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表紙の儚くて繊細できれいな絵と帯とのギャップに惹かれて購入しました。
驚くほどどんぴしゃでした。
表題作+1作の1冊。
表題作「彼の教科書」は数学が苦手な高校生サクが見た目や年齢を偽ってハッテン場に通い、そこで数学担当の先生皆川と身体の関係を持つ。学校での先生に惹かれ、ハッテン場で再度関係をもったときに自分が生徒の一人であるとバレてしまい…
無気力そうなサクが先生に出会ったことでドストレートに想いをぶつけるようになるのも、まるで人が変わったかのように瞳に力があるようになるのもすごくよかったです。また恋愛にビビってサクとの恋に踏み出せない先生が本能のままにサクの手を引いて駆け出すシーン、最高でした。
そして2作目「transition」原住民を研究し長期のフィールドワークに出かけるたびに刺青を増やしていく男(受け)とセフレ関係にある男(攻め)のお話。受けが自由を制限されるのが嫌いそうだから、自分の気持ちを素直に言い出せない攻めと攻めにほだされてつつある受けの探り合いのようなやり取りがもどかしくてすごくいい。また簡単に目の前からいなくなってしまいそうな不安定な関係もすごくよくて、そこからほわっと突然ハッピーエンドにまとまる流れも最高によかったです。
2作とも物語の雰囲気もセリフも表情も流れも本当にどんぴしゃで、すごくツボでした。作者様買いしたい…
気弱そうな見た目の高校教師・皆川ですが、案外はっきり主張するタイプでおどおどもしていないし、何より本業である数学の授業の仕方がいいなと思いました。生徒と教師の物語はたくさんあれど、良い教え方だなと思えるような教師に出会うことは稀。そもそも本業の描写に重きを置かれてない場合もありますしね。数学の魅力を関心の薄い生徒にも共感してもらえるよう語れる彼は、教師として素敵だなぁと。そこから彼自身に魅力を感じるようになった佐久。自然な流れに感じました。ハッテン場も登場するし、濡れ場も多めだけれど、2人の穏やかな人間性が伝わってくる物語でした。
本棚整理で久々の読み返し。
何と!ホントにたまたま発見したのですが本日で発売からちょうど5年!!
これはレビューしなきゃ!と思いまして、5年越しのレビューです。
改めて読んで、やっぱりイイ1冊!と、じーーーんと実感しています。
表紙から受ける「繊細さ」はいい意味で裏切られます。
尚表紙が受けの先生。
先生の静かだけど大人ならではの表(教師として)と裏(ハッテン場)の顔を使い分ける余裕という名の狡さに対して、攻めの思春期終わりかけの子供と大人の限りなく端境期に近い未完成さならでは!なDKサクくんの足掻くモダモダ感からの成長っぷりを軸に話が進みます。
表紙の先生メインというより、攻めのサク君の成長をにっこり応援しながら萌えを頂く作品かな?という訳で「繊細さ」よりは「青さ」って印象です。
でも作品全体に流れる空気感はとてもゆっくりな印象でじっくり堪能出来る、キラキラした青さとは違っておりとても独特な雰囲気を醸し出してくれるので、読後もじーーんとした感慨深さが得られる良質なお気に入り作品です。
そこまで多くないページ数で高校生~21歳までを描いているのでどうしても駆け足な所は否めないですが、なぜかそれでも「丁寧」な印象がちゃんと残ります。
ほんと、不思議な魅力のある作品だなぁ・・・
これが5年経っても色褪せない!って所がまた感動ですよね・・・!!
受けの先生のキャラも好きなのですがサクくんに比べて後一声!という期待が残った為評価は「萌2」とさせて頂きました。
初めての商業作とのこと。とてもそうは思えない~
先生と生徒。しかも高校生。許されない関係だし、高校生でそういうお店に行くということがひっかかってなかなか最初入り込めませんでした。
いや、わかってるんです。BLですしH描きやすい設定も必要。しかし段々年齢が上がってくるとやはりその辺の倫理観がどうしても気になり始めますね。
しかし、なんと読後感爽やかでした~
先生も生徒も、ずっと好きできちんと成人を待ったり、物語後半と、おまけの番外編を通じてお互いのことが本当に好きなんだなあ、というのが分かる。
他の作品もぜひ読んでみたいと思わせられる一冊でした。
他に、原住民の風俗などを研究する入れ墨マニアさんの短編あり。
ハッテン場で知り合い身体の関係を持ってから、徐々に先生に惹かれていく佐久の揺れる感情がすごく眩しくて。苦手な数学も頑張ろうとする彼の素直さがとても好きでした。
先生が佐久だと気付いてからはキッパリとそういう関係も持たず、線引していたのも好感が持てました。出会いが出会いなので、快楽に引きずられてしまうような展開だったら一気に冷めてしまっていたかも。
卒業してからも数年関係が変わらなかったふたりがやっと動き出し、恋人同士になるのを見ることが出来て本当に良かったです。
これからどんな風に過ごしていくのか、その先も見てみたいなと思いました。