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色素薄い系の世界観

『えんどうくんの観察日記』ハヤカワノジコ先生 読了

とにかくコマ割りが独特でクセになる。ストーリー雰囲気と絵柄とその独特なコマ割りもぴったりマッチして、ストーリーの内容とかではなく、まずその作品の輪郭から世界観を作り出すという感じです。もはや神。

青春っていうとやっぱり夏を真っ先に連想する。蝉時雨、列日、教室の窓側から覗くキャンパスの景色、体育館から漏れるボールの音など。ハヤカワさんの作品を読んでいると今まだ春先なのに、すでに夏の学校にいる気分になれる。

そしてストーリーの内容。特にこれといった展開はないが、なにか読者の心をしっかり掴む魔法でもあるような。おそらく誰もがこういう迷走する青春を経験したことがあるからでしょう。

最後の終わりはBLまんがにしては少し朦朧としているのですが、やはりこういう終わり方こそこの作品の雰囲気に似合うと思います。

特になにかを伝えようとかではなく、ただただこの恋に目覚めた2人を描いただけ。結果なんてどうでも良かったかもしれない。

ただ続編に2冊出ているようですが、すでにこの1冊で満足してしまっているので、続きを読むかはまだ迷っています。

央太くん推しです

『愛の星をつかめ!』 樋口美沙緒先生 読了

まさかの年下攻め!(笑)誰が年下攻め書こうと樋口先生は絶対書かないと思ってたら!(笑)でもやっぱり王道のぐいぐいくる感じの攻めくんでかわいかった…!

が、真耶兄さまほんと酷すぎます。所詮ずっと自分しか見ていないってことですね。自分だけが可哀想で、自分だけが正しい道を貫こうとし、愛することも愛する人に否定されることも恐れて、結局心を閉じ込め誰とも深く関わらないようにしている。

優しいふりして、結局自分だけが大事。正直女性としてこういう男は地雷です。

でも可愛い可愛い子犬系攻めくんがやっと氷を打ち砕き、無事に愛する人を攻略できたことにホッとしました。

真弥の設定はあまり好まないのですが、話自体はけっこう好きです。樋口先生の作品はやっぱり何回も言いますが、いつも安心して読めます。安定感というか、大体流れは掴められるけど、切なさが本当に半端ない。

今回で樋口先生が描く片思いする攻めくんを初めて読んだんですが、真弥目線で片思いされる側の葛藤が丁寧に描かれていて、これはよくある片想いする側の目線にしてしまうと真弥のあの思考回路は絶対読者に伝わらないと思います(笑)。
最後に修羅場になって2人もいつもの自分を捨て本音をぶつかり合えばとうとう落とされるという流れ、やっぱり微笑ましい(笑)。そうなるよねって(笑)。

今回も可愛かったです!読む順番ぐちゃぐちゃになってしまってるけど、またほかの作品読んでみます。

色んな意味でバランスが取れていない

『ひねもすのたり君と僕』木下けい子先生 読了

評価に非常に迷う。木下先生は小説挿絵で知り、今回漫画は初読みです。正直内容の深さと絵柄の可愛さ(色素薄そうな感じ?)にギャップを感じて、結構戸惑ってました。

とにかく言わないよーちゃん。相手が付き合ってた男が自分と真逆なタイプだから、家族という立場の線引きから一歩も踏み出さない。なのにいきなり浮気発覚の修羅場に刃物を持ってる女とかで揉めたり、100万渡してクズ男に分れろと言ったり、さらにヤクザの揉め事の前で「指ならオレのもらっとけ、なおちゃんに触るな」とまで言ったり、。

なおちゃんはとにかく色んなダメ男に色んな事件に巻き込まれる。よーちゃんはひたすらそれからなおちゃんを救出するという話。色々と物騒な事件が正直唐突すぎるし、あまり話の進行に必要とも感じられなかった。
しかもなのにこの絵柄?という感じも拭えない。

強いて言うなら、ヤクザとの部分が好きかもです。それも2人が惚れあっているワンシーンがあるからかな。2人で駆け落ちして、車飛ばして恋人のベンチに連れて、その時銀次さん何考えてたんでしょうね。2人で一緒に歩んでいく未来でも見てたんだだろう。それともこれから一生身を隠し、たまに夜逃げしないといけない生活を尚之にさせることに心痛んでたんだろう。

あー銀次さんほんと好き。

話が逸れました。そのヤクザに追いかけられるシーンで、よーちゃんは勢いで「金なり命なりオレのもらっとけ!」となおちゃんを庇ったあと、やっと冷静にこんな生き方やめようと考え始めた。ここからの流れは一気に好きになりました。

いくら情が深い人でも、恋人になれる可能性もない人にはここまでしないよね。ここまでしても報われないならそろそろ自分もなおちゃんのことも解放してあげた方がお互いに良いということでしょうね。

その後に久慈さんのご登場。何も悪いことしてないのに可哀想にって思ってしまいます。ふむ…
久慈さんの話が本当にどこまでも意味深く、すごく沁みます。よーちゃんの行為は正直、マーキングなんだなって。「こいつはほんとにダメなやつだけどオレが守る。お前らはせいぜい2、3ヶ月でこいつと分かれるけど、オレは一生守ってやる」というオーラが丸出しですね。
言葉にこそ出さないけど、匂い付けする、みたいな感じかな。特に酔っ払いなおちゃんを介抱するシーン、「あれは家族ではない」と一目で判断した久慈さんさすがです。

そしてこれから急になおちゃん目線の思い出シーン。まさかのなおちゃんが先によーちゃんのこと好きだったという展開。結果的によーちゃんに構って欲しくていつもいつもダメ男と付き合う。なのによーちゃんをノンケだと思ってたのか、自分のこと好きだって知ってるけど付き合う勇気がないのか、同じく告白せず。

ここはとにかく疑問だらけ。まさかここまで自分に構ってくれて本気でノンケだって思ってないよな…かといって、自分に好意を寄せていると知りながらもここまでよーちゃんに縋りついといて、付き合ってたら幸せにできないとかいうのは矛盾してません?って思っちゃいます。こんな風によーちゃんの好意を利用するとは結構身勝手なもんだなって少し嫌な気分になります。

全編通して見て常識的に理解できるのは銀次さんと久慈さんくらいかな。

全体的に見ると好きな部分もあれば全然理解できなかったところもありました。なのでこの評価にさせていただきます。

色々と不可解

『きみが好きだった』凪良ゆう先生 読了

はっきり言って趣味じゃありません。寝取り寝取られは自分的にダメなネタで、せめて第1章まで読み終えようと思ったけど流石に我慢して読む意味も分からなくなってきて第1章手前まででやめました。

個人的な考え方ですが、恋人同士の間では両思いならどういう形の付き合いでも、当事者が納得するなら赤の他人に言われる筋合いはないと思っている。諏訪は恋人と常に一緒にいたいからほかの女の子にちょっかい出してるけど、マヤちゃんはそれについて高良の前では特に傷ついてるとかは言っていない。
それを見て高良は勝手な正義感や嫉妬でマヤちゃんの味方になってるけど、実際高良が見てないとこで2人の間でどういう会話をしてるか、どういう形の恋をしているかは全然分かっていない。

実際2人のセッを目撃したとき、マヤちゃんと諏訪の間の雰囲気はまさにお互い惚れ合ってる恋人そのもので、高良が勝手に諏訪の浮気に怒ったり、隙間を狙って告白だったりキスなんかしたりして、正直あんまりだと思います。

女性目線から考えたら確かにマヤちゃんは辛そうとか、傷ついてそうとか思うかもしれないけど、世界中にはいろんな人がいます。一生かわいいって言われないかもしれない人が、初めてかわいいとか言われて、付き合うこともできて、それでもう幸せすぎてそれ以上は望まないという考え方もあったんだろう。(マヤちゃんがそうだと言いませんが、あくまでそういう可能性もあったんでしょうって話です。)

こっそり片思いをしたり、友だちとして相手の恋人の浮気に怒るのは良いけど、分からせようとするのはちょっと勝手すぎません?って思いました。

そもそも初めてマヤちゃんのかわいさに気づいたのは諏訪で、マヤちゃんに初めてかわいいって言ったのも諏訪で、
逆に高良はどちらかというと諏訪に恋しているマヤちゃんがかわいきて綺麗で、そのかわいさと綺麗さを初めて気づいたという認識をしています。(諏訪に紹介されるまで真山のこと知ってたのに、紹介される日に初めて「綺麗」って高良が思ったから勝手にこう推理しています。)

あと、海辺のアルバイト、そもそもなぜ高良も呼んだのか全然分からなかった。絶対3人いるという設定なら分かりますがそうでもなかったみたいだし、まぁ男子高生の考え方は私なんぞ理解しようとしてもできないもんなのでそこは放っておきます。

恋なんてこんな真面目な義理言わないだろって思われる方が多いかと思いますが、こんな屁理屈な人間でBLも楽に楽しめなくてなんか少し残念な気持ちになります。

それだったらあらすじ読んだ時点で買うなって話ですが、一応あらすじもレビューもネタバレにならない程度で読ませていただいております。あまりにも評価が分かれているので凪良さんのファンとして好奇心が抑えられず買ってしまいました。

今回は申し訳ありませんが、ハズレとさせていただきます。

ふつうに王道なのに退屈せず読める

『愛の在り処を探せ!』『愛の在り処に誓え!』 樋口美沙緒先生 読了

どタイプの王道設定。好きだぞ!!!(笑)実はこのシリーズは1、2巻しか読んでいないんですが、とりあえずフォロワさんが大絶賛しているこの2冊を先に読んでしまいました。やっぱり今回も安定の樋口節で安心して読める感じで好きです。

大体の展開は読めてるのに、登場人物それぞれ個性溢れて愛らしくて、特に葵の健気さがほんと気絶するほど(笑)可愛くて…全然退屈せずに最後まで2人の恋を見届けることができました。

そして今回は性モザイクという設定で、主人公の葵はガチの半分女性半分男性という体になります。正直BL読む上では女体化とかこういう半分女性とかの設定はあまり興味ないんですが、どちらかというと「ボーイズラブ」なので、性同一性ではない限りやっぱり生理上の男2人の方がしっくりくるというか…
うん…でも今回は割りと濡れ場以外ではそういう表現少なかったので、葵の中性的な美を強調しているし、あまり違和感を感じずに読めました。

個人的に1、2巻では受けちゃんはかなり小動物系でロウクラスで弱々しい印象だったんですが、ハイクラスでも受け(?)になれるのかってふつうに思いました(笑)。

そして今回読んでいてすごく思っていたのは、この作品がシリーズの中でもすごく人気の理由。やっぱり性モザイクということで、葵は女性としての立場もあり、子供を産んでから母にもなっている。なので実はこの作品、BLと見せかけて女性目線の部分もあります。女性読者が多い分、自分も含めてすごく共感できるところがあるし、こういう旦那をしっかり支える妻になりたいという気持ちも少なくとも私の中ではありました(笑)。
実質少女漫画、みたいな?(笑)

そして人前では威厳のある一国大公だけど実は愛情表現に拙く、好きという感情に乱されることを嫌うシモンもなんだかんだで憎らしくて愛らしい。
フリッツとテオにセッのことで怒られて、葵に「何かしてほしいことある?」って聞いて、「家族で海に行きたい」と返されて、廊下に出た途端「セッではなかったぞ!!!」って腹立ちながら今にでもフリッツに言い返そうという勢いのシモン、流石に可愛すぎて「あんた子供かい?!!(笑)」ってなりました。
いや、確かに子供ですね。愛についての知識は子供の頃からずっと知らずに生きてきたから、葵みたいな愛情深い人に初めて出逢って色々テンパって迷走するのは普通かもしれません。

最後は急に修羅場からの抱き潰す展開で「???」ってなりながら、そういうこともあるかって自分を納得させました(笑)。なんせシモンなんだから。
なんて言えば良いのかな?直線的で、思いついたら思い込みが激しい、亭主関白…じゃないけど自分は弱い人を守らないと!という人。不器用だけどその分可愛い。

そして脇役、てっきりフリッツは可愛い可愛い葵を好きになるのでは?と思ってたんですが、流石に大公妃を奪う展開とかあり得ないよね(笑)。私の中ではこういうフランクでかっこよくて優しいお兄さんは絶対遊◯浩二の声してるって想定しています!(笑)

今回も素敵な世界観を見せて頂いた樋口先生、ありがとうございました。未読の巻また読んでみたいと思います。

(毎回評価の5択すごく迷うんですが、そんなボタン一つで評価まとめられないのに…評価選択せずにレビューできるようにしてくれないかな…(汗))

竜頭蛇尾なところが残念

『エンドランド』 まりぱか先生 読了

BLは正直あまり知らない作家さんの買わないんですが、どっかのサイトで見かけて、「なにこれ!わしの大好きなアンドロイド設定やん!」と思い久々に新地開拓。

まずは絵柄はすごくタイプ。爽やかな感じで、何より表紙のこの遠心顔の子、ドンピシャすぎた。漫画は個人的にストーリーが良ければ絵柄は多少慣れなくても全然気にしないタイプですが、好きな絵柄だとなおさら進みやすい。

そんなことも置いといて、肝心な内容なんですが。前半は涙腺崩壊でした。こういう設定はやっぱりそういう結果しかないよなって思いながら。

アンドロイドが感情を持ってたり、プログラムされてないことを勝手にしようとしたり、BL以外でもたくさんの本や映画などで描かれてるんですが、果たしてディープラーニングのできるアンドロイドが普及する頃に我々の生活にどんな変化を及ばしてくるんでしょう。
アンドロイドに縋る人間は可哀想なの?プログラムされるただの機械に深い感情を持つことはおかしいことなの?アンドロイドを取り上げる作品を見るたび考えてしまうんですが、やっぱり結果は分からない。
でも今回の作品の中で、主人公はそこそこ愛情深い家庭の中で育ててもらってる子ですが、なぜアンドロイドにそこまで執着してたのかは、たぶん個人的に人生経験が不足の上でよく理解できなかったんですね。

そこも置いといて、正直一番ガッカリさせたのは最後です。あんなに苦労して行く、行かない、行ける、行けないのを奮戦してたのに…結局1ページ捲ったらあっさり行って、あっさり戻ってきて、あっさり連れて帰ろうとしてて、「?????」ってなってすごく戸惑ってます。

今この環境の中ではハッピーエンドは大原則ですから、なおさら新人さんなので、無理矢理でもハッピーエンドにする必要あると思いますが、それは仕方ないと思う。

ちなみに自分は完全なる素人で同人誌すら書いたことないのでこんなこと言っちゃアレですが、もしどうしてもハピエン書くならわたしは
「起きたら知らない人に「迎えにきたよ」って言われた。すごい長い間眠ってたようだけど…」という冒頭にして、だんだん2人の過去を思い出していくという完全ジュン目線にして、その唐突さを「正当化」する方案に行きます。

偉そうで申し訳ありません。

結果からいうと、どう見ても終わり方が不自然すぎます。前半の壮大さや切なさにうまくフォローできてない感じがすごく残念です。せっかく良い設定だったのに…と。

色々と批評してしまいましたが、全然1作目にしてはとても完成度の高い作品だと思いました。

マーメイドよ、人間に恋するなよ(涙)

『パラスティック・ソウル⑷』
木原音瀬先生 読了

…。堪えました。かなり堪えました。ここまで来るとは…流石にこんな話、木原さんしか書けない(書かせてもらえない)でしょうか。編集部様、ありがとうございました!(涙)もう目が文字追っていく度涙がどんどん溢れてくる有り様で…最近木原さんって昔みたいに(『WELL』とか『Rose Garden』とか?)極めて痛いの書かなくなってるな…って思ってたのですが、読み終えて気持ちを落ち着かせながらも今はまさに「来たー」って感じがたまらなく爽快そのもの。やっぱり木原さんの作品にはハズレがありません。木原音瀬っていうお名前がすでにわたしの中で神作品保証同然です。

そんな話はどうでも良いのですが、感想を少し垂らします。今回の作品はざっというと、(当社比)『COLD』シリーズの切なさと、『箱の中』の切なさを合わせて、その倍の絶望感と悲しさが詰まっている1冊でした。新書館様の時の元々あった2冊も読んだ時辛くて辛くて、すごく好きな作品だけど2度と読みたくないと思いました。今回文庫化を機にもう一回(また泣きながら)読んで、4巻に進もうとしたら、
まさかの新しいキャラの話で、正直一瞬ちょっとガッカリはしていました。私の中では、スピンオフやら続編やらで同じ世界観を続く違う話はだいたい個人的に原作に比べてしまうと劣っていて、でもそんな事思う余裕もなく読み始めたらすぐにこの理不尽な物語にどんどん引きずられていく。

愛ってなんなんでしょう。そんな疑問を抱きながらこの魂がこの世に浮遊していて答えを探し続ける。ふとマーメイドの話に重ねてしまいたくなる。

マーメイドは人間を愛してはいけない。しかし彼女の美しい心はやっぱり王子を憧れて、命をかけて痛い思いをたくさんして、愛をようやく手に入れたのに、最後の最後に結局愛する人の他人と睦み合う姿を見せられ…

マーメイドの美しい魂は泡になって天国へいった。この魂はどうなんだろう。人間は愚かで、不器用と理性的に物事を判断していた魂が、初めて愛という感情の素晴らしさを味わい、永遠の命を持っていても愛する人を引き止めることが出来ないことを思い知らされ…初めて人間の限りある命を憧れるという魂が愛おしい。

膨大な知識を持ちながらも、愛することを知らないというのは、これほど寂しいことかと。人を愛すると、いくら頭が賢くてもこれほど盲目的になってしまうかと。あの魂も、ジェフリーも、力尽くしてお互いを愛していても、いつもいつも、最初から最後までどこかずれていて、

最後の終わり方がダメな人も絶対少なからずいるかと思いますが、私はこれで逆にあれほど色々あった2人にこそ、一番潔く綺麗な終わり方かと思います。下手に無理矢理にハッピーエンドにするほうが逆に惜しいくらいです。

ここで話変わりますが、ジェフリーは最後まで真実を知ることもなかった。もし知ったらどうなるでしょう。自分が愛したのはハルの体なのか、アーノルドの体なのか、あの精神体なのか、よほど混乱してしまうでしょう。知っていても、精神体はある意味ハルを殺し、アーノルドを5歳児にした犯人とも言えるし、精神体を愛するのか、憎むのか、元々繊細な人だし、2種の感情が頭で混ざってしばらく立ち上がれないでしょう。
なのでもしやこの精神体が粉々になって天国に行く日が来て、2人(?)が天国で会えたらまた長〜い修羅場になるのではないかと今妄想しながら…でもあの精神体は根気強さ半端ないから、10年でも20年でも追いかけてたらジェフリーも曲げてくれるのかな?とどうでも良い話を一人で思いながら少しほっとする。


今回も、素晴らしい旅をさせて頂いて、先生に感謝です。(木原さんの本読む度旅しているような気分を味わわされて、毎回不思議な体験をさせられています笑)この作品は絶対好き嫌いがはっきり分かれる作品と覚悟しているのですが、私は完全なる「神評価中の神評価」派です。

六巳ちゃんのこと忘れんといて!

『満願成就 周と西門』凪良ゆう先生 読了

切なすぎて堪忍や!笑笑

前作からはだいぶ時間が空いてしまって、前作読んだ時まだ東京に住んでた私もついに京都に越してきて2年目になります。それでも西門さんの京都弁がキツめに感じてしまいます笑。堪忍や堪忍やとつぶやく西門さん、いかにも渋い容姿と性格をお持ちなのに、京都弁で和らげてくれて、少しギャップ萌えを感じつつありました(笑)。

西門さんだけじゃなく、キャラクターたち皆がすごく個性的でとても愛おしかったです。でも一番惹かれたのはやはり六巳ちゃんでした。綺麗で、小さくて、でも気が強くて、時々可愛いヤキモチ妬いたり、わがまま言ったりする小悪魔で、でも実は根っこから柊ちゃん大好きで、そんな六巳ちゃんでした。

死んで欲しくなかった…。ずっと柊ちゃんと一緒に居て欲しかった。でも彼は死んだ。思い出の形でずっとずっと柊ちゃんの心の中で存在している、生きている。

西門さんは「年内に踏ん切りがついたら」と言いましたが、踏ん切りなんか付けて欲しくないの。周くんと恋するとは別で、ずっとずっと永遠に六巳ちゃんのことを思い続けて、愛し続けて欲しい。

そんな六巳ちゃん推しとしての切実な思いでした。

作品全体的にはすごく良い流れでしたが、凪良さんのほかの作品に似てるようなところが多々あってあまり集中できませんでした。特に最後のところの真理子の片思いの部分が丸かぶりほどいかないのですが、最近の某作品とは同じ話の別バージョンみたいになってて信じられない。

それ以外にほかのところもありましたが挙げないでおきます。まさかのネタ切れ?前の作品にもちょこちょこそういうのありましたが、それは自分の作品の「知る人ぞ知る」ネタみたいなもんかと受け止めましたが、流石に今回のは酷いと思いました。

凪良さんの大ファンで、30冊以上読んでおりますが、はっきり言って今回はあまり良い評価が出せません。続きものが出たらは買う予定です。

BLより初助の伝記

『座布団』剛しいら先生 読了

もっと早くこの作品に出会いたかった。少なくとも先生ご健在の時に読んで感想のお手紙を送りたかったです。こんなに素敵な作品をつくりあげた作者様がつい半年前に亡くなられたなんて、実感が湧かない。ご冥福をお祈りします。

強いて言うなら唯一の不足なところはBLであるところでしょうかね。直接的な濡れ場シーンもなかったし、少なくともジャンルがBLじゃなかったら、もっと色んな人に読んでもらえたのではないかと。

剛しいら先生が描いた初さんの聡明さ、淡々とする姿の上品さ、そして何より一挙一動一言一句の色っぽさ、本当にたまりません。要の目線を通して、男を食べ尽くし、それを落語の技の糧とする、色んな意味で化け物のような男がつくりあげられている。

人生の結末まで伝説のように、これ以上彼に合う人生の終わり方はないでしょうと思いました。もちろんこの作品では要の目線を通しての叙述であるという制限もあり、初さんの人生は本当に氷山の一角くらいしか覗けられていないでしょう。彼はどんな少年時代を送り、どんな人と出会い、どんな恋をして、そしてどんな失恋を経験したのかと色々連想してしまいます。謎だらけで、でもそれこそ魅力的で、罪の男でした。

人間は痛みによって成長する。そう剛しいら先生が考えられるでしょう。特に香山の最後の登場では随分と余裕の持てる男となったという展開がうますぎました。モブキャラさえもよく凝った書き方されるなっと感心しました。

あ、モブキャラって言ってすみません。でもどうしてもこの作品の主人公は初さんだけとしか考えられなくて…。やはり初さんの存在感というか、圧倒的な輝きオーラが凄すぎます。

ただし、1つだけ個人的にどうしても気になる所があります。キャラクターたちの顔が頭に浮かばない。初さんは最初からもう勝手に某漫画作品の師匠とイメージしてしまいましたが、そちらの作品はBLとは別で好きですので、その師匠にBL的な想像はしたくなくて、自分の中で初さんの顔を想像してみました。しかし作中に顔についての描写が一切なく、良い人の顔(?)、細い体格としか分かりませんでした。

初さんだけではなく、要も可愛い顔してる24歳男と、寒也は男前としか書かれていない。挿し絵が有り無しの話ではなく、ただ顔の雰囲気だけでもいいので…小説を読む時イメージがつかないと読みにくいタチなので、そこだけは個人的に少し残念なところでした。

でも全体的に見て神評価とさせていただきます。次の『花扇』は購入済みです。読むのが楽しみです。

相手が泉じゃなかったら?

猫の王国 犬飼のの先生 読了

犬飼さんの作品はこれで初読みになります。yocoさんの表紙に惹かれて、友だちの感想を読んで面白そうだし、さらにネコミミと健気受けちゃんもかなり好みの設定なので購入しました。

結論から言うと、萌え度(?)は全然百点満点中100点です。王道の男前攻め×小動物系受けちゃんコンビはかなりグッと来ました。ファンタジーだけど、そこの世界観の設定もいろいろしっかりしていて、おもしろかったです。

ただし、キャラクターたちには色々疑問を抱えざるをえなかったです。犬飼さんは純粋でお人好しで、健気な由良を描きたいのは分かりますが、ただの友だちの泉にそんなに執着を持ってたのはどうなの?って思ったりしました。

泉も由良を意識し始めて疎遠しようとしたのは理解できますが、普通そこまで虐めたりしますか?ってのも少し違和感を覚えてました。

ま、そこは人それぞれなので無理とは言わないんですが、ノンケである由良がユラとして猫の天国に行ったら急に人間である時じゃ恋愛意味で好意を持てなかった相手を好きになった、という流れはどういう意図なのかってすごく疑問を持っていました。

それは環境のせい?周りでは男同士の恋愛、あるいは肉体関係が普通であるから、自分も自分に親切で、親友に似た男に恋をしてしまったのか?

じゃああの時死なずにずっと男女の恋愛がノーマルの世の中で生きてたら、永遠に泉の恋愛感情に応えることができずにいたかもしれないということでしょうね。

逆にいうと天国で逢ったのはイズミでなくても、泉でなくても、そこで現れた親切でカッコいい騎士に恋に落ちていたんじゃないの?って少し残念に感じました。

だから犬飼さんはそれを承知された上でこの物語を作ったのか、そもそもその「if」が考慮範囲外を前提でこの「たまたま相手が泉だから」の物語を構築したのか、というのは個人的に作品の評価にかかるポイントになります。後者だったら、人間の話は全部やめて、猫耳天国のみの世界観の話の方が個人的にもっと楽しめたって思いました。

ファンタジーもののBLに色々考えすぎたかもしれませんが、違和感を感じたら集中できなくなる性格なので、BLのそういうルーズさ(?)こそが好きな方には申し訳ないですが評価は控えめにさせて頂きます。