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薔薇と野獣~つがいのおとぎ話~

bara to yaju tsugai no otogibanashi

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表題作薔薇と野獣~つがいのおとぎ話~

ダンテ、不思議な城の主人
ニコラ、オメガの為に冷遇される名高い商家の三男

その他の収録作品

  • 薔薇と初夜
  • short story(カバー下)
  • あとがき

あらすじ

名高い商人の三男で見目麗しくも、オメガであるため冷遇されてきたニコラ。
父の命で森の中の古城に奉公に出ることになるが、
不思議な城の主人・ダンテは、呪いで恐ろしい野獣の姿にされたアルファだった。
「夜伽をさせるためにおまえを呼んだ」と告げられ、
ニコラは初めての発情期にダンテを受け入れさせられる。
呪いを解くために、ダンテに真の快楽を与えなければならないらしく――?

作品情報

作品名
薔薇と野獣~つがいのおとぎ話~
著者
和泉桂 
イラスト
Ciel 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
シリーズ
灰かぶりの婚姻~つがいのおとぎ話~
発売日
ISBN
9784796412667
3.5

(12)

(1)

萌々

(6)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
5
得点
41
評価数
12
平均
3.5 / 5
神率
8.3%

レビュー投稿数5

大人の為の、ロマンティックで官能的なおとぎ話です!!

こちら「美女と野獣」をモチーフとしたおとぎ話風BL+オメガバースになります。
「灰かぶりの婚姻」のスピンオフになりますが、完全に独立したお話なので、今作だけで問題無く読めます。

で、このシリーズ、テーマとしては「無垢でありながら官能的」ですかね。
前作に引き続き、とてもロマンティックでありながら、すごく官能的なのですよ。
そう、まさに大人の為のおとぎ話と言った感じで。
無自覚淫乱受けやモブ姦(うっすらです!)が苦手で無ければ、うっとりしちゃうお話だと思うので、ぜひご賞味下さい。


内容ですが、不思議な古城の主人・ダンテ×オメガの為に冷遇されている商家の三男・ニコラによる、オメガバースでおとぎ話風BLになります。

父親が青い薔薇を盗んだ代償に、不思議な古城に奉公に出る事となったニコラ。
その古城に住む主人・ダンテは、呪いで恐ろしい野獣の姿をしており、「夜伽をさせる為にお前呼んだ」と告げられます。
しかし、ダンテの不器用な優しさを知るに連れ、彼に惹かれて行くニコラ。
彼等の呪いを解きたいと強く願うようになりー・・・と言うものです。

まずこちら、受けであるニコラですが、無垢であり、芯が強い頑張り屋って感じでしょうか。
対して攻めであるダンテが、不器用ながら思いやりがある優しい野獣。

で、お話自体は「美女と野獣」の流れを踏襲して行くんですね。
呪いにより野獣の姿とされた城主。
普段は獣の姿で、夜の間だけ人間の姿を取り戻す城の使用人達。
そして、呪いを解く鍵である主人公ー。

で、お待たせしました!
ここに加えられているのが、和泉流「美女と野獣」バリエーション。
本家の美女と野獣では呪いを解くのは「真実の愛」になりますが、今作では「真の快楽」になるんですよね~。
これぞ大人のおとぎ話と、ついついニヤリとしちゃう展開ですけど。

ニコラですが、城に上がって早々に発情期を迎えてしまい、ダンテに抱かれるんですよ。
そして、これまでに無い快楽を味わったのに呪いが解けず、絶望するダンテ。
果たして呪いを解く事が出来る「真の快楽」とはー。
と、呪いを解く為の主人公の奮闘が、作品の見所の一つなんじゃないかなぁって感じで。

で、この奮闘がエロエロ系。
ダンテに真の快楽を与えられるように、使用人達に「男を悦ばせる術」を習うニコラ。
描写としてはアッサリながら、モブ姦になるんでしょうか。

ニコラですが、とても無垢なんですよ。
性に関する知識もゼロで、だからこそ、このモブ姦がエロいと言うか。
う~ん・・・。
言うなれば、無自覚淫乱受けなんですね。

まぁそんなワケで、エロエロ調教を超無邪気に受け入れるニコラ。
「美味しい」とか言いながら、積極的に口淫を習ったりして。
いや、この手の受けを苦手な方は当然おられると思うんですけど、あくまで彼はダンテの呪いを解きたいと言う、純粋な気持ちでやってるんですよ。
だからこそ、その純粋な動機と実際の淫乱ぶりのギャップが、なんか萌えさせてくれると言うか。

ここに、ニコラの秘密の特訓に気付き、激怒するダンテ。
そんな中、武器を持った兵士が城を取り囲み・・・と続きます。

こちらですね、結局は、呪いを解く事になる「真の快楽」の本当の所ー。
いや、これこそ愛じゃないか!!と、うっとりしちゃうんですよ。
また、無垢すぎて若干大丈夫かと心配になるニコラの、終盤での変化。
愛って、人を成長させるし強くするんだなぁと、感動しちゃったりして。
この終盤でのニコラの頼もしい変化に、モブ姦あたりで「おい、おい!?」と思われた方も、見方が変わるんじゃないかなぁと思うんですけど。

あとですね、最後になっちゃいましたが、ダンテの不器用な優しさにとてもキュンキュンさせられました。
自分の恐ろしい見た目を恥じて、ろくに姿を表さないんですよね。
が、毎晩ソッと花をニコラの部屋に届けたり、また彼の危機には飛んできたり。
そして、使用人達へのこれまた不器用な思いやり。
なんかいじらしすぎるな~。
真実の愛を手に入れて、幸せになれて良かったねと。

それと、カバー下にスペシャルSSがあるので、お見逃し無く!!

13

魔女の呪いを解く鍵は

今回は時忘れの森の城主である野獣と
貧乏貴族から身を立てた商人の三男のお話です。

魔女の呪いで姿を変えて生き続ける攻様が
受様の愛情によって呪いから解放されるまでと
2人の結婚式と二世誕生後の小話を収録。

この世界には男女の別だけでなく
アルファ、ベータ、オメガの性があります。

アルファは容姿端麗、頭脳聡明で
支配者として頂点に君臨し
男女ともに他の性を孕ませる能力を
持っていてます。

ベータはごく平凡で平民に多く
女性のみが子供を産めます。

オメガは男女ともに
アルファによって孕まされる性で
定期的に性欲が高まる発情期を迎える為
様々な制約がありました。

貴族の大半はアルファ同士
平民のベータもベータ同士で結ばれ
家系を安定させるのが普通ですが

ごくたまに蝕などの異変時に
アルファの家系にもオメガが生まれ
受様も突然変異で生まれたオメガでした。

受様の父は貧乏貴族から身を立て
東原まで名を馳せる商人となりますが
アルファの妻子がありながらも
女中に手を付けて受様が生まれます。

受様は世間体から
必要最低限の教育は施されていたので
父の商会を支える事を夢見ますが

美貌のオメガであるが故に
好色な領主の妾にと目を付けられます。

受様の父は領主を無下には出来ないと
申し出を二つ返事で引き受け
受様は領主を誑かしたオメガとして
偏見と蔑みと嘲笑の的でもありました。

ところが
王都への商談の旅から帰って来た父が
突然受様に旅の帰路で助けられた城に
奉公に行くようにと言い出すのです。

受様の土産用にと薔薇を手折ったことで
城主の逆鱗に触れて命をとられかけ
代償として子供達の誰かを奉公に出す事で
何とか許されたと言うのてす。

受様は自分が行けば姉や弟妹が助かるなら
と父の言うままに件の城に向かいますが

待っていたのは魔女の呪いで
狼と化した城主だったのです!!

この野獣こそが今回の攻様になります。

金の瞳に灰褐色の毛に覆われた攻様は
不機嫌そうに受様に対しますが
受様を呼んだのは「退屈しのぎだ」と
言い放つのです。

果たして攻様の言葉は真実なのか!?
受様に待ち受ける未来とは!?

本作は
和泉先生の既刊「灰かぶりの婚姻」同様
童話をモチーフにしたオメガバースです。

今回は「美女と野獣」がベースなので
攻様の呪いを解くべく受様が奔走し
2人が結ばれるまでの恋物語となります♪

前巻が好評での続刊ですが
お姫様童話が共通ベースではあるだけで
既存キャラが絡んだりしません。

受様がやって来た城には
攻様の他に奉公人の姿は見えず
受様には城の状況がよくわかりません。

しかし、
夜に出会った奉公人から
攻様が魔女の呪いで野獣となった事、
城の奉公人達は皆、昼間は動物に変身し
城の堀からも出られない事、
しかも攻様は新月の夜以外は
人間に戻る事すらない事を教えられます。

受様は攻様に解呪の方法を問うと
魔女が提示した条件とは攻様が
「真の快楽」を知る事だと言うのです。

受様が求められた役割は
攻様の生贄としての花嫁であり
夜伽の相手だったのです!!

それでも攻様は受様のために
人間と戻る新月の夜を待っていたのですが
受様の発情期ににあてられて
手を出す羽目になってしまいうのです。

しかも
オメガな受様はとっても具合も良くて
攻様は今までにない快楽を得ますが
呪いは解けません。

そこで受様は
攻様の呪いを解くべく城の執事から
男の快楽を高めるための
実技指導を受ける事となるのです!!

しかも指導はエスカレートして
馬番までもが受様の実技相手となるのですが
それを知った攻様が大激怒、

さらには受様を妾として狙っていた
街の領主が攻様の城を急襲するのです!!

攻様が「真の快楽」を得て
魔女の呪いが解けての大団円を迎えるまで
ワクワク&ドキドキ楽しく読めました。

攻様が呪いを解かれるまでに
とても長い年月が過ぎ去っていき
その中で攻様も使用人達も多くのモノを失い
諦めかけながらも受様に未来を託します。

それは誰から望まれる事の無かった受様が
初めて他人から向けられた期待であり
信頼だったのではないでしょうか。

魔女の呪いの解呪条件が快楽だったり
受様がエロテク指南を受けたりするって
普通ならトンデモ設定ですが

キャラの性格や状況設定で
ひねりの意味づけをしっかりすることで
違和感なく読ませるところが
さすが和泉先生だなと思いました。

ぜひ、
シリーズとして続けて欲しいです (^o^)v

本作も既刊同様
カバー下にオマケSS付きですよ。

本編後、子供ができてた 2人の
甘々エピソードですので一度は
カバーを外してくださいね♪

今回は和泉先生の前作
『灰かぶりの婚姻』をおススメ作とします。
こちらはお城と舞踏会も登場して
お姫様らしい設定も楽しめます。

9

魔女にも出てきて欲しかった

灰かぶりの婚姻に続いての和泉先生のおとぎ話をモチーフにしたオメガバースものでした。
前作がシンデレラなら今作は美女と野獣。
2つの作品には繋がりが無いので今作だけでも楽しめました。
あらすじは他の方がレビューして下さっているので省きます。
最近では毎月かなりのオメガバース作品が溢れていますが、中には設定があやふやだったり文章が稚拙で読みづらかったりと当たり外れもかなりあります。また似たような人外物も沢山あります。
まず他作と違うのはテンポ良く進むストーリーと、上手い文章と適材適所な脇役達だと思います。
また主役2人が魅力的なのと、オメガバースにありがちな痛々しい場面が無いので苦手な方にも安心して読んで頂けると思います。
攻め以外に性技の指南を受ける場面があるので地雷の方もいらっしゃると思いますが、こっそりと花を摘んで受けに贈るような不器用な攻めに萌えますのでお勧めです。

3

途中の展開が怖かった

好きだろうな~と思って手を出したのですが、大好きでした。
獣人とオメガバースが好きなかたには、絶対に読んでいただきたい作品です。
途中の展開が地雷でなければ...なんですが。

この途中の展開というのが、受けが攻め以外の人に奉仕をする場面があるんですよね~
物語の展開として、そういう行動になったのは理解できるのですが、まさか受けが娼婦になってしまうのかと怖かったです。
はやく攻めが乗り込んできて!!とドキドキしました。

途中の怖さはありつつも、全体的な展開は「美女と野獣」になぞらえていて、楽しめました。
御伽噺とオメガバースの親和性は高いですね。

カバー下にSSがある小説にはじめて出会ったのですが、彼らのその後が読めて嬉しかったです。

1

今作品は「美女と野獣」

和泉さん作品の『灰かぶりの婚姻~つがいのおとぎ話~』のスピンオフ、という事ですが、同じなのはCielさんが挿絵を描かれている事、オメガバースものであるという事と、童謡を踏襲している、という点のみ。

ストーリーとしては接点はないので前作未読でも全く問題なく読めます。

『灰かぶりの婚姻~』はシンデレラでしたが、今作品は美女と野獣を踏襲した作品でした。


童話を踏襲した作品はBLでは割と多い気がしますが、そこにどうオリジナリティを出すか、というのが問われる点かなと思います。和泉さんのこのシリーズは、「オメガバース」というバックボーンを取り入れることでオリジナリティを出しています。


高貴な家の出自でありながら家族に恵まれることがなく劣悪な環境で育っていること。
さらにオメガであるがゆえに周囲の人から侮蔑的な目で見られていること。

この二点は前作と共通している主人公の境遇です。

という事でレビューを。





主人公は二コラ。
裕福な商家の家の息子であり、綺麗なビジュアルを持ち、かつ勤勉で有能な青年。
が、彼の母親が「妾」という立場であったこと、そして二コラ自身がオメガであることから、家族からも、そして街の人たちからも侮蔑と冷笑の対象になっている。

二コラに対してそっけない父親ではあるが、いつか父親の様に色々な土地に行き仕事をしたい。

そんな夢を抱く二コラだが、彼は父親の策に嵌まり「時忘れの森」と呼ばれる森にすむ屋敷に奉公に出されることになるー。

というお話。

魔女の呪いにかかり、野獣の姿に変えられてしまった城の主人・ダンテ。
同じく、姿を変えられてしまった城の女中や使用人たち。
その呪いを解くために必要なのは…?


二コラはオメガなので発情期があります。
その発情期に中てられる形で、早々にダンテと二コラは身体の関係を持ってしまう。

そもそもこの城主にかけられた呪いを解くために必要なのは、「ダンテが真の快楽を知ること」。
そのために、二コラがより深い快楽をダンテに与えることが出来るよう、セックス指南が執事から行われること。


ということで、愛情ゆえにセックスに至る、といった展開ではなく、挿入まではないにせよ受けさんが攻めさん以外との男性との絡みがあったりするので、若干好みが分かれるかなと思います。

が、好みは別れるにせよ、二コラがオメガであること、といったバックボーンの回収の仕方はさすが和泉さんと言った感じ。様々にまかれた伏線を過不足なく回収しつつ進む展開にはぐっと引き込まれます。

が、前作の『灰かぶりの婚姻』は最後までハラハラドキドキする展開だったのに比べ、今作品は「美女と野獣」の枠を超えることなく先の先まですっと見通せる展開だったのがちょっと残念でした。もう一声ほしかったな、というのが正直な感想です。

けれど、ダンテの男前さにはKOされました。

呪いで野獣の姿に変えられてしまったダンテですが、中身はすっごく紳士です。
二コラに対する思いやりが、押し付けではないところも高ポイント。
二コラを愛してしまったダンテが、自身のことよりも二コラを優先するところにも萌えが滾りました。

そしてCielさんの挿絵は今回も麗しい。
この作品の持つ世界観を余すことなく描き切っていて、萌え度は確実に上がりました。

しいて言えば、Cielさんの描かれる二人のお子のイラストが見たかったです。

5

この作品が収納されている本棚

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