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表題作恋がくれた宝物

高辻勝馬,初海と偶然出会った会社社長
谷田部初海,18歳,後見人に引き取られた高校生

その他の収録作品

  • 百年後の星空
  • あとがき

あらすじ

子どもの頃から親戚の家を転々として暮らしていた初海は、ある日名前も顔も知らない後見人に引き取られて新しい生活を始めるが…。

作品情報

作品名
恋がくれた宝物
著者
夢乃咲実 
イラスト
榊空也 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344842069
2.9

(14)

(1)

萌々

(4)

(3)

中立

(5)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
35
評価数
14
平均
2.9 / 5
神率
7.1%

レビュー投稿数3

不憫で泣ける(/_;)

こちら、作者さんに言わせると「あしながおじさん」的なイメージの作品になるそうです。
初読みの作家さんですが、私自身もその「あしながおじさん」的なあらすじに惹かれて手にとりました。
が、想像以上に切ない・・・!
ホント、受けが不憫で不憫で・・・(T-T)
とにかく、BLでは王道とも言える「すれ違い」が、これでもか!と発揮されている作品なんですね。
しかし、個人的にはその不憫さに大変萌えると言う事で、一気に読ませていただきました。



内容です。
両親と死に別れ、幼い頃から親戚の家をたらい回しにされてきた高校生・初海。
ある日突然、正体不明の後見人に引き取られます。
何不自由ない生活を与えられるも、不安と孤独を感じる日々。
そんな中、偶然出会った会社社長・高辻の元で働くようになり、彼に惹かれていきますがー・・・。


まず受けの初海ですが、この子がとにかく健気でいい子なのです。周りの迷惑にならないよう、息をひそめるようにして生きてきた子とでも申しましょうか。そんな子がお金持ちの後見人を得てと、普通なら心温まる展開なのです。

なのに、引き取られてからがこれまた切ない。
何不自由ない生活ながら、弁護士任せで名前さえ教えようとしない後見人に、ビジネスライクな弁護士。
そんな中、偶然出会ったのが会社社長である高辻で、一人の人間として大切に接してくれる彼に、ほのかな想いを抱くようになる初海、といった所でしょうか。

この二人の交流がですね、じんわり来る優しいものなのです。
孤独な初海と、何か心に抱えている高辻。
パンケーキを食べてみたかった初海の為に、二人がファミレスに行きパンケーキを食べるくだりなんかがもう!!
あまりに切なキュンで悶絶ものなのですね。

で、ここから、初海が遊び歩いていると勘違いした後見人から、別荘に軟禁状態で受験勉強をさせられと、二人は離ればなれに。
また、弁護士といい、家庭教師といい、初海に対してひどくキツイ態度をとる・・・。
なんでしょうね・・・。そんな状態でも、健気に頑張る初海が痛々しくて仕方ないのです。これでもか!とすれ違いが重なり、こんないい子なのに誤解されてるのも切ないですし。

また、伏線がしっかり張ってあるので、大体の所で読者側には高辻の正体が分かります。だからこそ余計に、二人の誤解に悶絶する。
もう、何でそうなる・・・!!

とは言え、最後はちゃんとハッピーエンドなのでご安心下さい。
私はこうゆう不憫な受けに滾るのですが、酷い目にあうのに萌えるワケでは無いのです。これでもかと可哀想な目にあう受けに、こちらも切なくて仕方ない思いをした後の、やってくる「幸せ」にカタルシスを得るのです。苦ければ苦いほど、その後のイチャラブが甘い・・・!!

ラストの書き下ろしが、これまたジンワリくる素敵なものでした。いやもう、幸せになって良かった。゚(゚´ω`゚)゚。

すごく良かったのですが、攻めの高辻に若干イラつく部分があるので「萌2」です。もうちょっとしっかりしてー!!
でも全体的にはとても好みのお話でした。

11

発酵してるわ、私。と実感した

榊先生の挿絵が大好きで手にとってみました。キレイですよねーこの表紙。
なんだけど、夢乃先生のお話は優しくって優しくって、多分くさや級に発酵している私にはやっぱり無理だったかもです。先生ごめんなさいです。健気100%という印象のお話なので健気さん大好きなお姐様方にはきっと、もってこいのはず。本編240P+本編の1年後のショート8P+先生のあとがき でした。

攻め受け以外の登場人物は、受けさんの後見人代理の弁護士さん、別荘の管理者さんぐらい。現代日本と思われる舞台で、もふなんかも出てこないです。

*********以下はより個人的感想・・・

受けがひどい目にあってるとぷんすか怒ってシンクロできるはずで、当作の受けさんも序盤は可哀想路線で孤独感、疎外感はある程度続いているのですが、後見人代理なんかの酷い言動にイラつく気持ちの方が強くなったのかなと思っています。また受けさんが途中涙するシーンがあり、キレイな涙ではあるのですが、「泣くな!」というちょっとしたイラつきが勝ってしまい・・・・
かたや攻めさんは会社経営をされている方なんですけど、やっぱ身近に置く方をバイトにするのはなしーという抵抗感が強くて(泣)。いや話が成立せんがな と思うのですが、どうやらこれが自分の地雷みたいだ と気付きました。やっぱ身元はちゃんと調べようね、社長さん。

健気は好きだけど、自分の好きな健気を発見するのはなかなか難しいということと、自分の意外な地雷を発見できた一冊でした。

1

見事なすれ違いっ!!

施設育ちの上、親戚をたらい回しにされていたので、初海は親戚の家でも空気のように生活し遺産も無かったのでバイトをして少しでも生活費を入れるようにしています。
そんな彼に新しく後見人となった人はどうやらお金持ちのようで、豪邸に住まわせてくれ衣食住の心配もしなくてもいいし、大学にまで行かせてくれるという今まで引き取られた家とは違いました。

しかし後見人に会うどころか名前すら教えてもらえず、豪邸といっても家族としての幸せというのは知らないままです。
カフェでバイトをしているが夏の間休業してしまう為に困っていた初海は、カフェの客として偶然出会った高辻の職場にてバイトをする事になりました。しかし高辻は初海を大学生と勘違いします。どうしてもバイトをしたい初海はそのまま黙っています。
その後、初海は高辻に惹かれていくが…
という内容です。

この初海が経験上空気のようにその場にいるといのが身についてしまったというのが、今までの生活がいかに彼にとって不幸せだったのかと思わせます。でもそんな彼ですが決して腐る事なく育っています。
高辻の元でバイトをしていて彼の優しさに触れ、高辻の仕事に付いてき別荘で休憩しているシーンとか、何の変哲もない日常なのですがそれすら幸せを感じさせてくれます。
また、高辻の元でのバイトを辞めないといけないのに、初海の為にパンケーキをファミレスで一緒に食べに行くシーンなどこれは良いというシーンもあります。

ですが、ちょっと残念と思う部分も多かったです。引き取った先の大人たちですが本当に事務的な人達ばかりです。引き取ったのだから自分のいう事をきけという印象でもありました。もう少し初海の話しを聞いてあげてもいいんじゃないかなと思います。

また、初海が高辻の職場で秘書のようなバイトを始めますが、偶然気を遣うのが上手な初海なら任せられそうと思ったようです。しかしこの高辻も幼い頃の経験から人を信用するというのが苦手です。そんな彼がずっと傍にいさせる仕事を任せるのかなと思います。しかも名前と電話番号しか訊かないというのも違和感がありました。

初海に会いもしないのに勝手に夜遊びをしていると勘違いし、家庭教師なんて何でこんなやつを選んだのか不思議なくらい嫌な奴でした。お互い言葉が足りないというのもありますが、それにしても脇も含め大人たちがビジネス的すぎて初海がさらに不憫に思えてしまって仕方なかったです。
初海を手放したことにより後悔する親戚共が見られるなどもう少しスカッとできればなと思いました。

すれ違いっぷりが切なくもあり、イライラするという事もあり完全には萌えきれなかったのですが、ハピエンですし読みやすい文章ですので健気に頑張る子が好きな方にはオススメです。

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