君の心にほんとうの恋の火をつける

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表題作その火はきえない

桧山 瑛二 (Webデザイナーで秋と居酒屋で隣り合わせた男)
宮澤 秋(リーマン)

その他の収録作品

  • 巻末かきおろしマンガ
  • カバー下:あとがき

あらすじ

借りたお金をタバコで払う、それだけの関係だったはずなのにーーー
飄々とした自由人ゲイx堅物リーマン、苦くて甘い大人のセンシティブ・ラブ。
「もう火は、とっくについてたんだ」

「…エロいな、秋ちゃん」
自分を「ふつう」だと思いたい真面目堅物リーマンの宮澤秋は、ひょんなことから出会ったゲイの桧山瑛二と、借りたタクシー代をタバコで返す関係に。
瑛二とキスをしたりセックスまがいに抱き合うのは、借りを返さなければいけないから。だって俺は「ふつう」なんだから…。
優しげな顔で強引に踏み込んでくる瑛二を拒めない秋。
過去への罪悪感と、自分と瑛二の気持ちへの嘘が、まるでタバコの煙のように纏わりついて…。
お金から始まった関係が、ふたりの恋と未来に柔らかく火を灯す。
苦くて甘い、大人のセンシティブ・ラブ。

ゲイを公言し自由気ままに生きる瑛二
自分の性癖を認めたくない真面目なリーマン・秋
まるで正反対な瑛二との出会いが、秋を変えていくーーー
「タバコ1箱ずつ、分割払いならまた会えるじゃん?」

作品情報

作品名
その火はきえない
著者
柚月りんご 
媒体
漫画(コミック)
出版社
Jパブリッシング(ジュリアンパブリッシング)
レーベル
arca comics
発売日
ISBN
9784866690544
4.2

(83)

(34)

萌々

(34)

(13)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
13
得点
347
評価数
83
平均
4.2 / 5
神率
41%

レビュー投稿数13

好きな雰囲気のお話でした

内容はほかの方が完璧に書いてらっしゃるので感想を書かせていただきます


私はすごく好きなお話でした。桧山と秋の2人の優しいジワっと漂う雰囲気もすきでした。2人とも悩んで切ないシーンあるけど重た過ぎず、この2人性格いいんだろうなって、やさしー感じ。

エロが苦手な方にオススメかな。エッチは最後らへんにしますが、生々しい細かい描写はありませんから。
あと、表紙よりも中の絵の方がかっこいいです。
さらっと読めますがつまらない訳でなく心理描写を丁寧にかかれてます。内容がよくてさらっと読めるので何度も読んでしまいました。


好ましい作品だけど読んでると時々少女漫画を連想してしまうのは何でかな?って思ってたんですが。個人的に感じただけですが、女性の絵と高校時代回想の絵が藤村まりさんの漫画を連想したからかな。しかし、高校生の頃の桧山のイケメンさ。かっこいいです。最近少女漫画読んでませんが、藤村まりさんの絵はとても好きです。が、どうも少女漫画を連想してしまって。全部じゃないですよ、、ところどころ。一部です。一部。特に女性かな??

桧山の高校時代の描写が切ない。。。現在好きに自由に生きてそうに見えてそうじゃない。ちゃんと色々な痛みを知ってる人でして。
そして登場人物で唯一イラッとしたのが高校の頃の親友(密かに桧山が想いをよせていた相手)
本当に親友か?薄い親友だな、もう少し桧山の心の支えになったげなよ。いい奴がおかしい態度のにはなんかあるとか思わないのかな?気づいてあげないの?彼が桧山に正論をいうシーンがちょいちょいありますが、なんだかんだ自分の感情だけで到底思いやりのある人とは思えない親友だなて思いました。がしかし、あの親友と恋愛云々にならなくて本当によかった。秋と出会えてよかったです。

好きなところ
セリフのないシーンが結構あるけど、それがまた
なんかすごくいい。気持ち、空気、雰囲気が読んでて伝わってきます。切なかった。

桧山は秋を秋ちゃんて呼びますが時々、秋と呼び捨てにします。それがなんか、すごくいいんですよ。
あと、妹の花奈ちゃんがかわいかった。

秋は桧山と出会ってから自分と向き合い、そして関わっていくなか、徐々に本当の自分を受け入れていく。2人が出会えて本当によかったな。
付き合ってから、幸せになった2人をもう少し見てみたかったな。



6

繊細でしっとりした雰囲気が好き

アナログ少女漫画な絵柄で、繊細な空気が作られてる作品でした。しっとり静かな雰囲気がとても好き。女子キャラが可愛いのも嬉しかったです。
メインカプはどちらもそこらへんにいそうな人で、エピソードも何気ないことばかり。でもそれが積み重なってすごく愛しくなるような、じんわり心に残る作品でした。
タバコをキーアイテムに、お互いと関わることで、自分自身をしっかり見つめる話だと思いました。瑛二は過去を乗り越えて、秋は自分を認めることで、改めて二人そろって向き合っていくような。二人が新たなスタートラインに立つまでの軌跡というか。
くっついた後に泣いちゃった秋が印象的です。傷付けてしまった人のことも忘れない、幸せに浸るだけじゃないところに、すごく人間的な魅力を感じました。瑛二はまだ心配なところもあったけど、秋なら大丈夫そうだなあと、描き下ろしでしっかり安心させてもらえました。
ふと思い出して読み返したくなるタイプの作品だと思います。

0

良い雰囲気

良かったです!
空気感? テンポ? がめちゃくちゃ良かったです。
説明しすぎず、間合いがちょうどいい漫画でした。

桧山(金髪)の高校時代の話が切なくてなんとも言えませんでした。友人から好きな人を聞かれた時の描写が良かったです。

秋と桧山の出会いは、偶然の出会いというか、運命の出会いというか、とにかく二人が出会えて良かったなと思いました。

それにしても、秋の元カノが可哀想でした。
まあ秋に悪気は無かったのだろうが。カミングアウトしたのはある意味誠実だったのかな……わからん……最悪なのは確かでした。
秋は人望のある男なので、この元カノも良い人だったのだろうな、と思います。
桧山に対して地味な嫌がらせをしましたが、それで逆に二人が上手くいくという。元カノはそんなこと知らないでしょうが、何にしろスカッともせんかっただろうな……。
元カノが幸せに生きれますように。

0

「自分」を生きる

マイノリティとしての葛藤が、時に優しく、時に切なく描かれたこちらの作品。
主人公が、自分と正反対な攻めと出会った事により、自分自身を受け入れて「自分の現実」を歩き出す物語です。
余韻を感じさせる素敵な作品でした。


内容になります。
枠からはみ出る事を恐れる、真面目なリーマンの秋。自分の「ゲイ」という性癖を認める事が出来ず、「普通」である事にしがみついています。
そんなある日、居酒屋でたまたま隣り合わせた、ゲイである事をオープンにして自由に生きる男・瑛二。彼との出会いが、秋を変えて行き-・・・というものです。


秋が借りたタクシー代を、瑛二にタバコで分割にして支払っている所から物語はスタートします。タバコ10箱分、一度会うごとに1箱ずつ返していくという流れです。
ゲイである事を公言し、自由闊達に生きる瑛二。秋の殻を破るような言動の数々が、胸にハッときます。
時に怒りをぶつけ、また時に「居場所」として甘えながら、瑛二に惹かれていく秋。でも、10回の返済が終わってしまえば、彼に会う「理由」が無くなってしまう・・・といった所。

こちらの作品、マイノリティとしての葛藤がすごく丁寧に描かれてます。なかなか認める事の出来ない堅物な秋はもちろん、自由に楽しく生きてるように見える瑛二も、過去にはやはり苦悩してます。この過去編がかなり切ない・・・(´;ω;`)
瑛二には、既に受け入れて乗り越えた過去があり、だからこそ現在の強さがある。そして秋は、現在進行形で「自身」を受け入れようと足掻いてるんですね。

また、秋がやっと自分から行動を起こし、自分の気持ちを瑛二に告げる-。この時の瑛二のセリフも最高でした。不安なのは、秋だけじゃ無いんだよね。
この終盤の、こらえながらもポロポロと出てしまう秋の涙に、とても心を動かされます。また、その秋を見守る瑛二の表情にも。
どれほど辛くても、自分自身を受け入れて歩いて行くしか無いんだよなぁ・・・。
すごく素敵で感慨深いラストでした。

ちょっと注意点ですが、過去と現在が行ったり来たりする部分があるのですが、ちょっと分かり辛かったです。現在かと思っていたら、「ここは二人の出会った過去か」みたいな。あと、何故瑛二は秋を好きになったのか良く分からない(~。~;)? 最初から、かなりグイグイきてんですよね。

引っかかる部分もあるのですが、全体的には好みのお話で楽しく読めました。特に余韻の残るラストがとっても素敵でした!

4

読んだ後、ふわふわした気持ち良さを得られる作品

すごく綺麗な作品を読んだなあと思うのは、攻めの桧山のビジュアルが美しかったからなのでしょうか。
良かったです。
女性をきちんと描ける作家さんて最近は増えてきてはいるけれど、まだ貴重だと思うので、画力だけでも一読の価値がある作品でした。

長く付き合った彼女と別れて、傷心のリーマン・秋。
上司と飲みに行った居酒屋で偶然近くに座った男女の会話が耳に入って…。

という感じで始まります。

何か良い。
出会いのきっかけも、その後会うようになる約束も、何か良い。
自分に気のある女性に対して「男が好き」と平気で言えるようになった桧山の過去の葛藤や、「ふつう」であることを望みながら、何かが心の奥でずっと燻っている秋の葛藤を過剰に描き出さなかったのが本当に良くて、そこにがつんと焦点を当てられてしまうと暗くて悲しい演出はいくらでもできる代わりに読者には「感動の押し売り」に思えてしまうこともあるけれど、さじ加減が絶妙でした。

秋が何度か目にするウエディングドレス。
好きな相手は男なのに女子にモテる桧山。

そういう「届かない」感が何か良かったです。

「良い」じゃなくて、もっとふわふわした「何か良い」という読後感を与えてくれる作品って、何度も読み返したくなるんですよね。
レビューにビックリマークを打ちまくってしまう「良い!」作品はこころがそれだけ揺さぶられるので、読み返すときも「よし!また、よ、読んじゃうぞー」って意気込まないと読み返せないことがあるのですが、「何か良い」作品は気軽に読み返せる。
そしてまたふわふわした「何か良い」空気に満たされる。
良いです。
何か良いですよ。

神に至らなかったのは、わたしの「何もかもスッキリさせたい」欲のせいかもしれません。
桧山が学生時代に好きだった同級生のめがねのお兄ちゃん(桧山の妹・花菜の呼び方)の存在がもう少し、何かあったら…と思ってしまって。
自分の好きな女の子が親友に手酷く振られて、親友と疎遠になって、3年でまた同じクラスになって、少しのわだかまりを残しつつ、また一緒にいるようになる。
回想シーンなので描いてある以上のことは分からないけれど、桧山は自分の思いを告げていないだろうし、てっきり法事で再会するのかと思いきや再登場はなく。
花菜の初登場シーンまではもしかして桧山の好きな人と妹が結婚してるパターンかなと思っていたのですが、年が離れすぎていたのでそうじゃなかった…。
変にこじれてなくて良かったけれど、告白してくる女子に苛立ちを感じていた桧山が、平然と「男が好き」と言えるようになったきっかけと言うか、そこのエピソードがちょっとだけでも欲しかったなあと思う次第であります。

でも何か良いですよ。
おすすめです。

4

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