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表題作死にたがりのヴァンパイア

レオ,泣き虫で死にたがりの吸血鬼
森岡祐樹,大学生,父親のゴーストペインター

その他の収録作品

  • 最後のその日まで(描き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

「君を殺してあげる。だから、君の絵を描かせて――」大学生の祐樹は、有名画家の父の代わりに絵を描くゴーストペインター。 息を潜めるように過ごしていたある日、美しい吸血鬼の青年、レオが現れる。血液の代用として「キス」を提供する祐樹だったが、行為は徐々にエスカレートし…。悲しい過去を背負い、自分を殺してほしいと願うレオ。彼に惹かれながらもただ絵を描くしかできない祐樹。自分の"色"を失った青年と生きることに絶望した不老不死の吸血鬼の切なくも鮮やかな日々――。

作品情報

作品名
死にたがりのヴァンパイア
著者
桃尻ひばり 
媒体
漫画(コミック)
出版社
双葉社
レーベル
マージナルコミックス
発売日
ISBN
9784575380231
3.5

(44)

(11)

萌々

(9)

(19)

中立

(1)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
7
得点
149
評価数
44
平均
3.5 / 5
神率
25%

レビュー投稿数7

死を求める不死の人

感想
お金でなんでも手に入れられる時代になったけど、一つだけ;若さを保ちながらの不死だけは今のところ得られない。金持ちの最後の望みが美と健康を保持した不死だと世間は言ってます。
この物語は、恋人の命の代わりに不死の命を繫いで眠りについた吸血鬼の美少年が、不死を悲しんで死を求めています。

独りぼっちの不死は寂しい。目覚めると独り。愛する猫も消えて居なかった。
起きて泣きながら朽ちた屋敷を這いずるレオを、たばこを吸っていた祐樹が見つける。

祐樹は、才能を妬む父にゴースト画家にされて世間から隠されている。父親は、祐樹に自分の絵を描かせない・・祐樹が自分から逃げることを恐れている。
謎だらけの美しいレオの絵を描きたくなった祐樹。レオの絵は、父の檻から外に飛び出す切っ掛けになる。
色々あって、・・レオは、祐樹の寿命が尽きるまでの生を共に生きることを決心する。(死に方の選択肢は、実は色々あった。結末に出して焦らす著者)

本当の幸せは何?を問うお話だと思います。←もしこれが著者の主眼なら、他の細かい設定や説明があるとボケるので、この作品の内容と構成でOK.
不死の中で光る宝は探し難い。有限で儚い瞬間の美だから、価値がある。限りある時間の中で、共通の喜びを持てるパートナーを探し出す事は 人が持てる至上の宝ではないかなー。


0

切なさと美しさ

ぎゅっとまとまった映画のようなストーリーでした。
とにかく絵が綺麗で、表紙のイラストの雰囲気のまま漫画も描かれています。
BLっぽくなく、エロはありますがいやらしくない。

話の雰囲気は薄暗くはありますが、2人にとってのハッピーエンドだなと思いました。(メリバではない)
グレーブルーからオレンジピンクに変わっていくような話の雰囲気です。

ーーーーーーー感想とネタバレーーーーーーー

人外と人間の恋愛でネックとなる”生きる時間に差がある”を中心に置いて話は進んでいきます。

100年の眠りから覚めた攻めが、受けを前にして飢えを抑えることができず吸血してしまうところが2人の出会いです。

攻めは長く生きるのが辛くなり、自分を殺してくれと受けに頼みます。
受けは攻めの綺麗さに魅入り、描かせてくれるなら殺してあげると交換条件を掲示。

描きあがるまでは、攻めを生かすためにキスで精気を提供することになります。
ヴァンパイアを生かすのは、人間の精気。
血を吸うのが一番ですが、性交やキスでも補うことができる
ヴァンパイアのキスは魔力が強いため、”恋と錯覚する”という部分も話のキーとなります。

父親のゴーストペインターとして描くうちに、自分の存在価値は否定され疲れていた受け。
攻めの存在は光となり、一緒にいれば自分が自分でいられると、逃げていきます。

2人の関係は、共依存に近い恋人だなと思いました。
攻め・受け共に、2人の背景がほとんど明かされてないし、解決されていない。
このスタイルが余計に共依存っぽくみせたのだと思います。

最終的には、2人で一緒に同じ時間を生きていくという気持ちを確かめ合います。

最後は、2人でゆっくりと生きているシーンが描かれています。
2人だけの世界で幸せに生活しているんだろうなと想像できて楽しめました。

ドラマチックではないですが、静かに緩急つけて進んでいく印象。

ーーーーーーー
ヴァンパイアものといえば、切なさと美しさ。
この2つがちゃんと表現されていてとても満足できました。

5

欠けたものを、補うふたり

この本を読みたいと思ったきっかけは、まず、表紙の美しさでした。
タイトルのデザインと、タイトルの奥に覗く主人公たちの構図に、とても魅せられました。
絵柄もとても繊細で、きらきらしていて、現代が舞台でありながら、吸血鬼を話の主軸にそえた、不思議な雰囲気のお話に、とてもぴったりな作風の先生だなぁと感じました。

受け・祐樹が、幼い頃から受けていた、父をはじめとした周囲からの呪いのような言葉。
そんな言葉に囚われていた、自信喪失しているような祐樹の前にあらわれた、美しすぎる吸血鬼攻め・レオ。
出会いのシーンも、とても印象的です。

命を終わらせたがっていたレオが、祐樹と一緒に生きていきたい、と思えるようになっていく過程が、とても素敵な雰囲気でした。
ふたりだけの空間で、モデルと画家としての関係性が、美しくて、儚ささえ感じました。
対価がレオの命を終わらせること、だからでしょうか。

えっちシーンもすごく綺麗で、美しかったです。
ストーリーの雰囲気ともぴったりな、耽美さ。

古い言い伝えが真実でありますように!と願わずにはいられない、そんな素敵なカップルでした。

0

設定は暗いけど綺麗なストーリー

BL名義では2冊目のコミックスですが、
別名義で青年誌や少女誌でご活躍されている作家さんだそうです。

経歴に良くも悪くも納得。
良い点は、絵が綺麗、画面が華やか、ストーリー運び
悪い点は、BL的萌えが薄味……。

ガッツリエロシーンもあるんですが、なんだろうな…BL誌を読んでる実感がない。
青年誌でエロなしBLを書かれていたそうですが、それにエロを付け加えた印象でした。
「絵の綺麗さ・話の面白さ・エロ」と「萌え」は別物なんだなーと再確認した次第です…(;´Д`A

萌えだけで言えば中立。(しゅみじゃないと言い切るほど悪い点はない)
その他部分で少し+αで中立寄りの萌え評価かな…。


さて。
【吸血鬼×人間】の少しファンタジーが混ざったお話です。

『君を殺してあげる。だから君の絵を描かせてー。』(裏表紙より)
『こんなにも世界を愛する君が、そんなにも死にたがる理由を、僕は知らない』(帯より)

ネガティブな言葉が綺麗なセリフとなっている煽り通り、
「死にたい」「逃げたい」「殺して」「殺してあげる」が切なくも綺麗な印象。
薄暗い要素が多いけれど、吸血鬼のキャラせいか(?)思ってたほど暗くなかったです。


攻めは100年の眠りから覚めた吸血鬼。
大切に思ってた相手の血を吸いすぎて死なせてしまった過去があり、
死んでしまいたいと願いながら生き長らえる吸血鬼です。
素直で感情豊かで泣き虫でほっとけないような可愛さがありました。

受けは大学生。
父親は有名画家ですが才能が枯渇し、息子である受けがゴーストペインターをしています。
父親に抑圧され、描くもの・描き方を父親似るよう管理され、自由がない状態。
吸血鬼に出会い、自分の中に押さえつけてた感情が出るようになります。

最終的に父親の元を飛び出し、吸血鬼と2人で駆け落ちのような生活へ。

吸血鬼と一緒にいられてとても幸せを感じる反面、
吸血鬼を想うなら、望み通り殺してあげるのが正解なのかと悩みーー。


ただただ話運びが綺麗だなぁと思いながら読了。
相手を想う結論が"生か死か"という切なさもあるお話でした。
でもちゃんとハッピーエンドです(^^)♪

辛口になりますが、
萌えないエロシーンを入れるより、もう少しバックボーンを見せて欲しかったです。
取り残された父親の事、駆け落ちにしては立派な生活??(資金はどこ?)
吸血鬼が100年の眠りについた理由も起きた理由もあやふや…。
萌えが薄味で、疑問ばかりが引っかかってしまいました。(;´Д`A

5

盛り込みすぎなのかも

ちるちるを開くと出てくる広告に惹かれて購入。
読んでみると、思ってたのとちょっと違った。
冒頭は、高名な画家である父親の陰に隠れて、強制的にゴーストペインターとして父親に搾取されている息子の祐樹、という暗く悲しい設定。
そして突然現れるヴァンパイア。
彼の登場はドジっ子っぽい。だから、コメディ調で話が進むのかな?と思いきや、ヴァンパイアのレオは殺してくれ願望が強く、かなり薄暗い。
レオの死にたい・殺してくれ願望と、父親に抑圧されている祐樹の姿は闇系BLと言えると思うのですが、ところどころ入るギャグっぽいコマが馴染みが悪いというか…
確かに闇だけだと何の救いもないから明るい部分も入れたい、となるのもわからなくはないけれど、BLにしなければ、と思って闇と救いとそれに加えて萌えもエロも、というのが大盛りすぎて消化不良なのだと感じました。
表紙絵などは本当に綺麗だし、中身も全く絵は崩れずキレイです。また、これまで青年誌や少女誌でご活躍との事なので、ストーリーの組み立て自体も確立されていると思います。
個人的感想としては、BLだからと言ってエロも入れなきゃとかは考えずに、エロ匂わせの切なさ満点のお話が合うのかな、という感想を抱きました。

1

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