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好きな作家さんのキャラを好きな絵師さんが具現化する喜びよ。
オジサマは性癖ではないはずなんだけど、
小山田あみ先生が描くとこんなにセクシー!
そしてトーマを受け止めて包み込めるのは、
長い年月をかけてじっくり熟れた(最後の仕上げはちょっと荒っぽかったけどw)斑鳩教授でしかないと思いました。
題名の「トリッキー」はどこから来ているんだろう、
トーマ自体がトリッキーだしな、と思っていたら。
トリッキーの文字が出てきた時はしびれました…!
たしかにトリッキー・ゲーム…!!
チーちゃんのくだりは泣きましたよ…
ぶっ飛んでるのに泣かせてくるんだもん…
さわやか平穏ラブだけじゃものたりない気分の時に
おすすめです。
(濃厚なハピエン保証☆)
「スレイブ・ゲーム」で妙に印象に残ったトーマが何故トーマになったかのを知る事が出来ました。
学生時代の抑圧されて模範生であった浩一が斑鳩教授に憧れてからの失望と、一方的な関係を持ってからの別離とチハルとの出会いはシリアスな展開でした。
チハルとの傷を舐め合うような交流とトーマとしての覚醒が幸せそうだっただけに、弁護士として独り立ちした途端のチハルとの別れが悲しかったです。
「結界」での斑鳩教授との再会で頑なに拒むトーマがとても痛々しくて、大悟が斑鳩教授を訪ねて和解のきっかけを作ったのには思わず拍手喝采でした。
まさか酔い潰した斑鳩教授を藤間ビルに連れて来てマジックミラー越しに、理久とのセックスを見られるとは予想通りで笑えました。
4階の部屋の品々がチハルがトーマに残した財産分与だったと今作で知る事も出来ました。
理久も協力してトーマが素直になれるシチュエーションを作って斑鳩教授と結ばれて、2人はお互いのありのままを受け入れてました。
藤間ビルの5階と4階でそれぞれのカップルが同棲して交流する姿はとても幸せそうで、トーマが空を見上げてチハルに報告するシーンで泣いてしまいました。
まさか泣かされるとは思いませんでした。ww
はじめに
綺月先生の著書であるスレイブゲームのスピンオフ?で、スレイブゲームに出てきたやべぇ感じのオネェ犯罪弁護士が主人公です。
攻め以外との行為や、女性とも行為があります。
三行感想
▽オネェがやばい
▽オネェの彼氏がやばい
▽オネェのペットカップルもやばい
普通に感想
スレイブゲーム読んで「なんだこれ…」って壁に投げた人には多分向かないと思います。
一応こちらの方は主人公が何故ここまで歪んだ犯罪者に成り下がったのか?そして主人公の初恋の行方は?みたいな感じで主人公メインなので、
前作のように「パンケーキ食べようと思ったらいきなり鰹節ふりかけられて最終的にはロッキーが如く卵飲みさせられた…」的な感じは無い……と思います。多分。
まぁ今作は「うどん食べてたら少量の七味が底に埋まっていたので驚いてお茶飲んだら炭酸だった」くらいのトンデモです。これはネタバレですが、大学教授と元教え子の苦い初恋物語…みたいな話なのに惨殺事件が出てくるので七味で例えてみました。
本題に入りますが、
スレイブゲームに出てきた変態犯罪弁護士が何故こうも歪んでしまったのか?みたいな、ひとりの人間の半生的なものを主軸としたお話です。BLなのに。
主人公の受けは攻めである大学教授を盲信する大学生としてスタートします。
そこから受けがあまり健全とは言えない家庭で育ち、そんななかでも気丈に生き、そこで出会った恩人である弁護士のようになりたいと大学進学に至る過程が描かれます。
初っ端から講義を受けてる最中に教授を見ただけで性的興奮を覚えてしまうなど真っ当な変態として育ち切ってる感のある受けですが、中盤からさらなる変態として熟成します。
中盤はもう一人の攻め(?)であるオネェキャラが関わってきます。
そこから現代に進み、飼っているアベックの片割れ(前作の攻め)に過去を語り、その片割れが「じゃあその教授に告れば良くない?」と提案するからすったもんだです。
フィクションにこんなこと言うのも何ですが、弁護士とか法学の教授とか出てくるのに誰ひとりとして遵法精神を投げ捨ててる感じが凄いです。
あらすじにもある通り、受けは大学教授である攻めが未成年疑惑のある青年を金で買っているのを見て脅迫の末に逆レに発展します。
紛うことなき性犯罪者です。
受けにもその自覚はあるのに、前作攻めは「好きなら告っちまえよ」と背中を押すし、攻めは攻めでやたらと罪悪感に苛まれているし…。
攻めは教授で、買春しようとした訳ですから「前途ある学生の前で教育者としてあるまじき行いをしてしまった」と罪悪感に駆られるのはわかりますが……。
とかポリコレ的に色々考えさせられることが多いんですが、
しかしそんなことはどうでも良くなるような疾走感があります。
前作後半も「何やってんだこいつら」と半笑いで読んだので、それを求めてこちらを手にとって正解でした。
萌えよりも有無を言わせぬパワーを求める方にはおすすめです。
(一応、攻めの惚気シーンは結構萌えました)
まとめ
パワーのあるBLが読みたい方、狂人が読みたい方におすすめです。
疲れてる方にはあまりおすすめできません。
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(これは本編に絡むお話なんですが、あんまりBLとかには関係無い話です。)
綺月先生のお書きになるお話に出てくる女性キャラって、
頭の悪い性悪とか、悪人まではいかない馬鹿とか、幼稚な阿保とか、
色々出てくるんですが、今作ではなんかよく分からない女性と、主人公の母親が出てきます。
主人公の母親がなんかもう幼稚な感じの女性です。
でも思えばこの母親も、夫からのDVで病んだ結果、まともな母親として振る舞えなくなったのかもしれません。
またDV夫だって精神的に病んでますし、
そんな夫婦の元で育った主人公(受け)や、
買春に走ったり逆レされて加害者意識に苛まれてる攻め、
あと前作受けも病的に他人に追従する性質ですし、
前作攻めもなんか根は病んでそうです……。
愛だの恋だの騒ぐよりも精神科の予約が第一に必要な奴ばっかですね……。
前作スレイブ・ゲームのスピンオフになります。単品でも読めますが、前作CPもいっぱい出てきますので、読んでおいた方が楽しいかも。
間違いなく名作だと思うのですが、レビューが少ない気がするので、へたくそなレビューながら残しておきたいと思います。
変態性が強くてかなりカオスなので、読み手は選ぶかもしれませんが、歪んでいる自分を肯定しながら力強く進んでいく爽やかさがあって、読後に残るものがとても多いです。
レビュー内で前作のネタバレにも触れるのでご注意ください。
前作でも異常にエネルギッシュなオネエの変態弁護士だったトーマの物語です。歪んでいて暗くてシリアスで悲しくて切ない話なんですが、いかんせん本人がダイナミックでパワーあふれる明るいオネエなのでどん底ですがどん底にはなり切らない強さがあって素敵なんですよ。
前作でなんなんだこの強烈な変態は…と思っていたトーマのことが今作でとっても好きになりました。エロがたくさんありますが、エロっていうよりも変態です。
前作で500万円セックスを見てEDが直って元気になってハッピーエンドだったじゃん?続きなの?と思って読んだのですが、前半の過去パートの悲しさと切なさと、変態だけどカワイイ初恋、傷をなめあう濃厚なホモのレズセックス、大切な人とのショッキングであっけないお別れ…。大好きで憧れだった紳士な教授を逆レイプしたことと模範生から外れている自分の本質に対する罪の意識…
えー、カオス!濃厚!暗い!読み手のこっちはマジ泣いちまうよ!!って勢いなのに、過去の話を「茶目っ気たっぷりの昔話よ」って笑い飛ばすトーマに「湿り気たっぷりの怪談じゃね?」って返す話を聞いていた前作攻め!読んでるこっちはそんなやり取りに笑ってしまう…!いや、でも正直久々にBL小説でほろりと泣きましたよ、笑わされもしましたが…
なんというか、全体を通してこういった言葉選びのセンスが抜群に良くて楽しくて、ウィットに富んでいるというか…読みながらニヤリと笑ってしまう箇所が多数あり、読んでいて愉快なんですよね。このシリーズで初読みの作者様なのですが、とってもセンスがある方なんだなぁと思いファンになりました。
悲しい過去や暗くて重い罪を抱えて潰れてもおかしくないトーマが、たくましく明るくユーモアたっぷりに生き抜いていて、性に対しても前向きで。前作カプの応援やフォローもあって最後にハッピーを掴むラストがたまらなく爽やかで気持ちよく、読み終わった後に、こっちもエネルギーをもらえるような作品でした。
ただし、変態性は強い。
『スレイブ・ゲーム』からぶっ続けで読み始めた本作。
夢中になりました。
そして、泣いたよ。久しぶりに。
前作で弱気な理久をペテンにかけた性悪弁護士、トーマ(藤間だからトーマね)が主人公です。
『どうして彼があれほど拗くれたオネェになっちゃったか』が書かれているのですが……
これがとっても面白かった!
いや、面白かったっていうか、非常に苦しいお話でもあったんですけれど。
若かりし頃の彼はとても自分を抑制して育って来ているんです。
束縛の強い父の所為で鬱病になってしまった母のために、そして何より高校時代の体験入学で憧れの人となった斑鳩教授に認められたくて、必死で勉学に励み模範生徒となります。まぁ、教授以外の人は目に入らず、鼻にも引っかけない無法者ぶりなのですが。
教授もそんなトーマを可愛がり、目をかけてくれる。教授のちょっとした言動で舞い上がっちゃうほどの純情っぷりなんですね。
ところが、教授がメンズバーで若い男性に声をかける処を目撃しちゃうんです。激高したトーマは、次の日教授の家を訪れ彼を詰るばかりか、無理矢理ことに及んでしまうんです。別居中の彼の妻の口紅を塗った姿で。その後、教授はトーマに会うこともなく休職し、退職してしまいます。
自分のアブノーマルさに気づいたトーマは、弁護士になってからもそのことで悶々とし続けていますが、ガタイの良い、でも胸を作ったちーちゃんと知り合い、互いの傷を舐め合う様な関係を通じて、少しずつありのままの自分を受け入れて行く様になるのですが……
この、ちーちゃんのエピソードが、涙なくして読めないんですよ。
世の中の『普通』から外れてしまった人が「でも、これが自分なんだから」と思える様になるまで、どれだけ苦しい思いをするのか、とか、同じ様な苦しさを抱えた人が、端から見れば異様な関係に見えても、支えあったり、慰め合ったりしながら生きていこうとする様が、とてもいじらしく、哀しく、そして暖かく書かれています。
でもね、それもある事件が起きて、突然終わってしまう。
で、後半部分。
ここからの展開も、見事なんですよぉ。
斑鳩教授がトーマを探しに来るのです。例のいわく付きのメンズバーに。
そこからは急展開。
前作でバカップルとなった大悟と理久も大活躍し胸のすく様な結末を迎えます。
『背徳のマリア』や『獣』を書いた綺月さんだからこその前半部分の重さ、それと同時に後半部分のスピーディーでパタパタと、それこそゲームの様に進んで行くエンタテインメント性溢れた部分が、違和感なくマッチしている傑作だと思います。
BLを読む醍醐味は、自分を自分のままで受け入れてくれる様な愛の物語に出会うことだと思うのですね。
そして物語は2人だけで繰り広げられるのではなく、周りの人達との関係性まで広がったものであればなお良し、というのが私の好み。
ドンピシャ、ど真ん中の1冊でした。
「ああ、このエピソード、ラストに来るな」と予想したシーンで締めくくられたのですが、そのままズバリではなくちょっとばかり捻りが効いておりまして、そんな部分にも大変満足いたしました。
惜しいのは、前作よりも読んでいる人の総数が少ないんじゃないかと思えることなんです。ここでも、評価している総数が少ないですものねぇ。
いやー、もっと沢山の人に読んでいただきたいと切に願います。