのか、答えが出せない。
救いがないといえば救いがなく、けれど、今まで怒りと嫌悪感しか抱くことができなかった「子どもの性的被害」という事柄に、目を背けるだけでなく加害者にも目を向けるきっかけになった作品でした。

伊吹が伸さんについて調べて行く過程で感じた、「服の表と裏の様だ」という感想が良い得て妙だな、と。人に見せる綺麗な面と、ツギハギだらけの、裏の面。人はだれしもそういう所があるんじゃないのかな。

もう一度書きますが、地雷の方が多い作品かと思います。けして万人受けする作品ではない。読んでいて気分が悪くなる描写も多い。
けれど、非常に考えさせられる、素晴らしい作品だったと思います。

非BL作品なので「萌え」はありませんが、一つの作品として読んだ時に文句なく素晴らしい作品でした。

11

答えはあるんだろうか?

あら、レビューがない……僭越ですが書くのをお許しください。

『性嗜好』ではなく『性指向』と学んだ。趣味じゃないから変えられない。
年齢や性別、民族、国籍、貧富の差etc.の違いがあっても、幸せを追求出来る社会になればよいと思う。当然、性的少数者も。

「それじゃあペドフィリアの人はどうするの?……ネクロフィリアは?」
で、行き止まりにぶち当たる。
棚上げしたい。
「でも、それって不誠実だよね」と思う。

萌えのために読む本じゃありません。
冴える本です。(多分これからしばらく眠れません)

7

この作品が収納されている本棚

PAGE TOP
  • 電子書籍
  • レビューを見る
  • 評価レビューする
  • 関連作品
  • 攻受データ